「獅子身中の虫」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「獅子身中の虫」の意味や類語を紹介します。
さらに「獅子身中の虫」の使い方や、「獅子身中の虫」を使った例文を紹介して行きます。
目次
- 「獅子身中の虫」の意味とは?
- 「獅子身中の虫」の類語や言い換え・似た言葉
- 「獅子身中の虫」の言葉の使い方
- 「獅子身中の虫」を使った例文
- 「獅子身中の虫」の語源
「獅子身中の虫」の意味とは?
「獅子身中の虫」という言葉を聞いた事があるでしょうか。
活字に触れる機会が多い人、読書家の人などは、「獅子身中の虫」という言葉の意味を知っているかもしれません。
一方で、「獅子身中の虫」という言葉を初めて知ったという人も少なくないでしょう。
「獅子」「虫」と、興味深い言葉が並ぶことわざですので、これを機会に「獅子身中の虫」の読み方や意味を知っておきましょう。
- 「獅子身中の虫」の読み方
- 「獅子身中の虫」の意味
「獅子身中の虫」の読み方
「獅子身中の虫」は「しししんちゅうのむし」と読みます。
「獅子身中」は、「しししんちゅう」で、「獅子」は「しし」、さらに「身中」は「しんちゅう」と読みます。
早口言葉のような言葉ですが、分解して覚えると、読み方が分かりやすいかもしれません。
「獅子身中の虫」の意味
「獅子身中の虫」ということわざには、「獅子の身体の中に寄生した虫が、獅子を死に至らしめる」という意味があります。
獅子は巨大な組織、例えば会社などを意味し、虫は裏切り者を意味します。
会社の社員の中には、会社を裏切るような行動を取って、会社の価値を下げる人がいます。
またやる気のない態度を取り、それを他の社員に伝染させて、全体のモチベーションを下げるような行為を取る人がいます。
自分が所属する大きな組織の中に、裏切り者がいて、その裏切り者の行動により組織の存続が危うくなりそうな時に、「獅子身中の虫」ということわざを使います。
このように「獅子身中の虫」には、組織の中にいる裏切り者という意味があります。
「獅子身中の虫」の類語や言い換え・似た言葉
「獅子身中の虫」の類語や言い換えられる似た意味の言葉を紹介します。
裏切りを意味するようなことわざが、いくつも登場します。
- 「恩を仇で返す」【おんをあだでかえす】
- 「飼い犬に手をかまれる」【かいいぬにてをかまれる】
- 「軒を貸して母屋を取られる」【のきをかしてもやをとられる】
「恩を仇で返す」【おんをあだでかえす】
「恩を仇で返す」という言葉を聞いた事があるかもしれません。
裏切り系のことわざの中でも、有名なことわざです。
「恩を仇で返す」は、恩を受けた人に対して、本来なら感謝すべきなのに、危害を加えるような行為をする事を意味します。
例えば、無職だったAさんを、会社にお願いして就職させてくれたBさんがいるとします。
本来ならAさんはBさんに感謝すべきなのに、Bさんが会社を辞めざるを得ないような中傷をまき散らす…このような行為は「恩を仇で返す」ということわざにぴったりです。
「飼い犬に手をかまれる」【かいいぬにてをかまれる】
「飼い犬に手をかまれる」ということわざも、聞いた事があるかもしれません。
特に犬を飼育している人や、飼った経験がある人は、「飼い犬に手をかまれる」経験を、実際にした事があるかもしれません。
「飼い犬に手をかまれる」という言葉には、いつも可愛がっている犬に噛まれるような行為、裏切られる事を意味します。
例えば自分の会社の一員として大切にしていた社員が、会社の内部情報を他社に売っていた…このようなケースを「飼い犬に手をかまれる」ということわざで表現します。
「軒を貸して母屋を取られる」【のきをかしてもやをとられる】
「軒を貸して母屋を取られる」ということわざも、裏切りに関することわざのひとつです。
家がなくて可哀そうだと思ったので、軒下で暮らす事を許してあげたら、いつの間にか母屋を取られてしまうということわざです。
