「過渡期」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「過渡期」の意味と読み方を紹介します。
さらに「過渡期」を使った例文や、過渡期の類語などについて紹介して行きます。
目次
- 「過渡期」の意味とは?
- 「過渡期」の読み方
- 「過渡期」の類語や言い換え
- 「過渡期」を使った例文
「過渡期」の意味とは?
「うちの会社も過渡期に来たな」などいう言葉を職場で耳にする事があるかもしれません。
さらにはテレビやラジオなどで「○○国の政府は過渡期を迎えている」などというニュースを聞いたことがあるかもしれません。
「過渡期」とは、時代が移り変わっていく中で、「狭間の時期」を迎えたという状態を表した言葉です。
例えば日本の歴史で見て行くなら、貴族の時代だった奈良時代・平安時代から、武士の時代の鎌倉時代へと移り変わる、平安後期の時期などは「過渡期」といえるでしょう。
さらには足利政権が衰退し、戦国武将たちが勃興して行く南北朝時代なども、時代の「過渡期」といえそうです。
このように、「過渡期」を迎えると、時代の最盛期に比べて世の中が不安定になります。
争いが増えたり、事件が起こりやすくなるなど、その時代を生きている人が苦労をしやすくなります。
これまでのルールが通用しなくなり、新しいルールに慣れるまでは、誰でも不安で、苦労が多いからです。
このように「過渡期」には時代が移り変わる過程の狭間の時期、そして不安定な時期という意味が含まれています。
「過渡期」の読み方
「過渡期」は「かとき」と読みます。
「過度」という言葉がありますが、この場合「渡」ではなく「度」になります。
漢字が違い、意味も違ってきますので、ごちゃごちゃに覚えないようにしましょう。
「過度」に「期」を付けたのが「過渡期」ではなく、全く別の言葉ですので、注意しましょう。
「過渡期」は日本や世界の歴史の狭間の不安定な時期を表現するのにぴったりな言葉ですが、個人史や文化に対しても使う事ができます。
例えば、子供から大人に移り変わる青春時代は、一般的に心が不安定な「過渡期」といえるでしょう。
さらに文化的にも、「過渡期」という言葉は使いやすいです。
アナログ的な文化が全盛だった頃からコンピュータ中心の社会に移り変わる時期は「過渡期」でしたし。
ここ数年のガラケーからスマホへと、携帯端末が移り変わる時期も「過渡期」でした。
「ずっとガラケーで行くのか、スマホに早く変えた方がいいのか」など、友達同士で話し合ったと思います。
スマホに代えたばかりの人は、使い方が良く分からずに戸惑った時期もあったでしょう。
このように、やや不安定で、不安な気持ちや焦りが出るのが「過渡期」の特徴です。
「過渡期」の類語や言い換え
「過渡期」を他の似た意味の言葉に言い換えると、どのような言葉になるでしょうか。
まったく同じ意味ではありませんが、同じような時期を表す言葉です。
比較する事で「過渡期」の意味が浮かび上がり、より理解しやすくなるかもしれません。
- 「端境期」【はざかいき】
- 「転換期」【てんかんき】
- 「変革期」【へんかくき】
「端境期」【はざかいき】
「端境期」も「過渡期」と同様で、時代と時代の狭間の時期を表現する言葉です。
農業における古米と新米が入れ替わる頃を指し、市場にあまり果物や野菜が出回らなくなる時期でもあります。
このような農業の市場の状態から転じて、不安定で苦しい時期、時代の移り変わりを表す言葉として使われています。
「転換期」【てんかんき】
ある時代が長く続きすぎて、組織が固定されてしまい、よどんでしまった時などに、誰かが「大きく変える必要がある」と叫び出します。
このようにある程度、人為的に時代に変化を加えたいと思った時「転換期」という言葉を使います。
「この組織はもう腐っている。早く『転換期』を迎えないと倒産だ」などと使います。
また不調だったスポーツ選手が、一流の選手へと移り変わる時期も「転換期」と呼ばれます。
2軍暮らしが続いたプロ野球選手がホームランバッターになった後で、自分の野球生活を振り返った時、「プロ野球生活の2年目秋季キャンプが『転換期』になりました。
コーチとワンツーマンで練習をして、ホームランの打ち方が分かりました」という感じで当時を振り返ります。
このように、個人的な革命が起こった時などに「転換期」という言葉を使って表現する事があります。
「変革期」【へんかくき】
企業や社会が大きく組織や枠組みを変えて行く時期は「過渡期」と呼ばれる事もありますが、「変革期」と呼ばれる事もあります。
「変革期」の方が「過渡期」に比べて、やや前向きな表現かもしれません。
また企業や社会の変化に対して使われる事がほとんどで、個人にはあまり使われません。
「過渡期」を使った例文
続いて「過渡期」を使った例文をチェックして、「過渡期」という言葉を文章に組み込んでいく方法を知りましょう。
いくつかの身近なエピソードを例文にする事で、「過渡期」の使い方を知る事ができるはずです。
- 「過渡期」を使った例文1
- 「過渡期」を使った例文2
