「どんでん返し」の意味とは?類語、四文字熟語や使い方、例文や英語を紹介!
日頃、何気なく使っている言葉。
意味や由来を知ることで、面白いことが分かることがあります。
「どんでん返し」という言葉もそのうちの一つ。
詳しく見ていきましょう。
目次
- 「どんでん返し」の意味とは?
- 「どんでん返し」の類語や四文字熟語
- 「どんでん返し」の使い方
- 「どんでん返し」の反対語や似た対義語
- 「どんでん返し」のことわざを分解して解釈
- 「どんでん返し」の英語
「どんでん返し」の意味とは?
私達が日頃、よく使っている「どんでん返し」という言葉。
この言葉は、結末が、自分が予想もしていなかった状況となることを意味しています。
生きていると、様々な場面を目撃することがあります。
あきらめかけていた夢が叶ったり、子供の頃冴えなかった人が社会で大成功を収めていたり。
自分が全く予想していなかった物事が、人生において起こることはしばしばあります。
こういった予想外の結末を迎えることを「どんでん返し」といいます。
この言葉を使うときは、ドラマや映画などを見た感想として使うことが多いのではないでしょうか。
ドラマや映画の脚本家たちは、ストーリーが単調になるのを嫌うからです。
予想ができないストーリーを用意しており、見ている私たちの心を飽きさせないように工夫しています。
それゆえに、「どんでん返し」のストーリーを持つドラマや映画は多く、ドラマや映画を批評するときに「どんでん返し」のストーリーだったなどと評したりします。
また、勝負事についても同じように多用されています。
例えば、大勢の人から注目されていた選手が負け、名前も知られていない無名の選手が勝ってしまったという場合。
こういった状況も「どんでん返し」で表現される状況です。
周囲は注目されていた選手が勝つものだとばかり予想していたので、それを裏切る結果は、まさに「どんでん返し」といった状況。
このように「どんでん返し」は、自分の予想を良い意味でも悪い意味でも覆してくれる状況を現しています。
- 「どんでん返し」の読み方
「どんでん返し」の読み方
「どんでん返し」は「どんでんがえし」と読みます。
気を付けるべきところは「返し」が「かえし」ではなく「がえし」と読むところ。
よく子供たちの間でしっぺ返し(がえし)などという遊びもありますが、それと同じです。
「がえし」と読みます。
ところでしっぺ返しはしっぺを返すことを言いますが、「どんでん返し」は一体、何を返すのでしょう。
「どんでん」とは何かと疑問に思うはずです。
これについては後で紹介していきます。
「どんでん返し」の類語や四文字熟語
「どんでん返し」の類語や四文字熟語について見ていきましょう。
- 「逆転」【ぎゃくてん】
- 「予想外」【よそうがい】
- 「事実は小説よりも奇なり」【じじつはしょうせつよりもきなり】
「逆転」【ぎゃくてん】
「逆転」とは物事が予想に反すした結果を迎えるという意味です。
予想していたことと逆に転じるという意味なので「どんでん返し」とほぼ同類の言葉だと捉えられます。
使い方は少し違っていて、「どんでん返し」が物事の状況や結果について言うのに対し、「逆転」にはそれにプラスして発想や考え方についても使用したりします。
例えば、「逆転の発想で成功を収めることができたね。」などという使い方です。
さらにつけ加えると、「逆転」は物事の状況だけでなく、物事そのものの状態を現す言葉でもあります。
例えば、「コマを逆転させてみよう。」などがそうです。
それまでの方向とは正反対の方向に回す状態を現しています。
「予想外」【よそうがい】
「予想外」もほぼ「どんでん返し」と意味が同じです。
予想を裏切る結果であるという意味になります。
しかし、「どんでん返し」に比べると、少し予想外の程度が弱い感じがあります。
「どんでん返し」というと、一変に物事の状況が変わるという意味がありますが、「予想外」はそこまでの状況でなくても使っている場合が多いです。
例えば、「この問題が試験に出るとは予想外だった。」などと使いますが、「この問題が試験に出るとはどんでん返しだったね。」などとは使いません。
試験に出題されるだろうと予想していた問題が外れてしまったという、ちょっとした予想を反する状況なら「予想外」、それに生じて自分の身に起きた予想を超える出来事が「どんでん返し」です。
「どんでん返し」は、ちょっとした予想を反する出来事では使わない傾向にあります。
「事実は小説よりも奇なり」【じじつはしょうせつよりもきなり】
「事実」とは人生のことを現しています。
現実に起きる人生は、面白可笑しく構成されているはずの小説よりも奇妙で期待を裏切るものだという意味です。
「どんでん返し」の意味と非常に似ていますが、こちらの言葉は現実のことにしか目をむいていない言葉です。
「どんでん返し」はドラマや映画などの逆転のストーリーについて使ったりしますが、こちらの言葉は現実における状況のみ使用するため使いません。
「自分がまさか合格できるなんて。事実は小説よりも奇なりだね。」などと使います。
映画やドラマを見て「昨日のドラマは、まさに事実は小説よりも奇なりだね。」などとは言いません。
「どんでん返し」の使い方
「どんでん返し」の使い方について見ていきましょう。
