「女心と秋の空」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「秋の日は釣瓶落とし」「天高く馬肥ゆる秋」。
秋のつくことわざは多くありますが、今回は「女心と秋の空」についてご紹介します。
目次
- 「女心と秋の空」の意味とは?
- 「女心と秋の空」の類語や似たことわざはなんだろう?
- 「女心と秋の空」の言葉の使い方
- 「女心と秋の空」を使った例文
- 「女心と秋の空」の対義語や反対語はなんだろう?
- 「女心と秋の空」を英語で表現すると?
- 「女心と秋の空」から何を学ぶことができるだろうか
「女心と秋の空」の意味とは?
「女心と秋の空」とは、変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だという意味です。
もともとは「男心と秋の空」ということわざでしたが、「男心」がいつのころからか「女心」に変化したものと考えられます。
江戸時代には「男心と秋の空」がよく使われていました。
これは、女性に対しての愛情が移りやすい、つまり、男性は浮気性であるという意味です。
これが明治から大正時代ごろになると、泣いたかと思っていたらすぐに笑い出すような、女性の感情や気持ちの変化の激しさにたとえるようになりました。
- 「女心と秋の空」の読み方
- 「女心」とはどんなもの?
- 「秋の空」
- 「男心」から「女心」へ
「女心と秋の空」の読み方
「女心と秋の空(おんなごころとあきのそら)」と読みます。
「女心」とはどんなもの?
一般に、男性が理性的であるのに対し、女性は感情的であるといわれています。
男性はどんなことにも意味や目的を求めて行動し、女性はどんなことにも共感を大切にするといわれています。
また、感情的があるゆえ、ささいな変化にも気がつきやすいのが女性の特徴で、その最たるものが「女の勘(おんなのかん)」です。
感情が決め手の「女の勘(おんなのかん)」
「女の勘はよく当たる」といわれていますが、なぜ男性にくらべ勘が働きやすいか知っていますか?
実は、男性と女性では、右脳と左脳をつなぐ「脳梁(のうりょう)」の大きさに違いがあるからなのです。
右脳は感情的、左脳は論理的といわれていますよね。
創造力人は「目で見た」「耳で聞いた」「におい」の情報を右脳と左脳でやりとりして判断していますが、女性は男性に比べて脳梁が大きく、ささいな情報まで脳で判断でき、的確に右脳と左脳の情報交換ができるのです。
それで、少ない情報で考えることができるといわれています。
「女心」はなぜ感情の起伏が激しいのだろう?
「女心」とは、感情的だという意味の「女心と秋の空」。
通常男性と女性では、感情表現に違いがあるといわれています。
男性は、自分の敵だと判断すると、すぐに攻撃モードに入りやすく、女性は、一時的に我慢をしてやり過ごすという判断をします。
つまり男性と比較すると女性は平和主義な生き物なのです。
それゆえに、我慢がつもりつもってどうにももう耐えられなくなったときに、感情が爆発してしまうのです。
このことが、感情の起伏が激しくみえる原因のひとつなのです。
「秋の空」
「天高く馬肥ゆる秋(てんたかくうまこゆるあき)」という表現を聞いたことはありませんか?秋は空気も澄んでいて、空も高く感じられ、馬も肥えるような収穫の季節でもある、という意味ですね。
このように、秋の空は、青く澄み渡り、空が高く感じますよね。
しかし、同時に高気圧と低気圧が頻繁に入れ替わることもあって、急に天気が変わることも多くあります。
この「秋(あき)の空のようす」と、「飽き(あき)る」の「飽き(あき)」と「秋(あき)」が掛かっているのが「秋の空」なのです。
「男心」から「女心」へ
江戸時代は、男性は浮気性であるという意味で「男心と秋の空」がよく使われていました。
しかし、徐々に「女心と秋の空」が主流になってきました。
これは、大正デモクラシーで女性の地位が向上したことがきっかけだといわれています。
西洋文化の影響で女性が素直に意思表示できるようになったことで、恋愛の価値観も大きく変わりました。
この頃から「女心と秋の空」とも言われるようになりますが、男女間の愛情についてだけではなく、喜怒哀楽の感情の起伏が激しいことや物事に対して移り気なことを「秋の空」にたとえるようになりました。
「女心と秋の空」の類語や似たことわざはなんだろう?
