「陞爵」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「陞爵」とは、「爵位制度において爵位が上がること」を示す言葉です。
「陞爵」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・英語・語源・陞爵と関連する言葉」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「陞爵」の意味とは?
- 「陞爵」の類語や言い換え・似た言葉
- 「陞爵」の言葉の使い方
- 「陞爵」を使った例文
- 「陞爵」の英語
- 「陞爵」に関連する言葉と意味を解釈
「陞爵」の意味とは?
「陞爵」の意味は、「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の五等爵の爵位制度を前提にして、男爵から子爵、子爵から伯爵のようにして「爵位が上がること」です。
「陞爵」というのは現代では聞きなれない言葉であり見慣れない漢字ですが、身分制度によって定められる爵位が上昇することを意味しているのです。
「陞爵」の「陞」という漢字は現代ではほとんど見かけることのない漢字ですが、「陞」という漢字は「昇」とほぼ同じ意味を持っていると考えることができます。
「陞」という漢字の音読みは「ショウ」、訓読みは「陞る(のぼる)・陞す(のぼす)」になり、地位が上昇するという意味合いを持っています。
「陞」の漢字が示す「地位が上昇する」という意味を持つ言葉としては、「陞叙(しょうじょ)・陞進(しょうしん,昇進と同じ)」を上げることができます。
- 「陞爵」の読み方
「陞爵」の読み方
「陞爵」の読み方は、「しょうしゃく」になります。
「陞爵」の類語や言い換え・似た言葉
「陞爵」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「陞爵」の類語・言い換え・似た言葉について分かりやすく解説していきます。
- 「爵位(身分)の上昇」
- 「昇進」【しょうしん】
- 「出世」【しゅっせ】
「爵位(身分)の上昇」
「陞爵」の類語・言い換えとして、「爵位(身分)の上昇」があります。
「陞爵」という言葉には、「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の五等爵の爵位制度において爵位が上昇するという意味合いがあるので、そのまま「爵位の上昇・身分の上昇」という言葉で言い換えることができるのです。
国家や君主が家臣(貴族)・功績ある国民に与えるものが爵位ですが、爵位は「家柄・身分・功績」などの要因によって引き上げられることがあるのです。
爵位が上がることを示す「陞爵」の類語として「爵位(身分)の上昇」を上げることができます。
「昇進」【しょうしん】
「陞爵」の類語・似た言葉として、「地位の昇進」があります。
「陞爵」とは爵位制度(日本の華族制度)を前提として、「爵位が上がること」を意味しています。
そのことから、「陞爵」は「地位の昇進」を意味する言葉であることを窺い知ることができます。
陞爵をすることになれば必然的に地位の昇進を実感することができるため、「陞爵」に似た言葉として「地位の昇進」を上げることができるでしょう。
「陞爵」の「陞」という現代ではほとんど見かけることのない漢字は「昇」とほぼ同じ意味を持っていて、「昇進」を「陞進」と書き換えることもできます。
その書き換えの可能性からも、「陞爵」と「地位の昇進」が類語であることが分かるのです。
「出世」【しゅっせ】
「陞爵」の類語・言い換えとして、「出世」があります。
「陞爵」とは五等爵の爵位制度(身分制度)において爵位が上がることであり、そのことを俗世間的な言葉で表現すれば「出世」として言い換えることができるでしょう。
侯爵から公爵へと陞爵されることも、子爵から伯爵へと陞爵されることも、「爵位制度(貴族制度)における出世・昇進」として解釈することが可能であるからです。
爵位が上がる「陞爵」の本質が何であるかを考えた時、その本質をズバリ簡単な言葉で言い表しているのが「出世」になります。
そのことからも、「陞爵」という言葉は「出世」という言葉で言い換えることができるのです。
「陞爵」の言葉の使い方
「陞爵」の言葉の使い方は、ヨーロッパの爵位制度(日本では明治維新後の華族制度)において「爵位が上がる時」に使われるということになります。
