「倦んで」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
男女の交際は、はじめこそ緊張と興奮がありますが、馴染みの仲になってくると、だんだん相手に新鮮さを感じなくなったり、より心惹かれるものをつい探したりしてしまいがちです。
好きであればこそ、交際しているのに、なぜか最近、ノリが悪い。
そんなときよくいわれるのが、倦怠期ということばです。
ここでは、倦怠期の「倦」の文字を使った「倦んで」ということばについて、詳しくご紹介していきます。
目次
- 「倦んで」の意味とは?
- 「倦んで」の類語や言い換え・似たことば
- 「倦んで」の使い方
- 「倦んで」を使った例文
- 「倦」を使ったことば
「倦んで」の意味とは?
「倦んで」は、動詞「倦む」の連用形「倦み」に接続助詞「で」がつき、撥音便形になったことばです。
というとずいぶんこむずかしいですね。
つまり、「倦む」という動詞が原形となります。
「倦む」とは、結果が出ず物事に行き詰まり、どうにもしようがなく困ること、もてあますこと、いやになることや、疲れること、また、同じ状態が長くつづくため、飽きることなどを意味します。
倦怠期の場合は最後の、同じ状態が長くつづくのでいやになったり飽きたりする、という意味で「倦」の字が使われるのですね。
- 「倦んで」の読み方
「倦んで」の読み方
倦怠期の「ケン」のほかに、「う-む」「あ-きる」「あぐ-む」「つか-れる」などの読みがあります。
「倦んで」は、「う(んで)」と読む場合と、「あぐ(んで)」と読む場合とがあるということですね。
文章のなかに出てきたときには、前後の文脈などから、どちらの読みが適切かを考えながら読み進めていく必要があるでしょう。
口に出していう場合には、どちらの読みが適切か考えることなく使うことができると思いますので、あまり気にする必要はなさそうです。
「倦んで」の類語や言い換え・似たことば
「倦んで」の輪郭がまだぼんやりとしか見えていない、という方もおられるのではないでしょうか。
ここで類語表現を見ておきましょう。
「倦んで」と似たことば、言い換えのきくことばがわかると、知っているものとの置き換えができるようになり、「倦んで」についての理解が深まります。
- 「退屈」【たいくつ】
- 「徒然」【つれづれ】
「退屈」【たいくつ】
「暇(ひま)」などもよく使うことばですね。
同じ状態が長くつづくためいやになったり飽きたりすること、という意味が「倦んで」と似ているところでしょう。
ほかに、することがなく時間などを持て余しているさまや、物事に関心が持てず、つまらなく感じるさまをも意味することばです。
「退屈しのぎにゲームをダウンロードしたが、それもつまらなく、余計に退屈になった」
退屈しのぎは、退屈な状態を紛らわせるためにするものごとをいいます。
「徒然」【つれづれ】
兼好法師が書いたとされている書物でも有名ですが、「つれづれ」と読みます。
することがなく持て余していること、手持ち無沙汰なさま、変化のない環境のなかで感じる退屈な気分のこと、またその退屈のなかで物思いに耽ることを、「徒然」といいます。
「休日の徒然を慰めるのは、おしゃれなカフェめぐりに尽きる」
「倦んで」の使い方
「倦(う)んで」は、「〇〇を倦む」や、「倦むことなく〇〇」のように使われます。
「倦(あぐ)んで」は、「〇〇倦ねる」とすることが多いです。
〇〇には動詞が入り、動詞+動詞という、複合動詞のかたちで使われます。
また、「倦ね果てる」のようにも使われます。
読み方によって使われ方がちがうので、文脈のなかでどちらの読みで使われるか、あまりむずかしくなくわかるようになるでしょう。
「倦んで」を使った例文
では具体的に、「倦んで」の例文から、「倦んで」をさらに深く見ていきましょう。
「倦(う)む」という使い方と、「倦(あぐ)む」という使い方、どちらも例文に挙げますので、どちらの読み方かを考えながら見ていってください。
