「妥協」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
完璧な人生、思い通りの人生などなかなかお目にかかれるものではありません。
それどころか何をするにしても「代替策」と「あきらめ」の連続で、常に頭を悩ませる人の方が多いのではないでしょうか。
本項で「妥協」という言葉の意味を探りながら、そうした気持ちにも迫ってみましょう。
目次
- 「妥協」の意味とは?
- 「妥協」の類語や言い換え・似た言葉
- 「妥協」の言葉の使い方
- 「妥協」を使った例文
- 「妥協」しやすい人の特徴
- 「妥協」を使った言葉
「妥協」の意味とは?
ものごとを協議している場合に、様々に出てくる各人の主張を全て通すわけにはいきません。
答えを出すためには(時に、長引きすぎた議論そのものを終わらせるためにも)、「これは譲ってやってもよいのではないか」「ここは自分が我慢すべきではないか」と、押しと引きをうまく使い分けなければなりません。
妥協とは、こうしてお互いの意見の譲れない点や利点をいくつか取り上げ、一つに纏め上げて結論を出すことをいいます。
以上は主に「自分と他人」や「複数人」の間でのことですが、自分一人すなわち自分の内面との自己問答で、解決点を見出す場合にも同じく用いることができます。
- 「妥協」の読み方
「妥協」の読み方
「だきょう」と読みます。
「協」は協議する、協力するといった言葉に使われ、「力を合わせて叶える」という意味を持つのは容易に分かります。
「妥」に関しては「安らか、安定」とか「互いに譲り合う」という意味があり、そのまま「やすらか」「おだやか」と訓読みすることもできます。
「妥協」の類語や言い換え・似た言葉
- 「仮借」【かしゃく】
- 「譲歩」【じょうほ】
- 「折衷」【せっちゅう】
- 「諦念、没却」【ていねん、ぼっきゃく】
- 「妥当」【だとう】
「仮借」【かしゃく】
人やものごとを余裕を持った心で受け入れ、「まあいいか」と許してしまうことを仮借(かしゃく)といいます。
「悪に仮借のない人」などと使うことがあり、そういう人を具体的に挙げるとすれば、伝説上の英雄や、任務に燃える警察官などといったところでしょうか。
また仮借は「かしゃ」と読む場合もあり、詳説は省きますが「文字の代用をすること」という全く異なる特殊な意味となります。
「譲歩」【じょうほ】
自分の意見(多くの場合、その一部のみ)を一旦引っ込めたり代替案を出したりして、決着にむけての歩み寄りを見せることを譲歩(じょうほ)といいます。
ここで、相手の主張や要求を完全に容認しているわけではなく、歩み寄りといっても政治的、打算的な思惑が絡むことがほとんどだ、という点が重要です。
このまま終わりの見えない平行線を辿るくらいなら、少し損をしてでも得を取ろうという心理は、妥協する場合とよく似ているといえるでしょう。
「折衷」【せっちゅう】
「和洋折衷(わようせっちゅう)」などの言葉で知られるように、性質や外見の異なったいくつかのことがらの中から、特によい面を抽出してよりあわせ一つにまとめることをいいます。
またより妥協に近い意味では、「互いの意見の中間点を取る」場合にも用い、「折り合いをつける」などと言い換えることもできます。
「諦念、没却」【ていねん、ぼっきゃく】
自分自身との向き合いで「妥協」する場合の類語には、例えばこのようなものが挙げられます。
何かを目指す際に限界を感じたり、空しくなってしまうこともあります。
真面目さから来るものであったり、単に根気がないだけだったりと様々ですが、ゆきづまりの末に「もういいや」とあきらめてしまうことを「諦念(ていねん)」といいます。
また逆に、あまりにも理想を求めこだわりすぎることを「執着」や「拘泥(こうでい)」といいますが、引き際を見誤ったばかりに自分や周りの人に災いがふりかかっては元も子もありません。
時には「このくらいでいい」と冷静に現状を見つめなおすことも必要で、しばしば今のこだわりを捨て去る、すなわち「没却(ぼっきゃく)」しなければならないこともあります。
「妥当」【だとう】
妥当(だとう)は妥協と似ていますが、意味はやや異なります。
妥当は適度な点に見当をつける、という意味です。
すなわち妥協には「協議をして、その中で納得の行かないことがあっても、全体の解決のために不要であればそれを押しとどめ、我慢する」行為を指すのに対し、妥当は単純に「そのもののふさわしい姿」を表す言葉といえます。
「妥協」の言葉の使い方
政治の世界に限らず、我々は普通に生活しているあらゆる場面で、自分の行為の取捨選択に迫られているといえます。
取引の仕事をしていれば当然相手と自分の利益を考えつつも、商談そのものがご破算にならないように柔軟な提案をしていかなければなりません。
