「肩をすくめる」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「肩をすくめる」って、聞いたことはありますが、実際どういうときに使うの?という方いらっしゃるのではないでしょうか。
「すくめる」ってどういう意味?という方も、詳しく説明していきますので、ぜひ一読くださいね。
ここでは「肩をすくめる」について、意味や類語、使い方を、例文を使って紹介していきます。
目次
- 「肩をすくめる」の意味とは?
- 「肩をすくめる」の類語や言い換え
- 「肩をすくめる」の使い方
- 「肩をすくめる」を使った例文
- 「肩をすくめる」の「すくめる」を解釈
- 「肩をすくめる」の対義語
- 「肩をすくめる」心理
「肩をすくめる」の意味とは?
「肩をすくめる」は、肩をちぢめるしぐさのことを意味しています。
そしてここでいう肩をちぢめるというのは、やれやれ、と落胆したり、恐れ入った、呆れた、不本意だ、という気持ちを表すためのしぐさを言います。
また、肩をちぢめる、というのは、人間が寒さを感じた場合に自然にしてしまうしぐさ、という意味もあります。
どちらも「肩をすくめる」になりますので、文脈からどの意味で使われているのか推察する必要があるでしょう。
「肩をすくめる」の類語や言い換え
「肩をすくめる」の意味がわかったところで、つぎによく似たことばの意味を見ていきましょう。
肩、首、眉、目など、日本語には体の一部を使ってしぐさや感情を表すことばがたくさんありますね。
そのなかでも、「肩をすくめる」に似た意味あい、使われ方をしていることばをいくつか挙げていきます。
- 「肩をすぼめる」【かたをすぼめる】
- 「首をすくめる」【くびをすくめる】
- 「眉をひそめる」【まゆをひそめる】
「肩をすぼめる」【かたをすぼめる】
「肩をすぼめる」は、寒さや肩身の狭さゆえに肩を落とし、ちぢこまるしぐさを言います。
「北風の吹くなか、彼は肩をすぼめて去っていった」というと、彼が落胆して帰っていくさまがありありと浮かびあがりますね。
一方「肩をすくめる」は、(両肩を上げるなどして、)不満や落胆の感情を表現するしぐさといえます。
「すぼめる」では、相手に未練があり、落胆しているのですが、「すくめる」では相手の言動に呆れ、落胆している、という違いがあります。
ただし、自分の行ったミスに対して「肩をすくめる」という場合には、このシーンでの「肩をすぼめる」と似た意味あいになってくるでしょう。
だれが、なにに対して「肩をすくめ」ているのか、というところが読解のポイントになります。
「首をすくめる」【くびをすくめる】
「首をすくめる」は、驚嘆したり、恐れ入った、というときに思わず首をちぢこまらせるしぐさを言います。
「和也の話を聞いて、思わず首をすくめた」というと、和也の話はずいぶん、聞き手をぞっとさせたり、驚かせたりしたのだろう、と推察することができます。
呆れるほど恐れ入る、という場面であれば、「肩をすくめる」とかなりよく似た意味あいで使うことのできることばでしょう。
どちらも、ひやり、ぞくりとする場合にも使われることばになっています。
「眉をひそめる」【まゆをひそめる】
「眉をひそめる」は、怪訝に思うことや不愉快なできごとがあったとき、眉間にしわを寄せるしぐさのことを言います。
「いつもみんなの前で醜態を晒しているアキオから声をかけられ、思わず眉をひそめた」
これは、不快であることを明らかに示すことばになります。
「肩をすくめる」では、やれやれ、といった同情のような気持ちも入りますが、眉をひそめるはもうすこし主観的で、嫌なものは嫌だ、という意思表明にもなります。
「肩をすくめる」の使い方
「肩をすくめる」は基本的に、相手の言動に対して使われることばになります。
相手が〇〇をしたので、「肩をすくめる」という流れになります。
能動的な動きというよりは、相手の動作を受けて起こる、受動的な感情を示すことばですね。
また、対人関係だけでなく、雪が降っているなどの自然現象などに対して「肩をすくめる」場合にも同じように、起こったなにかに対する、受け身の動作と言えるでしょう。
「肩をすくめる」を使った例文