ニュアンスの違いがわかるようになれば、悩むこともなくなるでしょう。
- 「倦んで」の例文1
- 「倦んで」の例文2
「倦んで」の例文1
「一口に息子が悪いとはいいがたいものだから、なんと叱ろうか考え倦ねていた。しかし、帰ってくるなりしゅんとして私に抱きついてきたので、そのまま黙っていることにした」
「〇〇倦ねる」の〇〇に、「考える」が入っています。
「かんがえあぐねる」と読みます。
同じことばかり考えてはいるものの、結論が出せず困っているときに使います。
「言い倦ねる」も同じ意味で使われます。
どうしようか戸惑い、結論が出せないというときに使われます。
「すっぱり別れようというつもりだったのに、彼の顔を見るといつも、いい倦ねてしまう」
「倦んで」の例文2
「勉学には倦むことなく励め、と父がよくいっていた。当時は反発してばかりだったが、大人になってからそのことばが何度となく思い返される」
こちらは「うむ」と読みます。
「倦むことなく励む」とは、退屈に思わずする、ということです。
多くの人がつまらない、と感じるようなことにでもなにごとかを見出し、楽しみを見つけることのできる人は、どんなところでも楽しんで生きていくことができますね。
「倦むことなく励む」というフレーズにはそのように深い意味が込められていますので、ぜひとも覚えておいてください。
「倦」を使ったことば
「倦」には多くの読み方があり、それらは文学作品のなかなどでも見られます。
ふだん何気なく口に出していることばのなかにも、漢字にすると「倦」を使っていた、ということもありえます。
いろんな読み方を知ることで、ことばの意味深さ、幅広さも感じられるでしょう。
たくさんの読みがあると、いったいどの読みで使われているかわからない、ということも起こりかねませんが、どのような意味で使われることばかを知っておくことで、おそらくここではこの意味だろう、この漢字の当て字だろう、などと推測することが可能になるでしょう。
- 「倦い」「倦るい」
- 「倦ゆまず」
- 「倦く」
- 「倦る」
「倦い」「倦るい」
どちらも「だるい」と読みます。
送り仮名は「だ-るい」と使う場合と、「だる-い」と使う場合とがあります。
一般的には「怠い」の字で知られていることばですね。
「昨日飲みすぎたせいか、体が倦るく、覇気がない」
「薬のおかげか、だんだんと鉛のように全身が重たくなり、倦くなってきた」
「倦ゆまず」
「た-ゆまず」と読みます。
「倦ゆまず勤労しているというのに、不景気のせいでボーナスがカットされることになった」
倦むことなく、と似たような意味で使われています。
また、「た」という読みは、「だるい」の濁音が取れたかたちで、「たるい」「かったるい」という場合にも使われます。
「倦まず弛まず」ということばがありますが、この場合は、「うまずたゆまず」と読みますので、間違えないようにしてください。
「倦く」
「あ-く」と読みます。
一般的には「飽く」と書くことが多いです。
飽きる、という意味になります。
「倦くことなき古代への関心と情熱が、彼の人生を決定づけることになるとは思いもよらなかった」
「倦く」を否定していますので、「倦まず」と同じ意味で使われています。
「倦る」
「あき-る」と読みます。
一般的には「飽きる」と書きます。
さきほどの「あく」と同様に、飽きる、という意味で使われます。
「まだ遊んでいたかったが、日暮れは近づき、さきに彼女が倦てしまったので、そこでお開きになった」
「倦んで」は、退屈なこと、疲れること、飽きることなどを意味することばでした。
また、多くの読みがあるものの、どれも意味としては似通っていることがわかりました。
交際においての倦怠期のほかにも、つまらない仕事、飽き飽きした生活と、「倦んで」いることは多々あります。
「倦まずに励む」方法を考えることで、似たように見える毎日のなかにも、きらりと輝く瞬間がたくさん発見できるかもしれませんね!