「五里霧中」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
「五里霧中」の意味や類語と「五里霧中」を使った例文や由来、類語を紹介します。
さらに「五里霧中」を使った例文や、言葉の由来を紹介して行きます。
目次
- 「五里霧中」の意味とは?
- 「五里霧中」の類語や言い換え
- 「五里霧中」の使い方
- 「五里霧中」を使った例文
- 「五里霧中」の由来
「五里霧中」の意味とは?
「五里霧中」という言葉を使った事はあるでしょうか。
または「五里霧中」という状態を、経験した事があるでしょうか。
「五里霧中」は「ごりむちゅう」と読みます。
「五里霧」とは、五里四方に立ちこめる深い霧の事で、「目の前に何も見えなくなるような深い霧」の事です。
ちなみに一里は約4kmの事ですから、「五里霧」の霧がどれだけ深いのかを容易にうかがい知る事ができます。
「五里霧中」は「五里霧」のようなとても深い霧の中にいる状況を指します。
- 「五里霧中」意味
「五里霧中」意味
深い霧の中にいる自分をイメージしてみると、自分がどこにいるのか、どこに向かって歩いているのか、何もわからない状態だと分かります。
つまり「五里霧中」とは、何もわからない状態を意味し、物事の様子や意味が分からない状態、事情がはっきりしない状態を意味します。
さらにそのような深い霧の中で、何とか活路を見出そうと動いている姿や、絶望的な気持ちになりながら霧の中でもがいている人の様子も表現する事ができます。
例えば就職活動を始めたばかりで、自分がどの程度の企業に就職できるのかがわからない状態の学生や、そもそも就活の仕方が良く分かっていない人は「五里霧中」といえるでしょう。
人生の目標が決まらずに、自分がどうしたいのかが分からない人も「五里霧中」の状態といえるでしょう。
このように「五里霧中」は、人生で比較的陥りやすい状態を表した言葉です。
すべての事柄を始める時は、誰でも初心者ですから「五里霧中」になりやすいかもしれません。
「五里霧中」の類語や言い換え
次に「五里霧中」の類語や言い換えをチェックしてみましょう。
人生を生きる上で、不安に感じるような状態に陥った人を言い表す時に使う言葉がそろっています。
自分の状況や、誰かの状況を言い表す時に、いちばんしっくりくる言葉を探してみましょう。
- 「孤立無援」【どくりつむえん】
- 「四面楚歌」【しめんそか】
- 「暗中模索」【あんちゅうもさく】
- 「孤軍奮闘」【こぐんふんとう】
「孤立無援」【どくりつむえん】
「孤立」はひとりぼっちになる事を意味し、「無援」とは、応援がないという意味で、誰も助けてくれない状態を意味します。
つまり「孤立無援」は、ひとりぼっちで、誰も助けてくれない状態を意味します。
途方に暮れたくなるような、とても切ない状況という意味で「五里霧中」と共通点のある言葉です。
人間は昔から集団生活を送る事を基本にして生きている動物ですから、「孤立無援」の状態はとても困ります。
狩猟採集時代なら、「孤立無援」は死を意味するような言葉だったはずです。
一人で何でもできそうな現代の暮らしでも、「孤立無援」に陥ると、かなり人生が苦しくなりますので注意が必要です。
「四面楚歌」【しめんそか】
周囲が敵ばかりで、誰も味方がいないような状況を「四面楚歌」といいます。
「四面楚歌」は、中国の歴史的な出来事が基になってできた言葉です。
はるか昔の中国で、項羽と劉邦という二人の将軍が率いる軍が、天下を競って争っていました。
徐々に劉邦が勢力を増して、項羽を攻め立てます。
最終的に城に追い詰められた項羽の周囲には、うなるような敵軍が群れを成しています。
それでも最後まで戦おうとする項羽ですが、城の外から故郷の「楚」という国の歌が聞こえてきます。
「ああ、自分の故郷である楚まで劉邦に攻め落とされて、今では自分の敵になっているのか…」と項羽は知り、自分が負けた事を確信します。
