「一端を担う」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
「一端を担う」とはどんなときに使われることばなのでしょうか。
ここでは、「一端を担う」の意味や類語を、例文とともにご紹介します。
どこかで聞いたことがあるけど、実際どんなときに使ったらいいの?という方も、自分の使い方があっているのかたしかめたい、という方もぜひ一読くださいね。
目次
- 「一端を担う」の意味とは?
- 「一端を担う」の類語や言い換え
- 「一端を担う」の使い方
- 「一端を担う」を使った例文
- 「一端を担う」の漢字から解説
- 「一端を担う」の対義語・似た反対語
「一端を担う」の意味とは?
「一端を担う」とは、あるものごとについて、全体ではなく、部分的に責任や役割を持っている、というときに使われることばです。
昔はなにかを運ぶとき、棒をかついで運んでいました。
一人で運ぶ場合もありましたが、重いものなどを運ぶ場合には、二人の人間が棒の両端を片方ずつ持って運んでいました。
そのときの、「一端を」持つ、というところからできたことば、と言われています。
- 「一端を担う」の読み方
「一端を担う」の読み方
「一端を担う」は、「いったんをになう」と読みます。
「いっぱし」ではありませんので、気をつけて覚えてください。
このことばは、「一端」を「担う」という二つのことばから成っていますね。
わかりにくいことばに出会ったときは、分解して考えると理解が進む、ということがありますので、「一端」と「担う」について、のちほど詳しく書かせていただきます。
「一端を担う」の類語や言い換え
では、意味と読みがわかったところで、「一端を担う」によく似た言い回しを見ていきましょう。
ほかにどんな言い方ができるのか、またそのことばとのニュアンスの違いなどが見えてくると、より繊細な語彙の選び取りができるようになっていくでしょう。
- 「片棒を担ぐ」【かたぼうをかつぐ】
- 「加担(荷担)する」【かたんする】
- 「一翼を担う」【いちよくをになう】
「片棒を担ぐ」【かたぼうをかつぐ】
さきほどの荷物持ちの話からも、同じような場面から成ったことばということがわかりますね。
これも、計画や仕事に加わり協力する、という意味には違いないのですが、多くの場面では、「悪事」に対して使われます。
「盗みの片棒を担ぐことで、組のなかでの地位を確立したかった」
このような使われ方ですね。
また、似たことばに、「先棒を担ぐ」「後棒を担ぐ」というものもあります。
どちらもすこしずつ意味は異なりますが、どれも悪事に対して使われることの多いことばになっています。
「加担(荷担)する」【かたんする】
どちらの漢字の場合でも、「かたん(する)」という読みになります。
そもそもは荷物を背負うこと、という意味で、「荷担」の字を用いて使われてきたことばなのですが、近代以降は、「加担」の字を使うことが増えました。
また意味あいも、他人の荷物を背負う、というところから転じ、協力する、味方になる、となり、悪事の力添えをしたり仲間になる、という、「片棒を担ぐ」にほど近い意味として使われることが多くなっています。
「犯罪に加担してしまったのには深いわけがある」
こうしてみると、「片棒を担ぐ」にもよく似たことばだとわかりますね。
これらにくらべ、「一端を担う」には、プラスのイメージも、マイナスのイメージも含まれません。
「一翼を担う」【いちよくをになう】
ビジネスシーンや就活での志望動機などに、「御社の一端を担う人材となりたいです」と書いたとします。
これでも悪くはないのですが、先述のとおり、「一端を担う」には、マイナスイメージこそないけれど、かといってプラスイメージも持たれない、という特徴があります。
よりポジティブな印象を持たれたい、というシーンではこの、「一翼を担う」を使われるといいでしょう。
「ぜひとも御社の目標の一翼を担う人材となりたいです」
このような言い回しは、社において、自分が任せてもらえる仕事の責任をまっとうしたい、という強い意志を感じさせるものになります。
「一端を担う」の使い方
多くの場合、「○○の一端を担う」というかたちで使われます。
