「瑕疵」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
中学生くらいまでのあいだに、よく使う単語やことばというのはだいたい習うのではないかと思いますが、それでも大人になってから、聞いたことのないようなことばに出会い、閉口するということはよくあります。
ここでは、「瑕疵」ということばを紹介しますが、ご存知でない方も多いのではないでしょうか。
この機会に知っておくと、役に立つことがあるかもしれませんね。
目次
- 「瑕疵」の意味とは?
- 「瑕疵」の類語や言い換え・似たことば
- 「瑕疵」の使い方
- 「瑕疵」を使った例文
- 「瑕疵」の英語
- 「瑕疵」を使ったことば
- 「瑕疵」の誤用
「瑕疵」の意味とは?
「瑕疵」は、どちらも欠点やきずを意味することばで、その組みあわせでできています。
意味は欠点、きず、欠陥という意味から、法律のうえで欠点や欠陥があることをも意味しています。
「傷」というと、切ったり打ったりして、皮膚や肉に損傷ができる、という肉体の欠陥、きずという意味あいが色濃くなりますが、「瑕」や「疵」は、物が壊れたときの欠陥やきずのこと、また、広く不完全なものごとを意味する、きずとなります。
- 「瑕疵」の読み方
「瑕疵」の読み方
「かし」と読みます。
「瑕」は「か」のほかに、「きず」や「あやま-ち」という読みを持っています。
「疵」は「し」のほかに、「きず」「やまい」「そし-る」という読みがあります。
きずには、きずあと、という意味も含まれ、また、そしるとは、悪口をいうこと、という意味があります。
ここでは、きず、という意味のことばを重ねることで、強調したことば、ととらえていいでしょう。
「瑕疵」の類語や言い換え・似たことば
自分は知っていても、相手が知らないと、会話は成り立ちません。
文書などでは、相手も調べながらということができますが、いつでもそういう場面かというとそうではありませんよね。
「瑕疵」ということばを口にしても、わかってもらえないのでは残念です。
そこで、類語表現や言い換えのきくことば、似たことばをあわせて見ておきましょう。
さまざまなことばを知ることで、より理解が深まる、というメリットもあります。
- 「不備」【ふび】
- 「汚点」【おてん】
- 「過失」【かしつ】
「不備」【ふび】
「ふび」と読み、必要なものがじゅうぶんに揃っていない、備わっていないことや、整っていないこと、またそのさまを意味します。
欠点、欠陥という「瑕疵」の意味には近いことばですし、知らない人もすくないと思われるため、普段遣いもしやすいでしょう。
「目をかけてやっている部下だが、いつも資料に不備があるため、ほかの社員からの評価は芳しくない」
「汚点」【おてん】
きれいなものなどにぽつん、とついたシミのことや、そのシミのように不名誉なことがら、きずのことを意味します。
「志望校に受からなかった、という事実はいつまでも汚点に感じられていたが、さいきんになってようやく受けいれることができた」
過去の不名誉など、シミのようについたまま取れないものをいう場合も多くあります。
「過失」【かしつ】
「かしつ」と読み、不注意や怠慢から起こった過ちや失態、また欠点を意味します。
法律用語としても使われており、違法になるような行為と予知、予見できたにもかかわらず、不注意などにより法を犯してしまったときの心理状態や、違法となるのを回避できたにもかかわらず、それをしなかった怠慢な態度などをいいます。
「どんなに注意していたつもりでも、事故を起こしてしまうと、過失があったのだと責められることもある」
「瑕疵」の使い方
「瑕疵がある」「瑕疵がない」というように、欠点、欠陥の有無について述べるときに使われることが多々あります。
また、「瑕疵責任」「瑕疵担保責任」などのことばが、不動産用語として使われています。
不動産用語の「瑕疵」についてはのちほどご説明します。
