「依怙贔屓」の意味・類語【使い方や例文】
「依怙贔屓」という文字を見ても難しくてすぐに読めずに心の中で「え?」と思う人も多いでしょう。
子供の頃から口にしている言葉ですが、漢字にするとこんなに難しいのです。
言葉の意味はあなたが思っていることと果たして合っているのでしょうか。
「依怙贔屓」の読み方や意味などについて紹介します。
目次
- 「依怙贔屓」の意味とは?
- 「依怙贔屓」を分解して解釈(語源)
- 「依怙贔屓」の言葉の使い方
- 「依怙贔屓」を使った例文・短文(解釈)
- 「依怙贔屓」の英語と解釈
- 「依怙贔屓」の類語や類義語
「依怙贔屓」の意味とは?
まずは「依怙贔屓」の読み方と意味を確認しておきましょう。
- 「依怙贔屓」の読み方
「依怙贔屓」の読み方
「依怙贔屓」は「えこひいき」と読みます。
漢字が難しいというよりも普段使わない字なので、ほとんどの場合「えこひいき」と平仮名で表記します。
「依怙贔屓」を分解して解釈(語源)
- 「依怙」【えこ】
- 「贔屓」【ひいき】
「依怙」【えこ】
「依怙」とは「拠り所となるもの」「頼りにするもの」という意味です。
観音菩薩は人が苦しんだり、死に直面したり、災いに遭った時に「依怙となる存在」、つまり「拠り所となる存在」とされていました。
時代が流れるうちに「依怙」は「頼ってくる人に対して手を差し伸べること」になり、そこから転じて「特定の人を優遇する」という意味に使われる様になったのです。
「贔屓」【ひいき】
「贔屓」とは、「自分が気に入った人やものを優遇して、支援すること」です。
「依怙贔屓」の意味の大元を担っている言葉です。
そもそも「贔屓」とは、古代中国の伝説に記載されている竜のことで「贔屓(ひき)」と呼ばれていました。
竜の子供で亀の様な見た目を持ち、非常に怪力だったと言われています。
重い物でも軽々と背負うことから「贔屓」は「大きな力を使うこと」という意味を持つ様になりました。
この「贔屓」が日本に伝わり、時が経つに連れて「人に力を貸す」という意味になり、更には「自分が気に入った人や物を支援する」という意味になったのです。
面白いことに「依怙贔屓」はネガティブな意味ですが、「贔屓」は良い意味にも使えるということです。
「ご贔屓様」と言えばいつも利用してくれるお客のことで、「贔屓にしている店」と言えば「気に入っているお店」という意味になるのです。
「依怙贔屓」の言葉の使い方
「依怙贔屓」は、様々なシーンで良い意味・悪い意味両方に使われます。
- 立場が上の人に対して
- 合否の基準に不満があった時に
- 学校で教師に対して
立場が上の人に対して
人は自分が気に入ったものや人に対して愛想が良かったり、何かと力になってあげたりするのは当然のことです。
但し、企業やサービスなど公の場では誰に対しても公平に接するのが社会常識です。
立場が上の人が自分より下の人の中でも特定の人に目をかけたりすると不公平が生じてしまい、下の人達の中で不満が出る様になります。
この様な時に「依怙贔屓している」と使うのです。
合否の基準に不満があった時に
勝ち負けや合否を付けるものは、審査員の好みで判断することがあります。
自分のお気に入りのチームは減点を少なくしたり、面接で自分が好みの人を採用したりすることも少なくなりありません。
明らかに実力がない人が勝ったり採用されたりした時に「依怙贔屓じゃないの」と使います。
学校で教師に対して
依怙贔屓が最も行われているのは学校と行っても過言ではありません。
学校では教師の好みで生徒を依怙贔屓するケースが多くあります。
クラスで同じことをしても怒られない生徒がいたり、部活で他にもっと上手い子がいるのにいつもレギュラーに選ばれている生徒もいるのです。
この様な場合他の生徒から「あの先生は依怙贔屓をしている」と言われます。
「依怙贔屓」を使った例文・短文(解釈)
「依怙贔屓」を使った例文と、そのシチュエーションについて解釈をします。
- 「依怙贔屓」の例文1
- 「依怙贔屓」の例文2
- 「依怙贔屓」の例文3
「依怙贔屓」の例文1
「顧問の依怙贔屓が酷くて部活を辞めたい」
学校はある意味治外法権で、教師が率先して常識を逸脱した行為をしていることがあります。
部活では気に入らない生徒に対して「特訓」と称してしごいたり、いつまでも試合に出さないなどの不公平な扱いもあるのです。
社会を知らない子供はまだ従順に教師に従っているのですが、段々とそれが苦痛になり部活を辞めてしまうケースもあるのです。
「依怙贔屓」の例文2
「あの子は社長の依怙贔屓で秘書になれたんだよ」
秘書になるにはかなりのスキルが必要です。
しかし社長が自ら目をかけて秘書として採用したり、他部署に所属していたのを引き抜かれたりした場合、余程の能力がないとこう言われても仕方ありません。
「依怙贔屓」の例文3
「お局様が若い男性ばかり依怙贔屓する」
依怙贔屓は肩書がある人ばかりがするものではありません。
職場ではお局様が最も権力を持っていることがあります。
お局様に気に入られると面倒を見て貰ったり、ミスも優しくカバーして貰えます。
若い男性はお局様にとってフレッシュな存在で、素直に慕っていれば得をするでしょう。
「依怙贔屓」の英語と解釈
「依怙贔屓」は英語では(“someone)'s favorite”(誰かのお気に入り)となります。
日本語の様に由来や語源はなく、単なる「お気に入り」という単語ですが、人に対して使うことで特別感が含まれます。
“She is the teacher's favorite. ”(彼女は先生のお気に入り)となります。
動詞として「依怙贔屓をする」と使いたい場合には“play favorites”を使います。
“The teacher plays favorites with her. ”(先生は彼女を依怙贔屓している)となります。
「依怙贔屓」の類語や類義語
「依怙贔屓」の類語として以下の3つが代表的です。
- 「偏愛」【へんあい】
- 「お気に入り」【おきにいり】
- 「不公平」【ふこうへい】
「偏愛」【へんあい】
「偏った愛情」のことで、特定の物や人だけに対して偏った愛情を注ぐことを意味します。
強い執着を持っている意味が強く、「オタク」に対して使われることもあります。
「お気に入り」【おきにいり】
元々は偉い立場の人が好きなものに対して「御」を付けて「お気に入り」と呼んでいたと思われます。
最近では誰でも使える様になり、「ブックマーク」の意味にも使われる様になりました。
こちらは特にネガティブな意味はなく、単に「とても気に入っている」という意味に使います。
「不公平」【ふこうへい】
判断や対応が公平ではなく、偏りがあることを意味します。
好きな人だけを優遇するのではなく、冷遇される人もいる意味合いが強くなります。
「依怙贔屓」は漢字にすると読みにくいので、書く時には平仮名にした方が良いでしょう。
人に対しては悪口になってしまうので、面と向かって使うべきではありません。
自分が人に対して気付かないうちに依怙贔屓していることもありますので、普段の行動を振り返ってみては如何でしょうか。