「朴訥」の意味とは?「朴訥」と「素朴」の違い・英語・類語・対義語
「朴訥」と言われて、褒められているのかそうでないのか迷ってしまう人もいるでしょう。
正しい意味と使い方などについて知っておきましょう。
目次
- 「朴訥」の意味とは?
- 「朴訥」の読み方
- 「朴訥」の英語(解釈)
- 「朴訥」と「素朴」の違い
- 「朴訥」の言葉の使い方
- 「朴訥」を使った言葉・慣用句や熟語・関連など(意味を解釈)
- 「朴訥」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「朴訥」の類語や類義表現
- 「朴訥」の対義語
「朴訥」の意味とは?
「朴訥」の意味と語源について紹介します。
- 「朴訥」の意味
- 「朴訥」の語源
「朴訥」の意味
「朴訥」の意味は「性格に飾り気がなく無口な様子」「地味で純粋な様子」です。
人は性格により、社交的でおしゃべり好きな人もいれば大勢の中にいると大人しくて目立たない人もいます。
「朴訥」な後者のタイプで、不器用で人と合わせるのが苦手な人です。
あくまで性格による違いであり、良し悪しではありません。
「朴訥」でも明るい性格の人がいたり、会話をするのが心地よいと感じる人もいるのです。
決して悪口ではありませんが「地味である」という意味を含むので、面と向かって「あなたは朴訥ですね」と言う様な言葉でもありません。
「朴訥」の語源
「朴訥」の語源は、漢字の成り立ちから来ています。
「朴」は元々「ボクッという音」を表す擬音語で、「叩くとボクッと音がする厚い木の皮」を意味しています。
同じ「ぼく」と読む「樸」に「ありのまま」「飾り気がない」という意味があり、こちらと同じ意味として使われる様になりました。
「訥」は「言葉が上手ではない=口下手、話し下手」を表す言葉で、「訥弁」などに使われています。
この2つの漢字が組み合わさり「飾り気がなく口下手なこと」として使われる様になったのです。
「朴訥」の読み方
「朴訥」は「ぼくとつ」と読みます。
非常に難しい読み方でクイズにも出題されることが多い言葉です。
「朴訥」の英語(解釈)
「朴訥」の英語訳は様々ですが、以下の表現が使い易いでしょう。
- “quiet”
- “shy”
“quiet”
“quiet”は「物静か」という意味があり、無機質な漢字がしますが“simple”と組み合わせて使うことで純粋という意味が加わります。
“Your father is so quiet and simple person. ”で「あなたのお父さんは朴訥な人だね」になります。
“shy”
“shy”は「恥ずかしがり屋」という意味で、話し下手なことも含んでいます。
“He is so shy and honest guy. ”で「彼は朴訥でいい人だね」と褒め言葉になります。
「朴訥」と「素朴」の違い
「朴訥」とよく似た言葉に「素朴」がありますが、この2つは微妙に違いがあります。
「朴訥」は、「飾り気がなく無口な人、不器用な人」のことを表します。
「素朴」は、「飾り気がない人、自然で単純な思考の人」という意味です。
つまり「朴訥」は「物静かだけれども内面でしっかりと考えている人」であり、「素朴」は「自然で短絡的な考え方をする人」というニュアンスがあるのです。
通常使う時にはどちらも「飾り気がない」という意味ですが、上記の様な違いがあるのです。
「朴訥」の言葉の使い方
「朴訥」は名詞で、「朴訥な人」や「朴訥とした様子」など、後に続く言葉を説明します。
他人が見てその人の性格を判断して使う言葉で、自分で「私は朴訥です」と言うことはありません。
人に対して使う時には「洗練されていない」「不器用」というニュアンスが含まれる為に、悪口だと思われてしまう可能性があるので注意しましょう。
「朴訥」を使った言葉・慣用句や熟語・関連など(意味を解釈)
「朴訥」を使った言葉を幾つか以下に紹介します。
- 「剛毅朴訥」【ごうきぼくとつ】
- 「朴訥感」【ぼくとつかん】
「剛毅朴訥」【ごうきぼくとつ】
意味は「飾り気が少なく無口なのですが、意思が強くて何が起きても簡単に動じないこと」です。
「剛毅」は「芯が強くてしっかりしていること」を表します。
言葉の由来は孔子の「論語」の中に出てくる「剛毅木訥は仁に近し」という一節からです。
因みに「仁」は「道徳の理想とされるありさま」を意味しています。
「朴訥感」【ぼくとつかん】
意味は「その人が飾り気がなく無口な雰囲気をかもし出していること」です。
実はそうでなくても、その人の持つイメージや仕草がなんとなくそう見える時に「朴訥感がある」と使います。
「朴訥」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「朴訥」を使った例文と解釈は以下の通りです。
- 「朴訥」を使った例文1
- 「朴訥」を使った例文2
「朴訥」を使った例文1
「娘の婚約者は朴訥だけれども真面目で良い青年だ」
自分の娘が婚約者を連れてきた時に、親としては「高学歴・高収入」であるよりも、誠実で娘を大切にしてくれる人かどうかを見極めたいものです。
不器用で無口だけれどもいかにも真面目という雰囲気が伝わり、安心している様子を表しています。
「朴訥」を使った例文2
「彼の話は朴訥な中にも人を引き込む魅力がある人だ」
その人は決して話し上手ではないのですが、言葉少なに深みのあって心に響く話ができるのです。
分り易く、しかも人が気持ち良いと思える声のトーンで話す人なのでしょう。
おしゃべりな人よりも話していて安心できて、もっと話をしたいという気持ちにさせる人であること伝わります。
「朴訥」の類語や類義表現
「朴訥」の類語には以下の言葉があります。
- 「純朴」【じゅんぼく】
- 「寡黙」【かもく】
「純朴」【じゅんぼく】
意味は「飾り気がなく素直なこと」です。
「純朴」には「人を思いやる気持ちがある様子」「表裏がなく計算づくではない様子」という意味が含まれます。
「寡黙」【かもく】
意味は「口数が少ないこと」で、ひたすら無口な人のことを言います。
「朴訥」の様に「飾り気がない」という意味ではなく、オシャレで目立つ存在でも性格的に無口な人を意味します。
「朴訥」の対義語
「朴訥」の対義語には以下の言葉があります。
- 「饒舌/冗舌」【じょうぜつ】
- 「軽薄」【けいはく】
「饒舌/冗舌」【じょうぜつ】
意味は「ひたすらよくしゃべること」です。
淀みなくお喋りをする社交的な人のことを意味していて、女性だけではなく男性に対しても使われます。
「軽薄」【けいはく】
意味は「言動がいい加減そうで、誠実性がないこと」です。
明るく楽しい性格というメリットはあるのですが、その時の思いつきで言っていることが変わったりするので、人に信頼されません。
「朴訥」はどこか不器用で無口な人に使われる言葉で、男性のイメージとしては「ニヒル」「無骨」「クール」と良い意味が並びます。
褒め言葉と思わない人も多いのですが、「朴訥」と言われたらそれなりの魅力があるものと解釈しておきましょう。