「瑕疵」を使った例文
それではさきに、「瑕疵がある」や「瑕疵がない」というような使い方の例文をいくつか見ていきましょう。
あまり使わないことばや初めてきくようなことばは、例文とともに覚えるのがおすすめです。
どのような文脈で使われることばなのかわかると、応用がきくため、ものにしやすいという利点があります。
- 「瑕疵」の例文1
- 「瑕疵」の例文2
- 「瑕疵」の例文3
「瑕疵」の例文1
「祖父が人にはいわれないような仕事をしていたと知っても、今さら我が家の瑕疵にもならない」
「瑕疵にならない」は、「瑕疵がない」という意味ですね。
家の名誉を傷つけるようなことがない、そのようにはならない、という例文になります。
欠点、欠陥、きずという意味で使われています。
「瑕疵」の例文2
「瑕疵の有無については一考の余地があるのではないか」
欠点、欠陥があるかないか、という例文になります。
不具合、不備、過失が、あるのかないのかというところは、さまざまな問題の争点ともなりえますね。
社会人になると、「瑕疵の有無」を問われるような場面もすくなからずあるでしょう。
「瑕疵」の例文3
「言動に瑕疵のある人物でも、魂はみな一様に光っているのだ、と教えられた」
満月を見て、わたしのように欠けているところのない月だ、というような歌を読んだ歴史上の人物のありますが、基本的に人間は、どこかしら欠けているのではないかと思います。
完璧でないからこそ、支えあい、助けあって生きることができるのではないでしょうか。
「瑕疵」の英語
「瑕疵」を英語でいうのであれば、“defect”ということばになるでしょう。
“defect”は、自動詞では、「亡命する」や「逃亡する」という意味を持っていますが、名詞としては「欠陥」「欠点」「不備」「不良」というような意味を持ち、「瑕疵」に相当します。
「瑕疵」を使ったことば
先述しましたが、「瑕疵」は不動産用語として使われています。
ここでは、その用語について説明しておきたいと思います。
法律や不動産など、ふだん関わりのないことばほど、知っておいて損のないものはありません。
ぜひあわせて覚えておいてください。
- 不動産用語としての「瑕疵」
- 「瑕疵担保責任」
不動産用語としての「瑕疵」
設備に欠陥がある場合などだけでなく、買った土地が実は都市計画道路に指定されていた、というような場合も「瑕疵」といいます。
不動産における物理的、法律的欠陥のことを「瑕疵」と呼ぶのだと覚えておくといいでしょう。
ここでは、後述する「瑕疵担保責任」の「瑕疵」と対比して、目に見える「瑕疵」、すぐにわかる「瑕疵」を意味することば、という説明を加えておきます。
「瑕疵担保責任」
家を買ったが、見えない欠陥があった、という場合に、売り主が買い主に対して負う責任のことを「瑕疵担保責任」といいます。
あくまでも、パット見にはわからず、隠れているが見つかった欠陥についての責任となります。
年数や条件により、行使できる場合とそうでない場合があるようですが、見えなかったとはいえ欠陥は欠陥ですので、もしもそのようなことが身に降りかかったときは、「見えない瑕疵」について、相談なさるといいでしょう。
知っておくと、いざというとき、必要になるかもしれません。
「瑕疵」の誤用
「瑕」を「暇」とするのは誤字です。
「ひま」ではなく、「きず」という意味だとわかっていれば、間違えることもないでしょう。
同様に、「疵」を「庇」とするのは誤字です。
「ひさし」ではなく、「きず」という意味だとわかっていると間違えません。
見間違えてしまいそうな文字ばかりですが、よく見れば違いは歴然としています。
「瑕疵」とは、欠点や欠陥のことだとわかりました。
また、不動産用語としての「瑕疵」についてもわかりましたね。
だれにでも「瑕疵」の一つや二つはあるものですが、周囲の人と補いあうことで、全体として満ちて暮らしていくことができるのが、人間の素晴らしいところではないでしょうか。