「培う」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
日常生活でもビジネスシーンでも、よく使われることが多い「培う」という言葉。
何気なく当前のように使ってはいますが、しっかりと意味を考えたりどんな時が適切なのかなどを深く考えた事がある方は少ないかもしれません。
また似たようなニュアンスの言葉があるのでどう違うのかなども迷う事もあるでしょう。
今回は「培う」の意味・や使い方、ニュアンスなどについてみていきたいと思います。
目次
- 「培う」の意味とは?
- 「培う」の類語や言い換え
- 「培う」の使い方
- 「培う」を使った例文
- 「培う」の反対語や対照語・対義語
- 「培う」を使った言葉
「培う」の意味とは?
- 「培う」の読み方や意味
- 「培う」の語源や成り立ち
「培う」の読み方や意味
「培う」は【つちかう】と読み、
- 根元に土をかけて植物を育てる事
- 大切に養い育てる事
- 人の能力や可能性を、時間をかけて育成や向上させる事
などの意味があります。
「培う」の語源や成り立ち
「培う」は元々、植物を根から時間をかけて大切に育てるという意味を持っています。
ここから派生して、人に対しても使われるようになりました。
人の能力や可能性、努力や感性、精神力など、あらゆるものに対してコツコツと伸ばす時や育成する時のために使われるようになりました。
「培う」という漢字は【土】偏です。
ですからいかにこの漢字が植物や土と関係が深いかがわかりますし、派生した理由もわかると思います。
植物を育てるにはそれ相当の時間や期間が必要になります。
一つずつ性格も性質も違いますし、個性やクセ、育つスピードも必要な肥料も違います。
同じ植物に同じ事をしても、途中で傷んでしまったり、逆に早く咲きすぎてしまう事もあるでしょう。
手塩に掛けてもうまくいかない時もあれば放っておいても逞しく咲き誇る事もあります。
だからといって単に咲けばいいというものでもありません。
そのような様子が人間の成長する姿と重なる為、「培う」という言葉が表現の一つとして使われるようになったようです。
「培う」の類語や言い換え
- 「養う」【やしなう】
- 「育む」【はぐくむ】
- 「積む」【つむ】
「養う」【やしなう】
「培う」とよく比べられ、どちらも同じような意味がある「養う」という漢字ですが、
- 自分の収入で家族などを扶養したり、面倒をみる事
- 衣食住の世話に加えて、病人などを療養させたり養生させる事
- 心や内面などを満たす事や、さらに深みや幅を広げるように努力する事
などの意味があります。
「培う」との違いとしては「培う」の中に「養う」があるといった形になり、「養う」は物事を"栄養"にし、「培う」はその"栄養"を得たものをさらに"培養"や"栽培"して増やしたり向上させる事をいいます。
ニュアンスは似ていますし、同じ意味合いではありますが、実際に使用する時には区別をしないと、「家族を培う」とは言わないように違和感を感じてしまうかもしれません。
- 「養うために朝から晩まで働いた」
- 「養うと約束したのに一向に働かない」
など。
「育む」【はぐくむ】
「育む」とは《大切に大事に優しく育てる》という意味であり、「培う」とは意味が異なります。
ですが「養う」と同様「培う」という意味の中に「育む」という意味合いが含まれています。
《養い育てていくこと》を「培う」というため、手塩に掛けたり愛情をかけないと、つまり目を掛けないと大切な能力や可能性は花を咲かしません。
また「育む【はぐくむ】」という言葉は「羽包む【はくくむ】」とも書きます。
この「羽包む」は、親鳥が羽でヒナ鳥を包み、大切に育てるという意味があり、転じて愛情を持って大切に育てることを「育む【はぐくむ】」というようになったと言われています。
- 「手を取り合い、愛情を育んで生きていきます」
- 「子供の夢を育みたいと思っている」など。
「積む」【つむ】
「積む」という言葉には色々な表現や意味があります。
単純に物の上に物を重ねたり置く事や、物や荷物などの物質的な物を何かに載せる事、そして物事を繰り返し行ったり、能力や経験などの目に見えない物を重ねる場合にも使われます。