では、さまざまな場面での、「肩をすくめる」を実際に使った例文を見ていきましょう。
それ単体だけを見て意味を知るのでなく、具体的にどのような文脈で使われるのかを知ることで、よりことばに対する理解が深まり、語彙が増えますよ。
- 「肩をすくめる」の例文1
- 「肩をすくめる」の例文2
- 「肩をすくめる」の例文3
「肩をすくめる」の例文1
「きょとんとしているだけのわたしを見て彼は、肩をすくめながら最初にもどって説明をしてくれた」
彼は、わたしの様子を受け、それに対して「肩をすくめ」ています。
しょうがないなあ、という呆れを含んでいますね。
人対人という関係のなかで使われる「肩をすくめる」の使用例になります。
ここではわたしの反応が薄く、彼に感謝しているきらいすらありますが、実際にこのような場面で「肩をすくめ」られると、理解力の足りないやつだと思われているのだ、と感じ、不快な気分になる恐れもあります。
「肩をすくめる」ときには、相手や状況が許す範囲内でのほうがいいかもしれませんね。
「肩をすくめる」の例文2
「もう四月も半ばだというのに、冷たい風が吹いた。彼は羽織りの襟を立て、肩をすくめた」
風が吹いたことに対する彼のしぐさとして使われる「肩をすくめる」になります。
これはさきほどの場合とは違い、自然対人、という関係のなかでの「肩をすくめる」として使われています。
後述しますが、「寒さ」を感じる場合の「肩をすくめる」には、肉体的な寒さと、精神的な寒さの二種類がありますので、そちらもあわせて押さえておきましょう。
「肩をすくめる」の例文3
「いたずらがバレると彼女は言い訳をするでもなく、ただ肩をすくめてみせた」
ここでは呆れる、という感情ではなく、バツの悪さを隠したい、照れ隠しのようなかたちで使われていますね。
これまではやれやれ、と感じるのは他人に対してだったのが、「わたしったら、バレちゃったわ」という、自分対自分という関係のなかでの呆れ、になっています。
「肩をすくめる」の「すくめる」を解釈
さてここで、「すくめる」とはいったいなんなのでしょう。
「すくめる」は、ここまで見てきたとおり、体の一部などをちぢませたり、小さくすることを言います。
また、押さえつけること、押さえて動けないようにすること、萎縮させること、という意味も持っていることばです。
これは、「ひったくりの犯人を抱きすくめる」などというように使われます。
「肩をすくめる」の場合には、はじめの意味が使われますね。
最初に見たとおり、「肩をすくめる」は、しぐさとしては肩をちぢこめるようすを言います。
「肩をすくめる」の対義語
「肩をすくめる」は、対人間の場合には、相手の言動に呆れる、という意味あいがあります。
そこから対義語を考えるならば、「脱帽」などが当てはまるでしょう。
「脱帽」とは、相手の言動に対し敬意を示すために帽子を脱ぐことから、比喩的に相手に参った、という意味を表すときに使われています。
「君の鋭い意見には脱帽だよ」
というように、自分の考えをはるかにこえた素晴らしいものに出会ったとき、使われることばになります。
「肩をすくめる」心理
人間は肉体的に寒さを感じたとき、体を縮こまらせるために、肩をすくめるしぐさをします。
首を寒さから守る本能と、筋肉を収縮させることで熱エネルギーを生み出し、あたためようとする作用が働くからだと言われています。
これは肉体的な「寒さ」からくるしぐさですが、精神的、心理的な「寒さ」を感じたときにも人間は、肩をすくめるしぐさをするのです。
精神的な「寒さ」とは具体的にいうと、心配や恐怖、自信のなさなどを表しています。
人は肉体的、精神的に「寒さ」を感じたときに、「肩をすくめる」生きものなのですね。
また、よく似たことば、として上述した三つのことばも、どれも人間の感じる「寒さ」に対することばになります。
「肩をすくめる」とは、肩をちぢこめることだとわかりましたね。
だれが、どうして肩をちぢめているのかを考えれば、文章のなかで起こっていることが、呆れるようなことなのか、寒さを感じているのか、ぞっとしているのか、という違いに気づくことと思います。
使い方をマスターし、どんな「肩をすくめる」が来ても太刀打ちできると、文章を読むことも楽しくなるに違いありませんね!