「欺瞞」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
新聞やニュースでは聞いたことはあるものの、あまり普段の生活の中で使った事のない言葉というものが、案外沢山あると思います。
そしてその中の一つに「欺瞞」という言葉があり、いかにもいい印象を持てないこの言葉にはどのような意味があるのでしょうか。
目次
- 「欺瞞」の意味とは?
- 「欺瞞」の類語や似たことわざ
- 「欺瞞」の使い方
- 「欺瞞」を使った例文
- 「欺瞞」の反対語や対照語・対義語
- 「自己欺瞞」をする心理
「欺瞞」の意味とは?
「欺瞞」は「ぎまん」と読み、他人を騙したりあざむく事を言います。
まず「欺」は訓読みで「あざむく」と読み、相手を信頼させるために言葉巧みに嘘をついて騙す事や、言いくるめたり、勘違いさせるという意味があります。
また馬鹿にしたり軽蔑するという意味もあるので、あまりいい意味は持っていません。
そして「瞞」は「だます」と読みますが、常用漢字ではないため通常は使用されませんので単独であれば「騙す」という漢字が使われる事が多いでしょう。
意味は相手を騙す、相手の目をくらますなどというものであり、不明瞭なものという意味合いがあるので誤魔化しいい加減にするという意味合いの漢字になります。
そしてこの(他人を上手に騙し、曖昧にして真実だと思わせる)という同じような意味の漢字二つが合わさった熟語が「欺瞞」になります。
またこの言葉は、あまり軽い嘘や冗談程度というものではなく、後々問題に発展してもおかしくない程の嘘などを指します。
そしてこの「欺瞞」を使った四文字熟語に「自己欺瞞」(じこぎまん)という言葉がありますが、この言葉の意味は無意識の場合であっても意識している場合であっても、自分の本心や良心に関わらずそれに反した言動をし、またそれを正当化する事をいいます。
つまり自分で自分の心をあざむく事、自分の本心とは違う言動をする事なので、この状況が長くなるとメンタルが壊れてしまう事も少なくありません。
「欺瞞」の類語や似たことわざ
- 「詐欺」【さぎ】
- 「欺罔」【ぎぼう】
- 「謀る」【はかる】
「詐欺」【さぎ】
詐欺は人に嘘をつき騙し、欺く事です。
そして不法行為に値するので、騙す事によって利益を得たり不法に何かを得ると刑事事件に問われる事もあり、単純に騙しただけであっても民事事件になってしまう場合もあります。
また最近ではSNS上で自分を偽り加工をしたり、極端に実物とかけ離れた写真などを載せる事を"詐欺"と言われる事もあるようです。
犯罪ではありませんが揶揄される対象にはなるでしょう。
「欺罔」【ぎぼう】
他人を騙して人を陥れる事や、勘違いさせて騙したり、嘘をついて騙す事を言います。
例えば"オレオレ詐偽"などはそのまま欺罔行為になり、相手が事実を知っていれさえすれば騙されなかったという場合に使われる言葉になります。
「謀る」【はかる】
相手を騙し、貶める(おとしめる)事をいいます。
「はかる」には沢山の漢字がありますが、「謀る」は陰謀や謀反といった人を裏切るような意味合いが強い為、そのような行為自体をこの漢字一文字で「謀」(はかりごと)と呼ぶ場合があります。
「欺瞞」の使い方
「欺瞞」という言葉はあまり日常生活では使うことはないと思います。
それはこの言葉が軽い意味ではなく政治や国際問題、事件などの重い意味としての意味合いが深いからです。
ですから普段の生活の中で欺瞞という言葉を使った場合は、「犯罪が絡んでいたり社会的に大変重大で深刻な嘘や詐術を働いた」と思われてしまうので、使用する際はしっかり判断して使わなければいけません。
そしてこの「欺瞞」は名詞としてそのまま使用する場合もあれば、「欺瞞する」と動詞として使用する場合もあります。
