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「あまねく」の意味とは?類語、英語や災害など徹底解説!

「あまねく」という言葉を知っていますか?

あまり会話の中で口にすることのない(あるいは耳にすることのない)言葉ですが、意味を知り、使えるようになっておくことは決して無駄ではありません。

言葉というのは、わたしたちが何かを伝えるために必要なツールのようなものです。

道具箱の中が、常にツールがそろっている状態であれば、どんなときにも、必要に応じて対処できます。

よく使う道具だけしか入っていない道具箱だと、いざというときに困ってしまうこともあります。

言葉の道具箱のなかにまだ「あまねく」が入っていなかった人は、この機会にぜひ「あまねく」の意味や使い方を知って下さい。

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「あまねく」の意味とは?類語、英語や災害など徹底解説!>


目次

  • 「あまねく」の意味とは?
  • 「あまねく」の類語や言い換え
  • 「あまねく想い」「あまねく世界」「あまねく星々」は誤用
  • 「あまねく」を使った例文や使い方
  • 「あまねく」の語源は古語
  • 「あまねく」を漢字で書くとこんな漢字
  • 「あまねく」に関する英語


「あまねく」の意味とは?

「あまねく」には、「及ばぬところなく」とか、「広い範囲に」「くまなく」といった意味があります。

物事が、全体に、広い範囲で(に)、行き渡っているイメージです。

さらに、それが、すみずみにまで、つぶさに、ことごとく、及んでいる様子を表しています。

言葉の持つ意味や役割を知るには、その言葉が使われている文章を見てみるとよく理解できます。



  • 「あまねく」の例文

「あまねく」の例文

【例文】子供の花火が原因だった。

火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした。

「火が森を焼いた」と書いてあるだけなら、森が火事になったことだけしかわかりません。

そこへ「あまねく」が入ることで、火が森を焼いただけでなく、その規模がどれほどのものだったかが分かります。

森には木が生えていますが、生き残った木がないといっていいくらい、森を構成する木のほとんどが燃えてしまったことがわかります。

「あまねく」は、物事が広く、すみずみにまで、もれなく行き渡る様子をあらわす言葉です。

ことの及ぶ範囲(広さ)だけでなく、その実際のありさま(すみずみにまで)もあらわしています。



「あまねく」の類語や言い換え

「あまねく」には、「満遍・万遍(まんべん)なく」「隈(くま)なく」「至る所に」「余すところ(こと)なく」「漏(も)れなく」「尽・悉(ことごと)く」などの類語があります。

類語とは、「同一」ではなく、「意味の似通った言葉」の意味があります。

つまり、意味としては似通っていても、微妙な違い(使い分け)があることになります。

そこで、今あげた類語を例文とともに、「あまねく」との微妙な違いについて考えてみたいと思います。

  • 「満遍なく」【まんべんなく】
  • 「隈なく」【くまなく】
  • 「至る所」【いたるところ】
  • 「漏れなく」【もれなく】
  • 「悉く」【ことごとく】

「満遍なく」【まんべんなく】

「満遍・万遍(まんべん)なく」は、「ゆきとどかないところなく」「あまねく」「もれなく」といった意味があります。

「捜査に見落としがあったかもしれない、と彼は膨大な資料を机の上に積み上げ、それから満遍なく調べた」

「彼は資料を調べた」だけでは、漠然と、あるいはあたりをつけて調べただけかもしれません。

「満遍なく」という言葉が入っていることによって、かなり徹底的に、すみずみにまで目を通したらしいことがわかります。

「あまねく」も物事のおよぶ程度や有様が、すみずみにまでおよんでいることをあらわす言葉でしたが、「満遍なく」もそのようです。

では、「彼は資料を調べた」の文章に「あまねく」は使えるでしょうか。

「捜査に見落としがあったかもしれない、と彼は膨大な資料を机の上に積み上げ、それからあまねく調べた」

どこか違和感を感じませんか。

同じ「すみずみにまでことが及ぶ様子」をあらわす言葉のはずなのに、この違和感は何でしょうか。

実は、この二つの言葉には微妙な使い分け(区別)があるのです。

それは次のようなイメージで理解できるのではないでしょうか。

「あまねく」の場合、物事の作用が横広がり的に及んで全体に達するイメージで、たとえば真っ白なシーツの上に黒い液体がシミを作りそれがどんどん広がって、ついにはシーツが真っ黒に染まるイメージ。

