意味解説の読み物

meaning-book

meaning-bookは意味解説の読み物です

「ハイサイ(はいさい)」とは?「メンソーレ」との違いや上手な使い方!

「はいさい」とは、「やあ、こんにちは」「お元気ですか?」などを意味する沖縄方言の軽いあいさつの言葉です。

「はいさい」「意味・使い方の注意点・具体的な使用方法・はいさいを使った物や歌・はいさいとメンソーレの違い」などについて、詳しく説明していきます。

ハイサイ

Meaning-Book
「ハイサイ(はいさい)」とは?「メンソーレ」との違いや上手な使い方!>


目次

  • 「はいさい」とは?
  • 「はいさい」と「はいたい」の意味の違い
  • 「はいさい」を使った物や歌などを解釈
  • 「はいさい」の具体的な使用方法(解釈)
  • 「はいさい」と「メンソーレ」の違い
  • 地区による「はいさい」の使い方の違い
  • 「沖縄の方言」は「うちなーぐち」と呼ばれている
  • 「はいさい」の漢字はない?
  • 「はいさい」は若い世代だと実生活ではあまり使わない


「はいさい」とは?

「はいさい」とは?

「はいさい」という沖縄方言(琉球方言)は、沖縄県とその周辺の島嶼部(とうしょぶ)で使われている「やあ、こんにちは」「どうも」「お元気ですか?」などを意味する気軽な挨拶(あいさつ)の言葉です。

「はいさい」は英語で言い換えれば、“Hi”“Hello”“How do you do?”に該当するフランクなニュアンスの沖縄方言なのです。

感動詞に分類される「はいさい」は時間帯を限定せずに使える気軽なあいさつの言葉であり、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」のすべての意味で使用することが可能です。

沖縄県には電話で「もしもし」に当たる言葉が元々なかったので、「はいさい」と言って電話に出ることもあります。

「はいさい」は初対面の相手に対しても友人知人・家族に対しても使うことができるので、沖縄県に旅行に行くことがあれば、陽気で気さくな沖縄県民の方に「はいさい」とあいさつしてみても良いでしょう。

  • 「はいさい」を使う時の注意点
  • 「はいさい」の語源や由来

「はいさい」を使う時の注意点

「はいさい」を使う時の注意点として、琉球王国時代の身分制度の名残で、「はいさい」は首里周辺の地域では「平民の言葉(対等の相手か目下の相手だけに使える言葉)」とされてきた歴史があります。

そのため、沖縄県の首里(しゅり)の周辺では、「はいさい」「目上の人・年配の人に対しては使わない方が良い」という慣習・言語感覚が若干残っているのです。

「沖縄県」は明治維新以前は「琉球王国」であり、清(中国)と薩摩藩に間接的に服属していました。

そして、1872年に明治政府の強権的な方針で「琉球王国」「琉球藩」に変えられ、1879年に王国(琉球藩)を廃止する廃藩置県で「沖縄県」が設置されたのです。

「はいさい」は琉球王国時代の首里周辺では、「王族・身分が上の人」に対して使うべきではない平民のあいさつの言葉として認識されていたので、高齢者を中心にして今でもその慣習・意識が残っていることがあります。

現代の若者世代では、「はいさいと身分制度の結びつき」を思い出すことはほぼないので、フランクなあいさつの言葉として使っても大丈夫でしょう。

「はいさい」の語源や由来

「はいさい」の語源・由来は、本土の日本語(大和言葉)とはルーツ(起源)が異なる「琉球語(現在の沖縄方言の原点)」にあります。

琉球語は大きく「北琉球方言」「南琉球方言」に分けられますが、「はいさい」は那覇市周辺での使用頻度が琉球処分(沖縄県設置)以前から多かったとされることから、「北琉球方言」に由来すると考えられています。

「はいさい」は漢字の表意文字で表現される「漢語・日本語」ではなく、独自の「琉球語」にルーツがあるため、元々の語源としての意味については不明ですが、簡単なあいさつの言葉なので英語の"Hi"と同じく、相手に親しく呼びかける言葉が原点にあると推測できます。



