「艱難辛苦」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
こむずかしいように聞こえる「艱難辛苦」ですが、実際にはどんなことばなのでしょう。
ここでは類語や例文などとともに紹介致します。
目次
- 「艱難辛苦」の意味とは?
- 「艱難辛苦」の類語や言い換え
- 「艱難辛苦」の使い方
- 「艱難辛苦」を使った例文
- 「艱難辛苦」を使ったことばの解説
- 「艱難辛苦」の対義語
「艱難辛苦」の意味とは?
艱難辛苦と言うと、なにやらむずかしそうですね。
はじめから知らない漢字が出てくるし...。
そんなときはまず、分解して見ていきましょう。
艱難とは、困難に出会い、苦しみ悩むさまを言います。
辛苦とは、つらいめに遭って苦しむさまを示します。
つまり似た熟語を重ねることで意味を強調してできた四字熟語になります。
艱難、というとわかりにくいですが、辛苦、ですと見たままに、なにやら苦しそうだなとわかりますね。
まとめると、「艱難辛苦」とは、困難に出会って、つらく苦しい思いをするようすを言う四字熟語になります。
- 「艱難辛苦」の読み方
「艱難辛苦」の読み方
艱難辛苦は、「かんなんしんく」と読みます。
「艱」が一見してわかりにくいですが、この字自体は、「艱い(かたい)」や「艱む(なやむ)」という読みを持っています。
パソコンなどの変換でも出てこない、難読漢字になりますので、よく使われる用法としての「艱難辛苦」という四字熟語で覚えられるといいでしょう。
「艱難辛苦」の類語や言い換え
覚えてみれば使いやすいのですが、はじめから「艱難辛苦」を使いこなすのはむずかしそうだ、というかたは、よく似た意味を持つことばをいくつか知っておくと便利でしょう。
同じような意味を持つ類語を知ることにより、もとのことばの理解も深まりますよ。
以下に三つ例を挙げて見ていきます。
- 「四苦八苦」【しくはっく】
- 「臥薪嘗胆」【がしんしょうたん】
- 「辛酸を嘗める」【しんさんをなめる】
「四苦八苦」【しくはっく】
これは知っている人が多いと思います。
もともとは仏教用語のなかで、あらゆる人間が避けることのできない八つの苦しみの総称としての「四苦八苦」が使われています。
ここでは一般に広く知られている意味でいいでしょう。
ただ、広く知られているがゆえに、「ジャムの瓶を開けるのに四苦八苦したよ」などとかなりライトな場面にも用いられているかもしれませんね。
艱難辛苦は、一般的でないぶん、人生の岐路における問題など、もうすこし重苦しくシビアな苦しみに使われることが多いと言えます。
「臥薪嘗胆」【がしんしょうたん】
書けないけど読める、という方も多いのではないでしょうか。
聞いたことはあるが意味までは……という方も、この機会にあわせて覚えておくといいですよ。
臥薪嘗胆は、古代中国における春秋時代に、父親の仇討ちを志し、長期間に渡り苦心、苦労する、という故事から成った熟語です。
現在では仇討ちの要素はなくなりました。
転じて、将来の成功のため、長い期間、悩み苦しむことを言います。
艱難辛苦も、ただただ辛いというどん詰まりの状態でなく、先に希望のある状態で使うとよいでしょう。
後述しますが、「艱難辛苦を乗り越え」、などの形で使うことができます。
「辛酸を嘗める」【しんさんをなめる】
これは、苦しく辛い目に遭い、ひどく苦労することを言います。
よく見られる「なめる」は「舐める」と書きます。
これはおわかりの通り、舌でぺろりと舐める、というような意味合いになります。
「嘗める」というあまり見ることのない字になりますとこれが、経験する、やよく味わうといった意味を含みます。
辛いものや酸っぱいものをよく味わう、となると、とてもいい経験とは言えませんね。
ですが、こちらもさきほどの臥薪嘗胆と同様に、その経験をバネに、未来に活かすという意味を込めて使うことができます。
例を示しますと、「社では数々の辛酸を嘗めてきたが、その甲斐あって独立に至った」というような形になります。
