「四面楚歌」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「四面楚歌」という言葉を知っている人はいても、普段の会話で使いこなせる人は少ないでしょう。
「四面楚歌」の意味や語源、使い方を紹介しますので参考にして下さい。
目次
- 「四面楚歌」の意味とは?
- 「四面楚歌」の語源
- 「四面楚歌」の言葉の使い方
- 「四面楚歌」を使った例文・短文(解釈)
- 「四面楚歌」の英語
- 「四面楚歌」の対義語
- 「四面楚歌」の類語
「四面楚歌」の意味とは?
- 「四面楚歌」の読み方
- 「四面楚歌」の意味
「四面楚歌」の読み方
「しめんそか」と読みます。
四字熟語としては漢検で準1級の検定試験に出題される程の難しい言葉です。
「四面楚歌」の意味
「周囲の全てが敵であり、自分の味方が誰もいない状態」を意味します。
ここから転じて「孤立している状態」「周囲の人から好かれていない状態」を表すようになりました。
それぞれの文字がさほど強い意味をもっていないので、そこまで厳しい雰囲気を感じさせない言葉です。
「四面楚歌」の語源
- 中国の故事から1
- 中国の故事から2
中国の故事から1
「四面楚歌」の語源・由来は、中国の歴史上の出来事から来るものです。
紀元前二百年頃の中国では、「楚(そ)」と「漢(かん)」という国との間で戦争が起きていました。
楚の将軍が「項羽(こうう)」、漢の将軍が「劉邦(りゅうほう)」といいました。
漢は段々と楚を追いつめて、楚軍の陣を包囲します。
そして漢軍の兵士たちは劉邦の戦略により、楚の国の歌を歌うのです。
これを聞いた項羽は、味方の兵士たちが漢軍に寝返り逃げ出してしまい、皆漢軍に投降して楚の歌を歌っているのだと思い、ショックを受けるのです。
これにより戦意を失った項羽は大敗、楚は漢により攻め滅ぼされてしまうのです。
「四面=四方」が「楚歌=楚の歌」で囲まれて項羽が絶体絶命の気持ちになったことから「四面楚歌」という言葉が使われる様になりました。
中国の故事から2
上記の項羽と劉邦の関係は同じです。
楚の歌を歌うところも同じですが、元々楚の国の歌は半音が多く、物寂しい曲調が特徴だったと言われています。
その歌を聴くと故郷を思い出して寂しい気持ちになり、楚軍の兵士たちが戦意を失くしてしまったのです。
結果漢軍に敗北してしまい、「四面楚歌」という言葉が残ったと言われています。
「四面楚歌」の言葉の使い方
- 孤立している時に
- 行き詰まってしまった時に
- 人から嫌われてしまった時に
孤立している時に
職場や学校で周囲の人と馴染めずに孤立してしまい、誰にも協力して貰えない時に使います。
ただ人付き合いが悪いのではなく、明らかに他の人から避けられたりなどむしろ敬遠されている意味が強くなります。
行き詰まってしまった時に
ものごとが上手くいかず段々と劣勢になり「もうこれでおしまいか」と観念する時に使います。
全てやり尽くしてしまいもうこれ以上成す術がなく、心の中で失敗を確信している状態です。
人から嫌われてしまった時に
勝手な行動を取ってチームワークを乱したり、人を傷つける様な発言を繰り返していると、敵が増えてしまい皆から嫌われてしまいます。
それでも態度を改めないと気付けば味方をしてくれる人は誰もいなくなってしまいます。
「四面楚歌」を使った例文・短文(解釈)
- 「四面楚歌」の例文1
- 4-2.「四面楚歌」の例文2
- 「四面楚歌」の例文3
「四面楚歌」の例文1
「彼女はドタキャンを繰り返して完全に四面楚歌になってしまった」
女友達との約束をドタキャンしてデートを優先させるのは、友達から見ればあまり良い気持ちはしません。
1回位ならば「仕方ない」と思うのですが、何度もドタキャンを繰り返すと「友達を大切にしない人」と思われてしまいます。
次第に友達が離れて行き孤立してしまうでしょう。
4-2.「四面楚歌」の例文2
「彼は転職先で自慢ばかりして四面楚歌になっているらしい」
転職先でやたらと「前の会社では」と以前勤めていた会社を自慢する人がいます。
本人に自覚はなく話題作りをしようとして結果的に自慢話になってしまっていることが多いのですが、転職先の人達から見たら「じゃあ辞めないでそこにいればいいじゃない」と思うでしょう。
良いイメージを持たれずに職場に馴染めなくなってしまいます。
「四面楚歌」の例文3
「彼は四面楚歌の状態から信頼を勝ち得た」
始めは人と違った言動をすることから疎まれていた人物が、能力を発揮して成果を出すうちに周囲の人から信頼される様になることもあります。
接客サービスなどでよくあるケースで、マニュアル通りの対応をせずに嫌われていますが、顧客からの評価が高くて段々と地位を築いていく人です。
「四面楚歌」の英語
直訳で“be surrounded by enemies on all side. ”(周囲を的に囲まれた)と言います。
そのまま素直に“He is surrounded by enemies on all sides at the workplace. ”(彼は職場で四面楚歌の状態だ)となります。
その他には“be forsaken by everybody”(皆から見捨てられた)という表現もあります。
どちらも受動態で使うのが原則です。
「四面楚歌」の対義語
- 「一致団結」【いっちだんけつ】
- 「呉越同舟」【ごえつどうしゅう】
- 「和衷共済」【わちゅうきゅうさい】
「一致団結」【いっちだんけつ】
大勢の人が一つの目的の為に力を合せて頑張ることで、気持ちの上で強く繋がる意味が強くなります。
一人ではできないことでも、大勢で協力すれば達成ができる時に使います。
「呉越同舟」【ごえつどうしゅう】
こちらも中国の歴史から来ている言葉です。
昔「呉」と「越」は敵国同士で、それぞれの国の兵士が一つの船に乗ることから来ています。
転じて同じ目的の為に利害関係のある者同士が一時的に協力し合うことを意味します。
「和衷共済」【わちゅうきゅうさい】
心を合せて協力してものごとをおこなうことです。
「衷」は「中心」という意味があり、「和衷」は心から和らぐことや、同じ心を持つことをになります。
「四面楚歌」の類語
- 「孤立無援」【こりつむえん】
- 「孤軍奮闘」【こぐんふんとう】
- 「八方塞がり」【はっぽうふさがり】
「孤立無援」【こりつむえん】
どこからも助けが来なくて一人ぼっちになってしる状態です。
戦の時に使われた言葉で、自分達だけで戦わなくてはいけないことから使われる様になりました。
「孤軍奮闘」【こぐんふんとう】
こちらも助けがこない軍勢を意味しますが、絶望的になるのではなく少数でも全力を尽くして健闘することを言います。
少ない人数で頑張って良い成績を残した時などに使われます。
「八方塞がり」【はっぽうふさがり】
「四面楚歌」よりも更に厳しい「八方」に行き場がなくなる状態です。
正にどこにも行くところがなく、万策尽き果てた時に使います。
「四面楚歌」はとても情緒ある言葉です。
孤立してしまっている状態や人に対してあまり深刻な意味ではなく、ドラマチックな表現として使うと良いでしょう。
そして「四面楚歌」にならない様に普段から人間関係をスムーズにする様に心掛けましょう。