「臭い物に蓋をする」の意味とは?読み方、類語や使い方、例文や反対語を紹介!
「臭い物」だなんて、不快な臭いがぷーんと漂ってきそうな言葉ですよね。
「臭い物に蓋をする」について一緒に考えてみませんか。
目次
- 「臭い物に蓋をする」の意味とは?
- 「臭い物に蓋をする」の読み方
- 「臭い物に蓋をする」の類語や似たことわざや熟語はどんなものがあるの?
- 「臭い物に蓋をする」の使い方
- 「臭い物に蓋をする」の反対語や対義語はなんだろう?
- 「臭い」がついたことわざは他にもある
- 「臭い物に蓋をする」を分解して深読みしてみると…
- 「臭い物に蓋をする」を英語にすると?
「臭い物に蓋をする」の意味とは?
「臭い物」といったら何を想像しますか?
生ゴミ、よどんだドブ川など、どれもこれもあまり側によりたくないものばかりですよね。
「臭くてたまらないから、すぐ蓋しちゃえ!」と思うものは、たくさんあります。
生ゴミはゴミ箱に入れますし、ドブ川もやはり蓋をつけることが多いですが、果たして臭いはなくなるでしょうか?蓋を開けてみればすぐにわかることです。
臭い物がなくなることはないし、臭い物は臭いままです。
蓋をするだけでは、ただ単に誤魔化しているだけで根本的に何も解決していなですよね。
つまり、「臭い物に蓋をする」とは、都合のわるいことが外部に知られないようにする一時しのぎのことをいうことわざなのです。
「臭い物に蓋をする」の読み方
「くさいものにふたをする」と読みます。
「臭い物に蓋をする」の類語や似たことわざや熟語はどんなものがあるの?
「何事も解決していないのに、知らないふりをしてそのまま放置しておく」「その場しのぎ」という意味がある「臭い物に蓋をする」。
このことわざにはいいイメージはまったくありませんよね。
では、このことわざ以外にはどのような表現があるのでしょうか?
- 「お茶を濁す」【おちゃをにごす】
- 「しらを切る」【しらをきる】
- 「弥縫」【びほう】
- 「屁を放って尻窄める」【へをひってしりすぼめる】
「お茶を濁す」【おちゃをにごす】
「お茶を濁す」は、いいかげんなその場しのぎで、誤魔化したり取り繕うことをいいます。
ここでいう「お茶」とは「抹茶」のことで、茶道の作法をよく知らないものが程よく茶を濁らせて、それらしい抹茶にみえるように取り繕うことから生まれた言葉といわれています。
つまり、「その場しのぎ」に「誤魔化」すことは、物事をはっきりせずに放置する「臭い物に蓋をする」と同じ意味を持つのです。
「しらを切る」【しらをきる】
知っていながら、わざと知らないふりをする、しらばくれることをいいます。
漢字では「白を切る」と書きます。
「白々しい(しらじらしい)」とは、見えすいているのに、平気でしらばくれることをいいますね。
「しら」はこの白々しいからきているとも、「知らぬ」の「知ら(しら)」が由来だともいわれています。
知っていても知らないふりをするとは、「臭い物に蓋をする」とよく似た表現です。
「弥縫」【びほう】
「弥縫」は、一時的にとりつくろうことをいいます。
「弥縫策(びほうさく)」は、一時的にとりつくろう策や一時の間に合わせの策をいいます。
「弥(び)」は、いよいよ、または、非常に、最も、といった意味を持つ漢字です。
また、「縫」は、縫う(ぬう)の意味で、とりつくろう、との意味があります。
一時的に誤魔化してとりつくろう「臭い物に蓋をする」と同じです。
「屁を放って尻窄める」【へをひってしりすぼめる】
「屁を放って尻窄める」は、失敗をしたあとで、あわてて相手に気づかれないように、その失敗を隠したり、誤魔化したりすることのたとえです。
このユーモアのあることわざは、『江戸いろはかるた』の「へ」の句としても知られています。
誰でも失敗したら決まり悪くなってはぐらかしたくなりますが、誰が「屁を放った」かはバレバレなことが多いですよね。
「臭い物に蓋をする」の使い方
「臭い物に蓋をする」は、外聞の悪いものを隠すという意味なので、良いことを隠すという意味では使えません。
また、多少批判めいた意味合いを持つので、目上の人に使うには注意が必要です。
- 「臭い物に蓋をする」の例文1
- 「臭い物に蓋をする」の例文2
「臭い物に蓋をする」の例文1
「いじめをそのままにして何事もないようなふりをしているのは『臭い物に蓋をする』のと同じことじゃないか」
「臭い物に蓋をする」の例文2
「数学もちゃんと勉強しているの?苦手だからって『臭い物に蓋』していたら、ますますわからなくなるわよ」
「臭い物に蓋をする」の反対語や対義語はなんだろう?