「変りやすい」「すぐ飽きる」をキーワードに似ている言葉を集めてみました。
- 「女の心は猫の目」【おんなのこころはねこのめ】
- 「測り難きは人心」【はかりがたきはひとごころ】
- 「分からぬは夏の日和と人心」【わからぬはなつのひよりとひとごころ】
「女の心は猫の目」【おんなのこころはねこのめ】
女性の心理は、猫の目のように変化しやすいというたとえです。
ネコの瞳孔(どうこう)は、明るいところでは狭まってほとんど線のように見えますよね。
しかし、暗いところでは、ネコの瞳孔は人間の瞳孔の約三倍まで大きくなります。
また、ネコをじゃらしていると急に瞳孔が大きく広がりますよね。
これは、興奮したり恐怖を感じるなどの感情の変化で瞳孔が大きく広がるためです。
このように、コロコロ変わるネコの目と女性の変りやすい心をたとえたものなのです。
「測り難きは人心」【はかりがたきはひとごころ】
自分の心の中だってよくわからないというのに、まして他人の心ほど、推測することが難しいものはない、また、人の心は、すぐに変わりやすいからく頼りにならない、ということをいったことわざです。
「分からぬは夏の日和と人心」【わからぬはなつのひよりとひとごころ】
夏は、ギラギラと太陽が照りつけていたかと思うと、急に雷雨になったりと天気が変りやすいですよね。
このように、夏の移ろいやすい天気のように、人の心も変りやすいものだという意味です。
「女心と秋の空」の言葉の使い方
「女心と秋の空」は、浮気性だという意味の「男心と秋の空」に比べて、いろいろなシチュエーションで用いることができることわざです。
「男心と秋の空」と同じように、移り気だという場合にも使えますし、ランチをイタリアンか中華にするかとさんざん迷ったあげく、中華に決めた後に「やっぱりイタリアンにする」と決めたことを最後の最後で変更した場合にも使えますね。
「女心と秋の空」を使った例文
- 「この前までは、あのアイドルに入れあげていたのに、今度は違うアイドルに夢中だとは、『女心と秋の空』だ」
- 「『女心と秋の空』とよくいうけれど、彼女にはいつも振り回されっぱなしだよ」
「女心と秋の空」の対義語や反対語はなんだろう?
「女心と秋の空」の反対の意味を持つ言葉を「女性」「変りやすい」の反対語をもとに考えてみましょう。
- 「男心と秋の空」【おとこごころとあきのそら】
- 「男の心と川の瀬は一夜に変わる」【おとこのこころとかわのせはいちやにかわる】
- 「一心不乱」【いっしんふらん】
「男心と秋の空」【おとこごころとあきのそら】
「女心と秋の空」の原形の「男心と秋の空(おとこごころとあきのそら)」は、男性とは、元来、浮気性であるという意味です。
移り気な男性や好色な男には十分気をつけなさいという戒めの言葉でもあったそうです。
「男の心と川の瀬は一夜に変わる」【おとこのこころとかわのせはいちやにかわる】
男性の心は非常に変わりやすいという意味です。
「川の瀬」は、流れが速いため、一夜にしてそのようすを変えるのと同じように、男性が女性にむける愛情も、移ろいやすいというのだというたとえですね。
「一心不乱」【いっしんふらん】
一つのことに心が向かっていて、他のことに乱されることが無いさまを「一心不乱」といいます。
何かにひたすら打ち込んでいたり、周りのことなど見えないように没頭している状態をいいます。
「一途(いちず)」であることは、「移り気(うつりぎ)」とは反対の言葉ですね。
「女心と秋の空」を英語で表現すると?
