「網羅」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語には、語源となっている物と、転じてそうなった意味が全く異なる言葉があります。
今回ご紹介する「網羅」という言葉も元々は全く違う意味を持つ言葉でした。
ビジネスなどでもよく使われる言葉ですので、しっかりと意味を把握して使っていきましょう。
目次
- 「網羅」の意味とは?
- 「網羅」の類語や言い換え
- 「網羅」の使い方
- 「網羅」を使った言葉
- 「網羅」の意味を分解して解釈
「網羅」の意味とは?
「網羅」とは、「残らず取り入れること」や「あまりなく尽くすこと」という意味を持つ言葉です。
ある事柄に対して「全て余すことなく、漏らすことなく事細かく集める」という事です。
例えば、国語辞書は日本に存在するあらゆる言葉を集めて掲載し意味を解説している本です。
「国語辞書は日本の単語を網羅した本」と表現できるでしょう。
「網羅した」と聞くと「全てを理解している・把握している」という意味に捉える方もいますが厳密には違います。
把握したり理解するのとは違って、とある分野や、その事柄を取りまとめているグループに関する情報を全て集め尽くしているという意味合いです。
とにかく情報量が多い、という事です。
- 「網羅」の読み
- 「網」と「羅」
「網羅」の読み
「もうら」と読みます。
使用するときには「網羅する」や「網羅した」という形にして使いましょう。
「網」と「羅」
「網」はその昔、魚を取る道具として呼ばれていました。
「羅」は鳥を捕らえるための道具でした。
網というのは糸などの繊維を荒く編み作り上げる物です。
網の目の間を通らない物は根こそぎかき集めることができます。
そこから「人を束縛するもの」や「法律や制裁」という意味の言葉へと転じました。
更にそれから意味が派生し「網で魚をとり、羅で鳥を捕まえるように、ありとあらゆるものを残さず取り入れる、集める」という意味で使われるようになったとされています。
「網羅」の類語や言い換え
網羅と似たような類語の中から今回3つご紹介します。
- 「多岐にわたる」【たきにわたる】
- 「間口が広い」【まぐちがひろい】
- 「全般」【ぜんぱん】
「多岐にわたる」【たきにわたる】
物事について、「多方面に分岐して異なる分野や話題にも及んで手広く行われている」という意味を示す言葉です。
何かに限定せずに色々な事を幅広く知っている・やっているという意味で使われます。
特定の事柄や分野の情報を集めつくした「網羅」とは少し意味合いが異なりますが、分野は違えど「手広く」という部分が似ています。
「間口が広い」【まぐちがひろい】
元々は家屋などの正面の幅の広さが広いことを指す言葉でしたが、転じて「事業・研究などの領域の広さ」をたとえる比喩表現としても使われています。
「多岐にわたる」と非常に似ています。
1つの事だけに絞られず、他の分野にも事業や研究が及んでいるという事です。
「全般」【ぜんぱん】
「ある事柄、ある物事全体にわたって及んでいる」という意味です。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、たとえば「スポーツ全般」と言うと、「スポーツに関する事全体」ということを指しています。
スポーツといっても、競技の種類やそのルール、道具など関する情報はたくさん存在します。
その全てを表しているのが「全般」という言葉です。
「スポーツに関して特定せず全体的に」という意味合いです。
「網羅」の使い方
ビジネスの場などでもよく使われる「網羅」という言葉。
急に使われて意味がわからないという事にならないよう例文を参考にしっかり把握しておきましょう。
- 「網羅」の例文1
- 「網羅」の例文2
「網羅」の例文1
「歴代総理大臣を網羅する」
「網羅する」というのは余すことなく尽くしている、つまり取り逃がすことなくその事柄についての情報を集めつくしているという意味でしたね。
たとえばこの例文のように歴代総理大臣も、今までずっと何代も色々な人物がかわるがわる務めてきました。
その細かい情報や具体性はともかく、何代目は誰で何人いたかなどの歴代総理大臣についての膨大な情報を集めつくしたという意味です。
「網羅」の例文2
「この専門書一冊でビジネス用語を網羅できる」
とある事柄の隅々まで全て情報を集めつくすのが「網羅」です。
この例文のように、「ビジネス用語」というのは様々な表現があり、全ての語句を集めるのには膨大な量となる事でしょう。
専門書などは、とある事柄や分野に特化して事細かに情報を掲載しています。
意味を把握しているかどうかの具体性はともかく、用語全てを集め尽くしたという意味です。
「網羅」を使った言葉
「網羅」を使った言葉というのはあまりありませんが、そのうちよく使われている2つをご紹介します。
- 「網羅性」
- 「網羅的」
「網羅性」
索引法という法律の用語として使われている言葉です。
書籍などの最初や巻末に索引がありますが、それを作成する理論にもきちんと法律で定められている事項があります。
その用語として使われるのが主ですが、一般的にも「どれだけ多く知りつくしているか」というような意味合いで使われています。
たとえば野球について博識な人がいたとしましょう。
ルールでも選手でも、野球に関する全てを余すことなく知りつくしていて答えられるのであれば「網羅性が高い」と表現できるでしょう。
ただしあまり良い意味ではなく「理解度や把握している情報の質はともかく、ただ単に知っている情報量が多い」という意味で使われる事もあります。
「網羅的」
「網羅」に接尾辞である「的」をつけた言葉です。
意味合いはほぼ「網羅する」とは変わりませんが、「網羅的に〜する」という表現は、「すみからすみまで、片っぱしまで余すことがないように〜する」ということを指します。
「幅広く」という言葉と近い表現です。
「網羅」の意味を分解して解釈
「網羅」という言葉もそれぞれの漢字にはきちんと意味があります。
分解して解説します。
- 「網」
- 「羅」
「網」
「網」とはその1字で「あみ」とも読み、何かを捕まえたりするために糸や繊維を荒く編んで作った道具を指します。
昔は、主に魚を取る道具として「網」が使われていました。
英語では「ネット」と言いますね。
そこから広い意味では「編みこんで作られた物」を総じて呼ぶ事もあります。
さらにそれが転じて、「縦横に細かく張り巡らせたもの・組織」を指してたとえる事もあります。
例えば「捜査網」という言葉がありますが、捜査をするためにネットを張っているわけではなく、捜査機関が犯人を見つけたり情報を集めるためにまるで網の目のように細かく張り巡らせた組織のことを言います。
「羅」
「羅」とはいくつも意味を持った言葉です。
「網」と対照的に、「鳥を捕る網」を指す事もあれば、「うすぎぬの織物」を指す事もあります。
また、「間を詰めて並べた物」という意味も持っています。
「羅」を使った言葉に「森羅万象」という有名な四字熟語がありますが、「森羅」とは限りなく並び連なっているという意味です。
主に「びっしりと並び、連なっている」という意味合いで使われる漢字です。
「網羅」という言葉には、とても幅広く全てを拾い上げ、知り尽くしているような意味合いが込められていますが、その具体性は問いません。
その分野、特定の事柄に関する情報を「どのくらい集めているか」という量に重点を置いた言葉です。
「網」という言葉でいえば、インターネットもある意味世界中の情報を網羅していると言えます。
しかしながら、その中の情報の取捨選択はユーザーに委ねられています。
知るだけでいるのと、きちんと深く理解するのとでは雲泥の差です。
全ての情報を網羅することよりも、ひとつひとつの情報を深く理解し活用できるようにしたいものですね。