「必至」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語には、似たような意味を持つ言葉がたくさんありますが、その一方で同音異義語ということで、同じ発音をした言葉も数多くのあります。
音読みが同じな言葉だと、その意味を深く考えずに使ってしまうこともあるのですが、正確な意味を理解しておかないと、恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。
そのような観点で言葉の勉強をしておくことは、とても大切なコとです。
ビジネスのシーンでも、よく使われる言葉としては、「必至」という言葉があります。
「売上による在庫不足が必至」や「混乱必至」などという表現を耳にしたことがある人もたくさんいるかと思います。
よく使われたり、聞いたことのある「必至」の意味について、正しく理解している人がどれだけいるでしょうか。
同じ音読みの言葉には、「必死」がありますので、意味を混同してしまいます。
「必死」と「必至」は、その意味が全く異なります。
間違えて使ってしまうと、相手に誤解を与えてしまうばかりでなく、とても失礼なことになりかねないので、しっかりと区別して理解しておくことが必要です。
目次
- 「必至」の意味とは?
- 「必至」の類語や言い換え
- 「必至」の使い方
- 「必至」を使った例文
- 「必至」の対義語
「必至」の意味とは?
ビジネスの場面でも、よく使うことがある「必至」の意味は、「必ずそのようなことが来ること」や「必ずそうなること」、「必然」ということになります。
何か行動をしていると、その先には、(近い将来には、)必ず、そのようなことがやって来てしまうことを意味しているのです。
あるいは、「そうなるのを避けることができなかったり、難しい状態を表している」と言ってもいいでしょう。
「必至」の「必」は、「おそらくそうなること」や「間違いなく」という意味を持っており、「至」は、「ぎりぎりのところまで行き着くこと」を指しています。
「必ず至る」と書くことから、「間違いなくそのような結果になるだろうと」というわけです。
とは言うものの、「絶対にそうなる!」、「100%そうなる」と言い切れるわけでははありません。
「可能な限り高い確率で、そのような状況や状態を至ってしまう。」
という意味でもあり、「確実に」、「絶対に」と近いというニュアンスになります。
- 「必至」の読み方
「必至」の読み方
「必至」は、「ひっし」と読むことになります。
「必至」の類語や言い換え
「必至」を他の言葉に置き換えると、次のような言葉になります。
- 「追い詰められる」
- 「逃げられない」
- 「追い込まれる」
「追い詰められる」
「追い詰められる」とは、「逃げ場のないところまで追い込れる」ことや、「ぎりぎりのところまで追及させる」という意味にもなります。
「敵に囲まれて、追い詰められる。」
「政府が不利な情況になり、追い詰められる。」と言うようなことで、使われます。
「追い詰められる」は、「ぎりぎりまでじらされる」、「最後まであがく」、「とことん悩む」、「危機にさらされる」、「批判にさらされる」、「出る杭は打たれる」、「スキを見せられない」、「指弾される」、「気を抜けない」、等の言葉の意味もあり、これらの表現に置き換えられることもできるでしょう。
かなり切迫した空気が流れていることが、伝わってくる感じです。
「逃げられない」
「逃げられない」も、「必至」と同じ意味として使われます。
「逃げられない」は、他の言葉で表現するなら、
あいつから「離れない」、長年「しみつく」、ずっと「居すわる」、「覆いかぶさる」、中々「抜けない」、「離れられない」、しがらみに「とらわれている」、「拭いがたい」、「根を下ろす」、「取りつく」、「かぶさる」等の言葉で、例えることもあります。
「もう大きな局面になってきているかはら、もう逃げられない。」と言うような言い方で、使うことができるでしょう。
「追い込まれる」
「追い込まれる」も、「必至」と同じニュアンスを持つ表現になります。
「もうここまで不利な条件が揃ったなら、追い込まれることは避けられない。」
「必至」を使う表現から、「追い込まれる」に置き換えることができます。
