「知見」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日常生活で使うには少し堅苦しく、難しいのであまり出番がありませんが、ビジネスシーンや大切な場面でよく登場する「知見」という言葉があります。
言葉の響きからも分かるように、そう頻繁に使われる言葉ではありません。
友達同士の会話やフランクな場で使われないという事はそれなりに意味があり重要だからかもしれません。
ではそんな「知見」について意味や使い方、類義語などを詳しくみていきたいと思います。
目次
- 「知見」の意味とは?
- 「知見」の類語や似た言い換え
- 「知見」の使い方
- 「知見」を使った例文
- 「知見」の反対語や対照語・対義語
- 「知見」を使う言葉
「知見」の意味とは?
「知見」は「ちけん」と読み、実際に自ら見たり聞いたりして得た知識のことをいいます。
あくまでも自分自身が経験・体験してその物事についてよく観察し、自分で考え、それによって得た知識のことを指します。
「知見」は「見」て「知」るという漢字から成り立っている為、まさしく文字通りの意味だと言えるでしょう。
ですからインターネットで調べて知っている事や、本で読んで得た情報などは、実際に自分の経験や行動によって得たものではないので「知見」とはなりません。
この場合は「知識」と表現します。
そしてこの「知識」と「知見」は違いが分かりにくい言葉だとよく言われるのですが、「知識」とは知っていることや知ることそのものを指す言葉なので、先述したように実際に自分で体験・経験し、見聞きして得た知識の事を指さないのです。
自らの行動の結果得た「知見」があるからこそ得られるのが「知識」でもあります。
また「知見」には仏教用語において『事物に対する正しい認識』『物事に対する考え方や本質をついた評価』などの意味があります。
そして「知見」は名詞なので、一般的には「知見を?」といった使い方をします。
「知見」の類語や似た言い換え
- 「見識」【けんしき】
- 「理解」【りかい】
- 「見聞」【けんぶん】
「見識」【けんしき】
「見識」とは物事を深く見通し、本質を捉える事のできる優れた判断力や、物事に対する正確な考え方、あるいは見解の事をいいます。
「あの医者は見識が広いので、日本各地から診察をして欲しいと出向いてくる患者でいつも病院が込み合っている」などと使います。
「理解」【りかい】
「理解」とは物事の道理や道筋などを正しく把握し、意味や内容を正確に分かっている状態をいいます。
また、他人の気持ちや感情、立場などを察したり分かろうとする努力という意味でも使われます。
「彼は理解力が素晴らしいので、一つ二つ説明しただけで全てを把握する」などと使います。
「見聞」【けんぶん】
「見聞」とは見たり聞いたりして学ぶ事や、豊富な知識を得る事をいいます。
「見聞が広がる事で、人脈が広がり自分の生活が一変した」という使い方をします。
「知見」の使い方
「知見」という言葉は実際に自らが動いて得た知識という意味だと説明しましたが、言葉自体は名詞なため、接尾には動詞が続く事が多いです。
使い方には何通りか用法があるので、いくつかご紹介します。
- 知見を広める・広げる
- 知見を深める
- 知見を得る
- 〜に知見がある
- 現在の知見から?
知見を広める・広げる
知見を広める・広げるとは、自分が得てきた事柄を、更に経験や体験を重ねて広い知識にしたり、その知識の範囲を広げる事を意味します。
また伝聞という意味で、自分が得た知識を他者に"広める"という意味で使うこともできます。
知見を深める
知見を深めるとは、今までに見たり聞いたりして得てきた知識を、更に勉強したり研究したりして理解を深める事を言います。
またこれから行動を起こして新しく得ようとしている知識に対しても使います。
知見を得る
知見を得るとは、実際に自らが動く事によって見たり聞いたりして得た事によって、自分にとって今までに無かったような知識を得たり、新しい境地に達する事を意味します。
〜に知見がある
〜に知見があるとは、既にその分野においての知識が深く、経験や体験した事がちゃんと頭に入っていて理解しているという状態を表します。
そして経験によって得た物事に対する知識を詳しく持ち合わせている事をいいます。
現在の知見から?
