「対岸の火事」の意味とは?ことわざ、類語や反対語、使い方や例文を紹介!
「対岸の火事」という言葉の意味、そして同義語を紹介します。
さらに「対岸の火事」の使い方や対義語についても紹介します。
目次
- 「対岸の火事」の意味とは?
- 「対岸の火事」の類語や似た意味のことわざ
- 「対岸の火事」の使い方や例文
- 「対岸の火事」の対義語や対することわざ
「対岸の火事」の意味とは?
「対岸の火事」という言葉があります。
この言葉には「大変な事が起こっているけれど、自分には危害が及ばない状況」という意味が込められています。
川幅の広い、大きな川をイメージして欲しいと思います。
船でなければ渡れないくらい広い川です。
自分の家から川の方角を見ると、川向うの街が火事で燃えているのが分かりました。
「火事だ!」「大変だ!」と思うかもしれませんが、大きな川が横たわっているため、絶対的に安全です。
火事が持つ、「燃え移ったらどうしよう」という怖さがまったくない状況では、大変な事態を「第三者的」に無責任」に眺める事ができます。
むしろ野次馬のようになって、安全地帯から危険な状況を楽しむ人もいるでしょう。
このような傍観者のような無責任な立場で、火事のような大きな災難や危険な出来事を見ている状況の事を「対岸の火事」と言います。
対岸の火事から何かを学ぼうという姿勢はあまり感じられず、どちらかというと野次馬的な要素が強い言葉です。
- 「対岸の火事」の読み方
「対岸の火事」の読み方
「対岸の火事」は「たいがんのかじ」と書きます。
大きな川の対岸で、起こっている家事を見ている野次馬達…そのような風景をひとまとめにした言葉です。
この言葉の主役は、火事の被災者ではなくて、あくまでも遠くから眺めている人になります。
そのため、この言葉を使う時は、自分の置かれている立場を考えて、当事者でない事を確認してから使うようにしましょう。
「対岸の火事」の類語や似た意味のことわざ
「対岸の火事」と同じような意味を持つ類語や似た意味の言葉がありますので、チェックしてみましょう。
同じような言葉ですが微妙にニュアンスが違いますので、使い分けるようにしましょう。
- 「高みの見物」【たかみのけんぶつ】
- 「山門から喧嘩見る」【さんもんからけんかみる】
- 「川向かいの喧嘩」【かわむかいのけんか】
「高みの見物」【たかみのけんぶつ】
「対岸の火事」の同義語のひとつが「高みの見物」です。
「対岸の火事」が、川の反対側という安全地帯であるのと同じように、高みの見物は「高い所」という優位な場所を示しています。
また「対岸の火事」で登場するシーンは、「災害や事故、事件などの悪い出来事」であるのに対して、「高みの見物」は災害などの悪い出来事に限りません。
当人は大変な状況という共通点はありますが、シーンそのものの大変さよりも、「圧倒的に優位な立場」という傍観者のポジションの良さが強調されています。
例えば予選リーグを1位で抜けた人が、残りの試合を見る時は「高みの見物」になります。
すでに敗退する事のない、高い立場からその他の試合を見るからです。
スポーツの試合や文化的な大会でも、「高みの見物」は使用できますが、「対岸の火事」は悪い出来事に限定されますので使用できません。
「山門から喧嘩見る」【さんもんからけんかみる】
「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉があります。
それくらい江戸の町では火事と喧嘩が多く、ある意味、江戸の町民に親しまれていたという事です。
その意味では「対岸の火事」の「火事」は、現代人が思うよりももっと身近で当たり前に起こる出来事だったのかもしれません。
「対岸の火事」と同じ意味を持つ言葉に「山門から喧嘩見る」という言葉があります。
山門はお寺の入口付近ある大きな門です。
山門は、ビルの2階から3階くらいの高さがあり、上ると周囲を良く見渡す事ができます。
つまり「山門から喧嘩見る」とは、「高みの見物」と「対岸の火事」をミックスしたような言葉です。
「特等席からプロボクシングの試合を見る」そんな「高みの見物感」もあり、「喧嘩がひどくなっても、山門の上にいれば巻き込まれる事もないだろうという「安心感」もあります。
「川向かいの喧嘩」【かわむかいのけんか】
「川向かいの喧嘩」も「対岸の火事」とそっくりの言葉です。
川の向こうにいれば、喧嘩がヒートアップして周囲にいる人に危害が及んだとしても、安心感があります。
傍観者として、喧嘩を楽しんでいる無責任な人たちの様子が伝わってきます。
「対岸の火事」の使い方や例文
「対岸の火事」の意味を知ったところで、実際にどのように使えばいいかを見ていきましょう。
そこで「対岸の火事の使い方」そして例文を紹介します。
- 「対岸の火事」の使い方
- 「対岸の火事」を使った例文
- ビジネスシーンで使う「対岸の火事」を使った例文
「対岸の火事」の使い方
「対岸の火事」という言葉には、「火事」のような災いや、事故が起こっているという要素が入っています。
さらに「対岸にいる」という「安全地帯」にいる人達からの目線であるという点も抑えておく必要があります。
「安全な場所から、悪い出来事を見る」という視点が必要になります。
さらに「無責任」「傍観者」「野次馬」的な気持ちも含まれている必要があります。
つまり本気で対岸で起こっている火事を心配している場合は、この言葉はふさわしくないという事になります。
