「為せば成る」の意味とは?読み方、類語や使い方、例文を紹介!
「為せば成る」という言葉を聞いた事がある方は沢山いらっしゃると思います。
ですが何となく想像がついても、正確な意味は何か、どのような事を表すのかを説明する事は難しいかもしれません。
そこで今回は「為せば成る」の意味や成り立ち、また使い方や類語についても合わせてご紹介したいと思います。
目次
- 「為せば成る」の意味とは?
- 「為せば成る」の類語や似たことわざ
- 「為せば成る」の使い方
- 「為せば成る」を使った例文
- 「為せば成る」から学びたい事
「為せば成る」の意味とは?
まず「為せば成る」は「なせばなる」と読みます。
この言葉には後に続く言葉があり「為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」と続きます。
これは『何事も強い意志を持って行えば必ず成就する、やってみなければ成就なんてしない。
成就するのは他人の為ではなく、自分の為であり、出来ないのは他人のせいではなく努力が足りないからだ』という意味になります。
つまり何事も強い意志を持ってやろうと思えば何だってできる、やりもしないのに成功なんてしないし、全ては自分の為だという意味です。
これは、上杉鷹山(うえすぎ ようざん1751-1822)という莫大な財政赤字を立て直したことで有名な米沢藩主の言葉であり、元アメリカ大統領や各方面のトップ、経営者などが座右の銘にしたり最も尊敬する日本人として挙げています。
人間というものは強い気持ちを持ち続ける事が難しい生き物です。
楽な方に流されたり、何か困難にぶつかると諦めてしまったり挫折してしまうものです。
そんな人間の習性も含め「何だってやってみないと分からない」という気持ちも込められているので心に響くのではないでしょうか。
またこの言葉はもともと武田信玄の「為せば成る、為さねば成らぬ成る業を、成らぬと捨つる人の儚さ」という言葉をアレンジしたものと言われていて、意味は「何事も強い意志を持って行えば必ず成就するのに、やる前からできないと諦めてしまうのが人の愚かさだ」となります。
同じような事を言ってはいますが、上杉鷹山の方は教訓めいた強いイメージがあり、武田信玄は気持ちを読んだ歌のような柔らかいイメージではないでしょうか。
「為せば成る」の類語や似たことわざ
- 「石に立つ矢」【いしにたつや】
- 「志ある者は事竟に成る」【こころざしあるものはことついになる】
- 「思う念力岩をも通す」【おもうねんりきいわをもとおす】
- 「蟻の思いも天に届く」【ありのおもいもてんにとどく】
「石に立つ矢」【いしにたつや】
どんな事でも必死で一生懸命やれば必ず成就するというたとえになります。
昔、漢の李広という勇将が狩猟中に草むらの中の虎に弓を射たら、矢が突き刺さったのは実は石だったという事からできた故事成語になります。
そしてその石には矢がめり込んでいたと言われています。
ですがもう一度矢を射っても刺さらなかったとのこと。
つまり強い思いがあれば不可能だと思われる事でも、可能になるという意味になります。
また中国の楚の熊渠子にも同様の逸話があります。
「志ある者は事竟に成る」【こころざしあるものはことついになる】
信念や強い思いを持ってやり抜こうとしている人は、どんなに障害や困難があっても最後にはやり遂げるという意味になります。
「思う念力岩をも通す」【おもうねんりきいわをもとおす】
どんなことでも一心に精一杯思いを込めてやれば、岩のような硬いものですら念が通じるという事から、物事に全力で一生懸命気持ちを込めれば、どんな困難があっても伝わるという意味になります。
岩のように硬く、大きな障害や困難があっても、必ずその壁を乗り越え実現させることができるということわざです。
「念力岩をも通す」「思う念力岩をも徹す」とも言われます。
「蟻の思いも天に届く」【ありのおもいもてんにとどく】
小さな体の蟻でも、一生懸命努力をすれば、願いが届くということから、非力で立場がないものや、力の弱いものでも懸命に諦めず努力をすれば必ず思いが届くというたとえになります。
自分の存在や立場を否定せずコツコツ腐らずやっていれば神様が必ず見てくれているという意味になります。
「為せば成る」の使い方
ずっと目標にしている事や夢がある時に使います。
また弱気になっていたり、そんな人か近くにいる時には励ましの言葉になるでしょう。
夢や目標を叶える事は簡単ではありません。
ですが途中でやめてしまったり、諦めてしまうと元も子もないので、そんな時に「為せば成る」と言い聞かせたり、他人に言葉を送ったりします。
「為せば成る」を使った例文
- 「為せば成る」の例文1
- 「為せば成る」の例文2
- 「為せば成る」の例文3
「為せば成る」の例文1
「諦めてしまうと今までの事が無駄になってしまう。為せば成ると信じて続けて欲しい」
他人にかける言葉になりますが、自分の気持ちも込めて言う時の表現になります。
「為せば成る」の例文2
「もうすぐ試験で今までやってきた事の結果が出る。為せば成るという言葉通り、あと少し駆けぬけよう」
自分に対する言葉になりますが、一番大切な事だと思います。
強い思いがなければやってこれなかった筈ですし、これからもそうだと思います。
「為せば成る」の例文3
