「怒涛」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本の言葉には、色々な言葉やことわざがあります。
言葉の意味を知ると、日本語によりいっそう関心が深くなってきそうです。
普段使っている言葉の中にも、非常に関心をそそるような言葉があるでしょう。
その1つに「怒涛」という言葉があります。
何かしら荒々しい意味が含まれていることは、何となく感じるのですが、どのような意味があるのでしょうか?
目次
- 「怒涛」の意味とは?
- 「怒涛」の類語や言い換え
- 「怒涛」の使い方
- 「怒涛」を使った例文
- 「怒涛」を使った言葉
「怒涛」の意味とは?
「怒涛」という言葉は、私達の生活の中でも、仕事をしている時でも、よく使っている言葉ではないでしょうか?
「怒涛」の意味は、「荒れ狂う大きな波」あるいは、「激しく打ち寄せてくる荒々しく激しい波のこと」を言っています。
普通の波が静かに打ち寄せて来るのではなく、「強く押し寄せて来る」さまを強調した表現になります。
そのために、「怒涛の勢い」という表現を使う時は、荒れ狂った波のように、ものすごい勢いで何かが押し寄せていることを意味していることになるでしょう。
「怒」は、「怒り」、「起こる」意味がありますし、「涛」は、とてつもなく大きなうねる波のことを意味しています。
これだけでも、もう息を付かせぬ状態で緊迫したような雰囲気が伝わってくるようです。
- 「怒涛」の読み方
「怒涛」の読み方
「怒涛」は、「どとう」と読むことになります。
「怒涛」の類語や言い換え
けたたましく、力強い雰囲気や空気、波、意識など、様々なつよい流れが自分のところに襲いかかってくるような雰囲気のある「怒涛」という言葉。
他には、何か似たような言葉があるものでしょうか?
- 「矢継ぎ早」【やつぎばや】
- 「畳み掛ける」【たたみかける】
- 「ひっきりなし」【ひっきりなし】
「矢継ぎ早」【やつぎばや】
「矢継ぎ早に」も「怒涛」と同じような意味があります。
この言葉の意味としては、「続けざまに早く行うこと」、もしくは「そのようなさま」を指しています。
使い方の1つとして、「矢継ぎ早に質問する」などの例文があります。
「矢を続けて射る技の早いこと」が直接的な意味と理解できるでしょうが、古い言葉の中には、「競(きほふ)はもとより優れたる強弓精兵、―の手きき」(平家物語)があります。
「矢継ぎ早に」は、ここから由来しているのでしょうか。
「矢継ぎ早に質問する」という表現も、こんなところから発展して使われている感じがあります。
この例えでは、「多数の質問攻めにする」という意味になりますが、他の言い方では「根掘り葉掘り質問してくる」や「次々に質問をする」、「問い詰める」といった表現もできるでしょう。
何か、息を付かせぬ勢いで、大声でまくしたてて質問してくる印象があるので、相手に休みを与える余裕もなく、ひっきりなしに質問をし続ける場合に使うことが多いですね。
矢継ぎ早やに質問していくことは、畳みかける口調で相手に質問を続けるため、どんな相手でも、かなり圧倒させてしまうことになるでしょう。
また、「矢継ぎ早や」には、「矢継ぎ早に話す」という表現もあります。
これも「質問」と同じように、次から次へ立て続けに話し続けることで、ビジネスでの交渉を優位に進めるようなシーンで使われることがあります。
この他にも、「矢継ぎ早にメールをする」と言った使い方もあります。
「矢継ぎ」は、矢を放った後に、次の矢を構えることで、その動作がとても早いことや、素早く次々と矢を射ることを「矢継ぎ早」と言っており、それが転じて物事を続けざまにする意味となったのです。
「畳み掛ける」【たたみかける】
「私は思わずハイテンションになってしまい、畳み掛けるように質問を浴びせてしまいました。」
「全てのエネルギーを費やして燃やして畳み掛けなければ、敵の動きを制することができない。」
このような時に使う言葉が「畳かけるように」となります。
その様子は、「間を置かず、次々といくつも重ねて行くように、たくさんの言葉を
発する」動作を、「畳かけるように」と表現するのです。
このようなペースだと、言葉を聞いている側は、その言葉に対して、質問を返しなり、反論する言隙もなくなってしまい、圧倒されてしまうはずです。
そのために、相手を説得したい時、強自分の考えを押し通したい時に、このような態度になることが多いでのではないでしょうか。
