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「無償の愛」の意味とは?類語、使い方や英語を紹介!

「愛」という言葉には、一言では言い表せない程色々な表現の仕方があります。

また、人によって「愛」の価値観が変わるとても不思議な言葉です。

今回はその愛の中でも「無償の愛」について、言葉の由来などから意味そのものについて解説します。

無償の愛

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目次

  • 「無償の愛」の意味とは?
  • 「無償の愛」の類語
  • 「無償の愛」の使い方
  • 「無償の愛」の英語
  • 「無償の愛」の反対語や似た対義語


「無償の愛」の意味とは?

「無償の愛」と聞くと、恋愛と親子等の血の繋がりのどちらかをイメージする方がほとんどです。

「世の中ギブアンドテイク」と言われますが、この言葉はテイクを求めていません。

つまり見返りを求めない愛、そして自己犠牲を伴う愛の2つを意味する言葉です。

無償とは、有償の逆の意味で「報酬を受けない」という意味の言葉です。

自分が与える愛について相手からの見返りやお礼は求めておらず、多少自分に損することがあってもよいという自己犠牲の愛情でもあります。

ただし、自己犠牲については「ただ自分はどうなってもよい」というわけではありません。

それはただの妄執的な愛情です。

「無償の愛」についての自己犠牲とは、「相手の幸せが自分の幸せとなる」という考えのもと、相手の幸せの為であれば結果的に自分を犠牲にすることになっても良いという事です。

