「ちぐはぐ」の意味とは?使い方や例文を紹介!
着てくる洋服を間違えたのか、最先端のファッションなのか、どうにも収まりのない、ちぐはぐな服装で現れた彼女には、何と声を掛けたものか、迷うことしばしです。
かと思えば、オフィスの姿と、飲み会の姿とでは、全くの別人と化してしまう謎の新人Aくんの、理解不能のちぐはぐな性格と、身の回りには、ぴたっとこない、ちぐはぐなでき事が、いろいろころがっているものです。
目次
- 「ちぐはぐ」の意味とは?
- 「ちぐはぐ」と似た言葉や類語
- 「ちぐはぐ」の言葉の使い方
- 「ちぐはぐ」の例文
- 「ちぐはぐ」の対義語や反対語
- 「ちぐはぐ」の英語
「ちぐはぐ」の意味とは?
本来、ひと組みや対になるべきものが、揃っていないことを指しています。
あわてたのか、靴を履き間違えて、左右、違う靴を履いている時などが、この言葉が表す意味の典型的な例です。
また、物事が、ことごとく食い違っていて、調和がとれないことや、そのようなあり様自体を、指しています。
文書で言えば、同じ語彙の表記がまちまちだったり、文末表現に、常体と敬体とが無秩序に混じっていたり、何よりも文書の筋や掲載資料と文書内容との整合性がなかったりする点などが、「ちぐはぐ」の意味になります。
同時に、ある出来事を報告するのに、居合わせた人達の意見が、時間や色、形など、本来ならば、食い違うはずのないところで、食い違うことを表す言葉でもあります。
言っていることと行動が食い違う場合や会話がうまくかみ合わない場合などにも使う言葉で、違和感のある事柄に対して、広く一般的に使われる言葉です。
特に、人の行動では「あの人は、言っていることと、することとがちぐはぐで、どうにも信頼できないね」と、言動の不一致を意味する方向でも、つかわれる表現です。
- 「ちぐはぐ」の読み方
- 「ちぐはぐ」の語源
「ちぐはぐ」の読み方
字面の通りです。
「ちぐはぐ」の語源
「ちぐはぐ」の前半部分の「ちぐ」は、「鎮具」と書きます。
「鎮」の道「具」というわけですが、「鎮」は、「おもし」とか、「押さえる」「おしつける」「しずめる」などの意味があります。
それで、毛筆に使う「ぶんちん」にも、ちゃんと「鎮」の字が入っていて、「文鎮」と書きます。
さらに、「大きいもので、上から押し付ける」という意味をもっています。
このことから、重いもので上から押し付けて、釘を沈めていくものとしての「金槌」を、意味しています。
また、「はぐ」は、「破具」と書いて、「破」の道「具」。
つまり、「やぶる道具」「こわす道具」という意味をもっており、ここでは、釘を打つ、釘を抜くという関係から、「釘抜き」を、意味しています。
そのことから、「釘を打つ」「釘を抜く」という正反対の作業を交互に行うのでは、打つのか、抜くのか、はっきりしない上に、仕事が、一向に進まないだけでなく、何をやっているのか、分からない、てんで、バラバラの状態、正に「ちぐはぐ」の状況を表していることからきている言葉です。
なお、大工の棟梁のもとで、下働きをする弟子が、金槌がいる時は、釘抜きを渡し、釘抜きがいる時は、金槌を渡しと、ことごとく、求めているものと、渡すものとが、ずれて、棟梁に届くので、「ちぐはぐ」になっていることを語源とする説もあります。
「ちぐはぐ」と似た言葉や類語
調和のとれていないことや、筋の通っていないことを意味する言葉は、意外と多く、「ちぐはぐ」もその仲間です。
いろいろある中から、比較的よく使われる言葉を、ピックアップします。
- 「支離滅裂」【しりめつれつ】
- 「辻褄が合わない」【つじつまがあわない】
- 「不揃い」【ふぞろい】
- 「無茶苦茶」【むちゃくちゃ】
「支離滅裂」【しりめつれつ】
離れてばらばらになると同時に、細かく分かれていくことを意味する「支離」と、バラバラになって形がなくなり、統一性がなくなることを意味する「滅裂」から成る四字熟語です。
どちらの言葉も同じように、バラバラになるという意味をもっていますが、「支離」の方は、細かに分かれてバラバラということを、「滅裂」の方は、形がそろっていなくてバラバラということを表しています。
細かに分かれた上に、形もそろっていなければ、本当に、真底ばらばらな状態にあるということです。
どこにもそろった部分がなく、統一性のかけらさえありません。
始めと終わりが一致しない筋道の立たないことを言います。
「辻褄が合わない」【つじつまがあわない】
「辻褄」とは、着物の世界で使われる言葉です。
「辻」とは、もともと、道が十字形に交差したところのことで、それが転じて、着物を縫い合わせる場合に、縫い目が十字になる部分のことをいいます。
「褄」とは、着物独特の言いまわしで、もともと「へり」や「はし」のことをつま(端)というのですが、ここで言う「褄」とは、着物の一番下の縁にあたる部分で、その中でも縁の先端の角に当たる部分を「褄先」といって、「襟下」と「裾」とが出会う角のことを指す言葉です。
襟から降りてきた線と、裾の横線とが、ここ「辻褄」でぴしっと十字に合っていないと、「辻褄が合わない」として、着物の値打ちはありません。
