「泥船に乗る」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
「泥船に乗る」の意味と類語を紹介します。
さらに「泥船に乗る」を使った例文をいくつか紹介して行きます。
目次
- 「泥船に乗る」の意味とは?
- 「泥船に乗る」の類語や似たことわざ
- 「泥船に乗る」を使った例文1
- 「泥船に乗る」を使った例文2
「泥船に乗る」の意味とは?
「泥船に乗る」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
会社員として働いている人は、あるいは飲み会の席などで耳にした事がある言葉かもしれません。
この場合「泥船」にあたるのは、「あなたの上司」かもしれませんし「会社自体」かもしれません。
このように「泥船に乗る」という言葉は、サラリーマン社会では頻繁に使われる言葉です。
「泥船に乗る」というのは、文字通り「泥船に乗っている」状態を意味します。
泥でできた船は、いつ沈没してもおかしくありません。
このような不安定な船、持続性が薄い船、性能の悪い船に乗っていても仕方がない、何でこんな船に乗ってしおまったんだろう…そんな風に思った時に使います。
「泥船」を「自分の上司」や「自分の会社」に見立てるのは、将来性が薄く、能力がない、将来性がないと気付いているからです。
「泥船に乗る」という言葉を使う時、「泥船に乗せられた」のか、「信頼していた船が泥船だった」のかで、気持ちが大きく違います。
そこには泥船の船長にあたる人の「悪気の有無」があります。
例えばブラック企業への勧誘は、「泥船」だと分かった上で乗せているという、悪意のようなものが見えます。
一方で、その時点では日本を代表する大企業だと思われていたのに、わずか数年で企業の存続が危ぶまれるような「泥船」に成り果てる事があります。
悪意がある場合は、「詐欺に遭った」ような気持ちになりますし、実は泥船だと気付いた場合は「自分の見る目がなかった」と反省する事になるでしょう。
- 「泥船に乗る」をギャグとして使う
「泥船に乗る」をギャグとして使う
実は「泥船に乗る」という言葉は、別の言葉から派生した、パロディのような言葉だという事をご存知でしょうか。
それは「大船に乗る」という言葉です。
「大船」は、豪華客船やクルーザーのように、乗っていて安全で快適な船の事です。
よく大企業の新歓コンパなどで、上司から「うちの会社はつぶれません!どうか『大船に乗った気持ちになって』仕事や恋愛を楽しんでください」などと挨拶があります。
一方で零細企業の新歓コンパでは「うちの会社に来てくれてありがとう!どうか『泥船に乗ったような気持ちで』毎日の仕事に励んでください」などと挨拶があります。
このように「大船」に対する「泥船」という「自虐ネタ」として「泥船に乗る」という言葉は登場しました。
昔話などで、「泥船」が登場し、その船に乗った登場人物は水の中に沈んでしまいます。
自虐ネタとして昔話等で登場した「泥船」を参考にしてできた言葉という事になります。
言葉の由来からいっても、真剣な場面だけでなく、ギャグとして「泥船に乗る」という言葉を使う事が良くあります。
そもそも自虐ネタだと思えば、納得できるのではないでしょうか。
「泥船に乗る」の類語や似たことわざ
次に「泥船に乗る」の類語や似たことわざをチェックしましょう。
「泥船に乗る」と同じ発想で生まれた言葉や、歴史ある言葉も登場しますので、たくさんの言葉を覚えて欲しいと思います。
- 「泥船から逃げる」【どろぶねからにげる】
- 「風前の灯火」【ふうぜんのともしび】
- 「まんまと乗せられる」【まんまとのせられる】
「泥船から逃げる」【どろぶねからにげる】
「泥船に乗る」に似た言葉に「泥船から逃げる」という言葉があります。
言葉の由来は「大船」の反対の「泥船」で「破たんしそうな会社や組織」「将来性の薄い上司」などの事を指します。
自分の勤めている会社や、派閥のトップにあたる上司が、どうやら「泥船」だと気付いた時、沈没するまで待つ必要はないでしょう。
早い段階で泥船から降りて、違う、もっと安全で大きくて、快適な船に乗り換えるべきです。
「泥船から逃げる」とは、「今の会社を辞めて、転職先を探そう」とか、「違う派閥に鞍替えしよう」という事を、直接的でなく暗喩で表現して、柔らかい言葉にしています。
「泥船から逃げたい」と思っている人は、思っている以上に多いかもしれません。
「泥船から逃げる」の前段階が「泥船に乗る」ですから、ふたつの言葉はセットとして考えてもいいでしょう。
「風前の灯火」【ふうぜんのともしび】
「風前の灯火」は誰もが耳にした事があるような、メジャーな言葉のひとつです。
次のピンチが来たら、もう耐えられそうにない組織の事や、もうひと押ししたら倒れてしまいそうな人の事を意味します。
また、健康状態が悪く、寿命が尽きようとしている人の事も「風前の灯火」と言います。
「風前」とは風の当たる場所で、「灯火」は炎です。
風が強い日に、ろうそくを立てた場合、いつろうそくの炎が消えてしまうか分からないです。
この風にゆらゆら揺れる炎こそ、「風前の灯火」となります。
死神が登場して、ふっと息を吹きかければ、灯火はきっと消えてしまうでしょう。
