「落暉」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
みなさん「落暉」ということばを知っていますか?なかなか聞き慣れないですね。
「暉」という文字に関しては、ほかで見たことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、「落暉」の意味や使い方などをご紹介致します。
目次
- 「落暉」の意味とは?
- 「落暉」の類語や言い換え
- 「落暉」の使い方
- 「落暉」を使った例文
- 「落暉」を使ったことばの解説
- 「落暉」の対義語
「落暉」の意味とは?
「落暉」とは、夕日のことを言います。
入日、没する太陽、落日などとも言えますね。
「落日」と言われると納得ですが、「落暉」というとつい、身構え、知らないものとして扱ってしまいますね。
「落」の字はみなさんもご存知だと思います。
落ちる、ということばはありふれていますが、この字には、「低くなる」や「衰える」「力をうしなう」といった意味もあります。
日が落ちる、というのは、太陽が下へ落ちる、というだけでなく、低く見える、光の力が弱まる、とうふうに捉えることもできますね。
そして「暉」という字には光や輝きといった意味があり、転じて太陽を指し示すことがあります。
「暉」という字を使って、「あきら」くん、という名前の男の子もいるかもしれません。
- 「落暉」の読み方
- 「清暉」
- 「暉暉」
「落暉」の読み方
「落暉」は、「らっき」と読みます。
「暉」の字の意味はさきほど紹介しましたので、今度はほかの熟語を紹介します。
そちらを参考にされると、より「暉」の文字が腑に落ちてくることと思います。
「清暉」
「せいき」と読みます。
こちらは、清らかな光という意味になります。
また、この光は、太陽や月の光を示すことが多いでしょう。
澄み切った冬の日の夜、高い空に浮かぶ月の光のことなどを「清暉」と表します。
「暉暉」
「きき」と読みます。
こちらは、照り輝くさまを意味します。
特に、日光などが照るときに使われます。
「星々が暉暉として輝いている」のように使えますね。
しかしなかなか、普段遣いにはむずかしそうですし、相手が理解できるかどうかもわかりませんね。
ですが、かしこまった手紙の挨拶文に、時候の挨拶として、など使い方は模索すればあるでしょう。
「落暉」の類語や言い換え
とはいえ、実際「落暉」を用いる場面はあまりないかもしれません。
ですので、「落暉」以外のことばに言い換えはできないか、また類語はないかどうか、こちらで説明します。
どちらかというと、類語のほうが多用されているかと思いますので、こんな言い方もあったな、というふうに見ていただけるでしょう。
- 「斜陽」【しゃよう】
- 「夕暉」【せっき】
- 「夕映え」【ゆうばえ】
- 「そのほかに」【そのほかに】
「斜陽」【しゃよう】
太宰治の小説にもありましたね。
「斜陽」は、西に傾いた太陽や、斜めにさす夕方の光のことを言います。
また、世の中の急激な変化についていけず、没落した元上流階級の人々をさして、「斜陽族」と言ったり、かつては勢いのあったが没落した産業のことを、「斜陽産業」と言ったりもします。
ここでは素直に、夕日やその光のことをさす「斜陽」として紹介します。
「夕暉」【せっき】
こちらも夕日の光、入日のことをさします。
似たようなことばで「残暉」というものもあります。
どちらもやはり、普段遣いには適しませんが、「落暉」と並べて覚えておくと便利でしょう。
「夕映え」【ゆうばえ】
夕日の光を浴びて美しく映えることを言います。
「秋の田に立ち、夕映えの雲を見ていると、昔が懐かしく思い起こされる」
このように、なにか対象物が、光によって映える、というときの、その光のことを夕映えと言います。
こちらは比較的、日常のなかにも取り入れやすいですね。
「そのほかに」【そのほかに】
すこし広義に、光というワードから外れてみると、ほかにも「黄昏」や「逢魔が時」、「宵」「宵闇」など、美しい日本語が多々あります。