「陞爵」によって爵位が上がる原因は、近代以前のヨーロッパの爵位制度(貴族制度)であれば貴族の戦功・功績・土地相続(領地分け)によって爵位が上昇することが多かったのですが、近代日本の爵位を定める華族制度では陞爵の事例は「家柄・国家に対する功績による爵位上昇」が多くなっています。
現代で「陞爵」という言葉を使用する場面は多くありませんが、ヨーロッパの爵位制度や日本の華族制度(爵位制度)において「爵位が上昇する場合」に「陞爵」という言葉を使用することができるのです。
日本では戦後に日本国憲法の公布によって華族制度が廃止されたため、「叙爵・陞爵の可能性」は無くなっています。
日本国憲法 14条2項で、「華族その他の貴族の制度は、これを認めない」と定められているからです。
「陞爵」を使った例文
「陞爵」を使った例文には、どのようなものがあるのでしょうか?「陞爵」を使った例文について紹介していきます。
- 「陞爵」の例文1
- 「陞爵」の例文2
- 「陞爵」の例文3
「陞爵」の例文1
日本の華族令が規定する爵位制度には「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の五等爵があり、その爵位が上がることを陞爵という言葉で言い表したのである。
「陞爵」の例文2
私の勇敢なご先祖は戦功によって陞爵の栄誉を授けられたが、今の私たちの豊かな生活があるのは、この陞爵によってもたらされた広大な土地のおかげである。
「陞爵」の例文3
旧華族令で定められた陞爵の栄光・名誉などというものにいつまでもこだわっていては、身分制度(華族制度)が廃止された自由競争の現代では生きていくことができない。
「陞爵」の英語
「陞爵」の英語は、“rise of the title”や“promotion of the peerage”になります。
「爵位」を表す英単語としては、“peerage”、“a noble title”、“a title of the peerage”、“title”などがあります。
“He was rised(promoted) from baron to viscount. ”(彼は男爵から子爵へと陞爵した。)
「陞爵」に関連する言葉と意味を解釈
「陞爵」に関連する言葉とその意味を分かりやすく解釈していきます。
- 「叙爵」【じょしゃく】
- 「陞叙」【しょうじょ】
- 「褫爵」【ちしゃく】
「叙爵」【じょしゃく】
「陞爵」に関連する言葉として、「叙爵(じょしゃく)・降爵(こうしゃく)」があります。
「叙爵」という言葉の意味は、国家・政府・君主から爵位を授けられることを意味しています。
「叙爵」とは「爵位を授けること」や「古代の律令制で、六位から従五位下の身分に初めて叙せられて出世すること」を意味しているのです。
「降爵」という言葉は、一般的な言葉に言い換えれば「降格・左遷」といったニュアンスになってきます。
「降爵」とは、「降格されて爵位を引き下げられること」を意味しています。
例えば、侯爵から伯爵への降格、あるいは伯爵から子爵への降格などはすべて「降爵」ということになります。
「陞叙」【しょうじょ】
「陞爵」に関連する言葉として、「陞叙(しょうじょ)」があります。
「陞叙」というのは「陞爵」と非常に良く似た言葉であり、「陞叙」は「官位が上がること」を意味しています。
「陞叙」という言葉の意味は、現在よりも上級の官職・位階を授けられて昇進・出世をすることを意味しているのです。
「陞叙」は現在ではほとんど使われていない言葉ですが、「陞爵」と「陞叙」を合わせて覚えることで語彙を広めていくことができます。
「褫爵」【ちしゃく】
「陞爵」に関連する言葉として、「褫爵(ちしゃく)・奪爵(だっしゃく)」があります。
「褫爵(ちしゃく)」や「奪爵(だっしゃく)」という言葉の意味は、何らかの落ち度や要因によって「爵位を奪い取られること」や「爵位を取り消されること」を意味しています。
日本では1884年に制定された「華族令」によって「公侯伯子男の五等爵」が置かれましたが、「褫爵・奪爵」になる理由・原因も華族令で定められていました。
旧華族令の7条では、「刑事罰(禁固以上)・破産・禁治産者(準禁治産者含む)の場合」や「嫡出子がいない場合」に爵位が褫爵・奪爵になる可能性が規定されていたのです。
「陞爵」という言葉について徹底的に解説しましたが、陞爵には「爵位制度において功績・家柄などの要因によって爵位が上昇すること」の意味があります。
陞爵の類語・言い換え・似た言葉としては「身分の上昇」「地位の昇進」「出世」などがあります。
「陞爵」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。