「翻る」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
話し合いや何かを決める時に今まで言っていた話とは全く違う事を言出だしたり、決まっていた事と全く別の事や意見に賛同するなど、物事がひっくり帰ると困る事があります。
そんな状態を「翻る」と言ったりしますが、この言葉にはどのような意味があるのでしょう。
詳しくみていきたいと思います。
目次
- 「翻る」の意味とは?
- 「翻る」の類語や言い換え
- 「翻る」の使い方
- 「翻る」を使った例文
- 「翻る」を使った言葉
- 反旗を翻すについて
「翻る」の意味とは?
- 「翻る」の読み方
- 「翻る」の意味
「翻る」の読み方
「翻る」は「ひるがえる」と読みます。
難しい漢字ではありますが、耳にした事はあるのではないでしょうか。
「翻る」は音読みで「ハン・ホン」と読み、文字として書く事は少ないかもしれませんが、比較的よく使われる言葉だと思います。
「翻る」の意味
「翻る」という漢字の部首は「羽[はね]」になります。
「翻る」の意味には、
- 物がひらりと裏がえる
- 高く上がっている布や旗などが風などでひらひらと動く・なびく
という意味です。
そしてそれが転じて、
- 今までの態度や言動が急に変わる事、反対の意見になる事
- 約束や決めようとしていた事を突然変える事
となりました。
つまり「翻る」自体にはそれ程深い意味はなく、状態を表す動詞なだけなのですが、その様子が人の気持ちをひらりと手のひらを返す行為に似てるとなったのかもしれません。
また、最初は賛成していたけれど、だんだんと納得できなくなっていったり、気持ちや考え方が変わり、こうすると決めたことを「やっぱりやめよう」と思う事は誰にでもあるのではないでしょうか。
もちろん毎回そんな事をしていては信用や信頼を失ってしまいますが、日常の中で知識や情報を得て考えが変わる事は仕方のない事です。
また「翻る」は「番+羽」という漢字で成り立っています。
まず「番」という漢字は、耕地や種を撒くという意味の象形文字であり、「羽」は鳥の翼の象形文字になります。
この二つの漢字の意味からも「田畑で羽をヒラリと広げて遊ぶ鳥」が想像され、遊ぶ鳥の羽はパタパタと一定ではないという事から「翻る」という漢字と意味が出来たと言われています。
そして似たような言葉に「覆す【くつがえす】」がありますが、この言葉も意味としては今までの態度や言動が急に変わる事や、これまでの事をひっくり返す事を表します。
ですがどちらかというと「翻る」は自分側の感情や考え方をひっくり返し、状態や状況を変えるイメージですが、「覆す【くつがえす】」の方は自分も含め全体の概念や定義、決まり事などをひっくり返す事を表します。
また「翻る」よりも全てを破滅させてるような破壊力が強いのも特徴です。
「翻る」の類語や言い換え
- 「変心」【へんしん】
- 「心変わり」【こころがわり】
- 「手のひらを返す」【てのひらをかえす】
- 「前言撤回」【ぜんげんてっかい】
「変心」【へんしん】
考え方が変わる事や、心変わりを表します。
「あの人が変心してしまう前に、基本的な事を固めてしまおう」
などと使います。
「心変わり」【こころがわり】
心が他に移ったり、心が正常な判断ができなくなってしまう事を表します。
「人の心変わりは仕方のない事なので、どうしようもない。別れを潔く受け入れないと駄目だと思う」などと使います。
「手のひらを返す」【てのひらをかえす】
急に態度を変えたり、今までと真逆の事や対応になる事をいいます。
「お金がなくなった途端、お金の切れ目が縁の切れ目と言わんばかりに手のひらを返して去っていった」などがあります。
「前言撤回」【ぜんげんてっかい】
前に言った発言を取り消すこと、前回の発言や意見を打ち消す事をいいます。
「彼は無責任なところがあるので前言撤回させない為にも、しっかりと行動を管理しておかなければいけない」などと使います。