また「欺瞞作戦」という軍事用語がありますが、これは戦争や紛争などにおいて偽情報を相手に流したり、カモフラージュ作戦をして自分側の戦術に誘導するような戦法の事をいいます。
自らを有利にするために相手を欺くものですが、命がけで行うようなものなので、やはり軽々しく使う表現ではありません。
「欺瞞」を使った例文
- 「敵国が欺瞞に満ちた発言や宣言ばかりしているので、今後の戦術を変えて闘わなければいけない。」
- 「内部告発者が出たので、会社の今までの全ての欺瞞が表面化し浮き彫りになった。」
- 「あれほどの欺瞞をしてまで、手に入れたものには、そんなに価値があったのだろうか。」
- 「あの政治家はテレビに出てはいい事を言っているが、国民を欺瞞している事はみんな分かっている。」
「欺瞞」の反対語や対照語・対義語
- 「信頼」【しんらい】
- 「正直」【しょうじき】
- 「誠実」【せいじつ】
「信頼」【しんらい】
信頼とは今までの実績や業績、人柄などを"信用"した上で未来に向かってする期待の事です。
文字通り「信じて頼る」のですから、これまでの事がないと、信じられず頼る事はできません。
ですから欺瞞だらけの人は信じられませんし、信頼などできません。
「正直」【しょうじき】
嘘をつかず、心が清らかで、正しい事を貫く姿勢や、現実を受け入れ、素直に表現する事をいいます。
よく毒舌と勘違いする人がいますが、毒舌は相手を傷付けようが、ただ自分の思うまま発言する事をいいますが、正直とは嘘・偽りはないものの相手に伝わりやすくするように工夫したり、気持ちを考え慮って伝える事をいいます。
「誠実」【せいじつ】
真っ直ぐで嘘をつかず、自分の保身のために物事の真実を変えたり、都合よく人や状況を利用したりしない事をいいます。
他人に対し真心で接するので、基本的に真面目な人の事を表します。
「自己欺瞞」をする心理
「自己欺瞞」とは、先述した通りですが、どうしてそんな事をしてしまうのかについてどのような心理が働いているのかをいくつか挙げて見たいと思います。
- 承認欲求が強い
- 責任転嫁
承認欲求が強い
自分にはそんな能力や才能、実力がない事を一番知っているのは自分自身です。
ですが承認欲求が強いと、そんな自分を認めることができず見栄を張ったり、嘘をついて何でもできる完璧な人間としてアピールをするようになってしまいます。
これは周囲に対しても嘘をついていることになりますが、自分自身にも嘘をつき騙してることに他なりません。
またその嘘に気付き騙していることに対し苦しくなったり空虚な感情を抱くようになるほど、更に自己欺瞞は強くなってしまうでしょう。
自分にできない事や、能力が足りない事を認める事は、とにかくプライドが許さず気に食わないので、嘘で上塗りをしていくことを選びますし、だからといってそんな自分に満足しているわけではないので、結果的にはその状況から抜け出せなくなってしまいます。
責任転嫁
例えばダメだとわかっていても、上の指示や会社の方針から自分の本心とは違う事をしてしまい良心の呵責に苛まれた場合、「会社の指示だから」と言い訳をして責任転嫁し、自分を正当化したとします。
これこそ自己欺瞞であり、保身や恐怖心からそうなるのです。
また自分がミスを犯し、いたらなかった事を「周囲が手伝ってくれなかった」「言われた通りしたらこうなった」などと言っては正当化して逃げようとするのも、結局は自分の責任になるのが嫌で他人の責任にすれば罪が軽くなると思っているからです。
ですが心の底ではその言い訳に対しても不満を持っているので、裏腹な状態が続いてしまう事になります。
他人を騙す事は当然いい事ではありません。
ですが人は必ず一度は「嘘」をついたことがあるはずです。
そして嘘を重ねるほど、どれが真実なのかわからなくなっていき、騙す事を続けるとそれに慣れてしまい本来の姿を見失ってしまう事になるでしょう。
自分とはぐれ彷徨う前に、本当に「欺瞞」をする必要があるのか考えなければいけません。