「尾を引く」の意味とは?使い方や例文を紹介!
長く尾を引いて流れる流れ星は、とてもきれいで、神秘的ですが、過去のでき事が、長く尾を引いているというのは、そのことが、現在の日々の生活にまで、暗い影を落としてきそうな気がします。
問題が起きたら、できるだけ早期に、誠意をもって、解決することが大事です。
それでも残る不満や遺恨は、尾をひきやすい代物です。
そこで、尾を引かせないためには、まず、相手をよく知ることです。
「尾を引く」とは、何を意味するのか、しらべてみましょう。
目次
- 「尾を引く」の意味とは?
- 「尾を引く」と似た言葉や類語
- 「尾を引く」の言葉の使い方
- 「尾を引く」の例文
- 「尾を引く」の対義語や反対語
- 「尾を引く」の英語
「尾を引く」の意味とは?
長いしっぽをもった動物が、そのしっぽを引きずりながら、移動する様子をもとに生み出された慣用句です。
その様子のように、「物事が済んだ、終わった後までも、その名残や影響が、いつまでも続く様子を意味する」言葉です。
種々雑多のもめ事や相続、結婚といった問題など、様々な物事に関しては、話し合いや裁判、示談、和解などによって、表面上は、無事に、解決し、済んだ、終わったかにみえます。
しかし、問題の内容や、大きさによっては、後々まで、その名残や影響が、続くことがあります。
それも、細部に渡って検討を加えると、大きくは二つの種類に分類することができます。
内一つについては、さらに、二つに分けられるようで、合せて三つのパターンがあるようです。
大きな二つの種類は、名残や影響が、周りの外部に残る場合と、自分の内面に残る場合の二つです。
また、周りの外部に残る場合には、精神的なものが残る場合と、後々問題を起こす原因となるような火種が残る場合とがあります。
- 「尾を引く」の読み方
「尾を引く」の読み方
「おをひく」と、そのまま素直に読みます。
「尾を引く」と似た言葉や類語
- 「影を引きずる」【かげをひきずる】
- 「禍根を残す」【かこんをのこす】
- 「後を引く」【あとをひく】
- 「しこりが残る」【しこりがのこる】
「影を引きずる」【かげをひきずる】
過去の出来事で、自分の身にふりかかったいやな記憶とか、脳裏を離れない衝撃的なワンシ-ンなど、過去に受けた、悪い部分や良くない部分について、どうしても自分の中で、解決することも出来ず、といって、積極的に自ら解決に努力する訳でもなく、受けた影響や精神的なショックなどから、離れずにいる様子を表しています。
過去のでき事の名残や影響が、自分の内面に残る典型的な例と言えます。
「禍根を残す」【かこんをのこす】
物事が、一定の終結を見せた後に、後々、問題を起こすかもしれない原因となるものを残すことを言います。
いわゆる、問題を再燃させる基となる、火種を残して幕を引くことになる物事の終わり方で、好ましくありません。
さらに言えば、自分の内面の問題であった「尾を引く」と違い、周りの外部に、わだかまりやこだわりが、残っているわけですから、コントロールは難しく、再燃する可能性は、かなり高いと予想されます。
「禍根」の「禍」は、「わざわい。災難」を意味していて、それが「根」にあるのですから、かなり深い、不満であり、わだかまりであると推測されます。
「後を引く」【あとをひく】
大きく二つの方向で、意味があります。
まず一つ目は、「食べたり、飲んだりしたもののお代わりが欲しくなる、続けて食べたくなる様子を表わしますが、自分の内面を表す言葉です」
二つ目は、「でき事の影響が、後々まで残る様子を表したものですが、これは、周りの外部に残る問題です」
それも、「禍根」のように火種が残ると言うよりも、精神的なものが残る方の言葉です。
その意味では、「禍根を残す」ような大きなでき事でもなく、収拾もさほど大げさなものでは、なかったと思われます。
しかし、なかなか人々の間からは、消えていかない(後を引く)でき事であったのは、事実なのです。
「しこりが残る」【しこりがのこる】
「しこり」と一口に言っても、程度に差があります。
まずは、残ったしこりが大きくて、後々、再度問題化する可能性が高い、火種を残している場合での(しこりが残る)という意味があります。
別の言葉で言えば「禍根」に近い「しこり」という言葉だと言えます。
次に言う「しこり」は、後に問題が再浮上した際には、その原因の一つになる可能性があるという、禍根ほど大きくはないけれども、小さくても「火種」と呼ばれる直接の原因となりうる力は、有していると言うことで、手放しでの安心は、できないレベルの言葉です。
最後は、自分自身の心の中に、どうしても引っかかって、振り切れない、心の底からは安心ができないという、一抹の不安を抱えての「しこりが残った」状態を意味しています。
これら、三つのパターンは、全て、物事が起きた時点や解決が試みられた経緯や内容によって、どれに当たるか、決まることになります。
当然のこととして、パターンの境目であったり、両方にまたがったりすることが、あります。
パターンを見極めて、再燃する前に手を打つことが大事です。
「尾を引く」の言葉の使い方
過去のでき事が気になっている、何かしら、わだかまりのあることが、「尾を引く」ですから、社会の目である一般の人々の興味や関心の面が「尾を引く」場合と、個人の内面にどうしても忘れられない、わだかまりや納得のいかない気持ちの面で「尾を引く」場合があります。