「片棒を担ぐ」や「一翼を担う」と違い、ポジティブイメージもネガティブイメージもないことばですので、どんなシーンにもある程度対応がきくことばでしょう。
「一端を担う」を使った例文
具体的にどのように使うといいのか、例文を参考に見ていきましょう。
単語や熟語なども含め、ことばは使い方を例文とともに理解していくことが重要です。
この例文からすると、こんな使い方もできるな、というふうに、どんどん語彙の幅を広げていくことができるでしょう。
- 「一端を担う」の例文1
- 「一端を担う」の例文2
- 「一端を担う」の例文3
「一端を担う」の例文1
「まさか自分が、これだけの精鋭が一堂に会するプロジェクトの一端を担うことになるとは思ってもみなかった」
このプロジェクトというのが、よい仕事であれ、悪事であれ、使うことができるのが「一端を担う」の特徴といえるでしょう。
ひるがえすと、例文を見ているだけではこれがいいことなのかどうか判断がつかないとも言えますが、実際の会話や文書のなかでは、文脈から察することになるでしょう。
「一端を担う」の例文2
「妻には申し訳ないが、この件に関しては責任の一端を担っていないなどとは、口が裂けても言えない」
ここではあまりよくない場面での「一端を担」ってしまっているのでしょう。
「加担していないなどとは」と言い換えられる場面ともいえますね。
この例文では、「片棒を担ぐ」を使ってしまうと、より悪事の度あいがひどく、犯罪を意味する文になります。
使うことばにより、書かれていない部分の意味あいが大きく変わりますので、自分の伝えたいことがきちんと伝わるよう、適切な語彙選びをする必要がありますね。
「一端を担う」の例文3
「祖父は若い時分、日本の伝統工芸を美しいかたちで残すための事業の、一端を担っていたのだそうだ」
この場合はどちらかというと、よい印象として使われています。
「一端を担う」はこのように、ある種、変幻自在、どこにでも馴染んでくれる、カメレオンのような特性を持っています。
良し悪しを強く強調したい、という以外の場面では、広く使われることばでしょう。
「一端を担う」の漢字から解説
それでは序盤に前置きしていましたとおり、「一端を担う」を、「一端」と「担う」に分解し、漢字から意味を汲んでいきましょう。
意味がわかっているということばでも、ばらばらにして考えると新しい発見のある字もすくなくありません。
- 「一端」
- 「担う」
「一端」
「一端」は、一方の端、というここで使われている意味のほかに、一部分、という意味もあります。
端に限らず、部分的なことを意味するのですね。
また、布などの長さを測る単位としての「一端」もあります。
「一端」はおよそ十・六メートルです。
また、「端」という文字だけを見ていくと、上記の意味のほかに、ものごとのはじめ、きっかけ、糸口という意味もあります。
「一端を担う」では、一方の端という意味で使われていますが、「一端」や「端」だけを使うときには、べつの意味にもなるということがわかりますね。
「担う」
「担う」というのは、ものを肩に乗せて、支え持つという意味、さらにそこから転じて、自分の責任として引き受けたり、負担したりすることの意味を持ちます。
自分のクラスを受け持ってくれる先生のことを「担任」と言いますね。
これは任されたクラスを、自分の責任で引き受けている人、という意味になります。
「一端」と「担う」の意味がわかると、「一端を担う」が、責任を持って一方の端を担ぐことだとよくわかります。
「一端を担う」の対義語・似た反対語
「一端を担う」の反対語というと、「協力する」ことの反対になるので、「妨害」や「敵対」といったことばが当てはまるでしょう。
「プロジェクトが失敗するよう、妨害電波を送る」
「今度の試合では、敵対しているGチームが相手だ」
このように使われます。
ここまで、「一端を担う」の意味や読み、類語などを、例文とともに見てきました。
「一端を担う」と責任が生じますので、軽々しく口に出せることばではないかもしれませんが、だれしもが社会の「一端を担っ」て生きています。
気負わず、自分の興味のある分野に邁進して、素敵な人生になるといいですね!