「手こずる」の意味とは・語源・敬語・英語・類語・「てこづる」は間違い?【使い方や例文】
仕事やプライベートで「手こずる」という言葉がよく使われます。
正しい意味と使い方、語源などについて紹介します。
目次
- 「手こずる」の意味とは?
- 「手こずる」の語源
- 「手こずる」の英語(解釈)
- 「手こずる」の言葉の使い方
- 「手こずる」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「手こずる」の類語や類義表現(シソーラス)
- 「手こずる」のビジネスでの敬語の言い換え
- 「手こづる」は間違い?
「手こずる」の意味とは?
「手こずる」の意味は以下の通りです。
- 「困る」の意味
- 「持て余す」の意味
「困る」の意味
「ものごとを進める時に、何かの問題が起きたりタイミングがずれたりして思う様にいかずに困ること」です。
普段は上手くいっていること、上手くいくと思っていたことが滞り、焦ったりイライラしたりする気持ちが含まれています。
ゴールが見えているのにそこまでたどり着く為に幾つもの問題をクリアしなければならない時に使います。
「困る」との違いは、途中の段階で様々な困難にぶつかりながらも一生懸命工夫をして一つずつ解決している状態であるという意味が含まれていることです。
「持て余す」の意味
「自分がやらなければならないことや始末をつけなければいけないことがあるのに、能力以上のことが要求されてしまいまとめ切れないこと」です。
主に人やものの扱いに関することが多く、指示命令に従ってくれない為に管理ができずに途方に暮れる状態の時に使われます。
集団生活に馴染めなかったり、強情で自分の意見を曲げずに最後まで意思を押し通す様な人に対して使われます。
「手こずる」の語源
「手こずる」の語源には以下の様な説があります。
- 「テコ」説
- 「手の甲」説
- 「テコの支点」説
「テコ」説
「手こずる」の語源は、安永時代に流行ったとされる比喩表現です。
重いものを動かす時に「テコ」を使っていたのですが、そのテコがずれないようにする為に人の手伝いが必要で、その助っ人のことを「手子」と呼んでいました。
しかし自分が忙しい時に誰かがテコを使うと手伝わなければならず、「手子」にとっても面倒で余計な作業になるので「手こずる」になったと言われています。
「手の甲」説
重労働や面倒な作業をする時に「手の甲が擦れる」程大変なことがあり、ここから変化して「手こずる」になったと言われています。
「テコの支点」説
「テコ」は漢字だと「梃子」と書きます。
動かすものが大き過ぎたり重すぎたりすると、テコの支点がずれてしまい作業がしくにくなってしまうことから「手こずる」になったと言われています。
「手こずる」の英語(解釈)
「手こずる」の英語には以下の表現があります。
- “diifficulty”
- “have a hard time”
“diifficulty”
“difficutly”は「困難」という意味があり、不利な状況の時に使われます。
“There is a difficulty to make a contract.”で「契約を結ぶのに手こずっている」になります。
“have a hard time”
“hard time”で「きつい時間=苦労する」という意味になります。
“I had a hard time to persuade him.”で「彼を説得するのに手こずった」になります。
「手こずる」の言葉の使い方
「手こずる」の使い方には以下のポイントがあります。
- 動詞として使う
- 自分が努力した時に使う
- 人に対して使う時には注意
動詞として使う
「手こずる」は動詞ですので「○○に手こずる」と文末に使えて、過去形や未来形など変化形にできます。
また、「手こずる相手」など修飾語としても使えます。
自分が努力した時に使う
一般的に「困った」の代わりに「手こずった」と言い換えると、自分が一生懸命努力をしたというニュアンスが伝わります。
単に途方に暮れているだけではなく色々と工夫をしていることが分るので、ビジネス向きの言葉です。
人に対して使う時には注意
人に対して「手こずる人」と表現する時には、相手に対して「面倒くさい人」「わがまなな人」という意味になります。
ネガティブな意味で悪口になるので注意しましょう。
「手こずる」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「手こずる」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「手こずる」を使った例文1
- 「手こずる」を使った例文2
「手こずる」を使った例文1
「ボスキャラの攻略に手こずった」
ゲームで最も強いキャラを攻略する為に苦労をしたという意味です。
あらゆる武器を手に入れたりSNSで情報を交換したりして、攻略方法を試していった結果、やっとクリアできました。
この場合「手こずった」はネガティブな意味ではなく達成感がある様子を含んでいます。
「手こずる」を使った例文2
「子供が反抗期なので手こずっている」
こちらは「持て余す」の意味で使われています。
子供が反抗期で親の言うことを聞かずに、持て余してしまい困っている様子を表しています。
この段階ではまだ親子の断絶まではいかず、親が苦労しながら何とか折り合いを付けて子供とうまくやっている様子が伝わります。
「手こずる」の類語や類義表現(シソーラス)
「手こずる」の類語は以下の通りです。
- 「手を焼く」【てをやく】
- 「手間がかかる」【てまがかかる】
- 「苦慮する」【くりょする】
「手を焼く」【てをやく】
ものごとの扱い方が分らず、どうして良いのか分からず困っている状態です。
上手く扱えないと手を火傷してしまい、作業ができなくなってしまうことから来ています。
「手間がかかる」【てまがかかる】
思い通りにいかなかったり、途中にやるべきことが多過ぎて時間がかかってしまうことです。
実際に作業が多く面倒ですが、目標ははっきりとしているのでさほど困っている様子はありません。
「苦慮する」【くりょする】
「くりょする」と読みます。
困っているものごとをどう解決して良いか分からずに、色々と悩んだり考えたりしていることです。
かなり深刻な状況で悩んでいる時に使われます。
「手こずる」のビジネスでの敬語の言い換え
ビジネスで「手こずる」を使う場合には、「です・ます」を付けるだけで問題ありません。
「手こずる」は「困る」よりも含み表現ですので、ビジネスの場で目上の人に対して使えるのです。
「交渉に手こずっています」「通関に手こずってしまいました」など、シーン別に丁寧語で言ってみましょう。
「手こづる」は間違い?
文章によっては「手こづる」と書く人もいます。
辞書にも「手こずる・手こづる」と表記されているものもあります。
結論としてはどちらを使っても間違いではありません。
ただし、厳密に言えば「手こずる」の語源は「テコ+する」の言葉が組み合わさったものです。
「つる」ではないので正確には「手こずる」と書きます。
「手こずる」は「ものごとが思い通りにいかない状態」を表します。
人やものに幅広く使えますので、ビジネスやプライベートで使いこなしてみましょう。
「です・ます」を付ければ目上の人にも使えます。