「翻って」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「翻って」の意味や類語を紹介します。
さらに「翻って」の使い方や、「翻って」を使った例文を紹介して行きます。
目次
- 「翻って」の意味とは?
- 「翻って」の類語や言い換え・似た言葉
- 「翻って」の言葉の使い方
- 「翻って」を使った例文や短文(解釈)
- 「翻す」「翻る」の意味
「翻って」の意味とは?
「翻って」という言葉を目にした事があるでしょうか。
読み方が難しく、またそれほどなじみがないと感じる言葉かもしれません。
「翻って」は、テレビのニュースやネットニュースなどで使われる事が多い言葉ですので、日頃からニュースを見る習慣がある人は、「翻って」という言葉を知っているかもしれません。
一方で、「翻って」という言葉を、今初めて目にしたという人もいるでしょう。
そこで「翻って」の読み方と意味を紹介します。
- 「翻って」の読み方
- 「翻って」の意味
「翻って」の読み方
「翻って」は「ひるがえって」と読みます。
難しい読み方ですので、初見で読める人はほとんどいないと思います。
これを機会に「翻って」は「ひるがえって」と読む事を覚えておきましょう。
「翻って」の意味
「翻って」には、どのような意味があるでしょうか。
「翻って」には、「これとは反対に」という意味があります。
また「これとは別に」という意味もあります。
例えば、「A国は貿易黒字が過去最高益を叩き出し、空前の好景気を迎えています。
『翻って』私達の国は…」という文章の場合、
「A国とは反対に」あるいは「A国とは別に」という意味の言葉になります。
このように「翻って」には、ある視点とは別の見方をする時の接続詞のような使い方をします。
「○○翻って△△」という感じで、○○の視点から△△の視点にチェンジする時に、「翻って」という言葉を使うイメージです。
必ずしも二つの視点が180度違う必要はなく、反対にという意味もあれば、別の方面からという意味でも使う事ができます。
「翻って」の類語や言い換え・似た言葉
「翻って」の類語や、言い換えができるような似た意味を持つ言葉を紹介して行きます。
どのような言葉と「翻って」を言い換える事ができるのかを知ると、語彙の数が増えて会話力がアップするかもしれません。
- 「一方」【いっぽう】
- 「反面」【はんめん】
「一方」【いっぽう】
「一方」は「翻って」よりも一般的に使用されている言葉のひとつで、意味が良く似ています。
「一方」には「その他の方面では」という意味があります。
「彼がダイエットのために、ご飯を控えている『一方』で、大食い選手を目指す若者は、胃袋大きくしようと奮闘しています」などという文章を作る事ができます。
「一方」を使うと、「翻って」と同じように、他の視点からみた事実を付け加える事ができます。
「反対に」という意味はありませんが、二つの出来事や意見を並べる時は、できるだけ大きな違いがあった方が、文章の意味は伝わりやすくなります。
「反面」【はんめん】
「反面」には、「反対に」とか「反対側の立場から見て」などの意味があります。
「翻って」とよく似た意味の言葉ですので、言い換える時に使う事ができる言葉でもあります。
対立するような二つの意見や出来事を語る時に、「反面」を接続詞のように使う事ができます。
例えば、「彼女は強気な『反面』、怖がりでもある」とか、「彼は大胆な『反面』繊細でもある」などという文章を作る事ができます。
「翻って」の言葉の使い方
「翻って」という言葉は、どのような場面で、どのように使えばいいでしょうか。
そこで「翻って」という言葉の基本的な使い方を紹介します。
- 二つの視点でものを語りたい時
- 「翻って」を使うと、出来事の本当の姿が見えてくる
二つの視点でものを語りたい時
「翻って」には、「これとは反対に」という意味や、「これとは別に」という意味もあります。
そこで、二つの視点からの意見を同時に話すような時に、その接続詞的な扱いで、「翻って」という言葉を使ってみましょう。
例えば、「アイドルのAさんが引退して、ファンが悲しんでいます」という文章があります。
しかしこの文章は視点を変えると、「アイドルのAさんは女優活動を中心に活動できることを喜んでいます」という文章になるかもしれません。
この二つの文章を、「翻って」という言葉を使って繋ぐ事ができます。
「翻って」を使うと、出来事の本当の姿が見えてくる
「アイドルのAさんが引退し、ファンは悲しみに暮れています。
『翻って』元アイドルのAさんは、女優になる夢を叶えようと、やりがいのある毎日を送っています」となります。
もう一つ「Aさんが抜けた穴を埋めようと、新人アイドルの競争が始まっています」という視点を加えると、「アイドルのAさんが引退し、ファンは悲しみに暮れていますが、『翻って』新人アイドルたちは、大きなチャンスが来たとチャンスに燃えています」という文章を作る事もできます。
このように、一つの出来事には、視点によっていくつものストーリーが隠されています。
「翻って」を使うと、多面的な目線で、出来事を語る事ができるようになります。
「翻って」を使った例文や短文(解釈)
「翻って」を使った例文を紹介します。
様々な場面における、「翻って」を使った例文を見る事で、「翻って」をどのように使えばいいかが見えてくるでしょう。
- 例文1
- 例文2
例文1
ビジネスシーンにおける、「翻って」を使った例文を紹介します。
「この業界の業績は年々先細っていて、将来性が疑問視されています。
『翻って』我が社の業績は年々上向いていて、将来性も高く評価されています」、「会社員の平均給与は毎年のように高くなっている。
『翻って』私の給料は、10年前と変わっていない。
これは何かおかしい」、「同期社員はみな結婚している。
『翻って』私は独身のままだ。
なぜなんだろう」などです。
ニュースなどを見て景気回復などと聞いても、自分に実感がない時は『翻って』という言葉を使って、両者を比較したくなります。
例文2
日常生活における「翻って」を使った例文を紹介します。
「クリスマスが近づいて、みんな楽しそうな毎日を送っているように見える。
『翻って』私の生活を客観的に見てみると、クリスマスという行事がこの世にないかのように行動しているようだ」、「私はAさんの事を好きで何度も告白しているが、『翻って』Aさんの立場から見ると、迷惑極まりないだろう」などです。
恋愛の片想いの場面では、片想い中の人は夢中で恋をしているだけですが、「翻って」相手の立場から見ると、迷惑だったり、嫌だったりする事があります。
恋愛するのはすべての人の権利だと思いますが、あまりしつこくするのも問題かもしれません。
「翻す」「翻る」の意味
「翻す」という言葉には、「さっとひっくり返す」「ひらりと裏返す」という意味があります。
例えば、「本のページを翻す」という場合は、ページをひらりと裏返した様子をイメージする事ができます。
また「手のひらを翻す」という場合は、誰かが手をさっとひっくり返している様子が見てとれます。
さらに「翻る」という言葉には、「風に吹かれて裏返る」という意味があります。
例えば「日本国旗が翻る」という場合は、国旗が風になびいて揺れている様子、さらに裏返っている様子が想像できます。
このように「翻って」の仲間「翻す」や「翻る」には、様々な意味がありますので、セットで覚えておくと良いでしょう。
「翻って」という言葉の意味や使い方を見てきました。
「翻って」は読み方が難しく、意味を捉えるのにも少し苦労するかもしれませんが、例文などをたくさん見る事で、どのような意味か、どのように使えばいいかが見えてくると思います。
一つの出来事を見た時に、ひとつの見方だけではなく、別の見方をするという習慣をつけるためにも、「翻って」という言葉を覚える事は有益な方法ではないでしょうか。