「調整」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
物事は生み出された時から完璧に調和が取れているとは限りません。
むしろ、人の手になる物にしろ自然の産物にしろ、その輪郭は荒く、扱いづらい物がほとんどです。
より多くの人の役に立つためには、それなりに手を加えてやる必要があります。
本項ではそういった場合に用いられる「調整」について解説していきます。
目次
- 「調整」の意味とは?
- 「調整」の類語や言い換え
- 「調整」の使い方
- 「調整」を使った例文
- 「調整」の対義語
- 「調整」に使われるさまざまな道具や、自然界における釣り合い
「調整」の意味とは?
ものの過不足を取り除き、よりよい状態に持っていく事が基本的な意味です。
その用法は非常に多岐に渡り、料理の塩加減からスケジュールのすり合わせ、機械の性能向上、スポーツ選手の調子や税金の計算まで、あらゆる場面で使える非常に便利な言葉です。
- 「調整」の読み方
「調整」の読み方
「ちょうせい」と読みます。
「調」も「整」もともに「ととのえる」と訓読みができ、同じ意味が重なった二字熟語です。
「調整」の類語や言い換え
- 「均整」【きんせい】
- 「調節、チューニング」【ちょうせつ、ちゅーにんぐ】
- 「補正」【ほせい】
- 「都合をつける」【つごうをつける】
- 「コンディショナー」【こんでぃしょなー】
- 「収拾」【しゅうしゅう】
「均整」【きんせい】
均衡(バランスを取る)、平均(等しくならす)の「均」の字が用いられているので、「釣り合いが取れるように整える」という意味です。
店舗の軒先に重なった商品を、見栄えが美しくなるように揃えて陳列したりといった場合に使われます。
また特に人体の作りのバランスを指す場合もあり、「均整の取れた骨格」「均整の取れた顔」というように、骨格のゆがみ具合や、単なる外見の見目の良さ、プロポーションの美しさと、多岐に渡って用いる事ができます。
「調節、チューニング」【ちょうせつ、ちゅーにんぐ】
一番よい塩梅になる所まで近づけてやる行為を指します。
主な用例としては、以下のようなものがあります。
- 塩加減など、料理の味を整える
- ラジオやテレビ放送の視聴のために操作をする
- 乗物の機能を点検・改善する
- 楽器の音程を合わせる
- ゲームの難易度やルールを最適化する
この内ラジオや楽器、ゲームと言った、道具を調節する場合は特に「チューニング」と呼ぶ事もあり、さらに車などでは「チューンナップ」といって、より性能を高めるために部品を追加したり、改造したりといった技法があります。
「補正」【ほせい】
均整や調節とほぼ同じですが、より微細な差を「補い正してやる」意味合いが強い言葉です。
先のラジオの例であれば、人間の手で機械のつまみを回すのが「チューニング」であり、近いところまで来たら機械が自動的に細かい周波数を合わせる、というのが「補正」になります。
その他、映像の色合いのデータを、実際に人が見た場合になるべく近づける機能「ガンマ補正」や、国会で出された予算に対して、災害など実際に起こった出来事を勘案して追加する「補正予算案」などが、日頃よく耳にする言葉です。
「都合をつける」【つごうをつける】
それぞれの予定をすり合わせて、日程を決める事をいいます。
「繰り合わせる」ともいいます。
待ち合わせ時間やタレントの番組出演などこれまた様々な場面で使われ、対象が多ければ多いほど管理が大変なのは言うまでもありません。
調整とは違う用法としては、金銭の目処をつけるという意味でも用いる場合があります。
「コンディショナー」【こんでぃしょなー】
「調整する者」という意味ではコーディネーターやモデレーターがありますが、ここでは特に、以下の二つを例に挙げます。
- 頭髪の表面を覆い、保護するための洗剤。内部に浸透する「トリートメント」と区別される。
- エアーコンディショナーとする事によって、空調調節機を表す。
暖房・冷房・除湿機能などを備えた、いわゆるエアコンの事。
「収拾」【しゅうしゅう】
一見してわかる通り、「散らばったものを集める」「荒れて混乱した場をしずめ、おさめる」という意味があります。