国は違えども女性の心を天気にたとえることが多いようですね。
英語でのことわざをいくつかのご紹介します。
- “A woman's mind and a winter wind change often.”
- “Women are as fickle as autumn weather.”
- “Woman is as fickle as April weather.”
“A woman's mind and a winter wind change often.”
「女心と冬の風はよく変わる」
冬の風は強い日もあれば、弱く吹く日もあるまるで女心と同じようだいう意味です。
イギリスの天候をたとえたことわざですね。
“Women are as fickle as autumn weather.”
「女は秋の天気のように気まぐれ」
“fickle”とは、「(天候など)変わりやすい、気まぐれな、移り気な、気が変わりやすい」という意味です。
「女心と秋の空」とほぼ同じ意味のことわざです。
“Woman is as fickle as April weather.”
「女は四月の天気のように気まぐれ」
“autumn”のかわりに“April”が入っています。
イギリスでは、四月は突然のにわか雨が多く、天候が荒れやすいため、このような表現になりました。
雨が降ると、木々やその他の植物が花を咲かせる季節でもあります。
変りやすくとも、「雨降って地固まる(もめごとの後は、かえって良い結果や安定した状態を保てるようになる)」こともあるかもしれませんね。
「女心と秋の空」から何を学ぶことができるだろうか
「変りやすい」女性の心理をいうこのことわざを読み込んでいけば、男性にとっても、女性にとっても何か学べることがあるのではないでしょうか。
深読みして考えてみましょう。
- コロコロ変わる女心の魅力
- つねに変化する心とは…
- 感情的に生きることも時には必要
コロコロ変わる女心の魅力
「男は本能的に狩人(かりゅうど)である」といわれています。
人間の歴史上、男性は狩りに行って食糧を調達する「狩猟」の役割を受け持っていました。
男性の狩猟本能は、攻略するのが難しい相手を目にすると燃え上がります。
手に入りそうで入らない相手を苦労の末に手に入れたとき、男性の心は満たされるのです。
一度手に入ったら、あまり関心がなくなり、次の獲物を探したくなるのです。
ゆえに、気分の変わりやすいとらえどころのない女性は男性にとって「魅力的」にみえるのではないでしょうか。
つねに変化する心とは…
「アレにしよう…と思ったけれど、やっぱりコレにしようかな」
一見すると一貫性がない行動ですね。
一貫性がないとは、矛盾があることでもあります。
つまり、やることがブレていること。
しかし、一貫性がないことはよくないことでしょうか。
女性に限らず、人の心は常に変化します。
昨日までは、「彼女は仕事ができるからって、いつもお高くとまってて、なんかいけすかないわ」と思っていたとしても、翌日に笑顔であいさつされると「彼女は仕事はできるし、感じもいい!」とそれまでの意見とは180度変わってしまうのです。
要は、変化する心とは、柔軟な心でもあるのです。
感じたことや思ったことをずっと引きずって凝り固まっていたら、先入観だけでよいものも見逃してしまう可能性があるのです。
感情的に生きることも時には必要
年齢を重ねれば重ねるほど、理由よりもむしろ感情によって動かされることを避けようとしがちです。
それは、トラブルを避けるため、他者から自分の身を守るために、感情を前に出さないように出さないようにと生きてはいませんか?「自分にはどうせできるわけがないのだから」とやりたいことをあきらめてはいませんか?
しかし、自分を押し殺していくだけでは、何も変わらないのです。
自分の今やりたいことを明確にして実行することは、人生を「いきいきと」生きていくことなのではないでしょうか。
「女心と秋の空」は、めまぐるしくかわる女性の心情を表したことわざです。
表情が豊かに変化するからこそ、新しいものに出会うチャンスがあるのではないでしょうか。