一方、「万遍なく」の場合は、物事の作用とその結果が、反復(繰り返されること)によるイメージがあります。

「コックは火をつけると、串に刺したその肉を満遍なく転がして焼いた」

火の効果(作用)が肉のすみずみにまで及んだことがわかりますが、それは串を何度も転がすことによってです。

先にあげた、「彼は膨大な資料を机の上に積み上げ、それから満遍なく調べた」の場合も、既に読んだかもしれない同じページをもう一度かそれ以上読み返しているイメージがあります。

「火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした」の例文では、「火」の作用がある一点からはじまって森のすみずみまで及ぶという結果をあらわしていました。

森が火によって焼かれたように、串に刺した肉も火によって余すところなく焼かれたものの、その作用の及び方は違います。

この違いが、二つの言葉の使い分けのポイントとなります。

「隈なく」【くまなく】

「隈なく」には、「すみずみまで残す所なく」「かげりや曇りがなく」といった意味があります。

「どこにしまったのか思い出せないので、とにかくタンスのなかを隈なく捜した」

雲が去り、空が隈なく晴れ渡った。

「隈なく」も、すみずみにまで物事が及んでいる様子をあらわす言葉ですが、では、上記の「隈なく」を使った例文に「あまねく」を入れてみるとどうでしょうか。

「どこにしまったのか思い出せないので、とにかくタンスのなかをあまねく捜した」

「雲が去り、空があまねく晴れ渡った」

どちらも違和感がありますが、それはなぜなのか考えてみましょう。

まず「タンスのなかをあまねく捜した」ですが、捜すという行為がすみずみにまで及んだという意味で「あまねく」が使えそうですが使えません。

なぜなら、「あまねく」の意味には「広く行き渡るさま」といったニュアンスが含まれているからです。

このため、同じ捜す行為でも、これが国中になれば「あまねく」が使えます。

「潜伏先を見つけ出そうとして、国中であまねく犯人捜しが行われた」

捜すという行為をあますところなくしたとしても、それがダッシュボードや部屋の中だった場合、「あまねく」は使えません。

一方、「隈なく」ですが、これは広さにかかわりなく使えます。

先の「潜伏先を見つけ出そうとして、国中であまねく犯人捜しが行われた」「隈なく」を入れてみましょう。

「潜伏先を見つけ出そうとして、国中で隈なく犯人捜しが行われた」

「至る所」【いたるところ】

「至る所」には、「行くところすべて」「どこもかしこも」といった意味があります。



「警察がかけつけてみると、庭の至る所に犯人の足跡があった」

そのポスターは町の至る所に貼ってある。

ある物事が、ある範囲のなかにおいて、どこでも同じような状態であることをあらわしているという点で、「至る所」「あまねく」は似ているといえます。

しかし、やはり、二つの言葉には微妙な違いがあります。

最初の方で「あまねく」で取り上げた例文をここでもう一度出してみたいと思います。

「子供の花火が原因だった。火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした」

同じ状況を、「至る所」にするとどうなるでしょうか。

「子供の花火が原因だった。至る所で火があがり、森を焼いた」

「至る所」には「行くところすべて」という意味があることはすでに述べました。

つまり、「すべて」とは言っても、「行くところ」という条件がついているのです。

「森の至る所を焼いた」といった場合、森の大部分が焼けてしまったものの、火の手を免れた部分もある可能性があります。

「至る所」といった場合、「行くところ」=「目を向けたところ」に見えたシーンをあらわしていることになります。

イメージでいうと、「あまねく」が火の手がある一点から全体へと残すところなく広がっていくのをあらわしているのに対し、「至る所」では全体を構成する構成単位に目を向けて全体を言っている違いがあるのです。

「彼の名はあまねく知れ渡った」:名が全体に知れ渡った様をあらわしている。

「彼の名は至る所に知れ渡った」:行った先々で彼の名前を耳にするイメージ。

どこへ行っても彼の名を聞く、というイメージ。

このため彼の名が知られていない場所もあるかも。

「漏れなく」【もれなく】

「漏れなく」には、「残らず」とか「ことごとく」といった意味があります。

「お買い上げのみなさまにはもれなくコーヒーカップがついてきます」

「漏れなく」は、ある範囲(この場合は商品を買った客)において、例外なく、ことごとく、残すことなく、ある事(この場合はコーヒーカップがついてくること)が行き渡ることをあらわす言葉です。

