「怒髪天」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「怒髪天」の由来や意味を紹介します。
さらに「怒髪天」を使った言葉や類語を紹介していきます。
目次
- 「怒髪天」の意味とは?
- 「怒髪天」の類語や言い換え
- 「怒髪天」を使った例文
- 「怒髪天」の読み方
「怒髪天」の意味とは?
「怒髪天」という言葉があります。
「怒髪天を衝く」という慣用句で使われる機会が多いです。
この言葉の由来と意味を紹介します。
- 「怒髪天」の由来
- 「怒髪天」の意味
「怒髪天」の由来
「怒髪天」という言葉が生まれたのは、紀元前の中国で起こったある出来事がきっかけでした。
当時の中国には様々な国があったのですが、とりわけ強国として知られていたのが「秦」という国です。
後に中国をはじめて統一する事になる国です。
その頃、「趙」という小国に、「和氏の璧(かしのへき)」という宝物がある事が話題になります。
秦の王様は、その宝物が欲しくてたまりませんでした。
そこで秦の王様は「城を15個あげる」などと適当な事を言って、趙の王様に宝物を持ってこさせようとします。
趙の王様は「このままでは宝物を取られる」と思い、趙の国の食客だった「藺相如」に相談します。
この頃は、知識や知恵、武力に長けている人を居候させて、いざという時に頼るという「食客」という制度があり、藺相如はとりわけ趙の王様が頼りにしている人でした。
藺相如は趙の王様の代わりに、宝物を持って秦に行きました。
そして調査の結果、秦の王様には「城を15個あげる」つもりがない事がわかります。
藺相如が、怒りのあまり髪の毛を逆立てると、その迫力に驚いた秦の王様は、宝物を手に入れる事をあきらめたといいます。
この時の様子が「怒髪天」という言葉、さらには「怒髪天を衝く」という慣用句の語源になりました。
「怒髪天」の意味
「怒髪天」とは、藺相如が怒りに震えた時に逆立った髪の毛の事です。
そこから怒りに震える時に逆立った髪型を意味するようになりました。
ネコは怒るとフーっと威嚇する声を出して、本当に毛を逆立てますが、この時の藺相如もそうだったのかもしれません。
また「怒髪天」は髪型だけでなく、激しく怒っている様子、怒り狂っている様子などを表す言葉にもなっています。
「怒髪天」の類語や言い換え
次に「怒髪天」の類語や言い換えを紹介します。
いずれも怒りに関する言葉で、怒り過ぎて我慢できない様子を表した言葉です。
- 「怒り心頭に発する」【いかりしんとうにはっする】
- 「堪忍袋の緒が切れる」【かんにんぶくろのおがきれる】
- 「マジ切れする」【まじぎれする】
「怒り心頭に発する」【いかりしんとうにはっする】
「怒り心頭に発する」は、怒りが心の中に生じる、激怒する様子を表現した言葉です。
「心頭」とは「心の中」を意味します。
ちなみに「心頭滅却すれば火もまた涼しい」の「心頭」も「心の中」を意味しています。
「怒髪天」と同じように、怒りが強すぎて、毛が逆立つような、激しい怒りを感じさせる言葉です。
「堪忍袋の緒が切れる」【かんにんぶくろのおがきれる】
堪忍できる限界を超えてしまった、我慢できる許容量を超えた…そのような心境を表現した言葉が「堪忍袋の緒が切れる」です。
例えば我慢する才能がある人の許容量を、巾着袋のような袋でイメージしてみましょう。
その袋を「堪忍袋」と呼び、袋が開かないように紐で結んでいる状態を想像します。
我慢しなくてはならないようなシチュエーションになり、「堪忍袋」はどんどん膨らんでいきます。
ついにはその人のキャパを超えるくらいの怒りが湧き、「堪忍袋」を結んでいた紐が切れてしまいました…。
このような状況が「堪忍袋の緒が切れる」という状態です。
「マジ切れする」【まじぎれする】
