「尊敬」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
歴史上の人物でも身近な人でも、この人はすごいなあとか、人格者だ、と感じる人が一人くらいは思い浮かぶものではないでしょうか。
「尊敬」する、なんていいかたもよくされますね。
ところでこの「尊敬」ということば、知っている人も多いでしょうが、「尊敬」ってどういう意味?と詳しく聞かれると口ごもってしまいませんか。
ここでは、「尊敬」についてご説明しています。
目次
- 「尊敬」の意味とは?
- 「尊敬」の類語や言い換え・似たことば
- 「尊敬」の使い方
- 「尊敬」を使った例文
- 「尊敬」の英語
- 「尊敬」の対義語
- 「尊敬」と「憧れ」の違い
「尊敬」の意味とは?
「尊敬」とは、「相手の態度や仕草、人格や業績などが優れていて、それを尊いと思うこと」や、「尊いと思って敬うこと」を意味することばです。
また、文法上で、聞き手や話題になっている人物を高めていういい方を意味します。
これは、「尊敬語」と呼ばれることもあります。
- 「尊敬」の読み方
「尊敬」の読み方
「そんきょう」と読んでも間違いではないようですが、一般的には「そんけい」と読まれていますので、「そんけい」で覚えておきましょう。
「尊」はほかに、「たっと-い」「たっと-ぶ」「とうと-い」「とうと-ぶ」「みこと」などの読みがあります。
「敬」は「けい」「きょう」のほかに、「うやま-う」「つつし-む」などの読みがあります。
「尊敬」の類語や言い換え・似たことば
「尊敬」する相手がいても、なかなか面と向かっていうことができないときや、「尊敬します」というのがはばかられるシーンもあるでしょう。
日本語はとても奥行きや幅が広く、さまざまな語彙がありますので、自分が伝えたいことを伝えるのにぴったりなことばを探す努力をすると、より相手に喜ばれます。
「尊敬」の類語表現や似たことば、言い換えのきくことばを知っておくことで、使い分けできると便利ですね。
- 「感心」【かんしん】
- 「尊重」【そんちょう】
- 「敬意」【けいい】
「感心」【かんしん】
物事に深く感じ入ることや、素晴らしいのでほめるべきである、と思うこと、逆説的に呆れることやびっくりすることに使われる場合もあります。
相手の言動を評価する、という意味あいが含まれて聞こえることもありますので、目上の方には使わないほうが無難でしょう。
また、同音異義語に「関心」がありますが、こちらは興味を持つこと、というような意味ですので、「尊敬」と似たことばとしてはふさわしくありません。
「よくできた迷惑メールだと、つい感心してしまう」
「尊重」【そんちょう】
「そんちょう」と読み、価値のあるもの、尊いものとして重んじ、大切に扱うことを意味します。
尊敬していること、大切にしていることを、態度や言動に表しています。
読みは「そんじゅう」でなく「そんちょう」ですので、間違えないように気をつけましょう。
「子どもの意見も尊重してほしいというクレームが多いが、わがままをさせることと尊重することとは別物だとなかなかわかってもらえない」
「敬意」【けいい】
「けいい」と読み、相手を敬い、尊敬する気持ちのことをいいます。
表彰状の文章で、「敬意を表して」などといいますが、これはその人の努力や研鑽について、尊敬の気持ちを表して、賞を送ります、ということになります。
「痴呆が進んできたからといって、これまで祖父の歩んできた苦労の歴史が消えることはなく、そのおかげで我が家が今もこうしてあることに、敬意を払わずにはいられない」
「尊敬」の使い方
「尊敬」は、「尊敬する」や「尊敬の〇〇」、「〇〇に対する尊敬」などのように使われます。
自分に対してでなく、自分以外の事物や人物などに対して使われるので、だれが、なに(もしくはだれ)に対して「尊敬」しているのかがわかると、文章の流れがわかります。
「尊敬」を使った例文