「はいさい」と「はいたい」の意味の違い

「はいさい」と「はいたい」の意味の違い

「はいさい」「はいたい」の意味の違いは、沖縄方言における「男言葉・男性用語」「女言葉・女性用語」の違いになります。

「はいさい」というのは、男性が使う軽いあいさつの言葉であり、「はいたい」というのは、女性が使う軽いあいさつの言葉なのです。

「はいさい」を使った物や歌などを解釈

「はいさい」を使った物や歌などを解釈

「はいさい」を使った物や歌などを紹介して、その意味を解釈していきます。

  • 「はいさいおじさん」
  • 「はいさいFESTA」
  • 「ハイサイ探偵団」

「はいさいおじさん」

「はいさいおじさん」というのは、沖縄県の歌手である喜納昌吉(きなしょうきち)が1976年に発売したデビュー曲のタイトルです。

「はいさいおじさん」の歌の歌詞はすべて沖縄方言(ウチナーグチ)で書かれていて、本土の人がその歌詞の意味をそのまま理解することは不可能ですが、沖縄のおじさんの悲惨な沖縄戦・戦争体験とその後の絶望が語られているのです。

はいさいおじさんは大勢の県民が死んだ沖縄戦(対米の太平洋戦争)のトラウマを抱え、奥さんは精神の病に冒されて自殺してしまいます。

その後、はいさいおじさんは希望と意欲を失って、酒に溺れる失意の日々を送っているという沖縄の悲しい戦争の歴史が背景にある歌なのです。

「はいさいFESTA」

「はいさいFESTA」というのは、「沖縄県の音楽・映像・お酒・食事・伝統芸能(エイサー)・お土産」などを集めてみんなで盛り上がることを趣旨に開催される「お祭り・文化祭・フェスティバル」を意味しています。

特に、毎年ゴールデンウィークにJR川崎駅前の複合商業施設「ラ チッタデッラ」で、沖縄県の音楽・文化・物産・食とお酒などをテーマにして開催されている「はいさいFESTA」がよく知られています。

2019年も5月1日から5月5日にかけて、「ラ チッタデッラ」「はいさいFESTA」が開催されます。

「ハイサイ探偵団」

「ハイサイ探偵団」というのは、沖縄県を拠点にして活動しながら面白動画をアップしている「グループYoutuber」のことです。

「ハイサイ探偵団」はUUUM株式会社に所属しているグループ・ユーチューバーであり、現在のチャンネル登録者数は「52万人以上」でかなり人気のあるユーチューバーになっています。

美しい海や島、自然環境に恵まれた沖縄県(あるいは沖縄周辺の無人島)で「サバイバル生活」をするというチャレンジ動画が、「ハイサイ探偵団」の動画がヒットする一因になりました。



「はいさい」の具体的な使用方法(解釈)

「はいさい」の具体的な使用方法(解釈)

「はいさい」の具体的な使用方法を紹介して、その意味を解釈していきます。

  • 「はいさい」の具体的な使用方法1
  • 「はいさい」の具体的な使用方法2

「はいさい」の具体的な使用方法1

「はいさい」の具体的な使用方法として、テレビやラジオなどで使われる「はいさい(ハイサイ)、グスーヨーチューウガナビラ!○○ヤイビーン」があります。

この沖縄方言の意味は、「どうも、皆さんこんにちは!○○でございます」になり、マスメディアのMC(司会者)が番組の冒頭でいうことが多い定番のウチナーグチ(沖縄方言)になっています。

「はいさい」の具体的な使用方法2

「はいさい」の具体的な使用方法として、初対面の相手に対するあいさつで使われる「はいさい(ハイサイ)、ハジミティヤーサイ、ユタシク ウニゲーサビラ」があります。

この沖縄方言の意味は、「こんにちは、どうもはじめまして、よろしく、お願いします」になります。

沖縄県民の人とはじめて会った時のあいさつで言うと、「この本土の人は、勉強してウチナーグチを使ってくれているな」と思ってもらえるかもしれません。

「はいさい」と「メンソーレ」の違い

「はいさい」と「メンソーレ」の違い

「はいさい」「メンソーレ」は、「はいさい」「やあ、どうも(おはよう・こんにちは・こんばんは)」といったニュアンスの軽いフランクなあいさつを意味しています。

一方で、「メンソーレ」には時間帯を問わないあいさつの意味合いはなくて、「ようこそ、いらっしゃいませ(よく来てくれましたね)」という歓待(好意的な出迎え)を意味する言葉になるという違いがあります。

「メンソーレ」は沖縄観光における歓迎の常套句(じょうとうく)ですが、その意味からいっても沖縄県民が日常的に使う沖縄方言ではなく、「はいさい」よりも使用頻度が低いという違いもあります。

