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「蹲った」の意味とは?類語や例文とともに紹介!

深夜に電車に乗ると、かならずといっていいほど遭遇してしまうのが、泥酔した人。

車両のすみに座り込んだと思うと、そのまま飲み食いしたものをリバース、なんていう場面に遭遇したことのある方も多いのではないでしょうか。

マナーのあるドリンカーとしては感心しませんが、やはりいろんな場面で人間、突然のできごとというものに直面します。

酔ってしゃがみこんだ人のようすを、あなたはどう表現することができますか。

さて、ここでは「蹲った」ということばについて紹介していきます。

蹲った

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「蹲った」の意味とは?類語や例文とともに紹介!>


目次

  • 「蹲った」の意味とは?
  • 「蹲った」の類語や言い換え
  • 「蹲った」の使い方
  • 「蹲った」を使った例文
  • 「蹲った」を使ったことば


「蹲った」の意味とは?

「蹲った」の意味とは?

「蹲った」は、しゃがむ、うずくまる、つくばう、という意味です。

膝を折り、体を丸くしてしゃがむ姿勢のことをいいます。

序文では泥酔して戻してしまう人のことを例に挙げましたが、そういう場合だけでなく、ものを落として拾う、といった場面にも使われることばになります。

  • 「蹲った」の読み方

「蹲った」の読み方

「蹲った」は、二通りの読み方があります。

一つ目は、「うずくま(った)」

こちらの読み方ですと、しゃがんで礼をする、という意味も付加されます。

二つ目は、「つくば(った)」

本題からそれた話をしますと、日本家屋などの縁側近くにおいてある手水鉢のことを「うつくばい」といいます。

手を清めるためにおかれた、背の低い手水鉢に、役石をおいて趣を加えたものです。

茶道の世界において、茶室という特別な空間に向かうための結界としての役割を担ってもいます。

これは手を洗うときに「つくばう(しゃがむ)」ことから、「つくばい」の名がついたそうですよ。



「蹲った」の類語や言い換え

「蹲った」の類語や言い換え

意味はわかるが、どんな場面で使うといいかわからない、漢字が覚えられないので、とっさのときに出てこない、という方もおられるでしょう。

そういうときのために、類語や言い換えのきくことばを覚えておくと便利ですよ。

「蹲った」ということばがすんなり出てこなくても、同じような意味を持つことばがわかっていれば、日常会話に苦しむことは減るでしょう。

  • 「しゃがむ」【しゃがむ】「しゃがみこむ」【しゃがみこむ】
  • 「屈(かが)む」【かがむ】
  • 「平伏」【へいふく】「平身低頭」【へいしんていとう】

「しゃがむ」【しゃがむ】「しゃがみこむ」【しゃがみこむ】

「しゃがむ」「しゃがみこむ」は、膝を曲げ、腰を低く落とす姿勢を意味します。

これはかなり「蹲った」に近いことばになります。

「蹲った」は、過去・完了の助動詞「た」がつきますので、「しゃがんだ」「しゃがみこんだ」と表現すると、より意味あいとして近づきます。

「屈(かが)む」【かがむ】

「屈む」には、

  • 折れ曲がること。特に、手や、足、指、腰など、体の部分についていう。また、身を低くする、しゃがむ、うずくまる。あるいは縮むこと。
  • 人目を盗むため、うずくまり隠れること、物陰などに潜むこと。

という二通りの意味があります。

姿勢としては「しゃがむ」とかなり近いのですが、この二つには、実は歴然とした違いがあります。

それは、歩けるかどうか、という点です。

「屈む」では、「背中を屈めた翁が向こうから歩いてくる」というように、身を低くはしているが歩ける状態を意味します。

「しゃがむ」では、「和式のトイレしかなかったので、しゃがんで用を足す」というように、しゃがんでしまうと歩けない状態になることがわかります。

些細な点と思われるかもしれませんが、こういったことばの繊細な部分を使い分けられると、うつくしい日本語の使い手になれます。

「平伏」【へいふく】「平身低頭」【へいしんていとう】

「平伏」は、両手をつき、頭を地面や床につけて礼をすることをいいます。

「平身低頭」は、ひれ伏して頭を低く下げること、恐れ入ることをいいます。

「うずくまった」の読みでは、しゃがんで礼をする、という意味がありましたね。

こちらの意味に近いことばとなります。

どうしようもない失態をおかしてしまい、謝らねばならない場面や、ものごとや金銭面などにおいて援助をいただき、これ以上ないほどの感謝を示したい場合などに、「平伏する」「平身低頭する」ということばが使われます。

