「礎」の意味とは?類語、反対語や使い方、例文を紹介!
「礎」って、聞いたことはあるけど、実際どういう意味なんだろう?と思っている方、けっこういるのではないでしょうか。
また、意味はわかるけど使い方がわからない、という方にも、例文を使ってご説明します。
では順番に見ていきましょう。
目次
- 「礎」の意味とは?
- 「礎」の類語や言い換え
- 「礎」の使い方
- 「礎」を使った例文
- 「礎」を使ったことばを解釈
- 「礎」の反対語や似た対義語
- 「礎」の英語
「礎」の意味とは?
「礎」とは、「石据え」から来ています。
家屋など建物の柱の下にある土台のことを言います。
この土台石のことを、「根石」や「柱石」と呼ぶこともあります。
また、そこから転じて、物事の土台となるものや、物事にとって重要な人のことも意味しています。
- 「礎」の読み方
「礎」の読み方
「礎」は「いしずえ」と読みます。
「〇〇の礎を築く」というような使い方でよく出てきます。
「礎」という漢字は、「石」+「楚」で成り立っています。
さらに厳密には、「楚」の字も、上下に分解することができますね。
これらは、「崖の下に落ちている石(=石)」+「並び立っている木(=林)と人の胴体と足の象形(=疋)」から、柱の下の足となる石「土台石」を意味する、というので、「礎」という漢字になりました。
「礎」の類語や言い換え
「礎」は、「基礎」ということばなどで聞いたことのある方も多いと思いますが、「礎」と「基礎」との類似点と、異なる点、また、ほかの言い換えのことば、類語を見ていきましょう。
日本語は細かなニュアンスの違いで多くのことばがある言語ですので、似ている点と、異なる点を押さえていきましょう。
- 「基礎」【きそ】
- 「下地」【したじ】
- 「オリジナル」【おりじなる】
「基礎」【きそ】
「基礎」は、その上に建物を建てたり、大掛かりな装置を設置するために据える土台のことや、それを前提として物事が成り立つような、もといのこと、そして建築に先立って地面をならし、固めることを言います。
「礎」とかなり似ているようにも思いますが、どこがちがうのでしょう。
「中国語の基礎を学ぶ」というと、これがなければ英語がわからない、という取っ掛かりの部分のことを言います。
基礎があり、その上で技術的な面を学んでいく、という大前提の部分ですね。
「中文の新聞を読むことが、読解力向上の礎となった」となると、基礎はもうできていて、さらにほかの技術を押しあげるための土台となった、という意味になります。
「下地」【したじ】
「下地」とは、物づくりや仕事をはじめる前にしておく、準備や基礎、素地のことや、本来の性質、素質のことを意味します。
女性なら、化粧のことを連想するかもしれませんが、それも同じことです。
化粧でも、「下地(ベースメイク)」をいかに丁寧に手間をかけるかが重要です。
土台をつくる、という意味ですね。
これは物づくりや仕事にも通底した部分です。
「礎」というととても偉大な物事を思い浮かべますが、すこし日常や仕事に傾いて考えると、「下地」ということばはぴったりなのではないでしょうか。
「オリジナル」【おりじなる】
昨今さまざまな場面で聞かれることばです。
「オリジナル」とは、独創的、独自のものごと、という意味のほかに、加工されたもののもととなるもの、という意味があります。
「オリジナル」がなければ、二次創作はありえません。
そういった意味で、なにかの「礎」となっているもののことを、「オリジナル」ということばで表現することができる場合もあるでしょう。
「礎」の使い方
意味や言い換えがわかったところで、具体的にどう使えばいいのかを見ていきましょう。
「礎」は、「〇〇は礎だ」「〇〇の礎を築いた」などのかたちで使われることが多くあります。
さらに具体的に、以下で例文を確認していきましょう。
「礎」を使った例文
「教育は国の礎だ」
「市の繁栄の礎を築いたのが、曽祖父善兵衛その人だとは知らなかった」
「小野氏が十年余を費やした発明が、事業発展の礎を築いたことは言うまでもない」