「培う」とは直接の意味合いは違いますが、何かを「培う」には努力を重ねたり経験値を踏まなければいけないという意味では似ているのではないでしょうか。
- 「今まで様々な業種の職業をして経験を積んできました。
今後もその経験を活かしたいと思います」
- 「色々な事を積んできたからこそ、今があり、未来に繋がっているのだと思う」
など。
「培う」の使い方
長い時間をかけて、コツコツと大切に養い育てるという意味が「培う」なので、そのようなシチュエーションになった時やその状況にいる人物に対し使います。
基本的には精神力や人間関係、人生の糧になるようなものや経験や能力などを向上させる為に養い育てる時に使うので、単純にやった事がある程度の事や体験しただけの事には使いません。
例えばアルバイトでずっと皿洗いをしていただけでは「培った」事にはなりません。
その皿洗いから何かを感じ、何かが身に付いていないと、ただ行為を繰り返していただけで「培った」事にはなりません。
「培う」を使った例文
- 「培う」の例文1
- 「培う」の例文2
- 「培う」の例文3
- 「培う」の例文4
- 「培う」の例文5
「培う」の例文1
「その教材は子供の思考力や発想力を培うのに役立つと思うのでおススメします」
「培う」の例文2
「土いじりが大好きで、それが趣味な人は、常に植物と触れ合いたいので様々な花や草木を自宅で培っている場合が多い」
「培う」の例文3
「国際感覚を培うには、留学をしたり、積極的に外国人との交流を深める事につきる」
「培う」の例文4
「過去に人を信じて痛い目に遭ったので、警戒心が培われて簡単には信用をしなくなった」
「培う」の例文5
「営業の職が長かったので、沢山の人に会ってきた。そのお陰でコミュニケーション能力が培え、前向きに物事を考えられるようになった」
「培う」の反対語や対照語・対義語
「培う」には反対語や対義語などの具体的な言葉はありません。
ただ意味的にはポジティブであり、未来に向かって前向きな状態であったり、可能性を含む表現なので、あえて反対語や対義語などを挙げるとすれば、「衰退する」や「後退する」、「衰える」などになります。
「培う」を使った言葉
- 能力を培う
- 感性に培う
- 友情を培う
能力を培う
能力を「培う」とは、じっくりと時間をかけて、自分の生まれ持った能力や可能性、まだ見出せていない特技などを、経験や物事を繰り返す事で表面化したり、確信に変える事をいいます。
簡単にできる事ではありませんし、しっかりと日頃からアンテナを立て、努力をし、心を込め、大切に時間を過ごす必要があります。
逆に言うと、短期間で容易く繰り返し行っていただけでは意味はなく、培った事にはなりません。
根を張り、芽を出すには時間がかかるからこそ意味があり、貴重な能力として認められるという事になります。
感性に培う
「培う」という言葉は、この言葉の前にくる助詞で意味が変わってきます。
例えば「感性を培う」は、それ自体が目的になってしまうため、物事で感性を培うために取り組む事にはなりますが、「感性に」ならば、既に自身の中にある感性に対して物事に取り組むという意味になります。
感性とは「物事を心に感じ取る能力」なので、個人で違います。
「感性を培う」としてしまうと、伸ばすというよりは感性そのものを見つけ出さないといけないという解釈が成り立ちます。
わざわざ見つけるのではなく、持っているものを伸ばし育てるといった「感性に培う」の方が、ニュアンスとしてはポジティブになります。
友情を培う
「培う」とは何度も述べている通り、時間をかけ、じっくりとその物事や状況、人物にたいして大切に養い育てる事をいいます。
ですから人間関係や友情や愛情などにも用いられる言葉になります。
「育む」という意味が含まれる言葉でもあるので、お互いの信頼性や絆を築いていくには時間が掛かるのは当然ですし、簡単に作れるものではありません。
一言で「培う」といっても、意味には深いものがある事が分かりました。
その状況に合わせて、適切な表現や言葉を使えると語彙力の幅も広がり伝えやすくなるのではないでしょうか。