このことから、一本筋の通った物事の道理や、合わなければならないところが、きちんと合うというあたり前だけども、大事な物事の道理が、通らないことを意味しています。
「不揃い」【ふぞろい】
「揃い」の終止形「そろう」に、否定の「不」が付いた言葉なので、「そろわないこと」「まちまち(そろっていることの期待されるものが、それぞれ同じでない様子を表す言葉)であること」「数が、足りないこと」それらの様子を表す言葉です。
大皿、中皿、スープ皿の3枚が、セットの食器なのに、中皿が1枚足りない、あるいは、6人分あるはずなのに、一人分足りない時などに使われる言葉です。
また、単に、「急なことなので、服装は自由と、言ったものの、こうも服装が、不揃い過ぎては、ボランティアの目的と、参加の姿勢とが、ちぐはぐな感じがするな」などと、使う場合もあります。
「無茶苦茶」【むちゃくちゃ】
「無茶」茶が無いという文字ですから、お客さんにお茶が無い、ひいては、「お茶を出さない」ということを意味しています。
「苦茶」苦ですから「苦い」茶ということで、出しても「苦いお茶」を出すという意味です。
だから、そんなのは、無茶苦茶です。
常識的に、考えられません。
そこから、道理に合わないことを意味する言葉であるとか、程度が度を超えて激しいことや乱暴なことを表す言葉として「無茶苦茶」と言います。
相手が示した要求や条件に対して、「それは、いくら何でも無茶苦茶ですよ」と、相手の要求や条件が大きすぎることを言うような時にもよく使われる言葉です。
「ちぐはぐ」の言葉の使い方
服装から、文書類、会話の内容や流れまで、幅広い場所やシチュエーションの下で使える言葉です。
「さっきから気になるんだけど、そのセーターとスカートちぐはぐじゃない」
「まっ、失礼ね。スタイリストさんに合わせてもらったのよ」
「何だか、話がちぐはぐになってきたね」
「そもそも論点は、何のことだったかな」
「そうそう、そこを再度、確認しないと、ちぐはぐになる一方だね」
エレベーターを降りたところで、人とぶつかって、散らばった書類を慌てて拾って綴じたから、ページが無茶苦茶になって、何とも奇妙なちぐはぐな文書になってしまった。
「ちぐはぐ」の例文
今日は、やけに、いろんな人に、足元を見られるので、「何か、付いているのかなあ」と思って、帰宅してみたら、何ということだ、靴下が、ちぐはぐだ。
それも、よりによって、色違いときている。
明日が、思いやられるなあ。
「ちぐはぐ」の対義語や反対語
辻褄の合わないことの反対ですから、多くの言葉がありますので、これも、代表的なものを記載します。
5-1「首尾一貫」
頭を意味する「首」、尻尾を意味する「尾」それに、変わらないことを意味する「貫」が、組み合わさって、頭から尻尾まで、変わらない、つまり、考え方や主張などが、始めから終わりまで変わらず、言動に、揺るがない筋が通っていることを表しています。
終始、同じ考え、主張で対応してきますので、信頼がおけるし、毎回の会合が、後戻りすることも無く、建設的に前進する効果ある会合となっていきます。
「ちぐはぐな」会議の積み重ねは、何の役にも立ちません。
初会から終会まで、常に流れる本流の有無が、会議の質も高めます。
「理路整然」
「理路」が「整然」としているという意味です。
「理路」とは、「理」(物事、話などの筋道)と「路」(道、車や人が行き来する道、転じて物事の道理や筋道)のことを示しています。
「整然」というのは、規則を守り、秩序正しく整っている様子を表します。
やたら筋道が登場しますが、それだけ筋道に則った話や内容で、筋道がはっきりしていて、道理にあてはまっているという、「ちぐはぐ」とは、ある面、真逆の意味をもつ言葉です。
すっきりとした論立てで、無駄なく、落ちなく、端的、明瞭にまとめられた文章や話しぶりのことを意味します。
「徹頭徹尾」
「頭」から「尾」まで、「徹する」とは、初めから終わりまで、自分の意思や姿勢を曲げないことを意味する言葉で、固い決意や強い意志を表明する言葉でもあります。
「ちぐはぐ」からイメージされるふらついた考えとは、一線を画す強い言葉ですが、それだけに、軽々に、使う言葉ではありません。
また、書きことばよりも、どちらかと言えば、話し言葉の方に入る言葉です。
意思表明であり、宣言のような性質をもつからです。
「ちぐはぐ」の英語
「ちぐはぐ」そのものでの英訳は、ないようですが、形容詞に、意味的に近いものがあります。
また、意訳した例がありますので、参考までに記しておきます。
- “inconsistent”(一貫性のない。一致しない。辻褄が合わない)
- “discrepant”(食い違う。辻褄が合わない)
- “these socks don’t match. ”(その靴下は、ちぐはぐだ)
「ちぐはぐ」という言葉は、書くことや話すことだけでなく、服装や道具、インテリアまで、かなり幅広く使われています。
「この門扉とお家、ちぐはぐな感じ」とも「そのメガネ、あんたには、ちぐはぐや」とも、使える、あまり制限を受けない、便利な言葉です。
かといって、正式な書類やお礼状などに「ちぐはぐな文になりましたが〜」などと書くのは、それこそ「ちぐはぐ」になりますので、注意します。