以上のように、物事の土台となるものや人のことを表現するときに使うことができます。
「礎」を使ったことばを解釈
では、「礎」を使ったことばを以下に三つ挙げましたので、例文とともに見ていきましょう。
前述の例文と重複する部分もありますが、繰り返し見ていくことで、ことばが腑に落ちていく、ということはよくあります。
例文を見ながら、自分ならどんなふうに使うかな、と考えることで、さらに語彙力が身につくでしょう。
- 「礎を築く」
- 「礎となる」
- 「人生の礎」
「礎を築く」
「クラブでの活動だけでなく、毎日の自主練がプロという夢を実現するための礎を築いたのだと思う」
さきほどまでは、国や事業など、大きな枠組みのなかで使っていた「礎」ですが、個人的なできごとに対しても、「礎」を使うことができる、という例になります。
人が大成するための基礎となったできごとなども、「礎」ということができるでしょう。
「礎となる」
「山田はまだ若いが、社の礎となる人材に育っていくだろう」
これからの社の発展に寄与するような、この人でなければならない仕事をする人に対して使われることばです。
部署ごとのこまかなことというよりも、その仕事を通して社全体を押しあげるような力を持つ、影響力のある人でしょう。
「人生の礎」
「人生の礎は公園でつくられる」
幼少のころ、公園で遊んだ人は多いと思います。
そこでは、砂のざらざらした質感を覚えたり、水に浸かるとどろどろで固まるようになること、ブランコに乗れば、風を感じること、バッタや蝶を捕まえ、家に持って帰って育ててみたが、うまくいかず死んでしまったりすること、命を尊ぶこと。
また、近くに住んでいる同年代の子どもたちとの関わりのなかで、自分の大事にしているものを貸してあげることや、滑り台の順番を待つことなど、さまざまな、人間生活にとって大事なことを学びます。
そういった、人生において大切なものごと、人間の土台となることを、「人生の礎」と言います。
「礎」の反対語や似た対義語
「礎」つまり土台の対義語というと、どういったものが浮かぶでしょう?明るいと暗いや陰陽、ネガティブとポジティブのように、わかりやすいものではないように思われます。
ここでは、「礎」を基礎的なもの、として見た場合、そこから飛躍したもの、進んだものごとのことを対義語として紹介します。
- 「応用」【おうよう】
- 「発展」【はってん】
「応用」【おうよう】
「礎」というのが、なにかこれから起こるものごとに対するインプット的なものだと考えれば、「応用」は、「礎」となるものを踏まえた、演習や実践、つまりアウトプット的なもんを意味することばだと捉えることができます。
「ただ金を塗るだけでなく、欠けた部分を繕うためにする金継ぎの手法は、応用的な技術の賜物だといえる」
このように、もとになる技術やものごとがあり、そこからさらに独創的につくりあげていくなにか、というものは「礎」からは反対のところにあるものだと言うことができるでしょう。
「発展」【はってん】
「発展」は、勢いが伸び広がり、さかんになること、そしてさらに高い段階へと進んでいくことを言います。
これも、「礎」ありきではありますが、そこからかけ離れた場所へ向かっていくことを意味しますので、対義語と言えるでしょう。
「経済が発展する」というのは、「礎」を築く段階から、高みへとのぼっていく段階を言います。
「礎」の英語
「礎」は英語にすると、“base”、“cornerstone”、“foundation”などになるでしょう。
「○○の礎を築く」という場合には、“cornerstone”がよく使われています。
どれも、基部や底、土台といった意味を持つ英語になります。
「ベース」や「ファンデーション」というとやはり、化粧をするときの下地などの意味を思い浮かべますね。
「礎」というとすこしお固い印象があったかと思いますが、物事の土台、というとすこし身近になったのではないでしょうか。
言い換えのきくことばや対義語、英語など、さまざまな視点で見ていくことで、「礎」が多面的に捉えられたならと思います。
こういった地道なリサーチが、語彙力向上の「礎」となることでしょう!