このように、ほとんど無防備で、どうする事もできない状態まで追い込まれた人は、「風前の灯火」という言葉で、置かれている状況を説明する事ができます。
「まんまと乗せられる」【まんまとのせられる】
「泥船」に乗せようと、誰かが画策する事があります。
詐欺事件で訴えられるような、架空の会社は「泥船」以外の何物でもありません。
「泥船に乗る」のではなく、巧妙な手口で、「泥船に乗せられる」場合は、「まんまと乗せられる」という言葉を使った方が、適切な表現になるかもしれません。
人生を生きていると「まんまと乗せられる」機会は多いです。
乗せられた後、どのくらいその船が走ってくれるか、また運賃がどのくらい高いかによって、「まんまと乗せられた」事による被害の大きさが変わります。
「まんまと乗せられる」事がないように、詐欺まがいの勧誘に引っかからないように注意するようにしましょう。
「泥船に乗る」を使った例文1
「泥船に乗る」という言葉を使って例文を作ってみましょう。
いくつかの例文を見ているうちに、使い方や言葉の意味がハッキリと見えてくるでしょう。
- 「泥船に乗る」を使った例文1
- 「泥船に乗る」を使った例文2
「泥船に乗る」を使った例文1
新卒で入る会社には、夢や希望を持っていると思います。
しかし、入ってみてしばらくすると「あれ?なんか変だぞ」と思う人もいるでしょう。
新卒の社員の全てが優良企業に入れるわけでなく、ほとんどの人が「あれ?」という感じの会社に入る事になります。
世間的なイメージが良い会社でも、内実はまるで違う事もあります。
例えばあなたが新卒で希望通りの会社に入ったのに、思っていた職場環境ではないと気付きます。
そして何度目かの時間外労働を強いられながら、ふと自分の事、自分が働いている場所について思う所があるでしょう。
このような時に「泥船に乗る」という言葉を使って、自分の気持ちを文章にしてみましょう。
「もしかしたら、この会社はブラック企業かもしれない。一流大学に合格して、就活を頑張ったのは、こんな『泥船に乗る』ためじゃなかったのに…」という感じです。
自分が入った会社が泥船だと、早く気付けたのをラッキーだと思って、転職活動を始めましょう。
「泥船に乗る」を使った例文2
結婚相手を選ぶのは、ある意味、究極のギャンブルのようなものかもしれません。
その人が「豪華客船」か「クルーザー」か、はたまた「泥船」かは、結婚してしばらくしないと答えが出ないものだからです。
例えば、もし結婚した男性が出世ができない、仕事ができないタイプの男性だと気付いた時は、自分の気持ちを「泥船に乗る」という言葉を使って文章にまとめてみましょう。
「結婚してから、全然夫の給料が上がらない。きっと夫は仕事ができないから、出世も見込めない。私は『泥船に乗って』しまった。…しかし、彼は優しくていい人だから、泥船でも乗り続けようと思う」という感じです。
仕事の面では「泥船」でも、他に取り柄があれば結婚生活は続ける事ができそうです。
このように夫を「泥船」に例えて、自虐ネタと見せつつ、のろける事もできます。
「泥船に乗る」を使った例文2
- 「泥船に乗る」を使った例文1
- 「泥船に乗る」を使った例文2
「泥船に乗る」を使った例文1
「泥船に乗る」を自虐ネタに使って、笑いを取るのは、ある意味で王道の使い方です。
会社の飲み会は格好の「泥船に乗る」を使いやすいタイミングです。
例えば、プロジェクトが始まる日の飲み会で、あなたは責任者としてみんなに挨拶をしましょう。
「みなさん、私がプロジェクトリーダーの○○です。私はこう見えて、仕事が全然できません。『泥船に乗った』と思って、私に頼らずに、自分自身の力でプロジェクトを成功に導いて下さい」という感じです。
あなたが本当に仕事ができない場合は、参加者は苦笑いしかできませんが、ある程度仕事ができる人ならば、みんなが笑顔になるでしょう。
「泥船に乗る」を使った例文2
自分が所属する場所や、結婚相手などが「泥船」かどうか、迷いの中にいる人がいます。
このような人は、自分の将来について、真剣に悩んでいるかもしれません。
例えば、夫からDVを受けている友達がいたら、別れさせたいと思うでしょう。
しかし、友達は「でも、普段は優しい人だから」などと言って、離婚を真剣に考えないとします。
このような時に「泥船に乗る」という言葉を使って、友達の目を覚ましてあげましょう。
「女性に暴力を振るう男なんて最低だよ。あいつはダメだよ、絶対に立ち直れない。あなたは『泥船に乗った』の。このまま結婚生活を続けていたら、あなたまで水の中に沈んでいくよ?」という感じです。
大切な人が、自分がいる場所が「泥船」だという事を気付かせたい時に、「泥船に乗る」という言葉を使って、早めに気付かせてあげましょう。
「泥船に乗る」という言葉は、そもそも「大船に乗る」という言葉から生まれた比較的新しい言葉です。
それだけに使いやすく、現実の社会にマッチしています。
特に会社員のみなさんは、身の回りの現実を「泥船」にたとえやすいのではないでしょうか。
自分が置かれている状況を客観的に見たい時、自虐ネタにして笑い飛ばしたい時、誰かに現実のひどさをわかってもらいたい時など、使い勝手のいい「泥船に乗る」という言葉を使いましょう。