「艱難辛苦」の使い方
類語により理解が深まったところで、「艱難辛苦」の使い方を見ていきましょう。
上述のとおり、「艱難」「辛苦」とそれぞれでも辛いできごとがあった、ということは示すことができます。
「艱難辛苦」というときには、人生における大きな壁にぶち当たった、というようなできごとについて語るときに使うと、相手にことの重大さが伝わりやすいでしょう。
四苦八苦のように一般化されきっていないぶん、ライトなできごとに艱難辛苦を使うと、すこし大げさに取られかねないかもしれません。
「艱難辛苦」を使った例文
結婚披露宴の締めを飾る新郎のスピーチで、「艱難辛苦は覚悟しております」という定型文があります。
若い二人の門出にふさわしくないようにも思いますが、結婚とはある種、腹をくくることでもあります。
二人で力を合わせ、家庭を築いていく。
そういった決意のことばには、重みのある「艱難辛苦」を用いると、この二人には本当に覚悟があるのだな、と両親はじめ、来てくださった方々に伝えることができるでしょう。
多用しすぎず、ここぞ、というときに使う「艱難辛苦」には、とても価値があります。
「艱難辛苦」を使ったことばの解説
さて、ほかにも艱難辛苦を使ったことばがありますので、ここでは二つ、ご紹介します。
フレーズごと意味を覚えておけば、艱難辛苦とはどういうことばだっけ?と思ったときにも、関連付けて思いだすことができますね。
- 「艱難辛苦汝を玉にす」
- 「艱難辛苦を乗り越えて」
「艱難辛苦汝を玉にす」
人は多くの艱難(悩みや困難なこと、苦しみ)を乗り越えてこそ、立派になるのだ、という意味のことばです。
このフレーズ、中国由来の故事成語だと思われがちなのですが、フランスが起源と言われています。
英語では、“Adversity makes a man.”となり、それを和訳したものが、「艱難辛苦汝を玉にす」となるようです。
ずいぶんこむずかしくなりましたが、「逆境が人をつくる」という訳し方もできるようです。
人生をいかに生きるか、深みのあるフレーズです。
このことばを知っておけば、苦しい状況に置かれたとき、踏ん張る力が湧いてきそうですね。
「艱難辛苦を乗り越えて」
現在のことではなく、過去に辛い出来事があった場合に使います。
苦しい出来事があったからこその今、という言い方になります。
具体的には、「艱難辛苦を乗り越え、ついにわたしは自転車での世界一周旅を成し遂げた」というような使い方になります。
苦しみを乗り越えたという、出来事に対する感慨の深さが推しはかれるフレーズになります。
「艱難辛苦」の対義語
苦しい出来事がまったくない、煩わされることがない、というようなことが、艱難辛苦の対義語に当たります。
人生にはバイオリズムのように、うまくいく時期と壁にぶち当たる時期とがあることでしょう。
ここでは、1.なんの問題もなくぐんぐん突き進める時期や、2.どちらもあらかた経験しつくし、辛酸を嘗めつくし、酸いも甘いも大方知っているうえで、安住している時期のことを、艱難辛苦の対極にあると考えることにしましょう。
- 「艱難辛苦」の対義語の例
「艱難辛苦」の対義語の例
四字熟語でいえば、まず「順風満帆」がそれに当たるでしょう。
物事がすべて順調に、思い通りに進んでいるさまを言います。
また、「悠々自適」も対義語になりえるでしょう。
こちらは俗事にとらわれず、心静かに、思うままに生活を送ることを言います。
どちらも周囲のことに影響されず、また立ち向かうべき困難が現れていない、もしくはそれらを気に留めずいること、という意味で、艱難辛苦とは反対の極にあることばと言えるでしょう。
おさらいをすると、「艱難辛苦」とは、困難に出会い、つらく苦しい思いをすることです。
ことわざの由来からして、人生における逆境、ということもできますね。
「艱難辛苦」を乗り越えた先に、素晴らしい未来があるのだと信じることができれば、逆境のなかでも腐らず、しっかりと歩みを進めていくことができそうですね!