「オマージュ」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
テレビなどを見ていて、「これは〇〇に対するオマージュである」などという文言を見たことのある方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「オマージュ」ということばについてご説明しています。
この機会に、「オマージュ」ってなに?というあやふやさや疑問を解消していきましょう。
目次
- 「オマージュ」の意味とは?
- 「オマージュ」の類語や言い換え・似たことば
- 「オマージュ」の使い方
- 「オマージュ」を使った例文
- 「オマージュ」の英語
- 「オマージュ」の対義語
- 「オマージュ」と「リスペクト」の違い
- 「オマージュ」と「パロディ」の違い
「オマージュ」の意味とは?
「オマージュ」はフランス語で、“hommage”と書き、尊敬や敬意、賛辞を表すことばとして使われます。
原語の意味にはありませんが、日本ではとくに、芸術や文学の分野において、創作物や創作者に対する尊敬の気持ちをこめて作られる創作を意味します。
たとえば、影響を受けた音楽家の曲調に似た曲を作ったり、尊敬する作品に扱われているモチーフを使って新たな創作をする、ということですね。
日本で使われている「オマージュ」は、カタカナ語としての「オマージュ」として考え、“hommage”とは違ったことばと考えたほうがよさそうです。
「オマージュ」の類語や言い換え・似たことば
意味はわかっても、原語がフランス語ということもあり、なかなかすぐには使いこなせないのが「オマージュ」ということばかもしれません。
そこで、似た意味を持つことばや、言い換えることもできるような表現をいくつか紹介します。
さまざまなことばを使い分けるなかで、だんだんとしっくりくる会話や文章が確立されていきますよ。
- 「インスパイア」【いんすぱいあ】
- 「リメイク」【りめいく】
- 「二次創作」【にじそうさく】
「インスパイア」【いんすぱいあ】
こちらは、もとはラテン語だといいますが、英語でも“inspire”と書きます。
“inspiration”(インスピレーション)の動詞形、といえばわかりやすいでしょうか。
思想を吹き込むことや、刺激を与えること、感化させること、などの意味があります。
尊敬している作者、作品と同じテーマの作品を作ることや、なにかに感銘を受けて作った作品のことを、「インスパイアを受けてできた」「インスパイアされた」作品、と呼ぶことがあります。
元になるものへの敬意を表している、というところが「オマージュ」と似ているところといえます。
「リメイク」【りめいく】
英語で“remake”と書くととたんにわからなくなる、という方もいらっしゃるかと思いますが、リサイクル、リユースなど、ほとんど日本語のように使われていることばのひとつが「リメイク」といえます。
すでに完成されたものを、再び作り直す、という意味ですね。
ほつれのひどい衣服をカバンにしたりすることも「リメイク」といいますが、芸術などの分野では、過去に作られた作品を、新たな切り口で作ることをいいます。
「オマージュ」よりも、オリジナルの作品の色が残ったもの、ということもできるでしょう。
「二次創作」【にじそうさく】
昨今では漫画やアニメなどに対しても盛んな二次創作ですが、こちらも「オマージュ」に似たことばといえるでしょう。
原作に尊敬の念をいだきながらも、その作品に自己流の解釈を加えたり、原作ではまったく仲のよくない二人が、恋人のように仲良くしている、というストーリーを新たに作ってしまったりすることもあるようです。
あくまで一次創作ありきといえるので、どんなに人気があっても、なかなか日の目を見ることはむずかしい、という可能性もあります。
「オマージュ」の使い方
「オマージュする」と動詞のように使うこともできますし、「〇〇に対するオマージュだ」などのように名詞的な使い方をすることもあります。
どちらも一般的な使い方ですので、おさえておけば間違いないでしょう。
むずかしければ、どちらかから使ってみて、すこしずつ自分のなかに落とし込んでいきましょう。
「オマージュ」を使った例文
ことばを覚えたり、語彙を増やしたいというときには、単語として覚えるのでなく、文章や会話のなかでどのように使われているかを知ることがもっとも近道といえます。
ここでも、「オマージュ」を使った例文をいくつか挙げてみますので、参考にしてみてください。
- 「オマージュ」の例文1
- 「オマージュ」の例文2
- 「オマージュ」の例文3
「オマージュ」の例文1
「この作品がゴッホのオマージュであることは、すこしでも美術をかじった人間ならすぐにわかる」
省略される場合もありますが、「〇〇のオマージュ」という言い方の場合には、すぐにその作品が「〇〇」を元にしたり、感銘を受けたり、モチーフに使われたりしていることがわかります。
「オマージュ」の例文2
「オマージュ作品とでもいえばよかったかもしれないが、誰の目にもただのパクリだとわかってしまう」
なにかの「オマージュ」として作られたものを、「オマージュ作品」とも呼びます。
影響を受けたり尊敬していたとしても、そっくりそのまま自分の作品として世に出してしまうなどの行為は、パクリ、盗作であり、決して認められるものではありません。
そこに独自性や新しい発想、自分なりの思想などが込められ、しかもそれが、原作への尊敬からくるものである場合にこそ、「オマージュ」と呼べるのでしょう。
「オマージュ」の例文3
「自分がこの道で生きると決めるきっかけとなった先生の作品をオマージュするのは、とても心地よい緊張感がある」
「〇〇をオマージュする」という動詞的な使い方になります。
ここでは、「先生の作品」が「オマージュ」されるものになっていますね。
だれが、だれ(なに)を「オマージュ」しているか、という相関図が頭に描けるようになると、「オマージュ」ということばをうまく使えるようになるでしょう。
「オマージュ」の英語
英語では、“homage”と書きます。
“homage”は、封建時代に主君に対して忠誠を宣誓する、などの意味があり、そういった意味での「尊敬」や「敬意」という意味あいが強いようですね。
上述しましたが、日本で使われている、尊敬する作品、作者に対する敬意を表し、作品の一部にその流れを汲んだものを扱う、というような意味では使われていないようです。
「オマージュ」の対義語
「原作」や「オリジナル」という語が対義語にあたるでしょう。
ことばのすべては引用である、というほどですので、なににも影響を受けずに作られたものなど厳密にはないのでしょうが、「オマージュ」は、影響を受け、テーマやモチーフなどに使っています、と元になった作品がわかるものです。
さまざまな文献や資料、ほかの作品から影響は受けているが、そのどれにも偏らず、自身の独創性で作りました、というものが対義語にあたりますので、「オリジナル」や「原作」ということばになるでしょう。
「オマージュ」と「リスペクト」の違い
日本における「オマージュ」は、芸術や文学などの限られた分野のなかで使われることがほとんどといえます。
「リスペクト」は「オマージュ」を含み、どんな分野に対しても、尊敬や敬意を表すときに使われることばです。
親や先生、友人に対する尊敬、自然に対する敬意など、広く使われることばになっています。
「オマージュ」と「パロディ」の違い
「パロディ」も原作があって、それに対して尊敬を持って作られる別の作品、という観点からは、「オマージュ」と似ているといえます。
しかし、「パロディ」では、尊敬しているからこそできる、愛ある茶化し、揶揄、社会風刺などの要素が色濃く表れていることが多くあります。
作者の思想や伝えたいことを、よりわかりやすく伝えるための手法としての模倣、といえばいいでしょうか。
「オマージュ」とは、日本では尊敬や敬意を表すことばとして、とくに芸術などの分野で使われることばとわかりました。
「学ぶ」は「真似ぶ」から来ているというほどですから、「真似る」ことで、尊敬する原作者の意図や思想、技術を「学び」たい、という意欲の表れともいえるのではないでしょうか。