では、「あまねく」との違いは何でしょうか。

それは、「あまねく」は物事が全体に広がるニュアンスがあるのに対し、「漏れなく」はそれが「例外なく」起きることに重点を置いて言っている点です。

つまり、同じ出来事でも、どういった点を強調したいかで使い分けることができるのです。

「あまねく」の場合:「火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした」

火がある一点から全体へ及ぶイメージ。

「漏れなく」の場合:「その火は、森の木々をもれなく焼いた」

火の手を逃れた木がなかったことを強調するイメージ。

「至る所」の場合:「至る所で火があがり、森を焼いた」

森という全体を構成する部分部分に目を向けているイメージ。

「悉く」【ことごとく】

「尽・悉く」には、「すべて、全部、残らず」といった意味があります。

「ぼくの意見に、みんなはことごとく反対した」

出された問題にはことごとく答えることができた。

ある物事が残らず行われたという意味において「あまねく」の類語ですが、どういった違いがあるのでしょうか。

たとえば、上記の例文に「あまねく」は使えるでしょうか。

何故、使えないかを考えたときに、両者の違いがわかります。

「あまねく」にはドミノ倒しのイメージとでも言ったらいいでしょうか、ある作用が「広がっていく動き」のイメージがあります。

「ことごとく」には、一つ一つに着目して全体を言っているイメージがあります。

「あまねく」の場合:「火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした」

火がある一点から森全体へ及ぶイメージ。

「ことごとく」の場合:「火は森の木々をことごとく焼いた」

森全体を構成している一つ一つの木が焼けたことを強調しているイメージ。

「至る所」も全体を構成する構成単位に目をむけた意味合いがありましたが、「ことごとく」とは違いがあるのでしょうか。

たとえば、上記の「ぼくの意見に、みんなはことごとく反対した」「出された問題にはことごとく答えることができた」「至る所」は使えるでしょうか。

「至る所」には、「行った先(目を向けた先)」という条件がありました。

このため「意見」「問題」について「至る所」を使うと違和感があります。

もしも、使うとすれば次のようになります。

「彼は講演先の至る所で、彼の政策(意見)に対する反対の意思表示に出会った」

「彼は至る所で問題にぶつかったが、乗り越えることができた」

「あまねく想い」「あまねく世界」「あまねく星々」は誤用

「あまねく」を使った言葉として、「あまねく想い」「あまねく世界」「あまねく星々」といったものを見かけることがありますが、これらはどれも用法としては間違いだと言えます。

それはなぜでしょうか。

「あまねく」の品詞は副詞で、形容詞のように修飾する働きがあります。

そして修飾するのは、動詞や形容詞、形容動詞(用言)です。

「あまねく」の次にくる「想い」「世界」「星々」の品詞は名詞(体言)です。

このため、名詞である「想い」「世界」「星々」を副詞である「あまねく」が修飾することはありません。

先にあげた「あまねく」を使った例文をここにもう一度あげて、あまねくが修飾しているものに注目してください。

「火はあまねく行き渡り、森を焼き尽くした」

この文章では、「あまねく」「行き渡る」という動詞を修飾していることになります。

「雲のあいだから太陽が顔を出し、その光があまねく大地を照らした」

この文章では、「あまねく」「照らす」という動詞を修飾しています。



「あまねく」を使った例文や使い方

ある言葉について辞書をひいて意味を知ったとしても、具体的な使い方まではわからないことがあります。

例文はその言葉が使われている現場で、例文にたくさん接することが、その言葉の使われ方を理解する近道になります。

「あまねく」の意味は、「及ばぬところなく」とか、「広い範囲に」「くまなく」といった意味があります。

物事が、全体に、広い範囲で(に)、行き渡っているイメージです。

「あまねく」がどのように使われるのか、いくつかの例文を通してみてみましょう。

  • 「厚い雲が徐々に増えていって、空をあまねく覆った」
  • 「その伝染病は国中にあまねく広がり、人びとを恐怖に陥らせた」
  • 「学んだことを人々に伝えようとして、彼は世界中をあまねく旅して回った」
  • 「月も星も雲に隠れ、夜の闇が海の上をあまねく覆い、船員たちは少しも先が見えなかった」
  • 「かつて大地があまねく氷におおわれていた時代がある」