「蹲った」の使い方

「蹲った」の使い方

「蹲った」は、「〇〇は蹲った」を基本のかたちとします。

そこから派生的に、「〇〇は蹲ったまま」「蹲った姿勢」というような使われ方が多くされています。

また、「蹲った」は、獣が前足を立てて座る、犬でいうところのおすわりの姿勢も指しますので、人間以外にも使われることがあります。



「蹲った」を使った例文

「蹲った」を使った例文

使い方を見ていてもよくわからない、という方も多いでしょう。

具体的に例文を使って「蹲った」を説明していきます。

どのように「蹲った」が使われているか、また、自分ならばどんな場面に使うことができるかを考えながら見ていってください。

  • 「蹲った」の例文1
  • 「蹲った」の例文2
  • 「蹲った」の例文3

「蹲った」の例文1

「医師の説明によると、スーパーで買い物途中、急に蹲った母のことを、近くにいた店員が気づき、救急車を呼んでくれたのだそうだ」

この場合では、「〇〇は蹲った」のかたちにはめれば、「母は蹲った」になります。

主になる人物がいて、その人がしゃがみこんでしまう、うずくまってしまう、という文章ですね。

文章が複雑でわかりづらいと感じるときは、必要なことば以外の修飾された部分を一度削ってみることで、シンプルになります。

「蹲った」の例文2

「デビュー当時から応援していた歌手が引退すると聞き、彼はその場に蹲ったまま動けなくなってしまった」

「蹲ったまま動けない」というのはある種の構文といえるでしょう。

「蹲った」ということばを使ううえで、セットになって出てくることが多いのでいっしょに覚えておきましょう。

本当に残念なできごと、悲しいことが起こったときや、苦しくてしゃがみこんだまま動けなくなる場面で使われます。

「蹲った」の例文3

「茶トラの猫はまるで見つかってはいけないかのように、草陰で蹲った」

「〇〇は蹲った」の〇〇に入ることば、主になるものが、人間以外の場合の例文になります。

「蹲った」は、膝を曲げて体を低くするという意味ですので、狭義では膝や関節のある動物に限って使われます。

慣れないうちは、人間に対することばとしてまずは使っていくといいでしょう。

「蹲った」を使ったことば

「蹲った」を使ったことば

「蹲った」を含んだ、よく使われることばがありますので紹介します。

「蹲った」の意味や使い方がわかっていれば、むずかしいことばではありません。

一般に広く使われることばでもありますので、覚えておくと役立つでしょう。

  • 「這い蹲った」
  • 「蹲った姿勢」

「這い蹲った」

「は(い)つくば(った)」と読みます。

身を屈めて四つん這いになることや、体をうつ伏せにすることをいいます。

「心身ともにぼろ布のようになったキャサリンは、教会の扉を押し開き、マリア像を見るとその場に這い蹲った」

「穴の中に落とした玲子の巾着を拾うため、晃は地面に這い蹲って手を差し入れる」

このように、地面などに体をうつ伏せにする姿勢を意味しています。

「蹲った姿勢」

「蹲った」には、「姿勢」がつくこともままあります。

「山の中を進んでいくと、黒い塊が見えた。それが蹲った姿勢の熊だとわかったので、目配せをして迂回路を進むことにした」

「お腹が痛いというのだが、かれこれ一時間ほども蹲った姿勢でいるので、だんだんと心配になってきた」

このように、身を丸く縮め、もしくは屈めている姿勢をいいます。

icon まとめ

「蹲った」は、膝を折り曲げしゃがみこむようすを指すことがわかりました。

悲しいできごとや肉体的、精神的な苦しみに遭ったとき、人はどうしても、「蹲っ」ていたくなることがあるでしょう。

ですが、それも一時のこと、着実に前へ進んでいるからこそ、苦しみが立ちはだかるときもあるのだと思えると、また立ちあがり、歩きだすことができそうですね!