夕日、と一口に言うのもいいですが、落日、入日、夕暮れなども含め、いつも使わないことばで、夜に向かっていく、空が真っ赤に染まり、すこしずつ暮れていく時間を味わってみると、いつも見ている景色も感慨深く感じられそうですね。
「落暉」の使い方
「落暉」は、普段遣いのことばとしてはあまり使われていませんが、俳句のなかではよく出てくることばです、もはや俳句用語のようになりつつあるのではないでしょうか。
夏の季語としては、「夕焼け」という季語が別にあるようですが、「夏落暉」などという使い方をして、その季節の夕日を示すことがあります。
「夕焼け」というのと「夏落暉」というのとでは、感じ方も、目に浮かぶ景色も、語感もまるで違いますね。
「落暉」を使った例文
「冬落暉 檻のけものら 声あげて」なんて俳句があります。
このように、季節を示すことば+落暉(落日)という使い方をすることで、季節と時間を表すことができますね。
俳句で使われる場合には、ほかに文字数の縛りなどありますので、適した使い方が好まれるのでしょう。
「落暉」を使ったことばの解説
それではここで、「落暉」を使ったことばを二つほど紹介します。
夏落暉、冬落暉のように、季節や季節を思わせることばとの組みあわせがよく使われています。
春落暉、秋落暉などと言えば、どんな空模様や景色が思い浮かぶでしょう?そんなふうに、ことば遊びを楽しむ心が、新しい句や新鮮なことばを楽しむことにつながっていきますよ。
- 「大落暉」
- 「寒落暉」
「大落暉」
「大落暉 今に点火の 枯すすき」
この句で言われる落暉は、実に見事な夕日であった、という使われ方をしています。
ここでの季語は「すすき」のほうに譲っているのでしょう。
ただの落暉でなく、「大落暉」というあたりに、著者の見た太陽への驚き、感嘆、リスペクト、じんと心に沁みるような、いつまでも忘れられない、という心情がこめられていますね。
ああ、美しい……と俳句にして留めておきたくなる気持ちが伝わってくるような、そんな夕日だったのでしょう。
「寒落暉」
「寒落暉 その淋しさを 食い繋ぐ」
「寒」と言っているのですから、冬なのでしょう。
「冬落暉」というのとではまた趣きが違ってきますね。
日の短い冬の夕暮れ、ああ、また夜が来るのか、といった感慨のなかにも、冬には冬のよさがある、という肯定的な印象を持たせるのが「冬落暉」ではないかと思います。
それにくらべ「寒落暉」には、そういうポジティブな印象を感じさせず、とにもかくにも寒いのだ、いつになったらこの冬は終わるのだ、いつになったらこの夕暮れは明けるのだ、というような嘆きを感じます。
たった一文字の違いが大きな差を生む。
そんなところも日本語の面白みではないでしょうか。
「落暉」の対義語
夕日やその光の対義語、ということですから、日の出、朝日ということになります。
自然にある万物に神様がいる、という信仰が古くから根強く、太陽ともなればすべてのはじまりの神として崇拝してきた日本ですから、「日の出」ともなれば、さまざまなことばがあります。
次の項目では、そのなかから特に美しい日本語をいくつか紹介します。
- 「日の出」の類語
「日の出」の類語
登山客に人気なのが「ご来光」ですね。
これも、日の出のその瞬間の光を見に行くことですので、「落暉」の対義語と言えるでしょう。
ほかに、「来迎」「暁光」などもあります。
「暁」といえば、「春眠暁を覚えず」で有名ですね。
そのほかにも「曙」「鶏鳴」「薄明」などがあります。
どれも美しい日本語ですね。
厳密には明け方の、日の出の時刻のなかでも、すこしずつ意味合いが違います。
使い分けはむずかしいですが、広義にはどれも「日の出の頃」を言いますので、いろいろと使ってみると面白いでしょう。
「落暉」とは、夕日やその光のことをいう、ということがわかりましたね。
聞き慣れないことばですが、俳句の世界では現在も使われていることばですので、俳句の趣味がある方に向けて使ってみても、喜ばれるかもしれません。
さまざまな言い換えのできる日本語の面白みがすこしでも伝われば幸いです。