「知らないふり」の反対語は「知ったふり」ではありませんよね。
いうならば、「誠実」なのではないでしょうか。
「誤魔化し」たり「その場しのぎ」にせずにしないことを表すことわざや、「何事もないふり」「何もいわない」方がよい、という意味を持つことわざを集めてみました。
- 「膿んだものは潰せ」【うんだものはつぶせ】
- 「頭隠して尻隠さず」【あたまかくしてしりかくさず】
- 「知らぬが仏」【しらぬがほとけ】
「膿んだものは潰せ」【うんだものはつぶせ】
「膿んだものは潰せ」とは、化膿した腫れ物はつぶして膿を出したほうがすぐに治るように、害になるものは思い切って根本から取り除けば思いのほかよい結果があるという意味です。
「臭い物に蓋をする」とは真逆のことわざです。
「頭隠して尻隠さず」【あたまかくしてしりかくさず】
悪事や欠点などの一部分だけを隠して、全部を隠したつもりでいることをいいます。
「その場しのぎ」に隠していても、「臭いもの」の悪臭はどこからか漏れてしまうものです。
悪臭になれきった本人はうまく隠せたと思っていたとしても、「臭いもの」の悪臭は誤魔化せません。
結局は他の人にはわかってしまうのではないでしょうか。
「知らぬが仏」【しらぬがほとけ】
知れば腹が立ったり、悩んだりするようなことでも、知らなければ平静な心でいられるということのたとえです。
なまじ知ったばかりに不幸に陥ることがありますが、知らないままでいれば何事もなく過ごせます。
「臭い物に蓋をする」は当事者が都合の悪いことを隠すこと。
「知らぬが仏」は隠された側なので反義語になりますよね。
「臭い」がついたことわざは他にもある
「臭い物に蓋をする」の他にも「臭い」がついたことわざが色々あります。
「臭い」はどのことわざもやはり、「欠点」「悪事」などすべて悪い意味で使われています。
- 「臭い物身知らず」【くさいものみしらず】
- 「臭い物に蠅がたかる」【くさいものにはえがたかる】
「臭い物身知らず」【くさいものみしらず】
「臭い物身知らず」とは、身体に悪臭があるのを自分では気付かないように、自分の欠点は自分では気づかないということをいいます。
「臭い物に蠅がたかる」【くさいものにはえがたかる】
「臭い物に蠅がたかる」とは、悪臭のするものによくハエがたかるように、悪い人間のところには悪い仲間が集まるものだ、という意味です。
「臭い物に蓋をする」を分解して深読みしてみると…
「納豆」「ぬか漬け」「ブルーチーズ」どれも「臭い」ですが、食べてみると美味しいものばかりですよね。
しかし、「臭い物に蓋をする」は、よい意味で使われることはありません。
「臭い物」「蓋をする」を深読みしてみれば面白いものが見えてくるかもしれませんよ。
- 「臭い物」を深読みしてみたら…
- 「蓋をする」を深読みしてみたら…
- 「臭い物に蓋をする」から「膿んだものは潰せ」へ
「臭い物」を深読みしてみたら…
そもそも「臭い物」とはなんでしょうか。
「臭(にお)う物」ということは、隠そうとしても隠し通せるようなものではないということです。
悪臭を香水で誤魔化そうとしても、決して消えることはなく、その臭いは必ず残っています。
うっすら残る悪臭を他人は知ることになりますが、悪臭に慣れきった本人は気付かないでいます。
また、悪臭に気がついても知らないふりをしている人もまた「臭い物に蓋」をすることも多いのではないでしょうか。
「蓋をする」を深読みしてみたら…
「蓋をする」とは、隠すことです。
そもそも、「蓋をして」知らないふりをしたり、誤魔化したりすることは、問題の根本的な解決にはなりません。
「蓋」をしても問題はそこにあります。
上辺だけとりつくろったとしても、問題を「なしにする」ことはできないのです。
「臭い物に蓋をする」から「膿んだものは潰せ」へ
「臭い物に蓋をする」は外聞の悪いことを隠蔽する、そのままに放置して、知らないふりすることです。
日本では、「言わぬが花(口に出して言わない方がかえって値打ちがある)」というように言葉にしない方がかえって趣(おもむき)がある、差し障りのあることは言わない方がよいという風潮があります。
しかし、外聞が悪いからと知らないふりをきめこんでいてもよいのでしょうか。
知らないふりとは、どういうことでしょうか。
それは、無関心でいることをいうのです。
将来を考えると不安になるからと「臭い物に蓋」をしてその場しのぎに暮らしていたり、クラスでいじめがあるのを知っていながら、自分が関わりあったら面倒だと「臭い物に蓋」をしてそのまま放置している生徒や先生など、この世にはたくさん「臭いものに蓋」をしながら生きている人がいます。
しかし、「臭い物に蓋」をしたままで耐え切れないほどの悪臭になる前に悪臭の元にきちんと向き合って元を断つ努力をすれば、抱えている問題に進展はあるのです。
「臭い物に蓋をする」思考から「膿んだものは潰せ」思考に変えていけば、問題解決への道がみつかるのではないでしょうか。
「臭い物に蓋をする」を英語にすると?
- “to sweep ~ under the rug”
- “to keep ~ under wraps”
“to sweep ~ under the rug”
「(不都合なものやこと)を隠す、秘密にする」
直訳すると、「やっかい事をカーペットの下に掃きこむ」“to sweep”とは、(床など)を、ほうきやブラシなどで掃くという意味です。
“the rug”は、カーペットやラグのことを指します。
~には、“trouble”(やっかい事)や“problem”などが入ります。
日本ではゴミ箱に入れて蓋をして隠しますが、西洋ではカーペットの下に隠すとは面白い表現です。
“to keep ~ under wraps”
「~を隠して(秘密にして)おく、〜を表沙汰にならないようにする」
“to keep ~ ”は「〜のままにしておく」、“wraps”とは、「秘密」「未公開」という意味です。
不都合なものを隠しておく、そのままにしておくことをいう「臭い物に蓋をする」。
しかし、根本的なことを解決しない限りは、いつまで経っても問題はそこにあるのです。
「とりあえず、そのまま放っておこう」「後で考えよう」なんて思っていてばかりでは、何の解決にもなりません。
誤魔化してばかりいれば、取り返しがつかないくらい物事が大きくなって、対処ができなくなってしまうかもしれません。
「臭い物に蓋をする」前に、きちんと対処して悪臭を断ち切って、スッキリした気持ちで生きたいものです。