「畳む」という状態は、着物や布団を畳む状態と、幾重にも折り畳む状態を意味しています。
古くは、西行の和歌に「たたむ白波」という表現があるのですが、波が寄せるように、何度も同じことを繰り返すような状態に使います。
「ひっきりなし」【ひっきりなし】
同じ意味では、「ひっきりなし」も挙げられます。
ここでの「ひっきり」は、「引き切り」の「引き」が発展した語です。
「引き切り」とは、「手元に引くように切ること」で、切れ目や区切りの意味に進化してきたと考えられています。
ここから、「ひっきりなし」は、切れ目や区切りが無い状態から、絶え間なく物事が続くさまを表すようになったとされています。
「人が死ぬなんてことは、ひっきりなしに起こっている。」
「あの空港は、24時間ひっきりなしに離着陸があるから、騒音問題が無くならない。」
こんな使い方になるでしょう。
「怒涛」の使い方
「怒涛」は、息も付かせぬような勢いの状態で使われることが多いでしょう。
「怒涛」を使った例文
- 「怒涛」の例文1
- 「怒涛」の例文2
- 「怒涛」の例文3
「怒涛」の例文1
「怒涛の1週間」
「怒涛の1週間」とは、まさに読んで字の如く、「緊迫したあわただしい1週間」という勢いの1週間ですね。
この雰囲気に圧倒されてしまい、切羽詰まっている感じがひしひしと伝わってきます。
「怒涛」の例文2
「怒涛の日々を過ごす」
「怒涛の日々を過ごす」というような使われ方もあります。
月末の締め切りが間近に迫ってきて、バタバタとしている時でも、よく言う言葉ではないでしょうか?
「怒涛」の例文3
「怒涛の追い上げで、何とか優勝を勝ち取った。」
こんな使い方もあるでしょう。
破竹の勢いで勝ち進んだチームを指して、「怒涛の勢いを止めることはできない。」
ということもありますね。
「怒涛」を使った言葉
では、「怒涛」を含んだ熟語などはあるものでしょうか?
- 「疾風怒濤」【しっぷうどとう】
「疾風怒濤」【しっぷうどとう】
「疾風怒濤」という熟語があります。
この熟語の意味は、「激しく荒れ狂う嵐や波の様子」、「時代や社会の状況がダイナミックに大きく変化していくありさま」を意味している熟語です。
「疾風」とは、「激しい風」で「怒涛」は「激しく荒々しい大波」のことです。
どちらの言葉も日常生活でよく使いますが、「怒涛の追い上げ」という場合に、「激しい大波のような勢いの追い上げ」わを加えて、「疾風怒濤」というなるのです。
ここで、「怒涛」と「怒濤」の違いを尋ねる人が時折います。
インターネットのサイト辞典で検索しても、「怒涛」が少なく「怒濤」という字をよく見るということが少なくありません。
果たして、「怒涛」の漢字が存在しないのでしょうか?
いえ、決してそうではなく、「怒涛」と「怒濤」、どちらも同じ読み方です。
しかし、漢字が少し違っています。
「怒涛」と「怒濤」、2つの「どとう」の秘密は、なんとJISにより定められた「JIS83制定」にあったのです。
「どうしてJISなの?」と不思議に思う人もいるでしょう。
多くの人がしっているのは、おそらくの「JISマーク」で知っているということではないかも思います。
JISの意味は、日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略ですが、JISとは、日本が定めた国家規格のことを指しています。
私達が目にするJISマークの多くは、自動車から身近な電化製品等まで、工業製品に関する物であれば、よく目にするマークです。
このJISは、これらの製品だけでなく他にも文字コードやプログラムコードなどの規格である「情報規格」関連の規格もあるのです。
JISは、色々な物事に対して、秩序だった「基準」を定めることで、「統一」的な決めごとを国レベルで図っているのです。
実は、JISが定めた規格にでは、基本的な漢字もあり1978年に制定されています。
そして、1983年と1990年に改定が行われ、「JIS83制定」があります。
その変更点は、文字の追加、字形・字体の変更や入れ替えなどが含まれています。
この「JIS83制定」に伴い、第1次水準の漢字が第2次水準にある漢字と字形・字体が入れ替えられました。
結果、「怒涛」の「涛」が「濤」に変わり、「怒濤」となったのです。
このように難しいと思える漢字が簡素化されたわけです。