ここまで、意味や読み、類語表現や使い方を見てきましたが、具体的にどのように使われているのか、例文を見ておきましょう。
ことばを覚えるときには、単語だけでなく、そのことばが使われている文章を読むことで、文脈やニュアンスごと覚えると応用がきくようになりますよ。
- 「尊敬」の例文1
- 「尊敬」の例文2
- 「尊敬」の例文3
「尊敬」の例文1
「指揮棒一本で聴衆を唸らせる指揮者の実力には尊敬する」
だれとは書かれていませんが、語り手が指揮者とその技量に対して尊敬していることがわかる一文です。
このように、どのような分野においても、師と仰がれるような人物や、革命的ともいえる技術などに対し、「尊敬する」ということばは不自然でなく使われている場面が多々あります。
「尊敬」の例文2
「一番に九九を覚えるよりも、だれよりもたくさん縄跳びがとべる方が尊敬の的になれることを息子は肌で知っているらしい」
「尊敬」される対象のことを、「尊敬の的」ということがあります。
だれからも敬われ、ちやほやされることもありますが、反面、目立ちすぎると恨みを買うこともあるかもしれません。
それでも世に名を残すような素晴らしい才能、技術などを持っている人は、相応の覚悟を持って、「尊敬の的」となることをいとわないものなのでしょうか。
「尊敬」の例文3
「若い時分は口うるさいと思っていたが、歳を取るにつけ、母の教えの重みに尊敬の念を抱く」
「〇〇に尊敬の念を抱く」も、一つの定型文です。
「尊敬」する気持ちを持つことをそのようにいいます。
口に出していうことは少ないかもしれませんが、文章中でこのような表現を使うといい場面はあるかもしれません。
覚えておいて損はないでしょう。
「尊敬」の英語
日本でもほとんどカタカナ語のように使われている“respect”(リスペクト)という単語が「尊敬」の直訳にあたるでしょう。
“I respect you. ”といえば、「私はあなたを尊敬しています」と伝えられます。
また、外国人がよく使うことばに“amazing”(アメイジング)というものがあります。
信じられない!や素晴らしい!というような意味あいで使われています。
“That's amazing!”といえば、「素晴らしい!」というようなすこし砕けたことばで、尊敬の念を伝えることもできるでしょう。
「尊敬」の対義語
尊いと思い、敬うことを「尊敬」というのであれば、対義語は、ばかにすることや蔑むことを意味することばになります。
「軽蔑(けいべつ)」や「侮辱(ぶじょく)」がそれにあたり、劣ったものとして蔑んだり、相手を見下し、言動などではずかしめること、相手の名誉や自負心を傷つけることを意味します。
「何度やってもできない、という理由で軽蔑されてきたが、それでも繰り返し練習することで、満足のいく結果が残せるようになった」
「バイト先で、自分だけ怒られたり、無理な残業を強いられたりと、侮辱を受けたのが心の傷になり、人と話すのが苦手になってしまった」
「尊敬」と「憧れ」の違い
「尊敬」は、相手の言動や人格、業績が素晴らしいものだとして尊ぶことでした。
「憧れ」は、羨望や願望といった、こうなれたらいいなあ、という望みや羨ましさを含みます。
「尊敬」する人に対して、「憧れ」る、ということもありそうですね。
また、「尊敬」が人に対するものであるのに対し、「憧れ」は、歌手になりたい、や素敵な旦那様と結婚したい、というような、事物に対する場合もあります。
また、「尊敬」はその人に近づくべく努力をするなど、健全な気持ちであることが多いのに対し、「憧れ」は、思い焦がれるゆえに、嫉妬など負の感情を招きやすいという印象を持つことばでもあります。
「尊敬」は相手の人格や言動、業績などが優れており、敬うことを意味することばでした。
されたいと望んでも手に入るものではないのが「尊敬」ではないでしょうか。
地道に、自分の目の前にある課題を、愚直にこなしていく人ほど、いつかだれからも「尊敬」されるような、人格者になっているのでしょう。