この故事から、敗北を覚悟しなければならないほど、周囲が敵ばかりの状況を「四面楚歌」と呼びます。
「暗中模索」【あんちゅうもさく】
「五里霧中」のように、周囲が何も見えないような状況は、夜にも訪れます。
現代のように、24時間営業のコンビニがある都会では、夜でも明るく周囲の様子がうかがいしれないという事はないでしょう。
しかし江戸時代までは、月が隠れた夜は闇に包まれて、1m先でも見通す事ができませんでした。
また今でも電気が通っていないような田舎に行くと、夜がいかに暗いかを知る事ができます。
このような真っ暗な状況で、何とか道を迷わずに先を進もうとする事を「暗中模索」という言葉で表現します。
前が見えない、先が見えない状態で何とか努力をするという意味です。
「五里霧中」の「五里霧」と、「暗中模索」の「暗中」はとても似ていて、二つの言葉の意味もとても似ている事が分かります。
「孤軍奮闘」【こぐんふんとう】
「四面楚歌」「孤立無援」な状態でも、あきらめずに活路を見出そうとする様子を「孤軍奮闘」と呼びます。
「四面楚歌」や「孤立無援」、そして「五里霧中」がネガティブな意味で使われる言葉なのに対して、「孤軍奮闘」は、厳しい状況でも頑張る人の様子をポジティブに捉えた言葉です。
「五里霧中」にも、何も見えない状態で何とかしようとするという意味が含まれていますので、「孤軍奮闘」に似た意味の言葉だといえるでしょう。
人生で厳しい状況に陥った時に、「孤軍奮闘」という言葉を思い出すと、活路を見出して厳しい状況から抜け出せるかもしれないと感じられるかもしれません。
また周囲の仲間や同僚に恵まれない人の中には、実際に「孤軍奮闘」している人がいるかもしれません。
「五里霧中」の使い方
「五里霧中」は、霧に包まれている状態で、前が見えない状態を意味します。
そのため、「道に迷った」「何をしていいか分からない」という意味でも使う事ができます。
また何も見えない状態で、「何とかしようと努力している」状態も「五里霧中」という言葉で表現する事ができます。
深い霧の中にいるという状態は同じですが、ただ困っている状態と、何とかしようとしている状態では大きな違いがあります。
逆に言えば、「五里霧中」は、言葉が意味する幅が広いという事になり、使い勝手が良い言葉といえます。
「五里霧中」を使った例文
「五里霧中」という言葉を使って文章を作ってみましょう。
霧に包まれた時のような、何も見えない状態にいる時なら、「五里霧中」という言葉がぴったりきます。
例えば、転職をして新しい職場で働いている人は、自分が何をすれば良いか見失っているかもしれません。
この場合「転職先で、自分が何をすればいいか分からない。
まるで『五里霧中』だ」という文章にする事ができます。
また恋愛経験がない人は、初めてのデートで何をすべきか分からないかもしれません。
「初めてのデートで、彼女と一緒に何をすればいいのか、手を繋いでいいのかすら分からない。
まさに『五里霧中』だ」という感じです。
「五里霧中」の由来
「五里霧中」は、中国の歴史上の人物の「秘術」が由来になってできた言葉です。
張楷という道教の達人が、自分の姿をくらますための秘術「五里霧」という技を使っていたという故事が基になっています。
「五里霧中」は、「五里霧」という秘術をくらった人の立場から、前が見えない、物事の様子が分からないという困った様子を言葉にしたものです。
そこから発展して、深い霧のような何も見えない場所で困っている様子や、状況が見えない中で何とかしようとする様子を意味しています。
それにしても「五里霧」という秘術が実際にあったとしたら、本当にすごい技だと思います。
「五里霧中」という言葉は、先が見えない苦しい状態にいる人や、初めての体験で様子が分からない状況で頑張る人にとって、身近に感じられる言葉だと思います。
また「五里霧中」という言葉の由来を知ると、他の人に話さずにはいられないような興味深さがあるのではないでしょうか。