地区による「はいさい」の使い方の違い

地区による「はいさい」の使い方の違い

同じ沖縄県内であっても、地区によって「はいさい」の使い方に違いがあります。

沖縄県の中でも特に「はいさい」が頻繁に使用されていたのは、「那覇市(なはし)」の周辺でありこの地区であれば、相手の年代や立場を問わずに誰にでも「はいさい(やあ、こんにちは)」というあいさつの言葉を使うことができます。

「はいさい」の使い方に少し注意が必要になるのが、琉球王国時代に首都が置かれていた「首里市(しゅりし)」の周辺であす。

首里周辺ではかつて、「はいさい」は王族・士族に使ってはいけない平民の言葉とされていたので、今でも年配の人は「目上の人・立場が上の人」に対して使うことを嫌う傾向が残っているのです。

また、沖縄県の南風原市(はえばるし)の周辺になると、「はいさい」という沖縄方言の使用頻度自体が減って、ただ「はい」という英語の“Hi”のようなあいさつが主流になっています。

「沖縄の方言」は「うちなーぐち」と呼ばれている

「沖縄の方言」は「うちなーぐち」と呼ばれている

「沖縄の方言」は、「うちなーぐち(ウチナーグチ)」と呼ばれています。

沖縄方言で沖縄県を意味する言葉として「ウチナー」があり、「ウチナーグチ」「沖縄の口=沖縄の言葉」のことを意味する言葉として解釈することができます。

辞書的に意味を定義すれば、「うちなーぐち」というのは「沖縄方言・沖縄語・沖縄弁」と定義できますが、「沖縄語」というと日本語ではない外国語のニュアンスが強くなり、「沖縄弁」というのも一般的に使用頻度が低いので、現在では「沖縄方言」として定義されることがほとんどです。

「うちなーぐち(ウチナーグチ)」の対義語は「ヤマトゥグチ(標準語・大和の言葉)」であり、伝統的な沖縄方言と標準語が混合した沖縄弁は「ウチナーヤマトゥグチ」と言われることもあります。

「はいさい」の漢字はない?

「はいさい」の漢字はない?

「はいさい」は、沖縄県が琉球王国だった時代から使われている「琉球語(北琉球方言)」にルーツ(起源)があり、当時の「琉球語(現在の沖縄方言の源流の言葉)」には漢字は当てられていませんでした。

そのため、「はいさい」にしても「メンソーレ(ようこそ)」「ウチナー(沖縄県)・ウチナーンチュ(沖縄県民)」「ヤマトンチュー(沖縄県から見た本土の人)」にしても、沖縄方言には基本的に漢字の表記はないか、当て字の漢字表記ができてもしない傾向があります。

「はいさい」に関しては、琉球王国時代から一般の人達(王族・士族ではない平民身分の人たち)が日常生活で気軽に使ってきた言葉なので、「はいさい」に該当する漢字表記はないということになります。

「はいさい」は若い世代だと実生活ではあまり使わない

「はいさい」は若い世代だと実生活ではあまり使わない

「はいさい」は現代の沖縄県では、沖縄観光向けのパンフレットやメディアではよく使われていますが、沖縄県の現地で日常的に「はいさい」を使っている若者はさすがに多くありません。

現在の沖縄県で使われている教科書は標準語で書かれていて、沖縄県のテレビ番組や書籍なども本土と変わりませんので、若い世代になるほど沖縄方言よりも標準語を使うようになっていて、(沖縄県だけに限らず東北地方でも九州地方でもそうですが)土地の方言を日常的に話す人は減っているからです。

ただし、「はいさい」「メンソーレ」と並んで沖縄県外の人でも誰もが知っている沖縄方言ですから、沖縄旅行に行った際ににこやかな話しかけやすい感じの若者に「はいさい、今日は天気がいいですね。沖縄県に初めて来たんですが気候が気持ちいいですね」とでも声をかければ、機嫌よく「はいさい、メンソーレ」と合わせてあいさつを返してくれる確率は高いでしょう。

icon まとめ

「はいさい」という言葉について徹底的に解説しましたが、「はいさい」「やあ、こんにちは(おはよう・こんばんは)」「お元気ですか?」「もしもし」などを意味する沖縄方言の軽いあいさつの言葉です。

「はいさい」は首里城周辺では、目上の人(年齢・立場が上の人)には使わない方が良いなどの注意点もありますが、それ以外の地域では誰にでも使える気軽なあいさつの沖縄方言なので、ぜひ使ってみてください。

「はいさい」という沖縄方言について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。