「涵養」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「涵養」とは、水が大地に染み込むように無理をせずゆっくりと養って育てることです。
「涵養」という言葉の意味・読み方・言い換え・類語・使い方・例文について、詳しく解説していきます。
目次
- 「涵養」の意味とは?
- 「涵養」の類語や言い換え・似た言葉
- 「涵養」の言葉の使い方
- 「涵養」を使った例文
- 「涵養」を使った言葉を解釈
- 「涵養」の対義語
「涵養」の意味とは?
「涵養」という言葉の元々の意味は、降雨・河川の水などの地表にあった水が、地下に浸透していって地下水になることです。
そこから転じて、水が自然に大地に浸透していくように、無理をせずにゆっくりした速度で養い育てていくことを意味するようになりました。
「涵養」という言葉には、じわじわと焦らずにゆっくり「能力・素養・適性・人格」などを養い育てていくという意味があるのです。
涵養は「短期養成・促成栽培」の反対の意味合いを持っています。
そのため、ゆっくりと涵養する対象になるものは、「徳性・人格・教養・文化・精神性」といった十分に身に付けるまでに時間がかかるものが多いのです。
涵養とは無理をせずに少しずつ段階的に成長・成熟させていくという意味があり、人格や教養などの涵養は人生の長い時間をかけた大きな課題になることも多いのです。
- 「涵養」の読み方
「涵養」の読み方
「涵養」の読み方は、「かんよう」になります。
「涵養」の類語や言い換え・似た言葉
「涵養」の類語や言い換え・似た言葉には、以下のようなものがあります。
「涵養」の類語・言い換え・似た言葉について分かりやすく解説していきます。
- 「教養」【きょうよう】
- 「培養」【ばいよう】
- 「練成」【れんせい】
- 「養い育てる」【やしないそだてる】
- 「トレーニング」【とれーにんぐ】
「教養」【きょうよう】
「涵養」の類語・言い換えとして、「教養(きょうよう)」があります。
教養の意味は、「教えて育てること」や「学問・広範な知識・文化活動などによって培われる知的・精神的な豊かさ」になります。
涵養とは「無理をせずゆっくりと養い育てること」なので、「時間をかけて教え育てること」を意味する教養が類語になります。
教養は短期間では身に付けることができず、一定以上の期間をかけて学び続ける必要があります。
「培養」【ばいよう】
「涵養」の類語・言い換えとして、「培養(ばいよう)・栽培(さいばい)」があります。
培養と栽培には「草木を養い育てること」の意味があり、涵養の類語になっています。
培養には「物事の根本的な要素を養い育てること」や「動植物の胚や組織、微生物を人工的に増殖させること」の意味もありますが、物事の根本を養い育てるという意味が涵養の意味と似ています。
「練成」【れんせい】
「涵養」の類語・言い換えとして、「練成・錬成(れんせい)」があります。
練成(錬成)とは、「心身・技術などを鍛え上げて高めること」や「時間をかけて心身・能力を鍛えて立派なものにすること」を意味しています。
涵養とは「無理をせずに時間をかけて養い育てること」ですから、涵養の類語として練成(錬成)を上げることができます。
「養い育てる」【やしないそだてる】
「涵養」の言い換え・似た言葉として、「養い育てる」があります。
涵養とは「地表の水が土に浸透していくように、ゆっくりとした速度で養い育てること」ですから、そのまま「養い育てる」という言葉に言い換えることができます。
「涵養」の類語として「教養」もありますが、涵養にも教養にも共通する意味として「養い育てること」があるのです。
「トレーニング」【とれーにんぐ】
「涵養」の言い換え・似た言葉として、「トレーニング」があります。
涵養とは「無理をせずに時間をかけて養い育てること」を意味していて、その類語として「練成(錬成)」があります。
練成(錬成)とは「心身・技術などをゆっくりと鍛えて高めていくこと」であり、練成という言葉は「トレーニング(鍛錬・練習)」という言葉に言い換えることができるのです。
「トレーニング」はスポーツや身体鍛錬の分野において使い慣れた英単語ですが、トレーニングには涵養に似た「時間をかけて養い育てたり鍛えたりする」という意味があるのです。
「涵養」の言葉の使い方
「涵養」という言葉は、「人格・教養・知性・人間性」などの時間をかけて養い育てていく対象がある時に使います。