日常では「収拾がつかない」というのがよく耳にする表現です。
「調整」との相違としては、こちらの方がより物事が散逸、混迷しており、調整する者がストレスを感じやすいという点があります。
「調整」の使い方
元々あるものに後から修正を加え、改善する行為ならどんな場合でも使えます。
似た言葉では例えば「訂正」は間違った部分を直す時、「整合」ですとつじつまや帳尻を合わせる時という風に用途が限定されるので、「調整」と言うのが最も万能で、特別良い意味も悪い意味も含まない分、汎用性が高い表現といえます。
「調整」を使った例文
- 「バランスを取る」意味での例
- 「正しく揃える」意味での例
- 「都合をつける」意味での例
「バランスを取る」意味での例
「最後に塩をふり、味を調整する」
「この飲料は成分無調整である」
「今季が始まってから数ヶ月経つのに、あの選手は昨年同時期の半分の成績しか出していない。単なるツキのなさではなく、明らかにオフシーズンの調整不足が見て取れる」
「正しく揃える」意味での例
「演奏会数時間前に調律師が会場入りし、ピアノの音程を調節していた」
「給料は全て年末調整によって所得税分が引かれているので、確定申告の必要はありません」
「都合をつける」意味での例
「つきましては打ち合わせのために一度お会いしたいと存じます。もう一人の役員のスケジュールを聞いてただ今調整中ですので、詳細は追って連絡いたします」
「調整」の対義語
- 「不釣合い」【ふつりあい】
- 「無秩序」【むちつじょ】
- 「生データ」【なまでーた】
「不釣合い」【ふつりあい】
文字通り調整のなされていない、バランスを崩した状態を指します。
「無秩序」【むちつじょ】
物事の並びや釣り合い、ルールなどが定まっていない状態の事です。
特に社会においては、モラルを欠いた無秩序は一般に悪とされます。
「生データ」【なまでーた】
修正や編集、分類、切り貼りなどが一切なされていない、最初に作られた、または記録されたものを指します。
未加工ともいい換える事ができ、そのデータの信頼性をはかる時に、この生データの存在がより重要視されます。
手を加えられたものは「調整版」や「編集済みデータ」などと呼ばれ区別されます。
「調整」に使われるさまざまな道具や、自然界における釣り合い
- 塩
- 音叉
- スケジュール帳
- 食物連鎖
- 二酸化炭素
塩
海水を天日干しにしたり、山から採取される岩塩を精製したりする事で得られる最も基本的な調味料です。
味付けだけでなく、脱水効果、殺菌効果などがあり、人体にとっても最重要の栄養素でもあります。
有名な話ですが、古代では塩がとても貴重だったことから、労働の対価として塩(サラリウム)が支払われていた事が、現代のサラリーマンの名の由来となっています。
音叉
一定の基準音を出してくれる道具で、人間に代わって楽器の音を合わせる事ができます。
また音楽に留まらず、耳に近づけて用いる事で耳の病気の有無を判断するのにも使われます。
スケジュール帳
頭の中だけで日程、予定を組み立てられる人はそう多くはいません。
図や記録で残す事によって、他者とのやり取りを円滑、明確にしてくれる手帳は、仕事をする上での必需品の一つです。
食物連鎖
- 生み出された者を食べる者
- 食べる者が死んだ後、それを分解する者
- 分解された成分を元に、また新たな者が生み出される
という一つのサイクルの事です。
もし何も生み出されなくなれば、食べる者はみな飢えてしまいますし、食べる者が死ななければ新たに生み出される者もいません。
こうして生物は相互に繋がっており、誰が始めたわけでもない自然の大いなるバランス調整機能となっています。
二酸化炭素
近年叫ばれている地球温暖化は、赤外線を蓄える働きがある二酸化炭素が大気中に増えすぎるせいで、地表熱が宇宙に逃げにくくなっているという説です。
反対に少なすぎても今度は極端な寒冷化を招きますから、二酸化炭素は極めて重要な地球のバランサー、つまり「調整者」といえるでしょう。
世の中は様々な人の手によって釣り合いが取れています。
そもそも我々が生きていられるのも、星や自然が絶妙にバランスを取ってくれているからこそです。
物事の改善には多大な努力と時間がかかりますが、発展していくには欠かせない要素なのです。