「いささか」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
日本語の言葉は、とても奥深いなと思うことがよくあります。
ことわざや方言など興味深い言葉ばかりなのですが、漢字とひらがなを組み合わせた言葉です。
特に漢字は、中国から伝来した文字。
これを考えると、私達が日頃から使っている言葉は、歴史の重さをよく理解することができるかもしれませんね。
目次
- 「いささか」の意味とは?
- 「いささか」の類語
- 「いささか」の言葉の使い方
- 「いささか」を使った例文
- 「いささか」の対義語
- 「いささか」を使った言葉
「いささか」の意味とは?
私達が普段から使っていることも言葉の中に、「いささか」という言葉があります。
この言葉の意味は、数量、レベル、状態の程度が少ないことを指しています。
自分の行いや考えるについては、謙遜する意味が込められていますし、他人のことについては、かなり婉曲したことを表しているとも言えます。
「いささか」を他の言葉に言い換えると、「かなり」の意味でも通用します。
「この結果には、いささか驚いてしまった。」
や、「いささか苦い思い出がある」、「テクニックには、いささかの自信がある」と言ったケースで用いられることから、少ないことが理解できるでしょう。
また、打ち消し、軽い否定系の言葉を組み合わせて、「少しも」、「全然」という意味でも使われることがあります。
数量や程度が僅かな意味をなしていますので、重大事でないような意味も含まれています。
「いささかなりとも、あなたのお役に立ちたいです」
このような表現にも使える言葉です。
この言葉は、中国の古い言葉で、漢字表記では、「些か」となります。
これも元々の古い言葉の「些か」も「少しばかり」や「ほんの僅か」という意味があり、それが現代に至っても、あい変わらず同じ意味で使われ続けているのです。
この「些か」は、「些」は訓読みになると、「いささ(か)」「ち(と)」「ち(っと)」杜なりますが、この訓読みから「ちと、ちっと」が、現代語で「ちょっと」という言葉に変化しているといます。
「ちとばかし、驚いたなぁ。」
と聞くと「ちょっと」の略語のようにも聞こえますが、「ちと」が長い年月の中で、「ちょっと」に変化していったと考えられます。
「些」という漢字を分解してみると、「此」と「二」から形成された文字であることが分かります。
「此」の「止」は、「立ち止まっている足の形」しており、右側「ヒ」は「高齢の女性の形」を表しており、「二」は2つ線を意味しています。
実はこの2つの線からが、「2つばかりしかない」という解釈を経て、「僅か」や「少し」という意味になっていったとされているのです。
「いささか」の類語
「僅か」という意味もある「いささか」は、次のような言葉に置き換えることもできます。
- 「少々」
- 「幾らか」
- 「多少」
「少々」
「あの人のおっしゃっているこたは、少々無理がありますね。」
「今回の結果には、少々、不満が残ります。」
「このサラダには、ドレッシングを少々使うだけで、味は十分です。」
このようなケースで使います。
「幾らか」
「幾らか」も「いささか」に近い意味があります。
「彼の行動には、幾らか強引さが目立ちますね。」
人の行動や振る舞いが、多少強引で他人の気分を害することがあります。
このような時に、「いささか」の代わりに「幾らか」という言葉が利用できます。
「彼女の夜の行動は、全く見えないよ。怪しい感じがするし、幾らか信じられない面もあるね。」
とても可愛い顔立ちをしている友人の彼女。
でも、影ではちょっと怪しい雰囲気も持っていて、彼氏が不安になって友人に相談をしたのです。
そんな彼にアドバイスをした時の言葉がこれだったのです。
使い方によっては、少し違ったニュアンスを持つ「幾らか」。
しかし、「僅か」、「いささか」に置き換えることができる文章であれば、同じに意味になるでしょう。
「多少」
「多少」も「幾らか」、「少々」、「いささか」と同じ意味が含まれています。
「あいつのスピーチはとても雄弁に聞こえるのだけれども、多少なりとも誇張された面があるかもしないよ。」
長年、業界のパイオニアとして、活躍している人の講演会。
その時の彼のスピーチは、とても理解できるし、心地よく聞こえて来るのです。
しかし、何処か頭の中で、引っかかるものがあったのです。
もしかすると、偽りのことも含まれているのかもしれません。
「いささか」の言葉の使い方
「いささか」は、「少ない」、「僅か」、「ちょっとだけ」という意味がありますが、この言葉を使う時は、物事の状態を自分の見方や感じ方で話す時に、謙遜した意味合いで使うことがあります。
「いささか」を使った例文
では、「いささか」を使うケースを見てみましょう。
- 「いささか」の例文1
- 「いささか」の例文2
「いささか」の例文1
「いささかか呆気にとられる」
「いささかか呆気にとられる」では、「多少なりとも呆気にとられる」、「ちょっとだけ呆気にとられる」というように理解できるでしょう。