例えば、アパートの大家さんが、アパートの一室を住む場所がない人に貸してあげたら、その人の生活態度がひどく、騒音をまき散らしたり、ゴミをまき散らしたりするため、アパートの住人が出て行ってしまった。
さらに空いた部屋に、勝手に仲間を住まわせて、しかも家賃を払わないため、大家さんはアパート収入を得られずに、外に働きに出るしかなくなった…そのような話です。
ちょっとホラーのような、怖いことわざと言えそうです。
「獅子身中の虫」の言葉の使い方
「獅子身中の虫」をどのような場面で、どう使えばいいでしょうか。
「獅子身中の虫」には、「組織の中の裏切り者」という意味があります。
そのため、会社や学校、部活動やサークル、家族などの中にいる裏切り者や、害をなすものをみつけた時に、「獅子身中の虫」ということわざを使ってみましょう。
例えば、同じ職場の中に、「その人がいるとやる気が失せる」という人がいるかもしれません。
会社に搾取されているとか、一生懸命働いても意味がない、どうせ給料は一緒だと周囲に吹聴し、職場全体のモチベーションを下げるような人です。
このような人がすぐにスポイルされればいいですが、影響を受けて同じような態度を取る社員が出てくると、職場の存続にかかわる問題になります。
こうなると「獅子身中の虫」と呼んでもおかしくない状態になります。
組織を滅ぼすような害を与える人や裏切り者をみつけた時に、「獅子身中の虫」という言葉を使ってみましょう。
「獅子身中の虫」を使った例文
続いて「獅子身中の虫」という言葉を使った例文を見て行きましょう。
様々な場面における「獅子身中の虫」を使った例文を見る事で、「獅子身中の虫」ということわざの意味や使い方がより良く分かるかもしれません。
- 例文1
- 例文2
例文1
ビジネスシーンにおける「獅子身中の虫」を使った例文を紹介します。
「会社の重要情報を持って、他社に転職した奴がいるらしい。まさに『獅子身中の虫』だ」、「経理の○○さんが、1億円横領したっていう噂だ。
『獅子身中の虫』だって、社内で大騒ぎになってるよ」、「成功しかけていたプロジェクトだったのに、あいつのせいで台無しになった。
まさかプロジェクトチームのメンバーのひとりが、『獅子身中の虫』とは思わなかった」という感じです。
会社にお世話になっておきながら、裏切る人は「獅子身中の虫」と呼ばれてしまいます。
例文2
学校における「獅子身中の虫」を使った例文を紹介します。
「Aが転校してきてから、この学校はすっかり荒れてしまった。あいつは『獅子身中の虫』だよ」、「楽しかったサークルが、彼女のせいですっかり楽しくなくなった。
サークルの男子に手を出して、人間関係を乱すなんて、彼女は「獅子身中の虫」だ」という感じです。
一人の影響により人間関係が壊れてしまい、学校やサークル、部活動が終焉を迎えてしまうような事があります。
まさに「獅子身中の虫」らしい、ネガティブな影響力と言えるでしょう。
「獅子身中の虫」の語源
「獅子身中の虫」ということわざの語源はどのようなものでしょうか。
「獅子身中の虫」は、実は仏教語で、「仏教徒でありながら、仏教に対して害をもたらす人」の事を言いました。
「梵網経」という経典の中に、「獅子は、外にいる虫に食われて死ぬのではなく、自分の体の中にいる虫に食われて死ぬのだ。
同じように仏教を破壊するのは外道や天魔などではなく、悪い仏教徒である」という意味の文章があります。
この言葉から「獅子身中の虫」ということわざが生まれました。
強い獅子を倒せるものは、外部にはそれほどいないかもしれません。
同じように大きな会社や、結束の高いグループを壊すのは、外部の要因ではなく、社員やメンバーなのかもしれません。
「獅子身中の虫」という言葉の意味や使い方を見てきました。
みなさんが所属する組織にも、「獅子身中の虫」と言えるような存在がいるかもしれません。
そのような人を見かけたら、「獅子身中の虫」とつぶやいてみましょう。