その反面、スポーツ選手や芸術家など、一般に「妥協」そのものが悪と見なされやすい職業もあったりと、置かれた立場によってさじ加減は難しく、「長い目で見てどうなるのか」を判断できる考え方が重要となるでしょう。
「妥協」を使った例文
- 「妥協」の例文1
- 「妥協」の例文2
- 「妥協」の例文3
「妥協」の例文1
「前回の首脳会議では妥協案の一つも出ずに、国民にとっては不安ばかりが募る結果となった」
「妥協」の例文2
「妥協して安い方を買ったけれど、やはり機能うんぬんよりも高級品は格調高くて格好良い。あれこれ言い訳をして、欲しい気持ちに嘘をついてはいけないと痛感した」
「妥協」の例文3
「彼の言い分からは周りを思いやる気持ちが全く見えず、妥協してやる余地はないと感じた」
「妥協」しやすい人の特徴
- 都合の良い解釈をする、その場しのぎ
- 向上心がない、もしくは自信がない
- 打算的
- 根気がない、楽をしたい
都合の良い解釈をする、その場しのぎ
主に項における「自己の内面との協議」としての妥協について解説します。
まず挙げられるのが「ここまでやったんだからもういいだろう」と、現実から目を背けて勝手な線引きをしてしまう人です。
または周りの良い評価だけを取り上げ、それが全てだと思い込んでしまう人もいます。
これらは長い目で見ると全く当人のためになっておらず、進歩につながりません。
向上心がない、もしくは自信がない
現在手がけていることにあまり突き詰めたい欲求がないのか、理想が低く器が小さいのか、いずれにしても最初から越えるべきハードルを低く見積もっている人です。
あるいは極端に自信がなく、迷惑をかけたくない一心でのことだったり、お人好しすぎや相手の顔色をうかがってばかりの人も含まれます。
こうした薄弱な心の持ち主をあまり強く責めても気の毒なように思えますが、やはり譲れない強い芯を持つ努力は、万人がしなければならないのではないでしょうか。
打算的
政治やビジネスにおいては打算が横行しており、またこれらは結果を出すことが第一に求められるため、損得を計算した妥協は止むを得ないことです。
物質的なマイナスより時間のマイナスの方が深刻だと考える向きもあるでしょう。
しかしあまりに下手に出すぎた提案というのも、自分の周囲(国や会社、家族など)に迷惑がかかります。
交渉にはやはり毅然とした態度が求められるのではないでしょうか。
根気がない、楽をしたい
単純に面倒になって投げ出したくなった場合です。
妥協ぐせがついてしまうと、やがてやることなすこと全て中途半端なクオリティになってしまい、挙句に着手することすら億劫になってしまいます。
こうした人は「まあいいや」は周りに対してだけにしておいて、ひとまず自分には禁句だというルールを作って改善する必要があります。
「妥協」を使った言葉
- 妥協線、妥協点
- 妥協案
- 妥協婚
妥協線、妥協点
どちらも相手に提示する条件に違いはありませんが、ある点についてここまでは許せる水準だ、と明示するのが「妥協線」、ここは目をつぶってもよい、と点そのものをいうのが「妥協点」です。
妥協案
議論が煮詰まってくると平行線を辿ることに疲れてしまい、最悪喧嘩別れの結末もありえます。
誰も実りのない話し合いなど望むはずはありませんから、やはり主張はしながらもどこかで譲らなければなりません。
この妥協案にも実に様々な種類があり、お互いが相手を思いやってのことなら理想的なのですが、高度な駆け引きの結果であったり、どちらか一方だけが折れるしかなかったりと、なかなか万人がすっきり納得いく決着とはいかないのが普通です。
妥協婚
あまりよくない言葉として挙げておきますが、「一生を共に生きる人を見出すのに真剣に向き合う」という観点からすると、相手がどんな人物であれ非常に失礼なことです。
収入その他のステータスは確かに重要で、甘えは許されませんが、それだけに目を血走らせてもよいものでしょうか。
妥協婚をするにしてもしないにしても、何か相手に突きつける条件ばかりで、本質から大きく外れてしまっています。
こうした場合こそ、「思いやり」や「許容心」といった、本来の意味での妥協が求められるといえます。
こうして見ると、どうしてもこの言葉には後ろ向きな「したくないけど、仕方ないからこれで我慢する」という心理がついて回ってしまうようです。
このようなネガティブイメージが先行する理由としては、自分を貫き通すのが最良の場合もあれば、己を廃して周りを立てることがいい結果を生む場合もあり、その判断と線引きが非常に難しいがゆえ、ということもあるかもしれません。
「あきらめる」意味ではなく「ゆずりあう」の精神での妥協を、常に考えて行きたいものです。