「別途」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
私たちは日頃様々なサービスを利用し、その対価を支払っています。
その際に特によく目にするのがこの「別途」という言葉でしょう。
当たり前のように使っていますが、その正しい定義はどんなものなのでしょうか。
目次
- 「別途」の意味とは?
- 「別途」の類語や言い換え
- 「別途」の使い方
- 「別途」を使った例文
- 「別途」の対義語
「別途」の意味とは?
別に用意された方法や道、または本来のものに付随する事項を表します。
従って元になる本筋、本道、本体などが必ず存在し、完全に独立しているわけではない、副次的、従属的なものごとを指す言葉です。
「別」は言うまでもなく他の物の事で、ここでは連体修飾語となっています。
「途」には「用途不明」「途方に暮れる」「発展途上」など、「道」「方法」という意味があり、これら二語で構成された熟語です。
- 「別途」の読み方
「別途」の読み方
「べっと」と読み、「吉報」「石化」などと同様に、「べつ」の「つ」が促音に変化して小さくなった形です。
「別途」の類語や言い換え
- 「別枠、別個」【べつわく、べっこ】
- 「別建て」【べつだて】
- 「別口」【べつくち】
- 「追って〜する、併せて〜する」【おって〜する、あわせて〜する】
「別枠、別個」【べつわく、べっこ】
指定したものとは別の範囲や、基準を定める事を別枠といいます。
また一つ一つに違った仕様や指示、値を定めるのを「別個に〜する」と言います。
別個と別途との違いは、例えば「10個の商品がある場合、重量に応じて各々の値段を別個に付ける」など、基準になる本体が無くても成立する点です。
「別建て」【べつだて】
特に金銭のやり取りに用いられる言葉で、料金の内訳を細分化し、基本料金と別料金に分ける方法です。
一番理解し易い例は、列車の特急券の扱いでしょう。
新幹線の切符を購入すると、在来線の運賃が書かれたものと、特急料金のもの、計二枚を受け取る事になります。
その他、実生活ではあまり意識しませんが、医療費や保険料などにも別建て表記がなされる場合もあります。
「別口」【べつくち】
ほぼ同じ意味を持ちますが、こちらは物事を示す場合にのみ使われ、従って「支払いは別口」とは言いますが「別口に支払う」などと副詞的な使い方はしません。
「追って〜する、併せて〜する」【おって〜する、あわせて〜する】
「詳細は追って連絡する」などという風に、近日中に、後ほどという意味があり、この場合は「詳細」が付随した項目、つまり別途という事になります。
文書などでは本筋を示した後こう記述する事で、「なお、付け加えますが」という前置きのようにも用いられます。
「併せて」は、別途のように「それに付け加えて」という接続詞的に使う場合と、「併せて何円になります」のように、別途にあった物を全て一緒くたにして示す副詞的用法との、二通りの使い方があるという事です。
前者は分け、後者はまとめる、と同じ言葉でまったく対照的なのが面白いところです。
「別途」の使い方
主たるものとは別の行動ないし方法を相手に伝える場合、もしくは何かを説明する場合に、特に注意として明示する場合に用います。
契約の条件提示の際、基本条項とは別の条件を任意で出された場合、「その項は別途検討いたします」などと言います。
文書では多くにおいて、ある事柄の本来の部分以外に、追加されているものや方法を示したい場合、※印や括弧、または色つき文字やサイズの違う文字で表記され、身近な例では「オプション料金」「消費税」「ライブハウスでの飲み物代金」「給料における交通費」などが挙げられます。
「手数料は別途」と名詞として使う事も、「別途に指示する」などと副詞のように使う事も可能です。
また「別の道」という意味で使われることは、現代ではあまり一般的ではないようです。
「別途」の部分は、上記のように別の部分に特記されているので目立つ、はずなのですが、実際は文字の大きさが本文よりだいぶ小さいせいで見落とす事も多く、怪しい広告などでは、記載者が悪意をもって意図的にそうしている場合もあります。