「怒髪天」を現代風の言葉でいえば「マジ切れする」がいちばん適切な言葉かもしれません。
本気で怒る、冗談ではないくらい怒る「マジ切れ」は、周囲の人を引かせるくらいの激しい怒りだからです。
「怒髪天」を使った例文
続いて「怒髪天」を使った例文を見ていきましょう。
「怒髪天」を言葉にする時は「怒髪天を衝く」という慣用句で使うのが一般的です。
様々なシチュエーションで、誰かが「怒髪天を衝く」様子を文章にします。
- 「怒髪天」を使った例文1
- 「怒髪天」を使った例文2
- 「怒髪天」を使った例文3
「怒髪天」を使った例文1
職場で上司が激しく怒る様子は「怒髪天を衝く」という言葉がぴったりなほどです。
例えば新卒社員の仕事に対する姿勢が悪く、人の話を真面目に聞かない場合の上司の怒りを、「怒髪天を衝く」という言葉を使って文章にしましょう。
「上司は、仕事に身が入らないA君を会議室に呼び出した。A君は初めのうちは、上司の説教にうなづいたり、『はい』と言ったりとリアクションを取っていたが、だんだん話に飽きてきたようだ。集中力が切れて、ついにはスマホに目をやった。A君がスマホを見ている事に気付いた上司は、『怒髪天を衝く』ほど怒り狂った」という感じです。
社会人になると、ビジネスマナーを守らない事に対して、異常に起こられますので注意が必要です。
「怒髪天」を使った例文2
恋愛の場面でも、彼氏や彼女が激しく怒る事があります。
そして激しく怒る理由のひとつに「浮気」があります。
例えば彼氏の浮気に気付いた、彼女の激しい怒りは、語源になった藺相如の怒りを超えるほどかもしれません。
そこで彼女の怒り狂う様子を「怒髪天を衝く」という言葉を使って文章にしてみましょう。
「B君が浮気をした事を知ったCさんは、B君の家に乗り込んだ。そしてB君を両手で突き飛ばし、床に転がったB君に対して口汚い言葉で罵った。その時の怒り狂うCさんの様子は、まるで『怒髪天を衝く』ようだったと、後にB君は語った。それからCさんと同じコミュニティにいる仲間は、Cさんを怒らせないように気を付けるようになった」という感じです。
いつの時代になっても「浮気」ほど、彼女や彼氏を激怒させる事はそうそうないでしょう。
できれば浮気をしない事、もし浮気をしたくなったら、絶対にばれないように努力する事が大切になります。
「怒髪天」を使った例文3
日常的な場面でも「怒髪天を衝く」様子を目にする事があります。
特に多いのが、悪さをした子供を怒る母親の姿です。
そこで、電車の中でたまたま居合わせた、子供を怒る母親の姿を、「怒髪天を衝く」を使って文章にしましょう。
「電車の中でじっとせずに、社内を走り回る子供がいた。
一緒に電車の中に居合わせた人たちは、いつもの事だと迷惑だと思いながらも、気にしないように努力しようとした。
その刹那、その子供の母親が子供を捕まえて、『電車の中でウロウロすんじゃねえよ、このくそガキが!』と怒鳴った。
母親のその大きなドスの利いた声、憤怒の表情が『怒髪天を衝く』ようで、子供はもちろん、車内にいた乗客すべてが凍りついた」という感じです。
子供は母親が優しく叱っても言う事を聞きません。
時には「怒髪天を衝く」ように怒る必要があります。
一緒にいると自分が怒られたような気分になりますが、仕方がないのかもしれません。
「怒髪天」の読み方
「どはつてん」と読みます。
「怒髪天」、「怒髪天を衝く」は、怒りの表現のマックスに位置するような言葉です。
言葉の由来になった「藺相如」は、どのくらい髪の毛が逆立ち、怖い表情をしたのか見てみたいほどです。
「怒髪天」の言葉の意味や由来を知る事で、怒りの強さをより感じやすくなったのではないでしょうか。
また日常生活やビジネスシーン、恋愛の場面などで、誰かを怒らせて「怒髪天を衝く」状態にしないように気を付けましょう。