「お安い御用」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
誰かに用事を頼まれた時に、自分にとって苦にならず、容易にする事ができ、大した労力が必要で無ければ「お安い御用」だと引き受ける事があります。
普段から何気なく使っている言葉であり、珍しい表現でもないので取り留めなく使用される事が多いのですが、この「お安い御用」とは一体どのような意味があるのでしょうか。
今回はこの言葉について詳しくみていきたいと思います。
目次
- 「お安い御用」の意味とは?
- 「お安い御用」の似た言葉や類語・言い換え
- 「お安い御用」の使い方
- 「お安い御用」を使った例文
- 「お安い御用」を分解して解釈
- 「お安い御用」はビジネスや目上の人の使ってもいい言葉かどうか
「お安い御用」の意味とは?
- 「お安い御用」の読み方や意味
「お安い御用」の読み方や意味
「お安い御用」は【おやすいごよう】と読みます。
意味は、
- 相手の用事や要望、依頼に対し気軽に出来る、簡単にやってみせますという返事や表現のこと
- 相手が頼んできた事に対し、あまり気負わせないようにするために返す言葉
- 自分にとっては苦にならず、大丈夫な範疇であるということを伝える表現
という意味になります。
普段は使い慣れたり、身近な言葉なので、深い意味を考えたり「お安い」と「御用」についての語源を追求する事はないと思いますが、言葉通りに訳すと《頼まれた(御)用事はわたしにはたやすい事です》になります。
「お安い御用」の似た言葉や類語・言い換え
- 「朝飯前」【あさめしまえ】
- 「お手の物」【おてのもの】
- 「お茶の子さいさい」【おちゃのこさいさい】
- 「屁の河童」【へのかっぱ】
「朝飯前」【あさめしまえ】
「朝飯前」とは
- 難しくなく簡単にできること
- そんなにパワーを使わないこと
といった意味があります。
ここで何故、"朝"飯前であり、昼や夜ではないのかと思うのではないでしょうか。
朝というのは基本的に寝起きです。
寝起きからハイテンションで元気な方もいますが、殆どの方は徐々に身体を温めたり、エンジンをかけて起こしていくものだと思います。
そんな朝の食事を摂る前のような、力が沸いていない状態の前でも出来るくらいの用事であるということを表す言葉になります。
- 「そんな用事なら朝飯前だから、やっておきます」
- 「あの頼み事は君にとって朝飯前なくらい簡単なはずだ」
など。
「お手の物」【おてのもの】
「お手の物」とは、自分にとって難しくなく、比較的慣れていて得意なことをいいます。
「お手」とは自分には「得手」である、つまり得意であるという事になります。
- 「その修理であれば、うちの叔父ならお手の物なので頼んでみましょう」
- 「あなたにしたら、これくらいの事お手の物でしょう」
など。
「お茶の子さいさい」【おちゃのこさいさい】
「お茶の子さいさい」とは、簡単で後に引かない、すぐに出来るという"手軽"というニュアンスを持つ言葉になります。
まず「お茶の子さいさい」の「お茶の子」とは、お茶と共に出される茶菓子のことを指します。
お茶の子には簡単に食べられ、お茶の邪魔にならずお腹に溜まらないお菓子を添えるのが一般的なので、そこから簡単にでき、手間を取らない事の例えになりました。
そして「さいさい」ですが、この言葉自体に深い意味はなく、民謡などのお囃子の声のような役割を持つ言葉になります。
この「さいさい」を付けた事で軽快でコミカルなイメージをつける効果があり、「お茶の子さいさい」という言葉自体に軽さを与えているようです。
- 「私の夫からするとお茶の子さいさいのようだけど、結構難しい技術である事は間違いない」
- 「お茶の子さいさいとたかを括ったけれど、微妙に時間がかかるかもしれない」
など。
「屁の河童」【へのかっぱ】
「屁の河童」とは、簡単で楽勝にできること、取るに足らないことという意味になります。
何故それが「屁の河童」なんていう面白いネーミングなのか気になるところではないでしょうか。
