「尽力」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
目上の人に対してや、大切な場面で、相手に対し感謝や御礼、反省の意を込めて誠実さを表す時に、「尽力」という言葉を使う事があります。
前向きで便利な言葉であるため、耳にしたり目にする機会も多いと思いますが、今回は「尽力」の意味や使い方、類語などを解説していきたいと思います。
目次
- 「尽力」の意味とは?
- 「尽力」の類語や言い換え
- 「尽力」の使い方
- 「尽力」を使った例文
- 「尽力」の反対語や対照語・対義語
- 「尽力」と「力添え」の違い
「尽力」の意味とは?
「尽力」は「じんりょく」と読みます。
意味は物事を実現させるために力を尽くす事や、精一杯努力をする事、誠心誠意全力で取り組む事を言います。
「尽力」の「尽」には「つくす・つきる」という訓読みがあり「全て出しつくす」「全てに費やす」という意味を持ちます。
「力」はそのまま「ちから」と読み「物事が変化する際に必要になるもの」「またその原因の象徴」という意味があります。
そしてこの二つを合わせると(力を尽くす事)という意味になり、敬意や尊敬、感謝などの意を含む言葉として、ビジネスの場面では特によく使用され「尽力」とは目上の人や自分に対しても使える言葉になります。
ただこの自分に対してとは『相手の為にする自分に対して』という意味です。
何かに協力をしてもらったり、力を貸してもらった時や、もしくは自分が相手に対して協力したいと思ったり、役に立ちたいと思った時などに使う言葉なので、上手に使うと相手にも誠意が伝わりやすくなり、自分に対しても気合が入り更に頑張る気持ちを表現しやすくなります。
また御礼の意とセットで使用する事が多いので、今後の関係性を構築するための架け橋や決意表明になる言葉でもあります。
「尽力」の類語や言い換え
- 「協力」【きょうりょく】
- 「支援」【しえん】
- 「手伝う」【てつだう】
「協力」【きょうりょく】
目的に向かって力を合わせる事。
または他者のために力を貸して共に頑張る事をいいます。
「ご協力をする事で益々発展が望めるなら、それは嬉しい事です。」
「協力くらい、いくらでもします」という使い方をします。
「支援」【しえん】
人を支え助ける事や、力を貸したり、応援したり、援助する事をいいます。
「難民地へ支援物資を送りたいのですが、どうしたらいいでしょうか」というような使い方をします。
「手伝う」【てつだう】
相手に自分の力を貸して助ける事、困っている人や力が足りない人に手を差し伸べる事をいいます。
「あなたが手伝ってくれたおかげで、本当に助かりました」などといった使い方があります。
「尽力」の使い方
「尽力」はこの単語だけで(精一杯、力を尽くします)という意味なので「尽力を尽くします」や「力を尽くし、尽力します」は言葉を重ねている事になり、可笑しな表現となります。
またこの言葉はビジネスの場や目上の立場の人に対して使う事が多いので、よくある間違いではありますが注意しなくてはいけません。
またこの場合は「尽力」のまえに「ご」という尊敬語の接頭語をつけ「ご尽力」といった使い方をします。
ですから御礼や感謝を述べる時もですが、反対にお詫びや謝罪をする時にも使える表現になります。
そしてこれはかなり重要な事になりますが、「ご尽力」は相手に何かを頼む時やお願いする時には使いません。
「力を尽くすこと」という意味に尊敬語をつけているのに、「自分のために力を尽くしてくれませんか」というニュアンスなってしまい大変厚かましくがめつい印象になってしまいます。
くれぐれも目上の人やビジネスの場で使う際には、意味や目的に注意をしながら使用しなければいけません。
また「尽力」は過去の行為に対しては使いません。
「尽力」を使った例文
- 「御社の御尽力により、弊社は業績を挽回する事ができました。心より御礼申し上げます。」
