「飼い犬に手を噛まれる」の意味とは?反対語や使い方、例文や例えを紹介!
「飼い犬に手を噛まれる」という表現を聞いたことがあるでしょうか。
「自分もうちの犬に手を噛まれたことがある!」という人もいるかもしれませんね。
ここでは「飼い犬に手を噛まれる」という表現について解説します。
目次
- 「飼い犬に手を噛まれる」の意味とは?
- 「飼い犬に手を噛まれる」の類義語とは
- 「飼い犬に手を噛まれる」の対義語
- 「飼い犬に手を噛まれる」の例文とは
- 「飼い犬に手を噛まれる」の例文
- 「飼い犬に手を噛まれる」の英語
- 「飼い犬に手を噛まれる」の構造
「飼い犬に手を噛まれる」の意味とは?
- 「飼い犬に手を噛まれる」の意味
- 「飼い犬に手を噛まれる」の語源
「飼い犬に手を噛まれる」の意味
「飼い犬に手を噛まれる」は「かいいぬにてをかまれる」と読みます。
決して自分が飼っている犬に手を噛まれるという文字通りの意味ではありません。
日頃から可愛がったり、面倒を見てきた者から裏切られたり、害を受けたりすることを指します。
普段から飼い犬はとても大切にしますよね。
遊びで「飼い犬に手を噛まれる」ことがあったとしても、本気で噛まれたりはしません。
ここでは本気で噛まれることを指しているのです。
ちなみにこのことわざは目上の人や仲の良い友人には使いません。
部下が上司に対して使ったり、生徒が教師に対して使ったりはしません。
そして上下関係がある者に対してのみ使うことが可能で愛r、対等な関係に相手にも使うことができません。
「飼い犬に手を噛まれる」の語源
「飼い犬に手を噛まれる」は、なぜ犬なのでしょうか?犬はもともとオオカミを祖先に持っています。
オオカミは集団生活をし、リーダーを中心に立て社会を構築しているのです。
実際に犬も縦社会を作りますよね。
そして、飼われている犬の場合は、飼い主が飼い犬の上に立っていなければなりません。
飼い犬が飼い主に歯向かうなんて、理想的ではありませんよね。
ですから飼い犬が飼い主の手を噛むということはよほどのことです。
飼い犬に手を噛まれたということは、飼い犬から下に見られている可能性があらうのです。
「飼い犬に手を噛まれる」の類義語とは
- 「恩を仇で返す」【おんをあだでかえす】
- 「後足で砂をかける」【あとあしですなをかける】
- 「軒を貸して母屋を取られる」【のきをかしておもやをとられる】
- 「獅子身中の虫」【しししんちゅうのむし】
「恩を仇で返す」【おんをあだでかえす】
「恩を仇で返す」というのは、恩を受けた人に対し、感謝するどころか逆に害を与えるような仕打ちをすること、裏切ること、を指します。
本当は誰かに助けられたら、逆に感謝をしなければいけませんよね。
しかし逆に相手にとって害になるようなことをする、ということを指しています。
「仇」とはひどい仕打ちや裏切りのことを指し、短縮して「恩を仇」「恩を仇でする」ということもあります。
「仇」は「かたき」とは読みません。
「後足で砂をかける」【あとあしですなをかける】
「後足で砂をかける」というのは人から受けた恩義に対して報いるどころか、逆に去り際に迷惑をかけること、損害を与えること、裏切ること、を指しています。
馬や犬は駆けだす時、後足で土を蹴散らしていきますよね。
ここから来た表現です。
「後ろ足で砂をかける」「後足で砂を蹴る」「後足で砂をぶっかける」「後足で砂を浴びせる」ということもあります。
「軒を貸して母屋を取られる」【のきをかしておもやをとられる】
「軒を貸して母屋を取られる」とは、一部を貸したばかりに全てを取られてしまうこと、奪われてしまうことを指します。
恩をあだで返されることの例えで、「母屋」は「母家」と書くこともあります。
「庇を貸して母屋を取られる」という事もあります。
「獅子身中の虫」【しししんちゅうのむし】
「獅子身中の虫」とは、内部にいながら周りに害をもたらす者や、恩を仇で返す者の例えです。
「獅子の体の中に寄生し、獅子を死に至らせる虫」という意味になります。
もともとは仏教の言葉で、仏教徒でありながら仏教に損害を与える者のことを指していました。
『梵網経』に「獅子は自分の体の中に巣食っている害虫に食われて死ぬのであり、外からの虫に食われて死ぬのではない。これと同じように良からぬ仏教徒が自ら仏法を破壊するのであり、外道や天魔が仏教を破壊するわけではない」という意味の言葉が書かれています。
「獅子身中の虫獅子を食らう」ということもあります。
「飼い犬に手を噛まれる」の対義語
- 「立つ鳥跡を濁さず」【たつとりあとをにごさず】
- 「敵に塩を送る」【てきにしおをくる】
- 「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」【いぬはみっかかえばさんねんおんをわすれぬ】
「立つ鳥跡を濁さず」【たつとりあとをにごさず】
「立つ鳥跡を濁さず」というのは、立ち去る者はその後が見苦しくないよう、きれいにしっかりと後始末をしてから立ち去るべきだ、という戒めであり、引き際は美しくあるべき、という教えになります。
水鳥は飛び去る時、水辺をきれいな状態にしていきます。
そこは濁っておらず、澄んだままなのです。
「立つ」というのは「飛び上がって去る」という意味であり、「立ち上がる」という意味ではありません。
「立つ鳥跡を汚さず」という事もあります。
「敵に塩を送る」【てきにしおをくる】
「敵に塩を送る」というのは「争っている時に相手が苦しんでいたら、それが戦いの本質ではない分野であれば援助を与え、相手を助ける」という意味です。
戦国時代において、今川と北条が武田信玄に対して経済封鎖をしていました。
そのため武田信玄は塩不足で困っていたのです。
そんな時、武田信玄と敵対関係にあった上杉謙信が武田信玄に塩を送って助けていたという逸話があります。
この「敵に塩を送る」とはここから来たのです。