短期間で急いでスキルや知識、マニュアルを身に付けようとする時には「涵養」という言葉は使うことができません。
「涵養」は、焦らず無理をせずに時間をかけて人間性・道徳・教養などを養っている時に用いる言葉なのです。
「涵養」の原義は、「降雨・河川などの地表にある水が、自然に土に染み込んでいって時間をかけて地下水を形成すること」であり、そこから転じて「無理をせずにゆっくりと養い育てること」という意味があるからです。
「涵養」を使った例文
「涵養」を使った例文には、以下のようなものがあります。
「涵養」を使った例文を紹介していきます。
- 「涵養」の例文1
- 「涵養」の例文2
- 「涵養」の例文3
「涵養」の例文1
文明社会における学校教育の目的というものは、国語・数学・理科などの教科の知識・情報をただ詰め込むことにあるのではなく、倫理的・文化的な社会生活を営む上で大切な人間性や人格的価値を「涵養」することにある。
「涵養」の例文2
資本主義の市場経済は、商品市場や株式市場をはじめとして企業の短期的な利益ばかりを追い求めているが、人間の幸福・喜びにとって本当に必要なものは他者を思いやって助け合うことができる共感的な心の「涵養」なのである。
「涵養」の例文3
人格を「涵養」することの大切さは、古代の昔から教養人・哲学者によって繰り返し指摘されてきた。
しかし、人間の本性としての利己主義・自己愛がある以上、真の意味で人格や精神を「涵養」することは非常に難しく、状況や利害関係によって人は簡単に利己的な保身・裏切りに走ってしまうのである。
「涵養」を使った言葉を解釈
「涵養」を使った言葉を解釈していきます。
- 「人格を涵養する」
- 「涵養を図る」
- 「涵養に努める」
「人格を涵養する」
「人格を涵養する」というのは、涵養という言葉を使ったもっとも使用頻度の多い慣用的な表現の一つです。
「人格を涵養する」とは、「ゆっくりと時間をかけて人格的な深み・魅力・価値を養い育てていくこと」を意味しています。
有意義な人生経験を積み重ねてそこから新たな物事や意味を学び取っていくことで、魅力的な深みのある人格を涵養していくことができます。
「涵養を図る」
「涵養を図る」という言葉は、「焦らずに少しずつ時間をかけて、物事を計画的・段階的に養い育てていく」の意味を持っています。
涵養を図るという言葉は、「慈善事業(ボランティア)の涵養を図る」や「かつての仮想敵国と新たな外交関係の涵養を図る」といった文章で使用することができます。
時間をかけて計画的・段階的に、何か価値あるものを成長させたり発展させたりしようとする時に、「涵養を図る」という言葉を用いるのです。
「涵養に努める」
「涵養に努める」という言葉には、「段階的に少しずつ時間をかけて、物事を成長・発展させられるように努力をする」という意味があります。
涵養に努めるという言葉は、「文化的な社会活動の涵養に努める」や「道徳的な価値観の涵養に努める」といった文章で使用することができます。
何らかの価値がある活動・人格・価値観などを徐々に成長・成熟させるための努力をしている時に、「涵養に努める」という言葉を使用することができるのです。
「涵養」の対義語
「涵養」の対義語として、「短期養成」「促成(そくせい)」「怠惰(たいだ)」などを考えることができます。
涵養という言葉は「水が自然に土に染み込んでいくように、ゆっくりと養い育てていくこと」を意味していますから、短期間で能力や技術、資格を身に付けさせることを意味する「短期養成」を対義語として上げることができます。
「促成」は「成長や成熟を促して急がせること」や「短期間で成長・成熟させること」の意味を持っているので、涵養の対義語になっています。
「怠惰」も「怠けて堅実に養い育てるための行動・努力をしないこと」や「怠けて自分・社会(他者)にとって意味のあることを何もやらないこと」を意味しているので、涵養の対義語として解釈することができます。
「涵養」という言葉について徹底的に解説しましたが、涵養には「水が土にじわじわ染み込んでいくように、無理をせずにゆっくりと養い育てること」の意味があります。
涵養の類語・言い換え・似た言葉には「教養・培養・トレーニング」などがあります。
涵養の対義語には「短期養成・促成・怠惰」などがあります。
「涵養」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にして下さい。