「翻る」の使い方
翻るは一旦決意した事や、事態を突然変えるという意味ですが、変えてしまう事柄や経緯によってはネガティブな印象を持ったり、ポジティブにもなったりする言葉になります。
内容が相手を裏切ったり、手のひらを返すようなものであれば悪い意味になりますが、夢の実現の為にや、旧態依然の悪しき風習が残っている社風を変えたいなどの事で、今までのやり方を翻す事は良い意味になります。
また、単純に状況説明をする場合や風景などを表す場合にも使います。
「翻る」を使った例文
- 「方針が翻る事はどうしても避けたいので、反逆者が出ないように見張っていてください」
- 「鯉のぼりが、風を受けてヒラヒラと翻っては、泳ぎをやめるを繰り返している。常に風が吹いていれば泳ぎ続けられるのに」
- 「綺麗なドレスの裾を翻して歩いて行った」
- 「もうこれで最後だからと話が終わったらそそくさと身を翻して去って行った」
- 「決意を翻したからには、相当な覚悟が必要になるでしょう」
「翻る」を使った言葉
- 「旗が翻る」【はたがひるがえる】
- 「翻って」【ひるがえって】
- 「翻す」【ひるがえす】
「旗が翻る」【はたがひるがえる】
掲げられてる旗が風によってヒラヒラと動く事をいいます。
状況が変わる際にも使われます。
「風が吹いて旗が翻る」など。
「翻って」【ひるがえって】
今までとは違った角度や立場、方面から物事を見る事をいいます。
また真逆の立場から考えたり、発想する事を言います。
「今まで味方をしていたくせに、立場が危なくなったら途端に翻って会社を辞めた」など。
「翻す」【ひるがえす】
ひらりと掌を返す事や、今までとは違う意見、方針、考え方に変える事。
「商談をしていれば、意見を翻す人がいる事は珍しくない事だ」など。
反旗を翻すについて
「翻す」という言葉を使うものに、反旗を翻す【はんきをひるがえす】という言葉があります。
この言葉は《今まで従っていたものや、自分を抑えつけてきたものなどに対して、反逆や謀反【むへん】する事》をいいます。
つまり下克上の事だと思ってもいいでしょう。
この反撃をする相手は、会社や組織、革命や大きく言えば国家などにもあてはまり、反撃される側としてはただの裏切りかもしれませんが、する方には信念や情熱、志しをしっかり持っている場合が多いのも特徴です。
- 「反旗を翻す」の由来
- 「反旗を翻す」の例文
「反旗を翻す」の由来
「反旗」とは反逆者側が掲げている旗のことになります。
兵士達が今まで支配下にあった旗ではなく、新しい自分達の旗を掲げて、戦いに行く様子を表しています。
また「反旗」の「反」は、元は「叛」と書いていました。
「叛」という漢字には「そむく」「部下の裏切り」という意味があります。
そして「翻す」には「ひっくり返す」「なびく」という意味があるので、二つを合わせると、今まで抑えつけられていた支配者にそむく為に、力を合わせた軍の旗が風になびいているという様子を表しているのが「反旗を翻す」になります。
「反旗を翻す」の例文
- あんなに穏やかで優しい叔父が、会社に反旗を翻すなんて、そんなことはあり得ないに決まっている。
- 反旗を翻すにも、当然綿密な計画が必要になる。なんでもかんでも思いつきは良くない。
- 表面では従順でおひとやかで健気に見えているかもしれないけど、彼女の本性を知っている身としては、反旗を翻す時期を虎視眈眈と狙っているに違いないと思っている
「翻る」というと、反対したり裏切られたという印象を持つ人がいますが、この言葉自体にはネガティブな意味はありません。
今まで制圧や抑圧されていた事に命を懸けて状況を変えようとする時にも「翻す」と使うと先述した通り、状況一つで反逆者になるか改革者になるかが変わる言葉になります。
自分の意思を貫く事や、状況を変えるために立ち上がる時には、翻すことも大切かもしれません。
そんな時にはこの言葉を使ってみてはいかがでしょうか。