しかし、特に、違った言い方や留意するところは、ありません。
「尾を引く」の例文
- 「尾を引く」の例文 1
- 「尾を引く」の例文 2
「尾を引く」の例文 1
「三年前に、この通りで起きた負傷者だけでなく、死者もでた通り魔事件が(尾を引いて)いて、今でも、この通りを利用する人は、少ないです」
「尾を引く」の例文 2
「仲の良い友達に言われたことが(尾を引いて)いるみたいで、元気がないらしい。
例のことなら、そんな(尾を引く)ようなことでもないので、早く、リセットするように、言ってやろう」
「尾を引く」の対義語や反対語
対義語や反対語となると、まるで、何事もなかったかのように、何の遺恨も残さずに、すっきりと終わることです。
過去を蒸し返さない、すっきり終わる、そんな言葉を集めてみました。
- 「払拭する」【ふっしょくする】
- 「水に流す」【みずにながす】
- 「けりを付ける」【けりをつける】
- 「帳消しにする」【ちょうけしにする】
- 「リセットする」【りせっとする】
「払拭する」【ふっしょくする】
いろいろとあった過去のいざこざの全てを、汚れなどをすっかり拭い去るように、除き去ってきれいにすることを言います。
「払拭」の「払」は「払いのける」という意味があり、「拭」には、「汚れを拭き清める。ぬぐう」とい意味があります。
不満や言いたいこともあろうけれど、きれいさっぱり、拭い去りましょうという意味合いの言葉ですから、「尾を引く」とは、対をなす言葉になります。
「水に流す」【みずにながす】
過去の事は、一切水に流して、なかったことにしましょうということを表しています。
過去にあったこと、それまでのいざこざなどを、全て、水に流して、すっきりしましょうという、ある面では、大胆な提案です。
しかし、全てを水に流すのですから、公平なやり方とも言えそうです。
その上、水に流すことに、深いわけが、あるのです。
この水に流すという行為は、神社にお参りするとき、手水場で体を清める仕草をすることに、由来しています。
手水場で、手を洗ったり、口をゆすいだりするのは、神前に上がるのに、体中に付いている、いわゆる世間の垢を、落とすことを意味しています。
本来は、裸になって全身に水をかぶるべきですが、現実的ではありません。
そこで、簡易な方法で、しかし、その意味するところは、はずさないように、体を清めているのです。
これを「禊ぎ」と言います。
川につかったり、滝に打たれたりといった正式な「禊ぎ」はできませんから、簡易な方法で、垢を落としているのです。
つまり、「水で濯ぐ」という行動が「水濯ぎ」であり、「禊ぎ」につながるのです。
だから、水に流すというのは、とても神聖な行為ですので、「水に流す」は大きく二つの方向で、意味があります。
「けりを付ける」【けりをつける】
決着が容易でなかった物事に、何らかの形で結論を出して、これで終わりとする意味をもつ言葉です。
短歌や俳句の世界では、句の終わりを「〜月の出にけり」のように「けり」を付けて終わることから、けりをつければ、短歌や俳句が、終わるのと同じように、このもめごとやいざこざにも「けり」を付けて、終りにしようという、ある種、駄洒落のような表現ですが、意味的には「尾を引く」とは、対比的な表現になっています。
今の言葉でいえば、「ピリオドを打つ」とでもいうのでしょうか。
「帳消しにする」【ちょうけしにする】
帳面に記載してあることを、横に棒線を引いて、帳面から消して、なかったこととすることが、基になっています。
お互いに、いろいろな不満や意見もあるけれど、それらのことについて、互いに損得がなくなるように、差し引きの勘定をして、過去のいざこざや問題はなかったことにする、という意味です。
ここで「横に棒線を引いて」とありますが、昔は、借金に関する出納関係は、全て帳簿に記していたので、帳簿に棒線を引いて、借金をなかったことにすることを、「棒引きにする」と言う訳です。
「リセットする」【りせっとする】
便利な世の中になりました。
ワンクリックするだけで、ゼロに戻すことも、全てをクリァにすることもできます。
かなりの量の情報も、一瞬にして、消えます。
あの潔さで、過去の事は、クリックして、ゼロに戻しましょうという新感覚の(尾を引く)問題の解決方法です。
「チャラにする」という、口から出任せを言うことやでたらめなことなどを意味する言葉と、同じ意味合いで、「貸し借りをなしにすること。差し引きゼロ、帳消しにすること」からきた言葉で、ずいぶんと都合の良い言葉です。
今までのしがらみを、全てチャラにして、新たな歩みを始めましょうということですが、そうそう勘案に(リセット)や(チャラ)ができているなら、尾は引かなかったのではとも思います。
「尾を引く」の英語
機械的な英訳では“to leave a trail.” (尾を引く) “Leave”(残す。置き忘れる) “trail(跡)to leave trces.”(跡を残す) “trces”(足跡。跡)
物事を丸く収めることは、容易なことではありません。
増して、双方に、わだかまりや不平、不満など、様々な感情の食い違いまで考えると、何らかの課題は、残って当然のような気がします。
ただし、再燃することだけは、避けたいものです。
そのためには、「禍根」や「火種」を残さずに、事態の収拾を図ることが、大事です。