「彼の大胆な行動には、驚いたというより、いささか呆気にとられてしまいました。」
「我が子ながら、いつも思い付きの発言をしてしまうので、いささか呆気にとられてしまいます。」
こんな使い方があるでしょう。
「呆気にとられる」ことでは、想定外の出来事で、声を失うほどの驚きでもあるのですが、「いささか」という言葉を付け足すことで、若干控えめな驚きの意味となるのです。
これも「いささか」の興味深い使い方と言えるでしょう。
「いささか」の例文2
「いささか気を悪くする」
「いささか気を悪くする」とは、「少しばかり、気分を害する。」ということになりますね。
他の言葉に言い換えると、「ちょっとだけムッとする」というふうになるでしょう。
「尾前の言ったことで、あのお客さんは、いささか気を悪くしていたぞ。」
新人の営業マンに同行した先輩営業マン。
初めての商談成立の寸前で、お客さんが若い彼の焦りから来た言葉に、ちょっとムッとしたのです。
そのことを指摘した先輩だったのです。
「今回の計画性には、いささか無理があったかもしれないな。これからプランニングの練り直しをしたければならないな」
ある企業での会話です。
大きなプロジェクトで、スケジュールがうまく進まず、納期遅延が明確になったのです。
プロジェクトリーダーのコメントから、この計画には、多少の無理があったことが分かったのです。
このようなことから、再度、計画を練り直さなければならなくなったのです。
「いささか」の対義語
「いささか」は、「僅か」という意味がありますが、その反対の言葉としては、次のような言葉が挙げられます。
- 「甚だ」【はなはだ】
「甚だ」【はなはだ】
「甚だ」という言葉の意味は、物事の状態が、普通のレベルをはるかに超えていることを指しています。
大変なことや、非常に高い状況にあることです。
「度を越えている」ということになるでしょう。
よく使われるパターンとしては、「時代錯誤も甚だしい」、「甚だしい誤解だ。」というような言い方があります。
「君の言っていることは、どうしても間違っている。時代錯誤も甚だしい。どんな発想をしているんだ!」
部下の言っていることに対して、劣化の如く怒る上司。
この言葉から、とても否定的で強い意志が伝わってきます。
「どうして、そんな結論になってしまう?甚だしい誤解だぞ。」
これも強い否定的な発言かもしれません。
このように「甚だしい〜」という言い方には、マイナスの意味が含まれており、物事を強く否定する時に使われることから、レベルを越えているにしても、肯定的なケースでは、使われることはありません。
「いささか」を使った言葉
- 「いささか疲れた」
- 「いささかの動揺」
「いささか疲れた」
「朝から運動のために、ウォーキングしたのですが、ずっと歩きっぱなしでいささか疲れました。」
体力増進のために、ウォーキングを始めた中年男性。
運動不足と不規則な生活のために、かなりダイエットをしなくてはなりませんでした。
しかし、いきなりジョギングをするにも、体力はありませんし、膝を壊してしまうリスクもあります。
そんなことから、始めたウォーキングでも、無理して歩き過ぎたのでした。
「昨日は試験勉強で徹夜をしてしまったよ。体力には自信があったつもりたけど、いささか疲れたな。」
日頃、大学の講義にあまり出席していなかった学生。
しかし、今度の試験で点数を取らないと間違いなく留年。
必死で勉強したのですが、やはり疲れが残ってしまいました。
「いささかの動揺」
「彼にとっては、大舞台のはずなのに、いささかの動揺も見られなかったのです。」
このような使い方もあります。
この時は、「動揺や焦りが微塵も感じられない。」と言った理解もできるでしょう。
始めての陸上の試合で決勝まで進んだ選手。
しかし、始めての参加・出場にも関わらず、全く動揺していないのです。
普通であれば、ドキドキして身体がこわばって来るのですが、彼にはいささかの迷いも動揺もなかったのです。
その自信を裏打ちするのは、日頃の苦しいほどの練習の賜物だったのかもしれません。
このような時でも、「いささか」という言葉が使えるのです。
「いささか」には、「若干」や、「僅かな」、「多少」などの意味がありました。
このようなことから、物事の状態を表現する時には、とても使いやすい言葉がかもしれません。
自分の考えや感じたことを他の人に伝える時に、「いささか」を使うことで、控えめな印象を与えることができます。
何かの出来事が突然起きた時に、本来であれば、飛び上がるほどの驚きだったのですが、
「いささか驚きました。」ということで、かなり本心を抑えた控えめなニュアンスになってきます。
このように人とのコミュニケーションの中では、謙遜した使い方ができるために、円滑な関係作りに役立てる個とができるでしょう。
一方で否定的なケースで使う場合は、ニュアンスが変わってくることもあります。
日本語の単語1つでも、1種類の意味だけでなく、異なる意味がある場合もあるので、発言する立場、その言葉を聞く立場や環境・状況で変わった意味合いに理解・誤解を生じさせてしまうこともあるので、言葉の使い方には、注意しなければなりません。