「あまねく」の語源は古語

「あまねく」は、古語の「あまねし」(形容詞)の連用形から生まれた副詞です。

「あまねし」は、「すみずみまで広く行き渡っている」「残るところがない」といった意味を持ち、「あま」は、数多くを意味する「あまた(数多)」や、「あまる(余る)」「あま」と同じ語源だと考えられています。

古語「あまねし」の類語には、古語の「さまねし(数が追い、度重なるの意)」「まねし(数量や回数が多い、度重なっているの意)」があります。

「あまねく」を漢字で書くとこんな漢字

「あまねく」を漢字で書くと、「遍く」「普く」「洽く」の三つの書き方があります。

一般的に多いのは、「遍く」の表記の仕方になります。

「遍」「普」「洽」のそれぞれの漢字の意味や使い方は以下のようになります。

  • 「遍」 音読み(ヘン)、訓読み(あまね・く)
  • 「普」 音読み(フ) 訓読み(あまね・く)
  • 「洽」 音読み(コウ) 訓読み(あまねし)(うるお・す)

「遍」 音読み(ヘン)、訓読み(あまね・く)

「遍」「満遍・万遍(まんべん)なく」にも使われている漢字で、「あまねく。

あまねし」
「まんべんなく。

広く」
「何もかも」といった意味があります。

「遍」を使った熟語には、「一遍(いっぺん)」「遍歴(へんれき)」「普遍(ふへん)」「遍在(へんざい)」などがあります。

「一遍(いっぺん)」には、「一回、一度」「ひととおり」「それだけで、他を含まないこと」などの意味があります。

「遍歴(へんれき)」には、「諸国をめぐり歩くこと」「いろいろな経験をすること」といった意味があります。

「普遍(ふへん)」には、「広くゆきわたること」「あらゆる場合にあてはまること」「物事すべてに共通すること」の意味があります。

「遍在(へんざい)」には、「広くゆきわたって存在すること」という意味があります。

「普」 音読み(フ) 訓読み(あまね・く)

「普」には、「あまねく。あまねし。広く行きわたる」の意味があり、「普遍(ふへん)」「普及(ふきゅう)」「普通(ふつう)」「普請(ふしん)」といった熟語があります。

「普遍」 上述。

「普及」には、「広く一般にゆきわたること。また、ゆきわたらせること」の意味があります。

「普通」には、「他と変わっていないこと。めずらしくないこと。ごくあたりまえであること。また、そのさま」「一般に。通常。たいてい」といった意味があります。

「普請」には、「(禅宗で、大衆を集めて仏堂などの新築や修繕をするの意から)建築工事。

土木工事」
の意味があります。

「洽」 音読み(コウ) 訓読み(あまねし)(うるお・す)

「洽」には、「うるおす。うるおう」「全体を覆うさま。広く行き渡っているさま」「かなう。合う」「うちとける。和らぐ」といった意味があります。

熟語には、「洽聞(こうぶん)」「洽覧深識(こうらんしんしき)」「博洽(はっこう)」などがあります。

「洽聞」には、「知識や見聞のひろいこと」といった意味があります。

「洽覧深識」には、「知識が深く、見聞が広いこと。

またそれらが豊富であること」
の意味があります。

「博洽」には、「広く行き渡ること」「広く、様々な学問に通じていること」の意味があります。

「あまねく」に関する英語

「あまねく」にあたる英語には、“far and wide=far and near”(あらゆるところに、至る所に)、“everywhere”(どこでも、至る所で)、“generally”(一般に、広く、あまねく)、“all over”(一面に、〜の至る所に、〜のどこでも)があります。

(例文)

  • He traveled far and wide(near). (彼はあらゆるところを旅行した)
  • You can find it everywhere. (あなたは至る所でそれを目にすることができます=それはどこにでもありますよ)
  • His proposal was generally supported. (彼の提案は広く支持された)
  • His name is known all over the country. (彼の名は国中にあまねく知れ渡った)
icon まとめ

言葉というのは道具箱に入った様々な用途に使うための便利なツールのようなものです。

道具箱のなかには頻繁に使われるツールもあれば、出番を待ってじっとしているツールもあります。

「あまねく」という言葉はなかなか使う機会のない言葉ですが、他の言葉同様、適切な時に適切に使われれば、自分が口にする(あるいは記述する)日本語を味わい深いものにしてくれることでしょう。

なかなか使われない言葉のほうが、それが使われるときの状況は印象深いものになったりします。

この記事を読んだ人たちの道具箱のなかの「あまねく」が次に使われるときはどんな時なのか、楽しみです。