- 「貴社の長年にわたる御尽力が実を結ばれました事は、大変喜ばしい事でございます。」
- 「この度は弊社の事業において大変御尽力頂いたのにも関わらず、私どもの力不足で残念な結果になってしまった事を深くお詫び申し上げます。」
- 「どうか私どもの商品をお使い下さいますよう、お願い申し上げます。もしお使い頂いた暁には、全力で尽力させて頂く所存でございます。」
- 「微力ではありますが、御社に対し尽力させて頂きたいと思っております。」
「尽力」の反対語や対照語・対義語
- 「怠惰」【たいだ】
- 「手を抜く」【てをぬく】
- 「骨惜しみ」【ほねおしみ】
「怠惰」【たいだ】
しなければいけない事をせず、怠ける事や、できるのに力を入れず、だらしなく過ごす事を言います。
「そんな怠惰な事をしていては今までのことが台無しになる」などという使い方をします。
「手を抜く」【てをぬく】
全力でせず、力を加減して行う事や、言い加減で適当にする事を表します。
「全力で走っていたのに、あの人は最後手を抜いたのでかなり目立っていた。」といった風に使います。
「骨惜しみ」【ほねおしみ】
苦労するのを嫌がって怠ける事や、辛い事や面倒臭い事などはやらずに他人任せにする事を言います。
「わざわざ自ら骨惜しみをして、人気を下げたくない」というように使います。
「尽力」と「力添え」の違い
- 「力添え」とは
- 「力添え」の例文
「力添え」とは
「尽力」と似た言葉に「力添え【ちからぞえ】」という言葉があります。
この言葉は、力を添えること・手を貸すことという意味になり、「力添え」に尊敬語の接頭語「お」を付けて、「お力添え」となります。
「添」は隣でそっと支えるといったイメージなので、メインの隣で力が足りない時に差し伸べるといったニュアンスになります。
また「尽力」と同じところは、感謝やお詫びの際にセットで使う事ができるといった便利な点があり、違う点は「力添え」は相手にお願いをする時にも使うことができるという点です。
例えば「お力添え頂けませんか」や「お力添えの程宜しくお願い致します」などと使えます。
更に「お力添え」は「尽力」と比べると少し軽い感じになり些細な協力や援助に対しても使える言葉になります。
つまり「ご尽力」の方が「お力添え」よりも、手助けしてもらうレベルが大きいという事になります。
「尽力」も「お力添え」も「他人からの援助」を意味していることは同じですが、「お力添え」は自分の行動に対しては使用できません。
「力添えできずに申し訳ございません」「是非力添えさせていただきます」などは誤用になり、このような使い方をしてしまうと相手に誤解を招く上に意味が通じなくなってしまいます。
「お力添え」とは相手に"少し手を貸してもらう"、"手助けしてもらう"程度のことなので、「尽力」とはニュアンスは似ていても捉え方には違いを感じる言葉になります。
「力添え」の例文
- 貴社のお力添えを頂きたく、お願いをしに参りました。
- お力添えのほど宜しくお願い申し上げます。
- 今回はお力添え賜る事ができ、有り難く思っております。
- この度は、弊社にお力添えいただきありがとうございます。
「尽力」とは誠意ややる気を見せながら自分をアピールできる使い勝手のいい言葉です。
力を尽くす事が出来るような事が出来て幸せだと伝える事が出来るチャンスでもありますし、逆に尽力してもらえるような自分達を印象づけることも出来ます。
そもそも「尽力」してもらえる事もするにも信用・信頼関係がないと出来ない事です。
あまり普段の生活で使わず、ビジネスや目上の人に対してこの言葉を使うのは、この辺の関係性が表向きとして重要だからかもしれません。
言葉を選び上手に使う事で、伝わるイメージというものは全く違うものになります。
何かを頼む場合は尚の事気を付けなければいけないものなので、正しい語彙力をつける事はチャンスを逃さない事にも繋がるのではないでしょうか。