「豚もおだてりゃ木に登る」の意味とは?読み方、反対語や使い方、例文や例えを紹介!
「豚もおだてりゃ木に登る」という表現を聞いたことがあるでしょうか。
小さい時などに言われたことがある、という人もいるかもしれませんね。
ここでは「豚もおだてりゃ木に登る」という表現について解説します。
目次
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の意味とは?
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の類義語
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の状態
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の例文
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の対義語
「豚もおだてりゃ木に登る」の意味とは?
- 「豚もおだてりゃ木に登る(ぶたもおだてりゃきにのぼる)」の意味
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の由来
- 「豚もおだてりゃ木に登る」の教訓
「豚もおだてりゃ木に登る(ぶたもおだてりゃきにのぼる)」の意味
「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉は、「能力の低いものであったとしてもおだてられて気分がよくなれば能力以上の働きができる」という意味もありますし、「煽られて調子に乗っている人」という意味も持っています。
よく考えてみてください。
豚は木に登ることができないですよね。
しかしそんな豚であったとしてもおだててその気にさせることができれば、木に登ることだってできるという意味です。
「豚もおだてりゃ木に登る」の由来
この「豚もおだてりゃ木に登る」という表現はごく1部の地域で諺として使われていた表現です。
しかし大昔からあったというわけでもなく、昭和20年代ごろに作られたと言われています。
それが全国的に広がりようになり、今や誰もが知るようなことわざになりました。
「豚もおだてりゃ木に登る」の教訓
「もともと豚というものは不浄動物であり、救うことさえできないような愚かな者」という意味で使われることが多く、特に「聖書においては軽蔑されたもの」として描かれています。
つまり、能力が低い物を豚に例えていると言えるでしょう。
また、「豚もおだてりゃ木に登る」というのは上の立場に立つ者の教訓として使われることもあります。
部下等を褒めて機嫌をとっておけば、彼らは能力以上の働きをすることができる、ということを教えているのです。
言い換えれば「ご機嫌取りをして気分を良くしておかないと能力以上の働きはしない」という意味でもあります。
「豚もおだてりゃ木に登る」の類義語
- 「よいしょする」
- 「けしかける」
- 「煽る」
「よいしょする」
「よいしょする」というのは人をしきりにほめて良い気分にさせることを指します。
これ以外にも「人に気に入られるために卑屈な行動をとることやすぐに嘘だとバレてしまうような甘い言葉を吐くこと」という意味もありますが最初の人もしきりにほめて良い気分にさせるということが「豚もおだてりゃ木に登る」と同じ意味になると言えるでしょう。
人をおだてる時に使う表現でもあり、例えば顧客や上司をよいしょする、といった形で使われます。
よいしょという名詞がごまをすったりおべっかを使ったりすることになります。
「けしかける」
「けしかける」というのは犬などに勢いをつけ、相手に立ち向かわせるという意味であり、転じてそそのかして自分の思う通りに行動させるという意味を持っています。
おだてたりそそのかしたりして良い結果になるように仕向けるという意味を持ち、自分の思い通りの行動をさせたり、自分にとって都合の良い結果を出させたりすることを指します。
一般的には生き物に対して使われる言葉であり、例えば人をけしかける、動物をけしかける、という言い方をします。
「煽る」
「煽る」というのはおだてたりそそのかしたりして、あるいは必要に応じて何らかの手段を使い、ある状態が起こるように仕向けたり勢いを強めたりする言葉です。
ひらがなで描かれる場合もあります。
この「煽る」という表現の場合は目的語が動物に限っておらず、例えば世論や人気、景気など何かしらの状態が目的語となることもたくさんあります。
例えば「派手な宣伝をすることによって消費者の購買意欲を煽る」という言い方ができます。
「豚もおだてりゃ木に登る」の状態
- 男性を「優しい」と褒めて荷物を全て運んでもらう
- 子供を褒めて片付けをさせる状態
- 教育現場においては子供を褒めることが大切
男性を「優しい」と褒めて荷物を全て運んでもらう
大学の時など、友達と旅行に行ったり部活の合宿に行ったりした経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
そんな時荷物が多くてなかなか大変、という経験をした人もいるかもしれませんね。
自分の荷物は自分で運ぶということが前提ですが、中には誰かの助けが欲しい、という人もいるでしょう。
自分の荷物を運んでもらいたい、誰かに助けて欲しい、と思った時、もちろん女性に頼むこともできますが、場合によっては近くにいる男性に頼む人も多いのではないでしょうか。
そして男性に頼みにくいと思った時、「◯◯君って優しいよね、強いよね」などとおだてることにより、荷物を運んでもらえるかもしれません。
このような状態を「豚もおだてりゃ木に登る」というのです。
子供を褒めて片付けをさせる状態
子供はなかなか片付けをしないですよね。
