「不本意」を正しく使う為に意味や読み方、使い方などを知っておこう
社会人になって「不本意」という言葉を使う様になった人も多いのではないでしょうか。
不本意の意味はどの様なものか、正しい使い方について知っておきましょう。
目次
- 「不本意」の意味とは?
- 「不本意」の類語や言い換え
- 「不本意」の使い方
- 「不本意」を使った例文
- 「不本意」を使った言葉を解釈
- 「不本意」の対義語や似た対義語
「不本意」の意味とは?
- 「不本意」の読み方
- 「不本意」の意味
- 「不本意」とは自分の理想とは違う状態
- 「不本意」とは自分の気持ちと違っていること
「不本意」の読み方
「不本意」は「ふほんい」と読みます。
「不本意」の意味
不本意は「不+本意」の複合語で、「本意」を打ち消す意味があります。
その時のシチュエーションにより、少しずつ意味が違ってきます。
「不本意」とは自分の理想とは違う状態
人は物事に対して、自分の理想や希望を持って行動しています。
仕事をする時には手順を踏んで予定通りに終わらせるのですが、最終的に締切に間に合わせるだけではなく、「よくやった」「素晴らしい成果だ」と評価されるのが理想です。
ところが途中で思う様にいかずに仕事が遅れてしまったり、内容が不十分で相手が納得してくれずに終わってしまうことがあります。
この様に結果の達成率が低い時に「不本意」という言葉が使われるのです。
普段向上心が強く、常に高い目標を持っている人程使い易い言葉です。
「不本意」とは自分の気持ちと違っていること
こちらは「結果や未来ではなく現在自分が抱えている気持ちと違っていること」という意味です。
特に高みを目指しているのではなく、正直な今の気持ちに反している状態です。
例えばとある提案について議論していて、自分は良い意見だと思っていても、周囲の人達が圧倒的多数で反対をしていると、民主主義ではその提案は否決されるでしょう。
自分は一生懸命賛成の意見を述べても結果が否決では従わざるをえません。
或いは、自分よりも立場が上の人が反対すると、周囲の賛成意見の人達も顔色をうかがって反対の立場に回ることもあります。
この様に、自分が本当に思っていることと全く違う方向にものごとが進んでしまい、従わなければならない時に自分の気持に対して「不本意」という言葉が使われます。
「不本意」の類語や言い換え
- 「やむなく」【やむなく】
- 「仕方なく」【しかたなく】
- 「心ならずも」【こころならずも】
「やむなく」【やむなく】
やむを得ずという意味で、他に選択の余地がなく他人に従ったり、妥協して行動することです。
「仕方なく」【しかたなく】
最も標準的な言い方で、避けられない事態が起こり、それ以外に行動しようがない状態を表します。
「心ならずも」【こころならずも】
自分の心の中では違うことを考えているけれども、今の段階ではそうせざる負えない状態です。
「不本意」の使い方
「不本意」は、否定語である「不」が付くのでネガティブな意味になります。
自分にとって納得がいかないことでも、他の人にとっては「本意」であることも多く、あまり軽々しく口にすると相手の意見を否定していることになり、失礼に当たるので注意が必要です。
「不本意」を使う時には、そのものごとに全く関わりのない人達に状況の説明と自分の感想を述べる時に使いましょう。
どうしても不本意であることを当事者に伝えたい場合には「何故そう思うのか」「代替え案はあるのか」「自分で行動して責任が取れるのか」をしっかりと整理してからにするべきです。
「不本意」を使った例文
- ビジネスでの会議や交渉の場で
- 自分がやりたかったことに関して
- 最初から決まっていたことに対して
- 相手に対する思いやりや社交辞令として
- 強い感情を抑える時
ビジネスでの会議や交渉の場で
「不本意だが彼の意見に賛成票を投じた」
自分がやりたかったことに関して
「検定試験は不本意な結果だった」
最初から決まっていたことに対して
「イベントは不本意ながら中止になった」
相手に対する思いやりや社交辞令として
「誠に不本意ですが、今回は採用を見合わせることとさせて頂きます」
強い感情を抑える時
「もしこのまま連絡を頂けない場合には、不本意ではございますが法的手段に訴えざるをえません」
「不本意」を使った言葉を解釈
