「似つかわしくない」の意味とは?使い方や例文を紹介!
飲み会の席などで「Bさんの奥様は、似つかわしくないわねえ」などという話がでると、はたと考え込んでしまいます。
この場合、Bさんにとって、奥様が似つかわしくないのでしょうか、それとも、Bさんが、奥様から見て、似つかわしくないのでしょうか。
似つかわしくないという言葉、どうにも、奧は深いようです。
そもそも、このような書き出しこそが、似つかわしくないのではないでしょうか。
目次
- 「似つかわしくない」の意味とは?
- 「似つかわしくない」と似た言葉や類語
- 「似つかわしくない」の言葉の使い方
- 「似つかわしくない」の例文
- 「似つかわしくない」の対義語や反対語
- 「似つかわしくない」の英語
「似つかわしくない」の意味とは?
ある事物と、別の事物とを対照して、程度や能力、技能や性格など、色々な点から、比較検討し、適切であるか否かを判定した結果、合わないとされた結論のことです。
細かく言うと、ある仕事の内容について、自分の持っている能力や技能、知識や性格などと照らし合わせてみて、不足する点や、ある一定の水準に、まだ、達していない点があれば、(似つかわしくない)となります。
いずれも、ある程度、満足できる能力や技能、知識や性格などを備えていれば、(似つかわしい)となります。
この時、気を付けることは、外面からの評価だけでなく、自分の性格や仕事内容に対する、好き、嫌いの感情をも含めた内面からの評価も加味する点です。
その仕事が、あなたにとって、似つかわしいか否かについては、自分自身の意識の置き所も、ひとつの判定基準となるからです。
- 「似つかわしくない」の読み方
「似つかわしくない」の読み方
「につかわしくない」と、そのまま、素直に読みます。
「似つかわしくない」と似た言葉や類語
提供される事物や内容が、要求されている内容や水準に対して、満足できるもので、あるかないか、要は、両天秤にかけた時に、釣り合うものであるか、ないかを、ある人物を通して見たときに、「否」となる、ふさわしくない意味の言葉に、なるべく近い例をあげています。
また、即、言葉の説明には、結びつかないのですが、「ふさわしさ」を考える上で、観点をどこに置くかで、言い得て妙の慣用句があるので、記載しておきます。
「牛刀をもって鶏を割く」(取るに足りないことを処理するのに、大がかりなことをすることはない)という意味の慣用句です。
小さな鶏をさばくのに、大きな牛をさばくために使う大きな包丁を持ち出す必要はないとうことで、まさしく、似つかわしくない、ふさわしくないの典型的な例になるでしょう。
- 「ふさわしくない」【ふさわしくない】
- 「分不相応」【ぶんふそうおう】
- 「不釣り合い」【ふつりあい】
- 「柄にもない」【がらにもない】
- 「不似合い」「不適合」「不適任」「不適当」など「不+〇〇」
「ふさわしくない」【ふさわしくない】
同じような意味をもつ言葉に「ふさわしくない」があります。
「ふさわしくない」も「似つかわしくない」も、ともに、「釣り合っていない」「ぴったりきていない」という、ある事物に対して、自分が有している知識や能力、性格や雰囲気などと、その事物とを対照させて、適切か否か、釣り合っているか否か、判定する行為を行ったあげくに「あわない」とした結果を表す言葉です。
その際に、「似つかわしくない」は、特に、性格や雰囲気の面からみて、「ぴったりこない」「釣り合っていない」と判定されたものを言います。
対して「ふさわしくない」は、特に、能力や資質、技能の面からみて、「ぴったりこない」「釣り合っていない」と判定されたものを言います。
だから、洋服を買いに行って「あなたには、似つかわしくない」とは、言いますが、「あなたには、ふさわしくない」とは、言いません。
「ふさわしくない」と言えば、バランス的に、洋服の方が、能力や資質、技能の面、つまりは、デザインや色、材質、値段などから見て、「あなた」よりも上位に感じられる表現になるからです。
「分不相応」【ぶんふそうおう】
自分の資質や能力、技能や性格などから考えてみても、その課題の解決に当たることは、現在のレベルではとても無理で、課題の方が大きく、難解で、自分の力量では、バランスがとれないことを表した言葉です。
自分では、力不足であるという意味合いを表す言葉になりますので、社にとって極めて大事な仕事を頼まれた時などに、謙譲の意味を込めて、「自分には、分不相応の役目ですが、全力でやらせていただきます」などと使うこともあります。
ただし、言い方や態度、日頃の言動から、分不相応が、逆に、自分のもっている資質・能力からみると、「釣り合わないけれど〜」と、自分の力量の方がずっと上で、自分にとっては、「釣り合わない役目ですが」の意味でとらえているように聞こえることがあるので、要注意です。
「不釣り合い」【ふつりあい】
書いてある通りに、釣り合わないことを意味していますので、自分の資質や能力、技能や性格と事物を比べた場合、あるいは、解決すべき課題と比べた場合、どうしても、事物や解決すべき課題の方が、大きくなって、釣り合いがとれないことを意味する言葉となりますので、「似つかわしくない」に、意味的には、よく似た言葉となります。
「柄にもない」【がらにもない】
「柄」は、「柄が、大きい」などと言って、体つきや体格を表す言葉です。
また、布や織物、転じて洋服などの模様のことを指しています。
