「はんかくさい」の意味とは?方言?標準語に変換すると?使い方や例文を紹介!
「はんかくさい」と言われて、「怒られてる?からかわれてる?」と思ったことはありませんか?意味を紹介しましょう。
目次
- 「はんかくさい」の意味とは?
- 「はんかくさい」の標準語
- 「はんかくさい」の使い方
- 「はんかくさい」の漢字
- 「はんかくさい」は方言?使われていると思われる場所
「はんかくさい」の意味とは?
「はんかくさい」は、主に北陸〜北海道にかけての方言で、「ばかもの」「恥知らず」の意味です。
語気の強さや表情から、揶揄、しょうがないやつだなあといった愛情を込めた表現から、軽蔑や怒りを込めた表現まで幅広く使われます。
関西の「あほやねえ」、「このどアホ」、博多弁の「ばかちん」と同様の言葉です。
確信犯的に常識はずれなことをしたときや、迷惑行為をしたときにも「うわー、はんかくせえっ!」と非難を浴びることになります。
眉をひそめ、強い語気で「うわっ、はんかくせっ!いい加減にしろや」は怒りを含んでいます。
「はんかくさい」の標準語
「はんかくさい」に置き換えられる標準語についてみていきましょう。
怒りモードから、愛情表現モードまで「はんかくさい」の一言で網羅されているので、場面に合わせて置き換えてみると理解しやすくなります。
- 「馬鹿」【ばか】
- 「粗忽者」【そこつもの】
- 「おっちょこちょい」【おっちょこちょい】
- 「DQN」【ドキュン】
「馬鹿」【ばか】
怒りを感じて「バカー!」と叫んだり、好きなのに焦らされて「バカァ」とつぶやいたり、相手を「ばーか、ばーか」とはやし立てる時に使ったりします。
そのまま「はんかくさい」に置き換えられる言葉です。
「能力が低いですね」や「ひどいことしますね」と感じた時に使う相手をさげすむ言葉が、「なぜかほっとけない」や「いじらしさを感じる」といった愛情にすり替わって使われるところに面白さが感じられます。
「はんかくさい」と言われたら、表情や声の大きさ観察し、「馬鹿(バカ)」を当てはめてみると良いでしょう。
「粗忽者」【そこつもの】
「はんかくさいやつ」といえば、思慮に欠けるあわてものという意味になります。
標準語でいうところの「粗忽者(そこつもの)」です。
常識から考えたら控えるべき行動を、勢いでやってしまって後悔するようなことを繰り返す人を「粗忽者」といい、「はんかくさいやつ」と同じ意味になります。
へりくだったニュアンスで自分のことを「粗忽者」と呼ぶことがありますが、口語としては時代がかった雰囲気になってしまうでしょう。
「おっちょこちょい」【おっちょこちょい】
早とちりが多く、状況判断が的確にできない性質を「おっちょこちょい」と呼び、「放おっておけない」という愛情や親しみを含んだニュアンスを感じさせます。
「おっちょこちょい」がすぎる相手と仕事をするのは苦労しますが、完璧過ぎてスキのない相手よりも人間的な魅力があって安らぎを感じると言う人もいるでしょう。
「はんかくさい」を「ほんとにもう、はんかくさんだからあ」という場合には、そのまま「ほんとにもうおっちょこちょいなんだからあ」に置き換えてもしっくりきます。
「DQN」【ドキュン】
空気が読めない「KY」や、自己中心的で状況判断や価値観が一般とズレている「DQN」にも重なる部分が多いでしょう。
「はんかくさい」には、軽率、粗忽、軽はずみ、低能といった意味を含んでいます。
相手を蔑んでいる気持ちをダイレクトに伝えるというより、陰にこもって常識はずれであることを指摘する言葉ですが、迷惑行為をする人という部分で「はんかくさい」に意味合いが重なる部分があります。
周囲になじまない、常識外れなことをすると軽蔑の意味を込めて「はんかくせえ」と言われてしまうでしょう。
「はんかくさい」の使い方
愛情や親しみを持った気持ちから、関わりたくない、軽蔑する気持ち、怒りまで幅広いニュアンスがあり、シチュエーション、表情、発音の強弱が意味を左右します。
少ない口数で終わらせる事ができるのが便利ですが、言われた方は、イマジネーションを働かせて相手の真意を汲み取らなければならない難しさがあります。
また、「い」を省略して「はんかくさっ」と吐き捨てるような言い方、「はんかくせえやつ」のように「さ」を接続しやすく変化させた言い方があります。
実際の使用例を読んで、理解のコツをつかんでおきましょう。
- 「はんかくさい」の例文1
- 「はんかくさい」の例文2
- 「はんかくさい」の例文3
- 「はんかくさい」の例文4
「はんかくさい」の例文1
「あーあ。ほっんとはんかくせえ。ばかじゃねえの。」
調子に乗ってウケそうな迷惑行為と知りながら動画アップして炎上してしまった、能力以上の傾斜をスキーで滑降して骨折、運べるはずのない積荷を積みすぎてトラックが横転、危険運転で車線をはみ出して衝突事故など、自分の能力を客観的に判断できず、失敗してしまうエピソードはよくあることです。
そんな残念なニュースを聞くたびに、北陸〜北海道の住民は「はんかくさい」を活用します。
調子に乗ってはんかくさいまねをして、怪我をするなんてくだらないし避けたいものです。
「はんかくさい」の例文2