- 「不本意だが」に結果が続く場合
- 「不本意な結果」と断定する場合
- 「不本意ながら」に結果が続く場合
- 「不本意ですが」の後に否定的な結果を知らせる場合
- 「不本意ですが」の後に相手に対して行動を起こす場合
「不本意だが」に結果が続く場合
「不本意だが」に結果が続く場合には、「自分が思っていることとは違うが、現時点ではその結果に従う」という意味に解釈します。
自分がこうしたいと思う理想に対するものではなく、現在の自分の本音と違うという意味であり、何が正しくて何が間違っている、という意味ではありません。
従って、その結果の良し悪しに繋がるものではないのです。
「不本意な結果」と断定する場合
「不本意な結果」という言葉はひとまとめで使われることが多くなります。
これは「自分の理想通りの結果にならなかった」という解釈になります。
何かを目指して一生懸命努力していた人が、その結果に満足できない場合に使われます。
日頃からその目標に向けて頑張っていて、自分でもかなり勝算があったのに、思いがけず悪い結果になってしまうこともあるのです。
「不本意ながら」に結果が続く場合
「不本意ながら」の後に結果が続く場合には「自分の理想や希望とは違うけれどもそうせざる負えない」という解釈になります。
「ながら」という言葉が付くことで、不本意ではあるけれども取り立てて反論することはなく、自分の中で妥協できる余裕がある時に使われます。
「相手の言うことも一理ある」「その状態ではこの結果になっても仕方ない」と思える状態です。
「不本意ですが」の後に否定的な結果を知らせる場合
「不本意ですが」の後に「不採用となります」「今回は見送ります」という、相手に対して否定的な結果を知らせる場合、本当に不本意ではなく単なる社交辞令となります。
一方的に相手を振ることに対して罪悪感がある為に、敢えて「不本意ですが」を付けているのです。
「不本意ですが」の後に相手に対して行動を起こす場合
「不本意ですが」の後に相手に対する行動として「○○させて頂きます」「○○するつもりです」という言葉が続く場合、相手に対して不利になることを宣言していると解釈できます。
自分にとって相手の態度ややり方が納得できず、それをやめさせたり自分の希望通りにする手段として行動を起こす時に、相手に対して「不本意ですが」と言うのです。
これは「本来やりたくないのだけれども、そちらがその様なことをするのでしたら、こちらも黙っていませんよ」という、半ば相手に対して脅しをかけている様なものです。
「不本意」の対義語や似た対義語
- 「本意」【ほんい】
- 「本心」【ほんしん】
- 「真意」【しんい】
- 「胸中」【きゅうちゅう】
- 「内心」【ないしん】
「本意」【ほんい】
「不本意」の対義語として最も適切なのは「本意」です。
本意とは、その人の本音や本当の気持ちと言う意味で、「不本意」の真逆に当たるものです。
やや固い言葉ですので、会話の中で使うよりも文章で使われます。
「本心」【ほんしん】
「本心」は、本当の心中という意味があります。
こちらはどちらかというと「本意」の類義語ではあり、その人の意向や意見というよりは、考える行為そのものを表します。
「真意」【しんい】
こちらは心の中で自分がこうしたいと思う気持ちです。
本意と違うのは、人からはかなり分りにくい様にカモフラージュしているという点です。
ずっと考え方が同じで相性が良いと思っていた人が「真意」は違っていた、という様な時に使われます。
本音という意味に近く「不本意」に似た対義語として使われます。
「胸中」【きゅうちゅう】
「本意」の様に、自分から「こうしたい」という気持ではなく、単に自分の中で感じている状態や思っている状態を表します。
辛い時や悲しい時に「胸中お察しします」という様に、その人の感情面を表すことが多くなります。
「内心」【ないしん】
こちらも心の中で思っていることですが、実際の行動とは違うことが多くなります。
何か事情や目的があって、自分の希望や理想を抑えて行動している状態を意味します。
不本意という言葉は、自分の心の中の不平や不満を表す言葉です。
気心が知れた人には気軽に言えるのですが、そうではない人に対して使う場合は、相手に対して非難をする意味にとられる場合もあります。
使い方に注意して、人間関係をスムーズに保つ様にしましょう。