現在の知見から?は、今の自分が持っている(これまでに見たり聞いたりして経験して得てきた)知識から判断したり、何かを行う時に使われます。
またその立場である事をいいます。
「知見」を使った例文
- 「知見」の例文1
- 「知見」の例文2
- 「知見」の例文3
- 「知見」の例文4
- 「知見」の例文5
「知見」の例文1
「インターネットばかりして知識を得るのでなく、実際に行動して、自分で沢山の人や物に触れ知見を広めることの方が大事なのではないでしょうか。」
「知見」の例文2
「彼女は知識が本当に豊富でどんな話でも知っている。きっと常に知見を深めるように努力しているに違いない。」
「知見」の例文3
「興味がある事以外にも、積極的に学ぼうとする事で新しい知見を手に入れられるかもしれない。」
「知見」の例文4
「科学的な知見から言えば、そのエネルギーを使う事によって生活が豊かになる事はそう難しくはない。」
「知見」の例文5
「なるほど、どおりで服飾の方面に知見があるわけだ。モデルやデザイナー顔負けのセンスや才能をもっているから。」
「知見」の反対語や対照語・対義語
- 「無学」【むがく】
- 「無知」【むち】
- 「無識」【むしき】
「無学」【むがく】
「無学」とは知識や学問などを得る為に努力をせず、何も学んできていない状態や人の事を表します。
知識も経験もなく物を知らない人の事や、そのような環境に恵まれなかった場合にも使います。
また仏教では真逆の意味があり、「もう学ぶ事がない境地」という意味もあります。
「彼は無学なので、自分は表に立ちたくないという。」といったように使います。
「無知」【むち】
「無知」とは、知識や知恵のないこと、またその様子や人を表す言葉で、その事柄に対して知識が足りないめ正しい判断・見解が出来ない事を言います。
「犯人は被害者の無知につけ込んで、たぶらかし詐欺を働いた。」というように使います。
「無識」【むしき】
知識や見識などが全くなく、その物事について何も知らない事をいいます。
「あまりにも無識過ぎて、何から説明すればいいかわからない。」
「知見」を使う言葉
- 「如実知見」【にょじつちけん】
- 「先行知見」【せんこうちけん】
「如実知見」【にょじつちけん】
真実を真実そのままに捉えて正しく見極める事をいいます。
何事にも捉われず、影響を受けず、真実を見るという仏教用語になります。
苦しみを抜き、楽しみを与えるには、自分に起こる事から目を逸らしたり、見て見ぬ振りをしてはいけないという事です。
人はどうしてもその時の感情や価値観に流されてしまったり観念を固定して物を見るようになってしまいます。
大切な事は主観ではなく事実だけをみるようにするということです。
「先行知見」【せんこうちけん】
ある分野において、先に携わり調べたり、研究していた人の知識や見解のことをいいます。
「知見」とは自らが経験し、体験した中で得た知識や見識のため、簡単に記憶からなくなる物ではありません。
もちろんインターネットや本などから、一生懸命学んだ事がすぐに消える訳ではありませんが、知識は外から吸収し、知見は内から放出するものに近いかもしれません。
人は自分が経験して心が動いたものの記憶を忘れる事はよっぽど何かがない限りありません。
五感を使って学び、増やした知見には価値がありますし、他人を説得させる時には説得力が増すでしょう。
現在はインターネットやSNSが発達しているため、知識を身につける事はそれ程難くないかもしれません。
ですが知見を得ることは行動力が必要になる分難しいかもしれません。
「知見」はかしこまった言葉ではありますが、使い方を理解して実際に使ってみると何か新しい発見や経験ができるかもしれませんし、語彙力の幅も広がるため、更に「知見」が深まるかもしれません。