本気で心配している時に、「対岸の火事」を使用する時は、「対岸の火事にしない」など、否定形の文にするようにしましょう。
「対岸の火事」を使った例文
それでは「対岸の家事」を使った例文を見ていきましょう。
最近では火事のように地震や津波、台風などの天災による非難が起こっています。
しかし、被災地から遠く離れている時は、気を抜いてしまう事があります。
そんな気が抜けた状況にいる人を戒める時に、この言葉を使ってみましょう。
「防災グッズを何も用意しないなんて、最近の大きな災害を対岸の火事だと思っているだろ」という感じです。
テレビなどを見て、被災者の心配をしているふりをしているけれど、そこから何も学ばなければ傍観者や野次馬と同じだからです。
「対岸の火事」を使う時は、このように気を引き締めたい時がほとんどです。
楽しい場面で使う言葉ではない事を、知っておきましょう。
ビジネスシーンで使う「対岸の火事」を使った例文
ビジネスシーンでは、火事と同様に様々な災難が起こります。
例えば他業界の企業が倒産したとします。
他業界の会社の倒産は、自分のいる会社とは遠い出来事で、ほとんどの場合、自分の会社が損害を被る事はないでしょう。
しかしこのような場面を見た時に、傍観者や野次馬で終わらないように、上司は部下に説教をする必要があります。
そんな時に「○○社の倒産を対岸の火事としないで、学べる部分は学んで行こう」と言います。
他にも「○○部長の不祥事を対岸の火事にしないように」などと使います。
「対岸の火事」の対義語や対することわざ
「対岸の火事」には、様々な反対語にあたる言葉がありますのでチェックしてみましょう。
そこで「対岸の火事」の対義語や対することわざを紹介して行きます。
「対岸の火事」とセットにして文章にすると、とても意味が通じやすくなりますので、ぜひ覚えておきましょう。
- 「人を以て鏡と為す」【ひとをもってかがみとなす】
- 「人の振り見て我が振り直せ」【ひとのふりみてわがふりなおせ】
- 「反面教師」【はんめんきょうし】
- 「他山の石」【たざんのいし】
「人を以て鏡と為す」【ひとをもってかがみとなす】
「対岸の火事」の対義語に「人を持って鏡と為す」という言葉があります。
誰かがミスをした時や、大変な事態に陥った時に、その姿を「鏡に映る自分」のように考えようという言葉です。
火事が起こっても、自分は安全な立場にいるため、傍観者や野次馬として無責任な姿勢でいる「対岸の火事」とは、姿勢が大きく違います。
「どんな災いからも学ぶ事がある」という謙虚な姿勢が感じられる言葉です。
「人の振り見て我が振り直せ」【ひとのふりみてわがふりなおせ】
「人の振り見て我が振り直せ」も、「対岸の火事」と反対の意味を持つ言葉です。
対岸の火事で登場する野次馬達は、目の前で起こっている事から何も学ぶ気がないのに対して、「人の振り見て我が振り直せ」と思っているからです。
確かに対岸で起こった火事は自分とは何も関係ない出来事で、自分に落ち度はありません。
しかし同じような家事を起こさないように、対岸の火事から学ぶ事はあるはずです。
いつも謙虚な姿勢で、世の中で起こる事すべてから学ぼうとすれば、その後の人生が大きく違ってくるはずです。
ビジネスシーンで上司から部下に「対岸の火事」の言葉を掛ける時は、「人の振り見て我が振り直せだぞ」という意味が必ず含まれています。
そのため、2つの言葉はセットで使う事ができます。
「○○課のミスを対岸の火事で終わらせるな。人の振り見て我が振り直せだ」などと使います。
このようにセットにした方が、本当に言いたい事が伝わりますのでおすすめです。
「反面教師」【はんめんきょうし】
「反面教師」も「対岸の火事」の対義語になります。
それでは「反面教師」とはどのような意味の言葉でしょうか。
例えば自分の親が暴力を振るってくる場合は、とても嫌だと思います。
そのまま受け入れてしまったら、自分が親になった時に、同じような過ちを犯してしまうかもしれません。
しかし逆に言えば、親に暴力を受けた事で、親から暴力を受ける事の嫌さが身に染みて分かったはずです。
そこで、自分は絶対に子供に暴力を振るわないよう、親の行動を「反面教師」にする事ができます。
このように良い事を教えてくれる「教師」に対して、悪い行動の悪さを教えてくれるのが「反面教師」です。
例えばビジネスシーンでは「横領をした○○課長を、反面教師にしよう」とか、「粉飾決算をした○○社を反面教師にしよう」などと使います。
「他山の石」【たざんのいし】
「他山の石」は「対岸の火事」に似た言葉なので、同義語かと思う人もいるかもしれません。
しかし「他山の石」は、他の山にある石であっても、自分を磨く材料に使えるという前向きで謙虚な意味が含まれています。
どちらかというと、「人の振り見て我が振り直せ」に近い言葉なので、「対岸の火事」の反対語となります。
混同してしまいがちなので、注意してください。
「対岸の火事」は、ビジネスシーンで良く使用する言葉です。
ただしほとんどの場合、傍観者や野次馬のような態度を取らないようにする「戒め」のために使います。
「昨日の対岸の火事、すごかったね!」などと、対岸の火事を楽しんだような使い方をしないよう、気を付けましょう。
「対岸の火事」は、「人の振り見て我が振り直せ」や「他山の石」などとセットにして使うと、意味が通りやすく知的なのでおすすめです。
以上が「対岸の火事」の意味になります。
正しく理解して、正しく使えるとよいですね。