ちなみに「傷口に塩を塗る」とは意味が違いますので注意が必要です。
「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」【いぬはみっかかえばさんねんおんをわすれぬ】
「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」というのは、受けた恩の有難さをいつまでも忘れてはいけない、という教訓になります。
犬よりも知能が高いはずの人間は、恩知らずになってはいいけません。
「犬はその主を知る」「犬は三日の恩を三年忘れず猫は三年の恩を三日で忘れる」などという言い方もあります。
「飼い犬に手を噛まれる」の例文とは
- 政治家が可愛がっていた秘書に裏切られて逮捕された
- 可愛がってきた部下にアイディアを盗まれた
- 後輩が起業するからと融資をしたらお金を持ち逃げされた
政治家が可愛がっていた秘書に裏切られて逮捕された
政治家の汚職事件などはいつの時代も話題になりますよね。
しかし、その政治家の汚職は一体なぜ公になるのでしょうか。
その一つに、可愛がっている秘書に裏切られた、ということがあります。
可愛がっているからこそ、その秘書に政治家はあらゆることを話してしまいます。
もちろん秘書がその話を他言するとは思わず、違法になることまで話してしまうのです。
その結果秘書が裏切ってその情報を漏らしてしまい、政治家が逮捕されるということになるのです。
これはまさに政治家が「飼い犬に手を噛まれた」ということになります。
可愛がってきた部下にアイディアを盗まれた
会社では様々な意見を出し合い、プロジェクトを立ち上げて成功させていきますよね。
そして利益を得て行きます、その中、入社した時から大事にしている部下がいたとしましょう。
その部下といろいろと話をしながらプロジェクトを進めてきたのに、その部下がアイディアを盗んで退社してしまい、他の会社に入社してそのアイディアを漏らしてしまったら、それはまさに「飼い犬に手を噛まれた」という状態だと言えます。
後輩が起業するからと融資をしたらお金を持ち逃げされた
会社であれ何であれ、人がそのビジネスから離れて起業するということは考えられることです。
後輩が起業する、融資をして欲しい、と依頼してきたとしましょう。
可愛い後輩だからこそと融資をしたら、そのお金を持って逃げられてしまった、どこにいるのか分からない、という状態になったら、それは「飼い犬に手を噛まれた」と言えるのです。
「飼い犬に手を噛まれる」の例文
- 「部下に内部告発された、飼い犬に手を噛まれたよ」
- 「後輩に好きな人が誰かと話したら、その人にばらされてしまった。飼い犬に手を噛まれたよ」
「部下に内部告発された、飼い犬に手を噛まれたよ」
会社では常に様々なプロジェクトが実行されていますが、そんな中では違法なことが行われていることもあります。
部下はそのことを知りながらプロジェクトに携わる、ということもあるでしょう。
しかし、あるタイミングで部下から内部告発されてしまい、警察から捜査が入り、そこから違法な計画が明るみに出る、ということがあります。
そんな時は「内部告発された、部下に裏切られてしまった。飼い犬に手を噛まれたよ」という事ができます。
「後輩に好きな人が誰かと話したら、その人にばらされてしまった。飼い犬に手を噛まれたよ」
気が許せる後輩がいたら、いろいろな話をすることでしょう。
その中では好きな人の話も含まれるかもしれませんね。
気が許せる後輩だからと好きな人は誰か、その人のどこが好きか、などと話したら、次の日にはその後輩がその話をリークしていたり、自分が好きな張本人にその話をしていたりしたら、それはまさに「秘密を後輩にばらされてしまった、まさに飼い犬に手を噛まれた」という事ができます。
「飼い犬に手を噛まれる」の英語
- “to be betrayed by a trusted follower”
- “to bite the hand that feeds one”
“to be betrayed by a trusted follower”
「飼い犬に手を噛まれる」というのは、信頼していた誰か目下の人間に裏切られる、ということになります。
ここから“to be betrayed by a trusted follower”ということができます。
例えば「彼は飼い犬に手を噛まれたんだ」という時には“He was betrayed by his trusted follower”となります。
“to bite the hand that feeds one”
これは噛まれた側が主語になるのではなく、噛んだ側が主語になる表現です。
例えば「あの人は後輩に裏切られた、飼い犬に手を噛まれたんだ」という時には“He was betrayed by his man. He(部下)bites the hand that feeds him”という事が可能です。
「飼い犬に手を噛まれる」の構造
- 「飼い犬」
- 「手」
- 「噛まれる」
「飼い犬」
「飼い犬」とは一般的に、一緒に住んで餌を与え、養い、育てている犬を指します。
ここからこのことわざでは可愛がり、大切にしている目下の者を指します。
「手」
「手」とはその飼い犬に餌を与え、撫でてあげるものですよね。
飼い犬にとってはとても優しい存在です。
ことわざにおいては飼い犬を飼っている調本人のことを指しますが、実際には「飼い犬に餌をあげていた手」という意味を持ちます。
「噛まれる」
「裏切られる」という意味になります。
裏切られる、傷つけられる、害を与えられる、ということです。
いかがでしょうか。
「飼い犬に手を噛まれる」なんて聞いただけでも痛そうですが、大切にしていた飼い犬、目下の人に裏切られたらつらいですよね。
その人は自分を裏切らないかどうか見極めることも大切ですし、裏切られないように普段から気を付けることも大切です。