  • 「無償の愛」の読み
  • 「無償の愛」の語源
  • 「無償の愛」の一般的な意味

「無償の愛」の読み

「むしょうのあい」と読みます。

「無償の愛」の語源

無償の愛という言葉には明確な語源はありませんが、キリスト教に出てくる「無償の愛」からの派生だとされています。

キリスト教では、人間を神が無償に限りなく愛しているという事を、イエズスや弟子たちが人々に伝えています。

たとえ自分に害を与える敵だとしても愛しているという事を人々へ広めます。

神が人間を愛することで何か神が利益を得ることはありません。

それでも、悪人や善人、地位や性別など関係なく平等に愛(恵み)を与えてくれるのが神の愛です。

その神の無償の愛を表現する言葉として、福音書記が決めたのはギリシア語の「アガペー」という言葉でした。

古典のギリシア語では、愛を表現する言葉として主に4つの言葉がありました。

性愛を意味する「エロース」、家族愛を意味する「ストルゲー」、隣人愛を意味する「フィリア」、そして自己犠牲愛の「アガペー」です。

人間に対して見返りの有無は関係なく、平等かつ自己犠牲的に与えてくれる神の愛に対しふさわしい言葉として自己犠牲愛のギリシア語である「アガペー」が選ばれました。

「無償の愛」の一般的な意味

現代では「無償の愛」という言葉をネットで検索をすると、恋愛にまつわるアドバイスがたくさん表示されます。

また、親から子へ与える愛の表現としても「無償の愛」が使われている事が分かります。

ほとんどが「自分を犠牲にしてでも相手の幸せを願う愛」と解釈されており、やや一方的な愛情ではありますが至高の愛情表現だと紹介されています。

例えば恋愛であれば、相手が幸せであることが第一条件として自分と結ばれなくても良いと考えます。

好意を寄せた相手が自分ではない別の相手へ恋をしているとしたら、その相手の恋が実るように自分を犠牲にしてでも応援するのは「無償の愛」の形のひとつとされています。

また、親子については「目の中に入れても痛くない」という表現がある程の愛を示します。

自分の事はどうなってもいいと思えるほど、子どもへの愛情は特別とされています。

守るべき対象として、親が子の為に力を尽くし子の幸せの為なら自己犠牲もいとわない姿は「無償の愛」と言えます。



「無償の愛」の類語

「無償の愛」とは通常の愛とは違うことがわかりました。

恋愛や親子をも超えた無償の愛、それに近い言葉を2つご紹介します。

  • 「親子愛」【おやこあい】
  • 「慈悲」【じひ】

「親子愛」【おやこあい】

無償の愛の一例として親子間の愛情を先述しましたが、その親子間の愛情の事を「親子愛」と呼びます。

ひとつの語句として成り立つ程広く知られている愛情です。

「慈悲」【じひ】

キリスト教においては神が人間を無条件に愛することを人々に広めていますが、仏教においても同じような教えがあります。

「慈悲の心」などど表現しますが、「慈悲」とは「抜苦与楽」を意味する言葉です。

「慈」とは苦しみを抜いてあげたいという心、「悲」とは楽しみを与えてあげたい心を意味します。

つまり、仏は全ての人類に対して平等に「抜苦与楽」という心を持ってくれているという事です。

仏教でもキリスト教と同じように、全ての生命は平等で、相手の幸福を願う心を持つことが大切だとしているのです。

「無償の愛」の使い方

「無償の愛」が、宗教的な言葉としても、一般的に至高の愛を表現する言葉としても知られていることは理解頂けたでしょうか。

あまり口に出す言葉ではありませんが、「無償の愛」を使った例文を2つご紹介します。

  • 「無償の愛」の例文1
  • 「無償の愛」の例文2

「無償の愛」の例文1

「親が子に与える無償の愛は一言では語りつくせないとても深い愛情だ」

先でも述べましたが、親が子に与える愛情は「無償の愛」にとても近いものです。

尽きることなく、子どもが反抗したり親元から離れようと費えることなく降り注がれる愛情です。

そこに見返りは求めていません。

ただ我が子が健康で、幸せな人生が送れるよう一生懸命育てあげます。

人間だけでなく動物にも、親が子に与える無限の愛情が存在します。

厳しい世界で一人でも生きていけるよう小さいうちから生きる術を教え、自分の餌よりも子の餌を得ることに時間を割きます。

人間であれ、動物であれ、血の繋がった者同士の結びつきはとても固く、他人には簡単に切り離す事の出来ない深い愛情で結ばれていることを「無償の愛」という言葉で表現しています。

「無償の愛」の例文2

「無償の愛とは究極の愛情であり、恋愛や家族などの垣根を越えたものだ」

「無償の愛」と聞くと恋愛や家族愛に結びつきやすいものですが、アガペーの観点から考えると、そういった関係性を超えて生まれる至高の愛と言えます。

たとえ自分に害をなすような悪人でも、全く無関係の知らない人でも、平等に思いやりをもって接する事が「無償の愛」となります。

相手の幸せを願って見返りや相手の地位は考えずに自分が行動することが大事、とする「無償の愛」を使った例文です。



「無償の愛」の英語

「無償の愛」とは英語表現だと“unconditional love”がもっとも近い表現となります。

直訳すると「無条件の愛」となります。

無条件とは、何かをする際に条件を付けない事です。

自分が与える愛を受け取る相手に対して何も条件を付けない、つまり「無償の愛」を表現する英語です。

「無償の愛」の反対語や似た対義語

素晴らしい言葉である「無償の愛」にも反対とされる表現や言葉が存在します。

その一部をご紹介します。

  • 「無関心」【むかんしん】
  • 「憎しみ」【にくしみ】
  • 「打算的」【ださんてき】

「無関心」【むかんしん】

「愛の反対は無関心」というマザーテレサの有名な言葉がありますが、「無償の愛」の対義語も無関心と言えます。

相手が何をしようと気にすることもなく、相手の存在すら全く気にかけない態度です。

「憎しみ」【にくしみ】

愛の反対として挙げられる言葉に、「憎しみ」という言葉があります。

お互いを受け入れ合う「愛」とは違い、憎しみとは相手を拒絶し恨むような気持ちを抱く事です。

憎悪の気持ちとは、愛と全くの正反対ですね。

「打算的」【ださんてき】

「無償の愛」とは見返りは求めず相手の幸せに自分の幸せを感じることであることでしたが、「打算的」とは「無償の愛」とは全く正反対の考えとなります。

物事をする時に何よりも自分の損得をまず考える態度をとる様子を「打算的」といいます。

icon まとめ

いかがでしたか。

「無償の愛」と聞くとどうしても、惚れた腫れたの恋愛を思い浮かべがちな人が少なくありません。

しかしこの言葉は、恋愛だけでなく、人々の性別や人種等すべての区別や垣根を越えた究極の愛情表現を表しています。

実現するのはなかなか難しいものですが、意識して相手も自分も幸せになれるような人生を歩んでみたいですね。