- 「どんでん返し」の例文1
- 「どんでん返し」の例文2
「どんでん返し」の例文1
「どんでん返しの映画が満載!予測不可能な映画ばかりを集めました。」
視聴者がストーリーの予測ができないような目が離せなくなる映画ばかりを集めたという例文です。
「どんでん返し」のストーリーとは、考えるだけでワクワクします。
一体、どのようなストーリーなのだろうと興味をそそる文言です。
予想を超えるストーリー展開に夢中になってしまいそうです。
「どんでん返し」の例文2
「確かにその話は美味しいね。でも話に乗ると、とんでもない、どんでん返しが待っているよ。」
一見、美味しい話に思うけれど、その話には裏があって、結局は後で泣く羽目になることを表現しています。
利益を受けようと思っていたのに、逆に損をしてしまう状況を示唆している言葉です。
このような言葉を言われたら、美味しい話に怖くて飛びつけなくなってしまいそうです。
「どんでん返し」の反対語や似た対義語
「どんでん返し」の反対語や似た対義語について見ていきましょう。
- 「予想通り」【よそうどおり】
- 「思い通り」【おもいどおり】
「予想通り」【よそうどおり】
自分が予想していた結果通りに物事が進むという意味です。
自分が予想をしていたことと、全く同じような現象が起こるので、特に驚くことなどありません。
「やっぱりね。」「そうだろうね。」などと思い、気に留めることもないでしょう。
「今日は雨だったので、予想通り、マラソン大会は中止となった。」などと使います。
「思い通り」【おもいどおり】
自分の思うままに物事を動かすことができることを現しています。
例文としては、「あの人は私の思い通りに動いてくれる。」などになります。
人を意のままに操るとは、少し怖い感じのする文章です。
自分に利益が出るように物事がうまく運んでいきそうな様子が伝わってきます。
自分の計画通りに物事が運べそうなときに使う言葉です。
「どんでん返し」のことわざを分解して解釈
「どんでん返し」のことわざを二つに分解して解釈していくと、面白いことが判明します。
- 「どんでん」の解釈
- 「返し」の解釈
「どんでん」の解釈
まずは「どんでん」の解釈から。
「どんでん」とは一体何かと疑問に思っている人は多いでしょう。
「どんでん返し」は「どんでん」を「返す」という意味ですが、「どんでん」という言葉なんて聞いたことがありません。
一体、何を返すというのでしょう。
答えは、歌舞伎のときの太鼓の音だそうです。
「どんでん、どんでん」という太鼓の音を「どんでん」として表現しています。
なぜ、歌舞伎の太鼓の音で表現されているのかというと、歌舞伎では場面が切り替わるときがあるからです。
歌舞伎において場面が切り替わる様子を、それまでの場面に変化が生じる様子と重ねて表現しています。
状況が一変する様子が、まるで歌舞伎の場面が切り替わる様子のようだとして、「どんでん」といっている訳です。
「どんでん」イコール歌舞伎の世界を表現しています。
「返し」の解釈
「返し」とは「返す」という意味ですが、返却するという意味ではありません。
ひっくり返るという意味になります。
ここで何をひっくり返すのかと疑問に思う人も多いでしょう。
何をひっくり返すのかというと、歌舞伎における、場面の切り替えしで用いる仕掛けをひっくり返すという意味です。
歌舞伎で場面の切り替わりのときに使う手法を強盗返し(がんとうがえし)と呼びますが、この「返し」という言葉はこの強盗返しに由来しています。
強盗返しは演劇をスムーズに進行するのになくてはならない手法です。
話が途切れないように、短時間で素早く場面を切り替える仕掛けのことを指しています。
背景が描かれていた絵を垂直に90度後ろに倒し、反対にこれまで底面に置いていた背景の絵を垂直に立てることで、次の場面に素早く移行することができます。
つまり、歌舞伎では大道具をひっくり返すことで場面の切り返しを行っていました。
このような様子を「どんでん返し」の「返し」は表現しています。
「どんでん返し」の英語
「どんでん返し」を英語で現すと、“twist ending”、“twist at the end”、“at the end of the story”というフレーズで表現することができます。
例文としては、“The movie has a twist ending.”や“The movie has a twist at the end.”、“This movie has an interesting twist at the end of the story.”などが挙げられます。
表現方法は違えども、二つとも「この映画の結末にはどんでん返しの展開がある」という意味になります。
「どんでん返し」が、実は歌舞伎からきていることを知って面白く感じた人もいるのではないでしょうか。
次回から、この言葉を使うときに「どんでん、どんでん」と、どこからともなく歌舞伎の大太鼓の音が響いてきそうです。
次々と見事な場面に切り替わる歌舞伎の舞台上の様子が目に浮かびそうです。
由来を知って言葉の意味をしっかりと把握できると、今まで以上に言葉を使うのがスムーズになります。
日常で多用されている言葉なので、ぜひ使ってみましょう。