それと並んで、「本来その人にそなわっている品位とか性格を表す言葉」でもあります。
よく使われる例が「あの人は、柄が悪い」という、まさに品位や性格をずばりと言い切った言葉ですが、これはまた、「土地柄」や「家柄」といった言葉にも転移していきます。
作物のでき具合にも「作柄」と呼んで、雰囲気ではなく、実際の取れ高、数量で表します。
それらのことを受けて、ここでの意味は「人の言動などが、その人本来の性格や普段の印象から考えてみても、ふさわしくない、似合わない様子」を示す言葉です。
今時の言葉に直せば「キャラじゃない」とでも言えばよいのでしょうか。
「不似合い」「不適合」「不適任」「不適当」など「不+〇〇」
どの言葉も「不」を付けることで、以下に続く言葉を否定し、「似つかわしくない」と同じような意味合いになる言葉です。
「不似合い」は、字面の通り、「似合う」が「不」で、「似合わない」のですから、自分のもっている資質や能力では、直面する課題の解決には至らないということになります。
「不適合」は、うまくあてはまることを意味する「適合」が「不」なのですから、「うまくあてはまらないこと」を意味しています。
同様に「不適当」は、「適当でない」となって「ある種の性質や状態、要求などに、うまく合わせられないこと」や、「度合いがよくないなど、ことごとく、ぴたりと収まるものを、収めきれない適当とは、言えない不足の面」が指摘されています。
「不適任」に至っては、ある種の任務に就けるだけの資質と能力を身に付けたことを証明する「任に適する」という言葉に、否定の「不」が付いているわけで、その資格もないという意味になります。
「不」一文字だけで、全否定をする感が強く感じられましたが、否定の言葉の仲間を探すのは、容易ではありません。
「似つかわしくない」の言葉の使い方
ある事物が、特に、雰囲気や性格の面で合っていない場合に使う言葉です。
だから、たとえば、「政治家として(ふさわしくない)人物」とは言いますが「政治家として(似つかわしくない)人物」とは、言いません。
逆に「別荘風に造られた、山小屋には、(ふさわしくない)建物」とは、あまり言いませんが、「別荘風に造られた、山小屋には、(似つかわしくない)建物」とは、ぴったりくる表現です。
「似つかわしくない」の例文
「A子さんの今日のドレスは、とてもすばらしいけれど、結婚式に招かれた者の装いとしては、あまりにも目立ちすぎて、(似つかわしくない)わね。」
「それに、これ見よがしのジュエリーの数も、どちらかというと(似つかわしくない)部類に入るわね。」
「似つかわしくない」の対義語や反対語
- 「水を得た魚」【みずをえたうお】
- 「適材適所」【てきざいてきしょ】
- 「打って付け」【うってつけ】
「水を得た魚」【みずをえたうお】
水の中に放たれた魚が、元気よく、すいすいとエネルギッシュに泳ぎ回ることから、自分にふさわしい場所や得意の分野を得て、生き生きと活動している様子を指す言葉です。
自分が基も得意とする世界に放たれたわけですから、当然のことですが、やる気も充実感も出てきます。
そのため、成果も確実に上がりますから、賞讃もされるようになり、給与へ反映されるかもしれません。
そうなると、さらに力を入れることになり、ますます成果は右肩上がりとなり、好循環をくり返します。
「適材適所」【てきざいてきしょ】
そのことから転じて、「水を得た魚」を、職場の中に位置づけて考えてみると、その人の持っている資質や能力、性格や個性など、他に比べて、極めて優れている点を見抜き、それらを十分に、活かせる環境をつくり出すとともに、持っている資質や能力が、最も発揮される地位や、職場に就かせることで、めいっぱい活躍する姿が、期待できます。
その人物こそ、正に水を得た魚です。
「打って付け」【うってつけ】
「打って付け」とは、板に、釘を「打って」壁に、はり「付ける」ということから、「しっかりと板が壁に付く」、つまり、物事がぴったりと合っていること、おあつらえ向けになっていることを表す言葉です。「似つかわしくない」とは、全く、反対のことを意味する言葉です。
また、言葉の出来方と、意味することとが直結していて、分かりやすい言葉とも言えます。
「似つかわしくない」の英語
“Unbecoming”「似合わない。ふさわしくない」
“That sort of behavior is beneath you.”「そんな行為は君に似つかわしくない」
これを単語レベルで、訳してみると、次のようになります。
“That sort of behavior”(振る舞い、動作) “is beneath”(ふさわしくない。対面にかかわる) “you. ”
機械的な英訳ではなく、意訳をした例です。
“Such conduct is beneath you ”「そのような行為は君の恥だ」
「ふさわしくない」に比べて「似つかわしくない」の方が、どこか少しやわらかい感じがします。
実は、そこには、訳があったのです。
「ふさわしくない」の方は、対面する課題の解決に対して、必要な資質や技能と言った数量化できるものを判断の基準にしているのに対して、「似つかわしくない」の方は、雰囲気的に合わないとか、しっくりこないとかいった、数量化できないことを判断の基準にしていることです。
このように、一見同じように見えて、しかし、微妙に違うことは、日本語の難しさであり、すばらしさでもあるところです。