「あの選手はプレッシャーに負けず優勝した。何事も為せば成る、為さねば成らぬ何事もだと心から思う」
テレビなどを観ていると感動したり感銘を受ける事も少なくありません。
そこから何かを学んだり、自分と重ねる事で勇気ややる気がもらえたりモチベーションが上がるのではないでしょうか。
「為せば成る」から学びたい事
- チャレンジする事の大切さ
- 自分のためにするという事
- 現状維持も大変
- 満足する事と感謝する事
チャレンジする事の大切さ
何事においても、チャレンジをする時は勇気が要ります。
初めて何かをする時は勿論、経験があっても、むしろ経験値がある方が腰が重くなってしまうかもしれません。
また人間は年齢を重ねるにつれあまりチャレンジをしなくなり、なるべく現状維持や安定を好むようになります。
ですが今のこの現状維持も何かを為さねば成り立たないのです。
そもそも今の状態になるまでには、何度も何かに挑戦してきたはずです。
何かに対し為すように努力をしてきたから成せた訳で、私達は常に大小問わずチャレンジしてきているわけです。
また為せば成るの後の「為さねば成らぬ何事も」という言葉は当たり前の事をいっているのですが、なかなかできる事ではありません。
やってみないと成功する訳がないですし、やらなければ始りません。
単純でシンプルな事が一番難しく大切な事なのではないでしょうか。
自分のためにするという事
何かにチャレンジをすれば失敗する事もあるでしょう。
思った通りにいかない事も多々ありますし、いく方が奇跡なのかもしれません。
正直なところ、どれ程頑張っても努力してもなりたかった、目指していたものになれる訳ではありません。
「夢は叶う」と言いますが現実はそう甘くはありません。
叶う人は一握りであり、その人達ですら完璧だとは思っていないでしょう。
ですがその夢の途中は"為さねば成り"ません。
つまり何かやらない事にはその夢や目標を夢見る事すら出来ないのです。
そして続きの最後の言葉である「成らぬは人の為さぬなりけり」が表すように、その夢や目標は誰のものでも為でもなく、自分自身の為であるという事です。
努力をしても叶わない事もあるのは事実ですが、努力が足らない、やり方が間違っていると当然実現などしませんし、おそらく叶える人は努力が足りているとは思わないのでしょう。
成せないのは自分の力不足であり、為すのは自分の為なのです。
思った形にならなくても、駆け抜け全力で打ち込み魂を込めた経験は決して無駄にはならずその時点で、何らかの形で成しているのではないでしょうか。
現状維持も大変
強い意志があれば乗り越え、思いが届いたり必ず成就するのは、現状維持の場合も同じです。
先程も述べましたが、今の状態を保つ事も実は大変な事でありフワフワしていては保てません。
生活水準を維持する事も、健康管理をする事も、メンタルを一定に保つ事も実は容易なことでも当然な事でもないのです。
継続をするという事は新しく何かを始める事と同じくらいにエネルギーが必要ですし責任も重くなります。
また自分に変化はなくても周囲はどんどん変わりますし、同じ瞬間などありません。
為せば成るの基本は強い信念や意志なので、自分にしっかりとした志があれば困難や障害があっても乗り越えられますし、更に今を大切にできるのではないでしょうか。
満足する事と感謝する事
挑戦をしなければ何も生まれませんし、現状のままです。
ですがだからといってその現状が続くとは限りません。
今のままで満足をする事は悪い事ではありませんし、大切な事です。
人それぞれ考え方や状況があるので、何かにチャレンジをしたりトライする事だけが全てではありせん。
ですが「これでいい」と思うのと「このままで十分」と思う事は全く意味が違います。
満足にも向上心があるものとないものがあり、ないと前者のように「これでいい」となってしまうのです。
為せば成るようになるにはどんな形であれ小さくても向上心が必要であり、満足の中に必ず感謝を感じていなくては向上したり維持ができないのではないでしょうか。
「為せば成る為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉は努力が大切というよりも、とにかく行動力を大切にしましょうという意味合いの方が強いと思われます。
努力をするにも、まず動かない事には話になりません。
何もしないと何も起こらない、傷付きもしない、何かが減る訳でも変わる訳でもないと考えがちですがそれは間違いで、何もしないとは自分が変わらないだけで状況は変わっているのです。
また何事も見極めは大切であり、闇雲に何かをし続けたり自己満足でやり続ける事は「為せば成る」ではありません。
何度も言いますが「為せば成る」が言いたい事や大切な事は、強い意志やブレない志を持つ事です。
その気持ちを持ち続けていれば、自分の力不足や限界にも気付けますし、スパッと身を引く事ができます。
これは単純に諦めているのではありませんし、むしろ実のある未来がある身の引き方になるのではないでしょうか。
「為せば成る」は行動してみて何かを得て自分を高める事です。
誰のためでもなく何もせず残らなかったのは、自分が何もしなかったからです。
潔く諦めても、何かを見つけ、未来が手に入ったのであれば成していると言えるのではないでしょうか。
また自分の人生を大切に丁寧に生き抜き、責任や覚悟を持つことなのではないでしょうか。