「必至」の使い方
「必至」は、「必ずそうなる」や「そうなることを避けられない」というような意味になることは、前述の通りです。
但し、結末は回避することが不可能であっても、まだ起こっていないという意味では「予測」的な表現とも言えます。
「必至」を使った例文
- 「必至」の例文1
- 「必至」の例文2
- 「必至」の例文3
「必至」の例文1
「野党が反発するのは、必至だ」
よく国会の動きに関して使われることが多いですね。
「政府与党は、審議の延長を認めていません。予定通り強行採決を行うと予想されます。そうなると、野党が反発するのは必死です。」
よくある国会で審議が紛糾しているような場面です。
「必至」の典型的な使われ方の1つかもしれません。
「必至」の例文2
「今シーズン、A選手は大きな怪我続きで、目だった実績を残せませんでした。このままでは自由契約は必至でしょう。」
プロ野球のシーズンオフの時に聞こえてくる表現です。
このような場合は、「今シーズン、致命的な怪我をしたA選手は、必ず自由契約になるだろう。
自由契約になることは免れないだろう」ということになります。
「必至」の例文3
「うちの部では、部長と課長との口論が絶えないので、いずれ部内の分裂は必至だ。」
会社の中でも、このようなことがあり得ることとして、使われる言葉ではないでしょうか。
「必至」の対義語
「必至」と対義語としては、次のような言葉があります。
- 「偶然」【ぐうぜん】
- 「思いがけず」【おもいがけず】
「偶然」【ぐうぜん】
「偶然」とは、他のものとの因果関係がはっきりしまいままに、予期しないような、予期できない形で物事が発生することや、遭遇することです。
「いつも通るルートで、駅に向かうと、高校時代の友人に、偶然ばったりと出会った。」
「努力している人が成功することは、決し偶然ではありません。」
「家が火事なったが、偶然にも家族は外出中で命に別状はなかった。」
「偶然」は、こんな場合に使います。
「思いがけず」【おもいがけず】
「思いがけずに、大好きな彼と駅のホームで会ってしまった。」
こんな時に使われます。
「思いがけずに」は、「ふいに」、「偶々」、「偶さか」、「計らずも」、「たまさか」、「適さか」、「偶然」、「巧まずして」、「思掛ず」、「偶偶」、「はからずも」、「期せずして」、「たまたま」と言った言葉で表現することもできます。
実際に「思いがけず」起きる出来事とは、悪いことです。
「思いがけずミスが起きてしまった。」という言葉があります。
このような使い方もできるわけですが、相手に対して使う場合は、ビジネスシーンであれば、「思いがけず」の使い方は、あくまでよいことが起きた時に使うのが望ましいかもしれません。
必ずしも正解と言える使い方ではないのですが、良いことに使うからこそ、「思いがけず」という言葉は、際立ってきます。
「思いがけず食事に誘われた。」という表現などは、これに当てはまるでしょう。
この頃は、「必至」と「必死」の音読みが同じことから、受ける印象も似ている感じがして、2つの言葉の区別ができていないケースがあります。
「必至」は避けられないという「予測」的なニュアンスがあります。
一方の「必死」は、「必ず死ぬ」という意味が本来なのですが、「必ず死ぬ」が変容して、「死に物狂いで頑張る」という意味で使われています。
両者ともよく誤用されてしまいますが、それぞれの意味を正しく理解し使うことです。
「やむ無し」や「致し方ない」という言葉も、「必至」言い換え表現として使われることがあります。
「致し方ない」も、「避けたり逃れたりする手段がない」という意味があります。
「必ずその結末に至る」という場面では、「必至」の言い換え表現として使われています。
また、「必然的」も言い換え可能な言葉でしょう。
「必然的」も「必ずそうなる」という意味を持つために、「そうなることが避けられない」という点で「必至」と同じ使われ方になります。
将棋の用語でも、「必至」があり「王手」の一種となっています。
どのような受けの手を指しても、解除できない状態・逃げ場のない状態を表しています。
どんなに抵抗しようにも、いずれは詰まらさせてしまう状態が「必至」なのです。
このように「必至」という言葉は、ちょっと変わった場面でも使われることがあります。