「別途」を使った例文
- 別の物事を表す場合
- 別の方法を表す場合
- 別の道を表す場合
別の物事を表す場合
「当店のディナーコースは、メニューに表記された金額にテーブルチャージ、サービス料、消費税を別途頂戴します」
「消費期限は箱の側面に別途記載」
別の方法を表す場合
「プロサッカーチームのクラブハウスに複数あるグラウンドは、それぞれトップチーム用、若手チーム用、フットサルの試合用と、別途の目的で作られたものである」
「動物園の管理システムは24時間常駐しているが、その他、別途で人間の目視による管理も行っている」
別の道を表す場合
「同じ事務所で10年歩んできたが、ここに来て一人は引退、一人は残留、そしてもう一人は独立して個人事務所を設立と、それぞれ別途の道を歩む事となった」
「別途」の対義語
- 「本途」【ほんと】
- 「含有」【がんゆう】
- 「通常」「基本」【つうじょう】【きほん】
- 「同行」【どうこう】
- 「コミコミ」【こみこみ】
「本途」【ほんと】
本来の目的や事柄を表します。
現代では滅多に使われない言葉ではありますが、これが別途の直接の対義語と言えます。
元々の意味は江戸時代の年貢制度「本途物成」の略称で、田や畑に課せられ、米や麦、豆などで支払われる本年貢、つまり最も基本的な課税対象の事を指していました。
「含有」【がんゆう】
「内包」と言い換えても良い言葉です。
ものの中にどれだけの成分がどのくらい含まれているか、を表し、食品や鉱石の含有量などを日常で良く目にします。
別途の対義語としては、ものと言うよりも扱い方、つまり「この方法はトラブルの状況に応じて、三通りの解決法を含有している」というような用い方をします。
「通常」「基本」【つうじょう】【きほん】
別のものに対する本筋、本来、本体、また付随する物がない状態を表します。
「通常の目的」「基本料金」などと他の言葉を付け足してやると、理解がしやすいのではないでしょうか。
「同行」【どうこう】
「別の道を行く」と言う意味に対する言葉で、付き添って行く、同じ方に進む、引率して行くなどの意味があります。
同じく「同伴」「同道」などもあり、特に同道は、部下が上司に同道して行くなど、明らかに上下関係がある場合に用いられます。
「コミコミ」【こみこみ】
かなりくだけた現代表現ですが、おそらく最もわかり易い例ではないでしょうか。
言うまでもなく全てが「込み」になった状態で、別途料金など一切ありません、という謳い文句です。
電話会社の料金プランが最たる例ですが、その他にも通販などで「クレジットカード払いなら送料無料、代金引換は通常の送料をご負担頂きます」など、細かいルールが小さく書かれている場合もあり、購入前に良く読まないと後でトラブルの元になります。
そして、やはり耳寄りな謳い文句には裏があるものです。
中古車販売などでも、コミコミは契約時の話で、実際は使用する段になって次々と必要な諸経費がかかる、という事も少なくありません。
これなら最初から、小さくてもいいから別途料金を明記してくれる業者の方がまだ良心的と言えます。
「別途」の解説とは逸れてしまいましたが、安易に広告に釣られない知恵が必要という事です。
「別途」について調査してきましたが、良く知る言葉でも、色々な意味や用法があるのがお分かりになったと思います。
どんな場合でも、理解しなければならないルールは簡潔で、一本に絞られているのが望ましいと言えます。
特に長い契約書や高額の買い物の場合には、「別途」と書かれているだけでうんざりしてしまう事も少なくありません。
酷い時には猜疑的になり、提示された中に「別途」の見落としがないか、と精査しているだけで疲れてしまいます。
相手側にも様々な事情がありますし、多くを一度に語らず分けた方が理解しやすい場合もあるので一概には言えませんが、なるべく相手を思いやる提示の仕方を、皆さんも心がけてはいかがでしょうか。