- 「過渡期」を使った例文3
- 「過渡期」を使った例文4
「過渡期」を使った例文1
IT革命が起こってから毎年のように新技術が登場し、古い技術から新しい技術へのバトンタッチの時期が続いています。
手書きの手紙が電子メールになり、今ではSNSのメッセージへと変化を遂げています。
社内の連絡も、電話での通話が一般的だったのが、今ではタブレットでのメッセージ交換が主流になっている職場も珍しくありません。
そして現在IT技術の進歩により「過渡期」を迎えつつあるのが、お金の支払い方法ではないでしょうか。
キャッシュレス化が本格的に進み始め、現金払いが当たり前だった時代から、電子マネーの支払いが当たり前になっていきそうです。
若くてスマホを使いこなせている世代は、現金を銀行でおろす手間が省けますし、お財布ではなくスマホひとつで、街中に出かける事ができますので、便利な事のほうが多いでしょう。
しかし、スマホではなくガラケー世代の高齢者は、キャッシュレス時代にうまく対応できるか心配です。
このような時代の移り変わりに高齢者が不安を覚える様子を、「過渡期」を使った文章にしてみましょう。
「電子マネーって何のことか良く分からない。クレジットカードやICカードとの違いは何だろう。支払い方法の『過渡期』とはいえ、高齢者にも分かりやすく説明して欲しいものだ」という感じです。
「過渡期」を使った例文2
応援しているプロ野球チームが、『過渡期』を迎える事があります。
優勝を重ねているような強い時代の中心選手が年を取り、引退をしたり、他のチームに移籍します。
また期待の若手選手がメジャーリーグに挑戦してしまい、昨年までのレギュラー選手がほとんどいないような状態になる事もあります。
これは昔のチームから新チームへ移行する、まさに『過渡期』といえます。
このようなチームを応援するファンの気持ちを『過渡期』を使って文章にしましょう。
「開幕してから2勝8敗か、苦戦するのは分かっていたけど、思った以上に苦戦してるな。まあ、ほとんどのレギュラーが今年初めて1軍に上がった選手だもの。『過渡期』のチームを応援するのは辛いなぁ」という感じです。
プロ野球に限らず、チームは生き物で波があります。
「過渡期」を迎えた弱いチームを応援する事も、ファンの醍醐味でしょう。
「あの暗黒期のチームを応援していた」という実績は、ファン同士の中で尊敬を得られるような宝物にもなるからです。
「過渡期」を使った例文3
恋愛シーンでも『過渡期』を迎える事があります。
例えば結婚をしてすぐの頃は、いつでも一緒にいたい「ラブラブ期」ですが、時間が経つとお互いの存在がうっとうしくなるかもしれません。
このような「倦怠期」を乗り越えて、本当にお互いの事を思い会える「真の夫婦」になる必要があります。
このような状況にある夫婦の夫の心の中を、『過渡期』を使った文章にしてみます。
「仕事が早く終わって帰宅すると、妻の機嫌が悪くなる。完全に倦怠期だ。このまま心が離れて、離婚しちゃうのかな…。いや、これはもっと愛情深い夫婦になる『過渡期』に過ぎない。俺はあきらめずに、妻を愛し続けるぞ」という感じです。
恋愛の「過渡期」である「倦怠期」は、ふたりにとってとても辛い時期だと思います。
しかし、生涯連れ添う、息の長い夫婦になるためには通過儀礼といえるでしょう。
また青年期から老齢期を迎える途中に「更年期」という辛い「過渡期」があります。
体や心の状態が不安定になる、まさに「過渡期」です。
このような時期を夫婦で協力して乗り越える事で、お互いの良さを再確認し、夫婦の「倦怠期」を乗り越えるきっかけになるかもしれません。
「過渡期」を使った例文4
人生の「過渡期」を迎える事があります。
新卒で働いていた会社で無我夢中で働き、一人前になったけれど、ふと「このままでいいのか」と虚しさを覚える人もいるでしょう。
新しい業界、新しい職種、新しい会社で自分の力を試してみたい…そう考えたら、それはその人の「転換期」になります。
転職活動を始めて、転職先が決まると、今度は「過渡期」を迎える事になります。
通い慣れた会社を辞める事は、自分が望んだ結果とはいえ、不安が大きいのではないでしょうか。
まったく新しい人間関係で、自分がうまくやっていけるのか、自分の決断を後悔する日もあるでしょう。
このような転職が決まった人の心の中を「過渡期」という言葉を使って文章にします。
「転職が決まってから、不安な気持ちでいっぱいだ。『過渡期』だから仕方がないのかもしれない。今の会社に感謝をして、次の会社で思い切り仕事を頑張ろう」という感じです。
「過渡期」という言葉は、日本の歴史全体のある時期を表す事もあれば、個人的な変化の時期を表す事もある、とても便利な言葉です。
「過渡期」には変化を求められて、不安になる様子も、言葉の中に含まれています。
そのため、もし自分の中に大きな変化が起こっている時、「多少不安になるのが当たり前」だと思う事ができるかもしれません。
「過渡期」という言葉を知る事で、自分が不安になったり焦ったりする事が、恥ずかしいと思わないで済みます。
これがたくさんの言葉を知る強みだと思います。