まず河童という動物は幻の生き物になります。
その河童というのは水中で暮らす妖怪なので、おならをしても水中であれば臭う事はありません。
つまり気泡は上がっても臭いの威力はない事から、大した事がない事という意味で使われる様になったと言われています。
- 「明日のテストなんて屁の河童だから、今から遊びに行ってくる」
- 「自分は毎日5キロ走ってから1キロ泳いでいるので、今度の大会は屁の河童だと思っている」
など。
「お安い御用」の使い方
自分にとって難しくない事や、ややこしくない事、行動に移しやすい事を引き受ける時に使います。
ただ自分の行動に対して使う表現になるので、他人の行動に対しては使いません。
例えば何かをしてもらう際に「あれを運んで欲しいのだけど、お安い御用でしょ」などといった使い方は相手との関係性が余程親しいか、仲が良くない限りは使いません。
自分の行動においてそれが"安いか・安くはないのか"という事を意味する言葉なので、他人が自分の用事で動いてくれる場合には、使用しない方がいいでしょう。
「お安い御用」を使った例文
- 「お安い御用」の例文1
- 「お安い御用」の例文2
- 「お安い御用」の例文3
- 「お安い御用」の例文4
- 「お安い御用」の例文5
「お安い御用」の例文1
「とても丁重に頼まれたけど、自分にとってはお安い御用な事だから、逆に恐縮してしまう」
「お安い御用」の例文2
「お安い御用とは言ったけど、実際はなかなか難しい事だと今更ながら感じている」
「お安い御用」の例文3
「そんな用事ならお安い御用です。気になさらないで下さい」
「お安い御用」の例文4
「お安い御用と言いたいところですが、僕にはちょっと厳しいかもしれません」
「お安い御用」の例文5
「あなたにとってはお安い御用でも、私には重労働よ」
「お安い御用」を分解して解釈
- 「お安い」
- 「御用」
「お安い」
「お安い」とはその物事をするにあたり"自分にとって"容易であったり、行動や行為に移すにあたり簡単な事をいいます。
また他人から頼まれた事に対し、自分でその事柄が出来るか出来ないかという基準であったり、判断を下すレベルでもあります。
この基準や判断は人によっても違いますし、同じ人物であっても時と場合で「お安く」ならない事も多々あります。
また、単純に金額が「安い」、代金が「安い」などの「安い」に「お」を付けて丁寧語にする場合にも「お安い」と使う事があります。
- 「あら、このリンゴ、とてもお安いのね」
- 「その程度の処理でいいのであればお安い事です」
など。
「御用」
「御用」には沢山の意味があり、その前後の言葉や状況で意味が変わってきます。
- 自分より目上の人や自分が敬っている相手に対する「用事」や「入用」を丁寧に表した言葉
- 政府や皇室・宮中などの公の公務や用務、また宮内庁がよく使うお店〈宮内庁御用達の呉服店〉など
- 犯人が警察や追っ手に捕まること
- 政府や権力、権威のあるものに権力媚びへつらうこと
- 昔の商家などの用心棒やお手伝いさんのこと
をいいます。
「お安い御用」の場合は用事や用務に「御」という丁寧語を付けた言葉になります。
「お安い御用」はビジネスや目上の人の使ってもいい言葉かどうか
「お安い御用」は親しい仲やフラットな関係性の場合に主に使用する言葉になります。
ですから公の場やビジネスのシーン、上司や先輩、目上の相手に対しては「畏まりました」や「承知致しました」の方が適切ですし、問題が起こりにくいといえるでしょう。
ただ、先輩や上司であってもその時の雰囲気や相手との普段の関係性、タイミングなどで個人的に使う分にはいいかもしれません。
もしくは「畏まりました」ほど畏まらず、「お安い御用」ほど砕けない程度の言葉である「お任せ下さい」という表現が一番適切かもしれません。
「お安い御用」ですという表現は便利な表現ですし、使いやすいと思います。
ですが言葉自体が軽いイメージがあるため、あまり公の場には向きません。
プライベートや仲間内、親しい間柄であれば堅苦しくなく、頼む方も「お安い御用」だと返ってきたら気が楽になるのではないでしょうか。