「はんかくせえことばっかしてたら、みんなからあきれられっからな」
(訳:ばかみたいなことばかりしていたら、みんなから呆れられてしまいますよ)
「ほんとはんかくせえわ」
(訳:ほんとにバカみたいなことしたね)
熱くなっている鍋を素手で触って落としてしまった、水たまりで転んで服を汚す、欲張って食べきれない量を無理して食べてお腹を壊すといった子供のようなことをした時にも「はんかくさい」が使われます。
「大人なら考えればわかるでしょうに…。」
と呆れた気持ち、「しょうがないひとだなあ。」というニュアンスを含んでいます。
「はんかくさい」の例文3
「口酸っぱく言ったべや。マジはんかくさいわ」
(訳:口うるさく言ってあげていたのに、ほんとばかだねえ)
話し言葉として使われることが多いので、かなり砕けたシーンで使われます。
若い人でも使う人はいるので、「マジはんかくさい」といった言い方になることがあります。
これが年配者の場合ですと、「ホントはんかくさい」といった具合です。
「レポートの締切、今日中って言ったっしょ。何やってんだか、マジはんかくさいわ。」
(訳:レポートの締切、今日中って言っていたよね。何をしてたんですか。ほんとうにバカな人だ。)
「はんかくさい」の例文4
「うわっ、はんかくさっ!ぼっこでこじればいいのに」
(訳:うわー、ばかだね!棒を使ってねじ込むようにしたら良いのに)
北海道弁の場合、棒のことを「ぼっこ」、ねじ込むようにするのを「こじる」というので、ピッタリはまり込んでしまった開けにくい缶の蓋を棒で開けたらよいのにというときには、例文のような会話が展開されるでしょう。
「何いってんの」や「バカじゃない?」など、語気が柔らかくおどけているときには、気楽に親しみを込めて「はんかくさっ!」になることがあります。
例文では変形した上、別の方言が使われています。
「はんかくさい」の漢字
「半可臭い」と書きます。
「半:半人前でしかない」、「可:可能なこと、できること」、「臭い:まるで〜のようだ」というニュアンスを含んだ言葉が組み合わされています。
「まるで半人前の能力しかないようだ」という意味になり、「はんかくさい」が使われるときのニュアンスをうまく表現しています。
「はんかくさいは」先程の例からもわかるように、単純にバカという軽蔑の意味だけではなく、子供みたいに半人前、子供じみた行動が思慮に欠けるといったニュアンスが含まれているのです。
一人前じゃなくて世話が焼ける意味を持ちます。
「はんかくさい」は方言?使われていると思われる場所
「はんかくさい」は、北陸から北海道にかけての地域で使われる方言です。
最近では、方言女子という言葉も聞かれ、標準語ではない変わった言葉を会話に取り入れる若者も増えています。
北海道弁の「したっけ」を普通にLINEの会話で使う人もいますし、変わった言葉をチェックしている人もいるのではないでしょうか。
また、お国言葉と表現されることがあるように、テレビなどの番組では標準語がほとんどなのに、動画ではナチュラルななまりが話題を呼ぶこともあります。
「はんかくさい」が使われているエリアを紹介しましょう。
- 北海道
- 青森・秋田
- 石川・富山
北海道
北海道では全域的に「はんかくさい」が日常会話に登場します。
開拓時代に東北系の方が数多く入ってきたことから、東北と共通の方言が数多く存在します。
年配の人だけでなく、学生や若者も普通に「なまら」や「したっけ」レベルで使っています。
「はんかくさっ」、「はんかくせえ」、「はんかくさいんでないかい」、「はんかくさいわ」など、語尾が変化しつつも関西弁でいう「アホ」のように使われます。
バカを表す表現に「たくらんけ」がありますが、こちらはあまりメジャーではありません。
青森・秋田
こちらのエリアが本家ではないかと思われます。
秋田では、ローカルヒーロー「超神ネイガー」がいますが、ヒーローと敵対する悪の組織の名は「だじゃぐ組合」で、その構成員は「ハンカクサイ」です。
だじゃぐは秋田弁で乱暴や粗暴を意味する言葉ですから、ひどい迷惑組織であるニュアンスがバッチリ表現されています。
ちなみに「ネイガー」は、なまはげの「なぐごはいねえがー」(なく子供はいなか)から取っています。
そんな秋田と、北海道に挟まれた青森も当然のように、「はんかくさい」が使われています。
石川・富山
北陸地方でも「はんかくさい」が使われることがありますが、能登、小松、加賀など地域が限定されています。
年配者が使う程度で、北海道などと比べると使用頻度も低いです。
むしろ、若者に取っては少し新鮮に聞こえるかもしれません。
島根などと同様に、バカのことを「だら」ということもあり、「ほんなだらなことゆーっとって笑われっぞ」(訳:そんなばかなこといってたらわらわれるよ)と使います。
こちらのほうが割合的に多いかもしれません。
使い慣れている地元民にとっては、いろいろな意味に取れて便利な言葉ですが、怒りをかっているのか、呆れながらも愛情をかけられているのか微妙に真意がくみ取りにくいケースがあります。
言葉が吐き捨てる感じなのか、やれやれと言った感じなのか、小馬鹿にした感じなのか、シチュエーションや表情、語気をしっかり観察してみましょう。