小さい子供がいる家は家中におもちゃが散らかっている、ということもあるのではないでしょうか。
しかし、ある年齢になったらお片づけという概念を教えなければいけません。
そんな時、「片付けなさい」と起こったとしても子供はなかなか片付けをしないかもしれません。
それならばいっそのこと「◯◯ちゃん、いい子ね、普段からお片づけできるもんね」などと褒めまくった方が片付けをさせられるかもしれません。
それはまさに「豚もおだてりゃ木に登る」と言えるでしょう。
教育現場においては子供を褒めることが大切
それは小さな子供に限らず、小学校や中学校、そして高校の子供たちも同じです。
もちろん褒めてばっかりで全然叱らないという事は良くないですが、子供は褒めて伸ばすというモットーを推進する学校も多いのではないでしょうか。
いつも頭ごなしに子供たちを叱るのではなく、このやったことを認め、きちんと褒め、そして子供たちと向き合って指導をしていくことにより、子供たちのやる気が増えるという事は実際に報告されているものです。
ですから、「常に褒めて対応することが大切」、「常に子供の良さを見ることが大切」という意味でも「豚もおだてりゃ木に登る」と言えるのです。
「豚もおだてりゃ木に登る」の例文
- 「豚もおだてりゃ木に登るをモットーに勉強させたら、子供の成績が伸びた」
- 「彼は褒められるとすぐ調子に乗る、まるで豚もおだてりゃ木に登るような人間です」
「豚もおだてりゃ木に登るをモットーに勉強させたら、子供の成績が伸びた」
子供に勉強させるという事は親にとっては永遠の課題です。
特に子供が勉強嫌いであったりなかなか良い点が取れなかったりすると、親としてはどうして良いのか悩みますよね。
そんな時はぜひ「豚もおだてりゃ木に登る」をモットーにしてみましょう。
毎日「勉強しなさい」と注意するのではなく、毎日「ここまでできたね」「ここまで頑張れたね」と褒めてあげることにより、子供は向上心を持つようになるものです。
それによってなかなか取れなかった良い成績が取れるようになるかもしれません。
「彼は褒められるとすぐ調子に乗る、まるで豚もおだてりゃ木に登るような人間です」
これは決して褒め言葉ではありません。
しかし、あなたの人生の中にも「あの人は褒められるとすぐに調子に乗る」「褒めておけば何でもする」というような人がいるのではないでしょうか。
普段はあまり役に立つような人ではなかったとしてもとにかく周りが褒めると何でも引き受けてくれるような人を「豚もおだてりゃ木に登る」と表現することがあります。
もちろん、おだてて引き受けてもらうなんて、少々やり方が汚いと思う人もいるかもしれません。
しかし、これも処世術の1つですよね。
必要によっては相手をおだてて仕事をさせる、仕事を任されてもらう、ということも大切です。
「豚もおだてりゃ木に登る」の対義語
- 「猿も木から落ちる」【さるもきからおちる】
- 「弘法にも筆の誤り」【こうぼうにもふでのあやまり】
- 「河童の川流れ」【かっぱのかわながれ】
- 「策士策に溺れる」【さくしさくにおぼれる】
「猿も木から落ちる」【さるもきからおちる】
「猿も木から落ちる」というのは「たとえその分野に長けたものであったとしてもときには失敗することがある」という意味です。
猿は豚と異なり、木登りをすることができますよね。
しかしその一方で猿であっても木から落ちることがあります。
達人と呼ばれるような専門家であったとしても、ときには失敗することがあっても意味です。
「猿は木から落ちる」という表現は誤りです。
「弘法にも筆の誤り」【こうぼうにもふでのあやまり】
「弘法にも筆の誤り」という表現も「どんな名人や達人であっても失敗することがある」という意味になります。
空海という真言宗を開いた僧侶を知っているでしょうか。
空海は弘法大師として知られているほど筆の達人でした。
しかしそんな弘法にも書き損なうことがあったのです。
「弘法も筆の誤り」ということがあります。
この言葉は名人ではない人が自分のミスを弁解するために使える表現ではありません。
例えば、「それくらいの凡ミスは大丈夫、弘法にも筆の誤りというでしょう?」などといった使い方はしません。
あくまでも「達人であっても間違えることがある」という意味の表現です。
「河童の川流れ」【かっぱのかわながれ】
「河童の川流れ」という表現も、河童のような泳ぎが上手なものであったとしてもときには川に押し流されるような失敗をする、つまり「何かの名人であったとしてもときには失敗することがある」という意味を指します。
ただし、「河童流れるように流暢に川を泳ぐ」という意味で使われることもありますがこれはあくまでも誤りです。
例えば、「河童の川流れのようにスムーズに勉強ができた」という表現はしません。
「策士策に溺れる」【さくしさくにおぼれる】
「策士策に溺れる」という表現は今までの「名人であっても失敗することがある」という意味ではなく、「策略に巧みなものは策略を考えすぎてしまい、逆に失敗してしまう可能性がある」ということになります。
もともと策略を好む人というものは複雑なことを考えすぎ、逆にうまくいかないという状態に陥ってしまうことがあります。
つまり、自信過剰な状態を戒めるために使われる表現でもあるのです。
「策士策に倒れる」と書く場合もあります。
策士ははかりごとが上手な人やはかりごとを好む人を指しています。
「策士才に溺れる」という表現は誤りです。
「豚もおだてりゃ木に登る」というのはあまり良い意味で使われる事はありませんので注意が必要です。
第三者のことを「あの人は豚もおだてりゃ木に登るような人だから」という場合、それはその人のことをよく思っていないということがあります。
ですから、褒め言葉として使うのはやめましょう。
逆に嫌味に聞こえてしまいます。